好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Leonard Corhen - Bird on The Wire

今回は1969年に発表されたレナード・コーエンのセカンド・アルバム『SONGS FROM THE ROOM』の冒頭を飾る「Bird On The Wire」を取り上げてみたい。
ナッシュヴィルで録音されたこのアルバムはボブ・ディラン、ジョニー・キャッシュ、サイモン&ガーファンクルの作品で知られるボブ・ジョンストンがプロデュースにあたった。どの曲も語りかけるようなレナード・コーエンの低音の声に控えめなギター及びキーボード、効果的なストリングスが簡素に響く。聴いていると催眠術にかかったような錯覚を覚えた。

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(2007/06/20)
レナード・コーエン

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1. Bird on the Wire
2. Story Of Issac
3. A Bunch Of Lonesome Heroes
4. The Partisan
5. Seems So Long Ago, Nancy
6. The Old Revolution
7. The Butcher
8. You Know Who I Am
9. Lady Midnight
10. Tonight Will Be Fine
11. Like A Bird (Bird On The Wire)
12. Nothing To One (You Know Who I Am)



BIRD ON THE WIRE
電線の上の一羽の鳥のように
真夜中の聖歌隊の酔っぱらいのように
私は私のやり方で自由になろうとしたのだ
釣り針に付けた餌の虫のように
時代遅れの本の中の騎士のように
あなたのためにすべてのリボンをとっておいたのだ
もし私が不親切であったとしても
過ぎたることはなかったことにしてほしい
もし私が不忠実であったとしても
それはあなたに対しての態度ではなかったことを分かってほしい

死産の赤ん坊のように
角を持った獣のように
私は近づいて来たすべてのものを引き裂いたのだ
しかし私はこの歌にかけて誓う
私が犯したすべての過ちにかけて
あなたに対してすべてを償うということを
私は木の杖に寄りかかる浮浪者に会った
彼は言った、「そんなに多く求めてはいけない」
そして薄暗い色のドアーにもたれかかる美しい女が叫んだ
「さあもっと多く求めたらどうなの」

電線の上の一羽の鳥のように
真夜中の聖歌隊の酔っぱらいのように
私は私のやり方で自由になろうとしたのだ

ある日、レナード・コーエンが窓の外を眺めていると電話会社が電話線の設置工事を行っていて、張り終わったばかりの電話線に一羽の鳥がとまっているのが目に入って、この歌を思いついたという。
この歌は片思いに苦しむ孤独な男の心情を歌ったとされる。難解で訳の分からぬ比喩や隠喩の言葉が並ぶ。何をしても振り向いてもらえない痛々しさや悲しさが滲み出ているようだ。過ぎたることは忘れてくれないかと水に流すことを望んでも、覆水盆に返らずといったところか。浮浪者と美人は抑制と誘惑という心に起きた葛藤の喩えであろう。
しかし、この歌は決して恋愛事情だけを歌ったものととらえきれない。例えば、たいていの人は何らかの組織に属している。会社や学校のみならず、ボランティア団体、趣味のサークルに至るまで。
その組織の中で尽力し、上層部に認めてもらおうと努力したものの願い叶わず冷たい仕打ちが待っていたと置き換えることも出来よう。心身が傷ついた果てに、組織や社会に縛られず自由になりたいとふと思うのも十分頷けることだ。
2009年にリリースされた『Live In London』にはオークランドの公演を観られた三浦久先生の解説が掲載されている。そこには遅れて会場にやって来たインド人の若いカップルが、この「Bird On The Wire」を聴きのがし残念そうにしていたことや二人が学生時代にこの歌を聴いてコーエンのファンになったという内容のエピソードが記されていた。様々な解釈が成り立つが、自分なりのやり方で自由な解釈を巡らすのが良いのかもしれない。

1972年のライヴ・パフォーマンス。


歌声に深みが増した2009年発表の『Live In London』からの映像。


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(2009/06/24)
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ジュディ・コリンズのライヴ映像。彼女は1968年発表の『Who Knows Where the Time Goes』で取り上げていた。


ジョニー・キャッシュのライヴ映像。彼のカヴァー・ヴァージョンは1994年発表の『American Recordings』に収録されていた。


ネヴィル・ブラザーズのカヴァー・ヴァージョン。1990年発表のアルバム『Brother's Keeper』に収録されている。ゴールディー・ホーン、メル・ギブソン、デヴィッド・キャラダインらが出演した映画『Bird On The Wire』(1990年公開)のテーマ曲としても使われた。


