好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Van Dyke Parks - Discover America

今回の記事は前回エッソ・トリニダード・スティール・バンドを取り上げた際に言及したヴァン・ダイク・パークスの『Discover America』です。
ヴァン・ダイク・パークスは1943年1月3日にミシシッピ州のハティスバーグで生まれ、ルイジアナ州のレイクチャールズで育ちました。父親がトランぺッターだったことから幼き頃より様々な音楽に接していたようですが、子役の経験もあり、グレース・ケリー主演の映画『The Swan(白鳥)』(1956)に出演しています。
パークスは大学では音楽を専攻し、ピアノを学びました。しかし、やがて大学をドロップアウトしてロサンゼルスへ向かい、兄とグリーンウッド・カウンティ・シンガーズというバンドを組みミュージシャンとしての第一歩を踏み出します。このバンドは数枚のアルバムを発表しましたが、パークスはさらにソロとしてもデビュー。1964年にMGMから「Come To The Sunshine」というシングル盤をリリースしました。この曲はハーパース・ビザールが『Feelin' groovy』(1967)でカヴァーしています。
この頃には女優のドリス・デイの息子で、ザ・バーズのプロデューサーとして名を上げるテリー・メルチャーと知り合い、キー・ボード・プレイヤーとして数々のレコーディングに参加して行くことになりました。ザ・ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』(1966)、ザ・バーズの『Fifth Dimension』などでキー・ボードを弾いているのはヴァン・ダイク・パークスです。
レコーディング・セッションを通じてビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと意気投合したヴァン・ダイク・パークスは、次回作に予定されていた『Smile』で彼と楽曲を共作しアレンジをも引き受けました。しかし、このアルバムは諸般の事情で発売中止。録音した楽曲の幾つかはその後のビーチ・ボーイズのアルバムに収録されています。
人間万事塞翁が馬。ブライアン・ウィルソンとの蜜月は長く続かなかったものの、ワーナー・ブラザーズのプロデューサーであるレニー・ワロンカーに見初められ、ヴァン・ダイク・パークスはアレンジャーとして迎えられました。そこで初めて担当したのが前出のハーパース・ビザールの『Feelin Groovy』です。さらにはプロデュースも任されるようになり、ワーナーではRandy Newmanの『Randy Newman』(1968)、やRy Cooderの『Ry Cooder』(1971)など多数のアルバムを残しました。
1968年にはソロ・アルバムも制作。ファースト・アルバムである『SONG CYCLE』はラグタイム、ニューオーリンズ・ジャズ、ハリウッド音楽などの伝統的な音楽を現在のポピュラー・ミュージックと結びつけ、また、オーケストラを多用し、SE処理を各所に施した斬新な仕上がりが特徴として窺えます。自らの人生の集大成でもあり、その後の彼の音楽スタイルを確立したアルバムと言えるでしょう。しかし、このアルバムは評論家の間で好評を博しましたが、セールス面では芳しい成果をあげることが出来ませんでした。
それから4年後の1972年、ヴァン・ダイク・パークスはエッソ・トリニダード・スティール・バンドのアルバムをプロデュースしたことから幼き頃の郷愁が蘇ったのか、自らカリプソ音楽のアルバム『Discover America』を制作します。でも、そこはヴァン・ダイク・パークスのこと、ただ単にカリプソの楽曲をカヴァーするのではなく、オーケストラを配して大胆なアレンジを施すなど彼一流の世界が繰り広げられていました。
白人による黒人支配が続いたトリニダード・トバゴではカリプソの歌詞の中に風刺や批評が込められています。賛辞であっても決して額面通りには受け取れません。こうしたスタイルを使ったのは、当時泥沼化していたヴェトナム戦争に対してのヴァン・ダイク・パークスの強烈なアイロニーであり、彼なりの異議申し立てや意思表示だったのでしょう。また、西へ向かって開拓したピューリタンの視点ではなく、南アメリカからの影響を示そうとしたことも注目されます。
カリプソの名曲で占められたアルバムですが、リトル・フィートのカヴァー「Sailin' Shoes」(オリジナルは1972年発表の『Sailin' Shoes』に収録)、ニュー・オリンズの巨匠アラン・トゥーサン作の「Occapella」、「Riverboat」が収録されています。このアルバムにはリトル・フィートからローウェル・ジョージ(ギター)、ロイ・エストラーダ(ベース)、リッチー・ヘイワード(ドラムス)の3人が参加していますが、彼らにしてみればカリプソの楽曲よりもアラン・トゥーサンの作品のほうに興味が惹かれたかもしれません。
また、ジャケットに描かれた2台のバスの右側はハリウッド行き、左側はトリニダード行きになっています。ご丁寧にも右側のバスのボディにはワーナー・ブラザーズの社名ロゴまで書かれていました。トリニダード・トバゴからニュー・オリンズを経てハリウッドに至り、また同じ道を辿るといったアルバムの流れを示唆しているようにも受け止められます。
ヴァン・ダイク・パークスなりの視点でアメリカの歴史をひもとこうとした音楽の旅、歌詞に含まれたメッセージ、それがこの『Discover America』というアルバムのコンセプトなのでしょう。
ディスカヴァー・アメリカ<紙ジャケットCD>ディスカヴァー・アメリカ<紙ジャケットCD>
(2007/12/26)
ヴァン・ダイク・パークス

