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McGuinn, Clark & Hillman - Long Long Time

 これまでロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン、ジーン・クラークのソロ・デビュー・アルバムを次々と取り上げてきましたが、今回は彼ら3人が一同に会したアルバムの登場と相成ります。その名も『McGuinn, Clark & Hillman』。実質ザ・バーズ再結成アルバムと言っても過言ではないでしょう。

Mcguinn Clark & HillmanMcguinn Clark & Hillman
(2001/01/09)
Mcguinn、Hillman 他

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 ザ・バーズはメンバーの入れ替わりが激しいバンドでした。音楽性の違い、金銭問題、素行の悪さなど理由は様々でしょう。しかし、脱退したからといって、「もう君とは絶好や。顔も見たないし、こんりんざい口もきかへんで」というわけではなく、それなりにメンバー間の関係が保たれていました。前回扱ったジーン・クラークのファースト・ソロ・アルバムにはクリス・ヒルマンとマイケル・クラークが駆けつけておりましたが、ジーンもクリスが結成したフライング・ブリトー・ブラザーズとともに「Here Tonight」という自作の曲を録音。また、1973年にアサイラム・レコードの創設者であるデヴィッド・ゲフィンの仲介によってバーズのオリジナル・メンバー5人が集結し、再結成アルバム『Byrds』(邦題『オリジナル・バーズ』)のリリースが実現しました。もっとも、それより3年も前の1970年、A&Mからリリースが予定されていたジーン・クラークのシングル制作のためにロジャー・マッギン以下オリジナル・メンバーが勢揃いし、「She's The Kind Of Girl」、翌71年には「One In A Hundred」の2曲をレコーディングしていたという事実があります。このこともオリジナル・メンバー間に良好な関係が続いていたことを窺わせる証左であると言えるでしょう。結局、この2曲はリリースされることなくお蔵入り。5人のオリジナル・メンバーが当時所属していたレコード会社が異なっていたことが見送られた原因とされていますが、1973年になってようやく前述の「Here Tonight」やソロ・アルバムを念頭にジーンが録音していた曲と合わせ、『Roadmaster』と名付けられたアルバムとして陽の目を見ることになります。

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(2013/11/13)
ジーン・クラーク

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 さて、オリジナル・メンバーによるアルバム『Byrds』のリリースから4年が経った1977年、ロジャー・マッギン、ジーン・クラーク、クリス・ヒルマンの3人に新しい展開が待ち構えていました。ロサンゼルスの老舗クラブであるトルヴァドールの20周年記念パーティに出席していたロジャー・マッギンがステージで歌っていた際、客席にいたジーン・クラークを呼び寄せ、バーズ時代の楽曲「Eight Miles High」を一緒に演奏。このセッションは好評を博し、ふたりはデュオを組んでツアーに出ることになりました。かつてロジャーとジーンが出会い、意気投合したトルヴァドール。奇しくも同じ場所からの再始動には感慨深いものがあったことでしょう。やがてクリス・ヒルマンが加わり、3人で精力的にライヴ活動を重ねて行きます。

 音楽評論家の小倉エージ先生によるインタビューでは、ロジャー・マッギン自身の口から再会の経緯が語られていました。

ーそもそもこの3人でグループを組むようになったきっかけから話してくれますか。
マッギン ごく自然にこうなったんだ。レコード会社やそのお偉いさん達に話しかけられたってことじゃなくてね。トゥルヴァドゥール(注・ロスアンジェルスにある有名なクラブ)が20周年パーティーをやった時に、ぼくはひとりでステージにたったんだ。その時客席にジーンがいて、ステージにあがって一緒に歌わないかって誘ったら歌ってくれた。それがうまくいって、その場にいた人達にもとても気に入ってもらえたんだ。その後ふたりでアクースティック・ギターを持ってツアーに出たりもしたよ。それから雪だるまがころがるように話がトントン拍子にすすんで、クリスが入ってきた。3人の演奏をレコード会社が聞いて気に入って、そしてキャピトルと契約したってわけさ。(『ニュー・ミュージック・マガジン』1979年7月号掲載)

 3人は1977年、78年とアメリカ国内のみならずイギリスやオーストラリアでもライヴを行い、バンドとしての方向性を確かめながら力を蓄え、79年に満を持してアルバム『Mcguinn, Clark & Hillman』の発表に至ります。人生の酸いも甘いも嗅ぎ分けた三者三様の個性や音楽性が表現されていますが、ぶつかり合うのではなく巧みに融合され、豊潤で悠々とした雰囲気を醸し出していました。

 それでは何曲か紹介して行きましょう。アルバムのオープニングを飾る「Long Long Time」。クリス・ヒルマンとリック・ロバーツの共作で、マナサスを彷彿させるラテン・ロック風味の曲です。ラヴ・ソングの体裁をとっていますが、まるで3人の再会を祝すかのようにも受け取れました。


LONG LONG TIME
昔と変わらぬように語りかけてくれよ
君があの頃していたみたいにね
ほとんど忘れてしまった気分さ
ずいぶんと時間が経っちまったようだな

