好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jennifer Wanes - Jennifer

 アレルギー性鼻炎から風邪に転じ、一進一退を繰り返しています。なかなかすっきりしない毎日ですが、こんな時は女性ヴォーカルを耳にして癒されるのが最善策なのかもしれません。
 そこで今回ご登場を願うのはジェニファー・ウォーンズ。クセのない暖かみのある歌声が心地よく、多くのリスナーの支持を得る所以となっているのでしょう。


ジェニファージェニファー
(2013/04/10)
ジェニファー・ウォーンズ

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 ジェニファー・ウォーンズは1947年3月3日、ワシントン州シアトルに生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のオレンジ・カウンティのアナハイムで育ちました。ハイスクール卒業後、地元のコーヒーハウスで歌い始め、ジャクソン・ブラウン、ホイト・アクストン、ティム・バックリーらとシーンの中で篠木を削っていました。1967年、コメディアンのパット・ポールセンの目に留まり、テレビのヴァラエティ番組『Smothers Brothers Comedy Hour』のレギュラーに抜擢。番組で多くのアーティストと共演するチャンスに恵まれる中、放送作家の口利きでパロット・レコードとの契約に至ります。
 1968年、ファースト・アルバム『I Can Remember Everything』を発表。同年、ロック・ミュージカル『Hair』のロサンゼルス公演でシェイラ役に抜擢。翌69年、劇中で歌った「Let The Sunshine」 、「Easy To Be Hard」を収録したセカンド・アルバム、『See Me, Feel Me, Touch Me, Hear Me』をリリースするなど順風漫歩な活動を続けます。しかし、アルバムのセールスは芳しくなく、心機一転とばかりリプリーズへ移籍し、1972年に本作『Jennifer』を発表することになりました。

 アルバムのオープニングを飾るのはバリー・ギブ(ザ・ビージーズ)作の「In The Morning」。ザ・ビージーズが1966年にレコーディングするもお蔵入りし、映画『Melody(邦題:小さな恋のメロディ)』のサントラのために再録音されて世に出た曲です。なお、66年のヴァージョンは70年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Inception / Nostalgia』に収録されて陽の目をみました。「人生はあせらずに」という教訓めいた歌詞が印象的であり、「大人からの独立」をテーマとした映画のイメージにも似つかわしい1曲です。



IN THE MORNING

月が眠りにつく頃
あなたに会える
それは私が一番好きな時間
朝の光にゆらめく虹を眺め
水たまりには寒い夜に張った氷

それは人生の目覚めの時

昼下がり
今日もあなたと会える
波で砂が流される中で城を作りながら
海底で待っている私に気がつくわ
誰にも理解できない世界ね

それは人生の目覚めの時
それは人生の始まりの時

私の人生の朝は
ゆっくりと時間をかけて流れて行く
あなたはどうか急がずにいてね
人生は始まったばかりなのだから
すぐに年を重ねてしまうものよ

夜が訪れると
あなたと月まで飛んで行きましょう
私の部屋の天井の右側の隅へ
そこへやがて陽光が差すまで留まりましょう
物干竿の上でスウィングする新しい一日
あくびをしてもよいのでしょうか

それは人生の目覚めの時
それは私の人生の始まりの時
 
 ビージーズのヴァージョンはライブ映像でお楽しみください。3兄弟が揃った1990年代のツアー「One Night Only Tour」の模様を収めたライヴDVDからの映像のようです。



 ジミー・ウェッブ作の「P.F.スローン」。この歌のモデルとなったP.F.スローンは1960年代にサーフィン/ホットロッド、フォーク・ロックのソング・ライターとして活躍した人。ジャン&ディーンの「Summer Means Fun(青春の渚)」、全米1位となったバリー・マクガイアの「Eve Of Destruction(明日なき世界)」、ジョニー・リヴァースの「Secret Agent Man(秘密諜報員)」などが代表曲です。自らもファンタスティック・バギーズやグラス・ルーツなどでも活動し、ソロとして1966年に発表した「From A Distance(孤独の世界)」が1969年に日本でヒットしました。1970年代になるとスローンはヒットに恵まれず、彼の名は次第に忘れ去られて行きます。ジミー・ウェッブはP.F.スローンの復活を願ってこの曲を書きましたが、スローンがシーンに本格復帰を果たすまでにはかなりの時間を要し、1994年になってようやく彼は新作を発表することが出来ました。P.F.スローンについての詳細は以前に書いた記事を参照してください。