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1. Jack Palance
2. Introduction
3. Bing Crosby
4. Steelband Music
5. The Four Mills Brothers
6. Be Careful
7. John Jones
8. FDR In Trinidad
9. Sweet Trinidad
10. Occapella
11. Sailin' Shoes
12. Riverboat
13. Ode To Tobago
14. Your Own Comes First
15. G-Man Hoover
16. Stars & Stripes Forever

ヴァン・ダイク・パークス自身によるライナーにも書かれておりますが、このアルバムはカリプソの作曲家たちに正当な報酬を与えるという目的を持っていました。トリニダード・トバゴの作曲家たちはアメリカで音楽出版登録をしていないので、アメリカのラジオで彼らの曲が流れたり、アーティストが楽曲を取り上げたりしても報酬を得ることができません。ヴァン・ダイク・パークスはこのような状況を打開するために自ら音楽出版社を作り、このアルバムに収録されたカリプソの楽曲の著作権登録を行い、そこに入ってくる著作権収入を原曲の作曲家(故人の場合はその遺族)に分配したのです。熱烈なるグリーン・ピースの支持者として知られ、近年は反捕鯨を始めとして何かと物議を醸すことのあるヴァン・ダイク・パークスですが、このように情のある行動をする人物でもありました。もっとも捕鯨問題は文化の違いであり、アイデンティティに関わることでもあるので、今後も決してお互いが納得するような解決策を見いだすことが出来ないのかもしれません。

それではアルバムから2曲お聴きください。まず、ライ・クーダーの『Into The Purple Valley』(1972)にも収録されていた「FDR In Trinidad」。そして、エッソ・トリニダード・スティール・バンドを迎えて演奏された「Stars & Stripes Forever(星条旗よ永遠なれ)」です。しかし、「Stars & Stripes Forever」がリンク切れになったので、代わりに「Steelband Music」と「John Jones」をお聴きください。







F.D.R. IN TRINIDAD
ルーズベルトがハミングバードの島を訪れた時
歓迎の大合唱がわき起こったそうだ
「ハミングバード、ハミングバード、ハミングバード」ってな具合に
彼の来訪は島の歴史では画期的な出来事
トリニダードとアメリカの間の
確実に新しい時代を作る出来事だ

かの大統領はコーデル・ハル国務長官を従えて
平和会議に出席するため
ブラジルとアルゼンチンをまわって来られたってわけだ

そのさりげないスタイルに印象づけられ
名高きルーズベルト・スマイルで島民は魅了された
熱烈歓迎ルーズベルトと
島民すべてが喜んで彼を迎え入れた

島民は偉大な共和国の庶民的な大統領にお目にかかる特権を与えられた
魅力的で暖かい人柄と洗練された都会的センスを持った大統領
戦争や残虐行為を止めさせ
民主主義の安全な世界を築く
苦難にあえぐ人間のための
今世紀最大のイベントだ

スペインの港が合衆国の大統領のために門戸を開いた
トリニダード・トバゴにルーズベルトが来てくれて
島民は心底嬉しかったのだ


ヴァン・ダイク・パークスが「Sailin' Shoes」を演奏するライヴ映像がありました。マリア・マッキー(元ローン・ジャスティス)ディヴィッド・サンボーン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンらとの豪華共演です。

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コメント

このSailing Shoesの映像ははじめて見ました
参加メンバーが豪華すぎて?すごいことになってますね
またお邪魔します

col様、コメントありがとうございます。Evie Sandsの時にも訪問していただいた方ですね。今後とも宜しくお願い致します。
消滅してしまったdeezerを残したままにしており恥ずかしい限りです。スティーヴィー・レイ・ヴォーンが旅たった今、このYoutubeの映像は貴重です。

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