好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jackson Browne - Off Of Wonderland

 前回で取り上げたダニー・オキーフの記事の中で、ジャクソン・ブラウンについても触れました。そこで、今回は彼に登場していただくことにしました。お題は「Off Of Wonderland」。2008年にリリースされたアルバム、『Time The Conqueror』に収録されていた曲です。

Time the Conqueror (Dig)Time the Conqueror (Dig)
(2008/10/04)
Jackson Browne

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OFF OF WONDERLAND
俺にとっては気楽なことだった
自分の木に高く登り
理想郷で平穏に暮らし
無名のバンドと衣食住をともにし
そこでエヴリマンを待つことが 

風の中に変化の兆しがあった
いたるところで愛が溢れていた
理想郷で平穏に暮らし
禁じられたものに少しばかり手を出し
計画の無い人世を見つめる

俺たちは愛を信じていたのではなかったのか?
与えることを信じていたのではなかったのか?
自分たちの道を見つけるために
愛とともに進むべきではなかったのか?
ロバート・フランシス・ケネディやマーティン・ルーサー・キングが
暗殺された後に

今の時代に感じることが出来るか?
理想郷に向かって
今なお、愛が近づいて来ていると
その世界は広げられたおまえの手の中にある
再びおまえの思うがままになるのだ

俺たちは愛を信じていたのではなかったのか?
愛が持続すると信じていたのではなかったのか?
お互いが信じ合えば
十分に受け入れることが出来ただろうに
俺たちがジョンを信じたのと同じくらい

ロバート・フランシス・ケネディ(1925年11月20日 - 1968年6月6日)
 第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの実弟。司法長官、上院議員を歴任した。貧困の撲滅、黒人問題、人種問題に取り組む。マーティン・ルサー・キング牧師とも親交が深い。1968年、大統領選への出馬を表明し、6月のカリフォルニアでの予備選を勝ち抜いた直後、エルサレム出身のパレスチナ系アメリカ人の凶弾により命を失う。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929年1月15日 - 1968年4月4日)
 キング牧師の名で知られるアメリカの黒人解放運動、公民権運動の指導者。その功績により、1964年度のノーベル平和賞を授賞。
 人種差別撤廃を掲げ、白人と同等の法的権利を黒人にも認めてもらうために公民獲得のために尽力したが、彼のとった手段はインド独立の父であるマハトマ・ガンディーの著書に学んだ、「非暴力主義」だった。しかし、1964年に公民権法が制定されたにもかかわらず、差別意識は改善されていないとして黒人解放運動は激化し、暴力的なものに変質。キング牧師の「非暴力主義」は時代遅れとなった。
 その後、キング牧師はヴェトナム反戦運動に関与し、精力的な活動を続けたが、1968年4月4日、集会の打ち合わせ中に白人暴徒に撃たれて絶命した。

 この歌には愛と平和を求めた1960年代の理想主義が描かれていました。禁じられたものとはドラッグ体験、エヴリマンを待つとは雑多な人々との出会いを示していると思われます。こうした「若き日々への回想」はジャクソン・ブラウンが抱える永遠のテーマといえるでしょう。しかし、たんなる懐古趣味に終始するのではなく、彼と同世代の人々はもとより、現代の若者を始め同時代に生きるすべての人々へ向かっての問題提起といった側面も受け取れました。
 ジャクソン・ブラウンが掲げる理想郷とは自然と平和を愛し、人間として自由に生きるスタイルを提唱したカウンター・カルチャーの幻想に溢れた世界に相違ないでしょう。それはジョン・レノンが、「Imagine」の中で訴えかけた、国家、宗教、所有欲が原因で起こる対立や憎悪は無意味であるとの考え方と共通するところであります。
また、凶弾に倒れたロバート・ケネディとキング牧師の死を乗り越え、彼らが取り組んでいた人種差別や格差の解消といった遺志を引き継ぐ姿勢こそ、愛と平和の理想郷に向かって実践し、行動を起こすことだと言いたかったのでしょう。

 今もぶれることなく愛と平和を語りかけるジャクソン・ブラウンの歌に拍手を送りたい一方で、世界の現状を鑑みると極論ではありますが、日本は唯一の被爆国でありながらも核を所有することも選択肢のひとつと考えなければならないのでは、とふと思うことがあります。長崎市長が「平和宣言」と呼ばれる声明を出し、核廃絶を訴えても、核保有国が手放さない以上、核兵器がなくなるわけがありません。隣国は核を持ち、日本に向けてミサイルの照準を合わせています。もちろん国家間は安易に戦争状態に陥りませんが、テロリストには長崎市長の声明もジョン・レノンのメッセージも通用しません。いや、テロリストでなくとも長崎市長やジョンのメッセージなど鼻で笑う人々のほうが多いのが世界の現実です。お互いを信じ合うことは大切ですが、人間にプライドとアイデンティティがある限り、相容れない矛盾や疑問が生じるでしょう。他者との違いを認め合うことは大事なことですが、決して安易に妥協したり、迎合したり、追従することは禁物だと思います。
 さらに長崎市長は声明の中で、オバマ大統領が2009年4月にプラハで述べた「核なき世界」の演説を引用していました。しかし、オバマ大統領は同時に「他国が核を捨てない限り、米国は核を捨てない」との趣旨の宣言をしており、また、テロリストが核兵器、核物質を入手できないようにするための措置についても言及しています。長崎市長がオバマ大統領の演説を引用されるのは自由ですが、都合の良い解釈をすると真意が読み取れず、誤ったメッセージが一人歩きを始めてしまうでしょう。

 2010年のグラストンベリー・フェスティバルにおけるライヴ・パフォーマンス。ギターはマーク・ゴールデンバーグ、ベースはケヴィン・マコーミックが担当しているようです。


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コメント

いつも素晴らしい訳詩や解説をありがとうございます。m(_ _)m

ジャクソン・ブラウンなどウエスト・コースト系のアーティストをたくさん取り上げて下さっていて、興味深く拝見しております。

核についてもおっしゃるとおりだと思います。



takaboh様、ご無沙汰しております。
日本を取り巻く世界情勢を楽観視できないもので、少々過激な物言いになってしまいました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

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