好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Sandy Denny - The North Star Grassman And The Ravens

ブログの開設以来ほとんどアメリカのアーティストばかり取り上げてきましたが、ザ・ビートルズ以外のイギリス人をたぶん初めてメインで記事にすることにします。もっともザ・モンキーズのディヴィ・ジョーンズはイギリス人でしたが、バンドのメンバーのひとりだったので単独でイギリス人を扱うのは初めてかと思います。
今回登場するのはサンディ・デニー。ブリティッシュ・フォーク・ロック、あるいはブリティッシュ・トラッドの歌姫と称された女性シンガーです。
サンディ・デニーは1947年1月6日にロンドンで生まれました。父方の祖母はバラッドの語り手だったとのことです。このことはサンディの音楽的基盤に大きな影響を与えていると思われます。
バラッドとは物語や寓意のある歌のことで、詩の語りや、語るような曲調が韻文で表現されます。内容は歴史物語あり、ロマンスあり、社会風刺ありと多岐にわたりますが、悲しい結末に終わるものが多いようです。バラッドには幾つかの種類がありますが、17~18世紀のイギリスやスコットランドから伝承されたものが源流となってアメリカ民謡やカントリ・ミュージックに受け継がれて行ったとされています。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」もこの体裁を取っていると言われており、トラッドのアーティストの楽曲のみならず英米のロックやポップスにはこうした伝統を踏まえたものが数多く見受けられます。

1965年頃にフォーク・クラブで歌い始めたサンディ・デニーは1967年2月にザ・ストローブスの前身であるストロベリー・ヒル・ボーイズに参加。1968年5月にはフェアポート・コンベンションに加わります。在籍時には『What We Did On Our Holidays』 (1969年発表)、『Unhalfbricking』 (1969年発表)、『Liege And Lief』 (1969年発表)と3枚のアルバムを録音しましたが、1969年11月、方向性の違いを理由に僅か18ヵ月で脱退してしまいました。
1970年、サンディは夫のトレヴァー・ルーカスらとフォザリンゲイを結成するものの『Fotheringay』 (1970発表)という1枚のアルバムを残して解散。サンディはソロ・シンガーに転じます。なお、2008年に突如フォザリンゲイ名義の『2』という2ndアルバムがリリースされ話題となりました。これは1970年に録音されていたもののバンドが解散したためにお蔵入りになっていたアルバムです。
フォザリンゲイというバンド名はエリザベス女王の暗殺を企てた疑いでフォザリンゲイ城に幽閉された後に処刑された悲劇のスコットランド女王メアリー・ステュアートに因んだものとされています。
ソロとなったサンディは『The North Star Grassman And The Ravens』、 (1971年)『Sandy』 (1972年)、『Like An Old Fashioned Waltz』 (1974年)と3枚のアルバムを順調にリリース。1973年から1974年にはフェアポート・コンベンションの世界ツアーに同行し、東京でも公演が行われました。こうして一時的にフェアポートに復帰しましたが、プロデューザーと意見が合わず『Rising For The Moon』 (1975年)発表後に再びグループを離れます。
ソロ活動に戻ったサンディは1977年に『Rendezvous』を発表しますが、翌1978年4月17日に階段を踏み外し転落、4日後の4月21日に31歳でこの世を去りました。

今回は1971年にリリースされたサンディ・デニーの1st『The North Star Grassman And The Ravens(海と私のねじれたキャンドル)』を紹介します。全体的に物憂げな雰囲気が漂いながらも彼女のオリジナル曲とカヴァーとトラッドがバランスよく収められていました。プロデュースはサンディ自身とフェアポート・コンベンション時代の同僚リチャード・トンプソン、そして録音技師のジョン・ウッドの3人によるものでした。また、夫のトレヴァー・ルーカスもギターで参加しています。

まず、オープニング・ナンバーの「Late November」をお聴きください。


Late November
ワインは空になり、船は沈んでしまった
弾丸が命中し、悲しみは消えてしまった
鳥は雲になり、花嫁と経帷子
我々が南に進むほど霧は深まって行った

