好きな音楽のことについて語りたいと思います。

Gene Clark - The French Girl

 今回も前回に引き続き、『Gene Clark with Gosdin Brothers』を取り上げます。

ジーン・クラーク・ウィズ・ザ・ゴスディン・ブラザーズ(紙ジャケット仕様)ジーン・クラーク・ウィズ・ザ・ゴスディン・ブラザーズ(紙ジャケット仕様)
(2014/02/05)
ジーン・クラーク・ウィズ・ザ・ゴスディン・ブラザーズ

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 ボブ・ディランを意識しているのか、難解な比喩と揶揄が込められた「So You Say You Lost Your Baby」。他人への忠告めいた体裁をとっていますが、自分への戒めが表されているのかもしれません。


SO YOU SAY YOU LOST YOUR BABY
おまえは歯の浮くような台詞を並べ立てている
逃げて行くあの女を捕まえろよ
おまえは「簡単に行くことは何もない」と言うが
おまえのいるところなんてベニヤ板みたいなもんさ
そして竹馬の内側に立って
判決の幕開きを見物しようっていうんだな
それでおまえは言う、大切な女を失ってしまったと
おまえはひとりぼっちだって分かっているのか
試練が風景の向こう側のここからあそこへと
動き回るのを見ようと立ったままでいる
悩み事なんか月の妖精のところへ投げちまえ
荒々しい夢のように覆い隠そうとして
無関心を装えよ
そんな争いに巻き込まれると思ったなら
愛しのあの女を失ったと泣きごとを言うがよい
それがおまえの人生なんだろうな

月曜日になるといつも、おまえは軍旗を翻す
人をじらせて落とし込める
巡礼者たちについてたずね
彼らにやってしまったことは仕方ないと誓わせる時
丘の上の礼拝堂を要求する
そこでおまえは暮れ行く太陽を見つけるだろう
おまえは愛しの女を失ったと言う
おまえは孤独だって分かっているのか

 こちらはボーナス・トラックとして収録されたアコースティック・ヴァージョン。


 これも失恋の歌「The Same One」。どこでボタンを掛け違ったのか、彼女の心は戻りません。未練を断ち切り、思いを新たにすることはそんなに容易なことではないでしょう。辛いですね。


THE SAME ONE
君の窓の側を横切った
俺に気がついてくれるかもしれないと思って
俺たちの仲が変わっちまったのは分かってるが
こんな風になるはずだったのかい
昨日ふたりで計画したことは
打ち明けなければならなかった本音だったよな

憶えてるよ夕べのこと
君は本当に俺を気にかけてくれているようだった
でも今日の君は違う人
別の顔を用意していたみたいだな
ふたりで夢見た魔法のような数々の不思議は
ふたりが語ったはずの言葉とともに消えてしまった

君の名前を呼んでみても
たぶん君には俺のことが分からないだろう
本当に同じ人なんだろうか
俺にいろんな願いを示してくれた君なのか
俺はもう何を信じて良いのか分からない
でも立ち直らなきゃなあ
そしてここを出て行こう

 軽快な曲調の「Needing Someone」。彼女が自分のもとへ寄って来たとしても、結局は別れる運命を想定しておかなければならないのは悲しいことです。


NEEDING SOMEONE
頼れる誰かが必要だと君は言う
俺も頼れる誰かが必要なんだ
だから安心しなよ
俺をあてにしてくれたらいい
君の願いは何でも聞いてあげるから

もっと早くに伝えるべきだった
でも今度は君に以前よりずっと心が通じそうだ
本当にずっと

君は決心する方法が必要だと言う
俺にはどちらに進めば良いのかを
見つけることが必要なのさ
君が俺と付き合えると思えるなら
その時たぶんふたりは俺が懐かしがっている
あの頃に戻ろうと時計のねじを巻くだろう

ふたりが出来ることはたくさんあるよね
ふたりの関係が終わる前に必要なものは
何でも手に入れることが出来るだろう
俺には分かってるのさ、そうなることが

 アルバム『Echoes』が不発に終わったもののCBSは起死回生のためのシングル発売を画策しました。A面をジーン・クラーク自作の「Only Colombe」、B面をイアン&シルヴィア作品のカヴァー「The French Girl」に決定し、レコーディングするも敢えなくお蔵入り。ジーンの死後に追悼盤として1991年5月に発売された企画盤『Echoes』にてようやく陽の目を見ました。
 妖艶な魅力を持った女に手玉にされる様子が描かれた「The French Girl」。一夜限りの戯れは虚無感だけが漂いそうです。


FRENCH GIRL
華奢な手に3個の銀の指輪
日曜の朝早く
ロウソクの明かりの中で輝く閃光
あの雨の朝、ふたりは部屋を見つけた
曲がりくねった道を彼女は俺の手を取り
家に連れて行ってくれた
その後目が覚めると
赤ワインがあり
暖かいこの隠れ家の中で
彼女は微笑みながら髪をといていた

俺が名前をたずねるたびに彼女は笑った
再会を約束したが
フレンチ・カフェに居合わせた彼女の友人たちは
俺と話せる英語の言葉をひと言も知らなかった

だから君も国境線を越えたところで出会うかもしれない
銀の指輪をはめた娘、俺は彼女の名前を知らない
君の手に負えない、一筋縄でいかない女だぜ
ある雨の朝、彼女が去って君は置き去り
君は以前の君に戻れない

 こちらはイアン&シルヴィアのヴァージョンです。1966年リリースの『Play One More』に収録。


 ジーン・クラークの持つ雰囲気は、昔で言うところのやさ男といったところでしょうか。甘いマスク、スリムな体型、朴訥で哀愁を帯びた歌声からもそんなイメージが受け取れます。また、ザ・バーズを最も早く脱退し、ソロに転向するも鳴かず飛ばず。その後、ディラード&クラークで一定の成功を得たり、ロジャー・マッギンやクリス・ヒルマンと組み、実質バーズ再結成とも言えるマッギン、クラーク&ヒルマンでの活動で再び脚光を得るも長続きせずに訣別。そんなジーンの行動からは孤独といった印象も窺えました。
 ジーン・クラークが書いた失恋の歌は本人の経験によるものと推察されます。失恋の経験によって人は成長して行くものでしょう。さらに彼の失恋の歌には過去の栄光を失った空しさ、才能を評価されない不満、円滑な人間関係を築けない孤独感などが反映されているとも解釈できます。
 1989年、ジーンの「Feel a Whole Lot Better」をカヴァーを収録したしトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのアルバム『Full Moon Fever』が、全米3位、ノルウェーでは20週に渡りトップ20(最高位は2位)にランクされる大ヒットとなりました。当然ながらジーンのもとへも莫大な印税がもたらされることに。しかし、ジーンは酒とドラッグに溺れた生活を送り、せっかくの富を浪費してしまったのです。色男、金と力はなかりけりといったところなのでしょうか。
 ジーン・クラークという人は感情の起伏が激しく、周囲にいてほしくないタイプの人間なのかもしれません。しかし、破天荒な生き方、精神面のもろさ、そうしたマイナス要素も含めた人生の機微が彼の書いた失恋の歌に託されていると読み取れました。

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