この他にもジョー・コッカー、ティム・ハーディン、ジェニファー・ウォーンズ、リタ・クーリッジ、サンディ・デニー(フェアポート・コンヴェンション)、ウィリー・ネルソン、K.D.ラングなど多くのアーティストによる秀逸なカヴァー・ヴァージョンがある。いつものような詳細は列記しない。追いかけることにつかれてしまったから。

Leonard Cohen - Suzanne

今回はレナード・コーエン。彼が1967年に発表した『Songs Of Leonard Cohen』から「Suzanne」を取り上げる。

Songs of Leonard CohenSongs of Leonard Cohen
(2007/04/24)
Leonard Cohen

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1. Suzanne
2. Master Song
3. Winter Lady
4. Stranger Song
5. Sisters of Mercy
6. So Long, Marianne
7. Hey, That's No Way to Say Goodbye
8. Stories of the Street
9. Teachers
10. One of Us Cannot Be Wrong
11. Store Room [#][*]
12. Blessed Is the Memory [#][*]



SUZANNE
Suzanne takes you down to her place near the river
You can hear the boats go by
You can spend the night beside her
And you know that she's half crazy
But that's why you want to be there
And she feeds you tea and oranges
That come all the way from China
And just when you mean to tell her
That you have no love to give her
Then she gets you on her wavelength
And she lets the river answer
That you've always been her lover
And you want to travel with her
And you want to travel blind
And you know that she will trust you
For you've touched her perfect body with your mind.

And Jesus was a sailor
When he walked upon the water
And he spent a long time watching
From his lonely wooden tower
And when he knew for certain
Only drowning men could see him
He said "All men will be sailors then
Until the sea shall free them"
But he himself was broken
Long before the sky would open
Forsaken, almost human
He sank beneath your wisdom like a stone
And you want to travel with him
And you want to travel blind
And you think maybe you'll trust him
For he's touched your perfect body with his mind.

Now Suzanne takes your hand
And she leads you to the river
She is wearing rags and feathers
From Salvation Army counters
And the sun pours down like honey
On our lady of the harbour
And she shows you where to look
Among the garbage and the flowers
There are heroes in the seaweed
There are children in the morning
They are leaning out for love
And they will lean that way forever
While Suzanne holds the mirror
And you want to travel with her
And you want to travel blind
And you know that you can trust her
For she's touched your perfect body with her mind.

スザンヌは君を連れて行く 川のほとりの小さな彼女の家に
小舟が行き交う音が聞こえる
彼女の傍らで夜を過ごせる
君は知っている 彼女が半分気がふれていることを
でもそうだから君はそこにいたいのだ
彼女は遥か中国からやって来た紅茶とオレンジを
君にご馳走してくれる
君が彼女に与える愛はないと告げようまさにその時
彼女は君を彼女の波長に合わせ
川に答えさせる
だいぶ長い間 君は彼女の恋人だった
君は彼女と旅行がしたい
行き当たりばったりの旅をしたい
彼女が君を信じていることを分かっているのだ
彼女の完璧な身体に君の心が触れたのだから

イエスは船乗り
彼が水面を歩いた時
彼は孤独な木の塔から眺めながら
多くの時間を過ごした。
そして溺れるものだけが
自分を見ることが出来ると確信した時
彼は言った「海が彼らを解放するまで
全ての人間は船乗りである」と
しかしイエス自身は
空が割れるずっと前に崩れ落ち
見捨てられ、ほとんど人間のように
石のような人間の知恵の下に沈んだ
君は彼女と旅行がしたい
行き当たりばったりの旅がしたい
彼女が君を信じていることを分かっているのだ
彼女の完璧な身体に君の心が触れたのだから

スザンヌは手を取り君を川のほとりに連れて行く
彼女は救世軍の店で買ったぼろ服や羽を身につけている
太陽が蜂蜜のように降り注いでいる
港の貴婦人の上に
彼女は教えてくれる
ゴミと花のどこから見れば良いのかを
海藻の中にヒーローがいて
朝の光の中に子供たちがいる
人々は愛を得ようと身を傾けている
いつまでもそんな風に身を傾けているのだ
スザンヌが人々に鏡を向けている間
君は彼女と旅行がしたい
行き当たりばったりの旅がしたい
彼女が君を信じていることを分かっているのだ
彼女の完璧な身体に君の心が触れたのだから