君があの頃に言っていた話を聞かせてくれよ
あの頃の気分にさせてほしいんだ
ほとんど忘れてしまった気分さ
ずいぶんと時間が経っちまったようだな

これ以上変わらないことがあるのか
そもそも変わることなんてあるのか
俺たちが以前にこぼしたかけらを
拾い上げることが出来るのか
そんなかけらが、まだそこに残っていたらの話だが

あの頃と同じまなざし
偽ることの出来ない君の気持ち
ほとんど忘れてしまった気分さ
ずいぶんと時間が経っちまったようだな

あの頃のように振る舞ってくれよ
また君に惚れさせてほしいんだ
ほとんど忘れてしまった気分さ
ずいぶんと時間が経っちまったようだな

 ジーン・クラーク作の。「Little Mama」。こちらもラブ・ソングながら旧友との再会のメッセージが込められているような気がします。


LITTLE MAMA
リトル・ママ
やっと君は分からせてくれたね
今度こそ俺を愛しているって
Oh Oh Oh

俺たちは追いつめられていた
そして失った時間もいっぱいあったな
さて、そんなことは過ぎたことさ

みんなが噂している
でも、分かっている奴はいない
みんなが噂している
でも、誰も分かっちゃいないのさ

リトル・ママ
君は本当に俺のことを知りたいんだな
今度こそ先に進もうぜ
Oh Oh Oh

リトル・ママ
やっと君は分からせてくれたね
今度こそ俺を愛しているって
Oh Oh Oh

リトル・ママ
分からせてくれ
リトル・ママ
もっと愛してくれ
リトル・ママ
俺たちは時間を無駄にしたけど
そんなことはもう過ぎたことさ

 カリビアン風のトロピカルなアレンジが心地よく漂う「Don't You Write Her Off」。ロジャー・マッギンの作品です。


 こちらはライヴ映像です。


DON'T YOU WRITE HER OFF
ニューヨークの地平線の頂上にいた
青い海も渡った
孤島にひとりきりで過ごした
そしてグル(導師)だったこともある

そんなふうに彼女を見なすなよ
彼女は素敵な女さ わからないのか
そんなふうに彼女を見なすなよ
彼女は素敵な女さ わかるだろう

いろんな町で女と出会った
これまでに訪れたどの町でも
あの女の半分も綺麗な
それでいて純真な心を持った女などいやしない

おまえが彼女を手放すのなら
あいつが彼女を手に入れるだろうぜ
そしたらおまえは考えを改めるだろう
おまえにあんないい女はもうみつけられない
恋は盲目だってことを知らなきゃなぁ

 このアルバムが発表された当初、ハーモニーやコーラスはバーズならではのものでもサウンドがややポップになりすぎた嫌いがあるとの声がありました。けれどもロック・ミュージックが巨大な産業として発展する過程でパンク・ロックが台頭し、ディスコ・サウンドが席巻した1970年代末、ヴェテランの域に達した彼らには爽やかなウエスト・コースト・サウンドの良さを残しながらも洗練された音作りが求められたのです。時代に対応した姿勢を見せながらも滲み出る独自色と新鮮味。1964年に同年代のザ・ビートルズに刺激を受けたロジャー・マッギンとジーン・クラークがトルヴァドールで出逢い、後にザ・バーズと名乗ることになるバンドを結成する決意をしてから15年。離合集散があったもののまたぞろ手を組み、各自が音楽的に成長した姿を示した様は決して同窓会的な印象はなく、音楽環境の変化の中で作り出された新しい第一歩と言えるでしょう。

 蛇足ながら私は1979年5月に行われたマッギン、クラーク&ヒルマンの日本公演に行き、ステージで演奏する彼らの姿をこの目で見ました。ジーン・クラークが故人となってしまった今、とても貴重な体験だったと思う次第です。

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コメント

Backstreets様 こんばんは

最近、当ブログを訪問して頂いてありがとうございます。

すごい丁寧な記事ですね。自分は英語が苦手なので、ごくたまにしかやらない和訳まで毎回載せてあるのを見て、感服です。

バーズは各メンバーのソロもちょこちょこ聴いたのですが、これは知りませんでした。確執とは無縁のほのぼのとした雰囲気で、バーズとは違う甘い音楽。いいですね。
GAOHEWGII様、訪問していただき誠にありがとうございます。
ザ・バーズのオリジナル・メンバーだった3人が集まり、敢えてマッギン、クラーク&ヒルマンと名乗ったことで、民主制を重んじたバンド運営が窺えます。しかし、こんな仲良しムードも長続きせず、セカンド・アルバムではジーン・クラークの参加度が減少。実質的な脱退が読み取れました。
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
このバンド、大好きでした。
その一曲目を飾る「LONG LONG TIME」もまた大好きな曲でした。
メンバー3人とも大好きな人達です。

ポップではありますが、当時のウエスト・コースト・サウンドをしっかりと継承していたサウンドでした。

非常に懐かしく、若かりし頃の思い出の一曲です。
takaboh様、訪問していただき誠にありがとうございます。
音楽的にも人間的にも成長した3人が、ウエスト・コースト・サウンドの特徴を保持しながらコンテンポラリーな方向を目指した結果がよく表された1枚といったところでしょうか。
いま聴いても爽快感を覚え、多感だったあの頃が目の前に甦りそうなアルバムです。

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