緑の峡谷から小川に向かい
蛇が動いても 言葉を発する者はいなかった
川の深さや私たちを動揺させる橋が
忌まわしい日を思い出させた

寺院は奇妙な生き物で溢れていた
あるものは海辺で成り行きに任せていた
あるものは見つけられたが他の多くは沈んでしまった
涙が流されたが私にはもたらされなかった

狂気の方法論、哀れみと悲しみ
狂人と賢人に神のご加護あれ
黒と白 夜の闇
目に入るのは煙突が吐き出す煙だけ

空を越えてやって来たパイロットが私を起こした
彼は水銀の海を単独飛行したのだ
背の高い褐色の人々が夢に現れた
リンの砂の上で神聖な若者が集まっている


バラッドの影響が窺える曲です。私のように感性が鈍化した人間に取っては少々難解で、何が表されているのかよく分かりません。まさか仏教的な考え方が示されているわけではないと思われますが、哀愁や諦観というよりも、何となく「諸行無常」、「もののあはれ」に通じるものを感じてしまいました。

続いてトラッド・ナンバー「Blackwaterside」。


カヴァー曲を2曲。ボブ・ディランの「Down In The Flood」(1971年発表の『Greatest Hits Vol.2』に収録)、ブレンダ・リーの「Let's Jump The Broomstick」(1961年発表)です。サンディーはディランを尊敬しており、フェアポート時代からディランのナンバーを歌っていました。ロカビリー調のブレンダ・リーのヒット曲のカヴァーはファポート時代の同僚でこのアルバムの共同プロデューサーでもあるリチャード・トンプソンが選曲したもので、アップテンポが苦手なサンディに新境地を開かせようとしたらしいとのことです。

Discover Sandy Denny!


アルバムのラスト・ナンバー「Crazy Lady Blues」のスタジオ・ライヴ映像。親友でもあるリチャード・トンプソンのことを歌ったとされています。



少々音声が乱れる箇所がありますが、「The North Star Grassman And The Ravens」、「Crazy Lady Blues」、「Late November」のスタジオ・ライヴ映像。ジョニ・ミッチェルを思わせるような雰囲気です。埋め込み無効ということなので、下記のURLをクリックしてください。
http://www.youtube.com/watch?v=0Rd_gMrmf6g

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コメント

いいところ
選びますね
完敗(乾杯)♪

素晴らしい
祝日を
お過ごしください♪

God bless you...
Azumi様、コメントありがとうございます。
早くもネタ切れで次回は何を選ぼうかと悩んでおります。
Azumi様も素晴らしい祝日をお過ごしください。
近いうちに僕も記事にしようかと思っていたのですがやられちゃいました。
しかもこの詳しいこと!
でも本当に幅広く深いところまで良くご存知ですね。
このアルバム、トラディショナルなタイプの曲もしっとりしていて素晴らしいのですが
ストーンズっぽい四曲目”ダウン・イン・ザ・フラッド”みたいな曲もあるところが
懐の深さを感じさせますね。
聴く度に新しい印象をひとつ残してくれるような気がします。
こんにちは。
Sandy在籍中のFairportは押さえて、とても気に入ってるのですが、ソロは未着手でした。
記事中の音、とても好印象です。ありがとうございます。
miracle-mule様、コメントありがとうございます。
幅広いとはとんでもない。私など一般的なことしか知りません。
おっしゃる通り、聴く度に新しい印象を残してくれるアルバムです。
サンディも夫のルーカスも、もっと長生きしてほしかったと思います。存命ならば1980年代以降の音楽シーンが少なからず変わったことでしょう。
Substitute様、コメントありがとうございます。
記事が参考になって光栄です。
フェアポート時代のサンディも素晴らしいのですが、ソロ活動ではさらに輝きが増していたように思います。ブリティッシュ・トラッドにとらわれずジャジーな感覚を取り入れたり、アメリカン・ポップスに接近した音作りをしていったことも好印象を受けました。

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