デヴュー・アルバムであるこの『Songs Of Leonard Cohen』がリリースされた時、彼は33歳。既に詩人、小説家として活動していた。若くして世に出るアーティストに比べると積まれた人生経験が重い。紡ぎ出される音楽もポップ・ミュージックとは一線を画し、どこにも誰にもない独特の雰囲気を醸し出していた。
レナード・コーエンの歌は芸術と宗教とエロスがひとつに溶け合う。この「Suzanne」という歌では風変わりな女性に恋する男の姿に神話的な情景を挟み込み、はかなくしみじみとした哀愁が漂っていた。何か異空間の佇まいさえ窺える。
なお、この歌は友人である彫刻家の妻をモデルにしたと言われている。彼女は実際にカナダのモントリオールを流れるセントローレンス川の近くに住んでいたらしいとのことだ。

And Jesus was a sailor
When he walked upon the water
And he spent a long time watching
From his lonely wooden tower
And when he knew for certain
Only drowning men could see him
He said "All men will be sailors then
Until the sea shall free them"

イエスは船乗り
彼が水面を歩いた時
彼は孤独な木の塔から眺めながら
多くの時間を過ごした。
そして溺れるものだけが
自分を見ることが出来ると確信した時
彼は言った「海が彼らを解放するまで
全ての人間は船乗りである」と

この部分はマルコの福音書第6章49節をもとにしていると思われる。ジャクソン・ブラウンの「The Rebel Jesus」もここからの記述を参考にされたことが窺える一節があった。ジャクソン・ブラウンはボブ・ディランよりも、むしろレナード・コーエンに強く影響を受けているのかもしれない。

レナード・コーエンの『Live In London』が好評のようだ。そこからのライヴ・ヴァージョンも見ていただけると幸いに思う。


レナード・コーエンに抱かれてもいいという男性がいるそうだ。私には全くそんな趣味はないが、コーエンの歌には魅入られるほどの魔力がある。耽美的でもあるコーエンの世界に一度でも引き込まれたら這い出せそうにない。このライブ盤にはそんなコーエンの世界が如実に表されている。

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レナード・コーエン本人も2009年にワイト島でのライヴ盤をリリースしたが、これは1996年にリリースされた『Live At The Isle Of Wight Festival 1970』からの映像のようだ。


ジュディ・コリンズとの共演映像。


ジュディ・コリンズは1966年発表の『In My Life』にてレナード・コーエン本人に先駆けて「Suzanne」を取り上げていた。この映像は近年のもののようだが、ピアノの弾き語りで歌われている。また、2004年には「Suzanne」を含むレナード・コーエンのカヴァー集「DEMOCRACY」をリリースしていた。


ジェームズ・テイラーも『Covers』(2008年発表)で取り上げていた。ブログへの貼付けが出来ないので、下記のアドレスをクリックしてご覧いただきたい。
http://www.youtube.com/watch?v=yQeRFGeSyIo

少々ハリー・ニルソンの「Everybody's Talking」を連想させるニール・ダイアモンドのヴァージョン。コーエンのオリジナルとは違い、明るく爽やかな雰囲気がする。1971年リリースの『Stones』に収録。


少しユーモラスなピアノのイントロで始まるニーナ・シモンのヴァージョンは1969年発表の『To Love Somebody』に収録。躍動感のあるアレンジが興味深い。


フェアポート・コンヴェンションのヴァージョンは1987年リリースの『Heyday』に収録。サンディ・デニーが在籍していた1968~1969年頃のデモ録音を集めたアルバムだ。アメリカン・ロックを意識しながらもどことなく翳りと気品を覚える。イアン・マシューズとサンディ・デニーがリード・ヴォーカルを分け合っていた。


この他にもナンシー・ウィルソンが『Can't Take My Eyes Off You』 (1970年発表) で、ジョーン・バエズが『Carry It On 』(1971年発表)で、ロバータ・フラックが『Killing Me Softly』(1973年発表)で取り上げており、カヴァー・ヴァージョンは枚挙に暇がない。また、ピーター・ゲイブリエルはレナード・コーエンのトリビュート・アルバム『Tower Of Song』に参加し、この曲を歌っていた。

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