P.F.SLOAN
P.F.スローンという人をずっと探しているの
だけど彼がどこへ行ったのか誰も知らない
若者の胸を躍らせた
彼の歌を誰も聴いたことがないのよ
人々はため息をつき、嘆いてもいいのに
痩せこけているかもしれないと
彼の身の上を心配してあげてもいいのに
でも人々はただ笑みを浮かべながら
『ローリングストーン』を読んでいた
その間も彼は歌い続けていたのに
そう、今こそ彼が歌うのを聴いてあげて

NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
この歌は今からP.F.スローンのものだから

旧友が頭を打ち抜いて亡くなった
遺体は剥製にされて詰め物が入れられて乾燥させられた
皮膚はなめされたのよ
十字架にはりつけられ
埋め込まれたガラスの目玉でじっと見つめている
この扉の向こう側を

ロンドン橋がついに完成し
古い橋は他の街へ移動させられた
人々は橋が落ちるのを見ようと集まる
でも私はもはや二度と橋が落ちるとは思わない
さあ、彼らが歌うのを聴いてごらんよ

NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
この歌は今からP.F.スローンのものだから

ニクソンが勝利してしばらく居座りそうね
彼が私の罪を取り除いてくれた
今日のニュースでそう言ってたの
おかげで耳鳴りがしてきたわ
だって私が最後にP.F.スローンを見かけたとき
彼は夏の灼熱にさらされ、
冬の木枯らしに凍えるような苦労をしながら
ひとりで窮地を脱しようとしていたのよ
その間もずっと彼は歌い続けた
そうよ、彼はずっと歌い続けたのよ

NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
NO NO NO NO...
この歌を歌わないで
この歌は今からP.F.スローンのものだから

 歌の中で旧友が自らの命を絶ち、遺体が剥製にされて十字架に掛けられたという陰惨な表現がなされています。何を象徴しているのかよく分かりませんが、イエス・キリストの復活とP.F.スローンの再起をだぶらせているのではないかというのは考え過ぎでしょうか。
 また、ロンドン橋が歌詞の中に出て来るくだりは1831年に完工した橋が1968年にアメリカの企業家に売却され、アリゾナ州のハヴァス湖に復元されたことをもとにしているのだと思われます。古い橋をP.F.スローンの姿と重ね合わせているのでしょうか。この橋は大昔から何度も崩壊したり架け替えられてきた橋ですが、「もはや二度と落ちると思わない」とスローンの復活を願う心情が込められているかのようです。
 そして、「夏の陽射しに焼け、冬の木枯らしに凍えていた」という表現は、「音楽界の辛酸を舐め、苦難に耐えた」という風な意味に受け取れました。

 ジミー・ウエッブはこの曲に対する思い入れが強いのか、はたまたP.F.スローンのことがよほど気になるのか、何度もレコーディングをしています。初出が1970年リリースの『Words And Music』、1977年の『El Mirage』で再録し、2010年発表の『Just Across The River』ではジャクソン・ブラウンをゲストに迎えて円熟味を漂わせていました。


 
 このアルバムのプロデューサーであるジョン・ケイル(元ヴェルヴェッド・アンダーグラウンド)作の「Empty Bottle」。若い女性の少々複雑な心理が描かれた曲で、「空のボトル」が恋人との空虚な関係を象徴しているのでしょう。ほのぼのとした軽快な曲調ですが、有名な現代音楽家のジョン・ケージに師事し、前衛音楽を志向したジョン・ケイルらしいノイズのような奇妙な音が効果的に盛り込まれ、「やるせない心の動き」の表現されるとともに「恋の破綻」を予感させます。
 この曲はジェニファー・ジョーンズへ提供された曲のようで、ケイル自身のスタジオ・ヴァージョンは確認出来ず、彼自身のパフォーマンスは1972年にルー・リード、ケイル、ニコといったヴェルヴェッドの元メンバーらによるライヴ・アルバム『Le Bataclan '72 』に収録されているのみのようです。



EMPTY BOTTLES
空のボトルが
並んで転がっている
飲み干された空のボトル
遥か昔に飲んだワインを思い出す

増え続ける空のボトル
ワインを次から次へと飲み干し
二人が結婚の意志を示したことは
残念ながら遠い昔のこと

夏はあなたを一日に一度はけだるくさせてしまう
この素敵な相方は巧みにあなたから逃れ
知らん振りをする
でも、困難な状況の中でもやっぱりあなたを愛している
あなたには私の気持ちが通じていないみたいだけど
私たちってあの空のボトルより惨めで
あのワインよりも愚かね

一度は失敗した私たちだけど
やり直せるかもしれない
少しずつ二人の距離を縮めて
もう一度あなたの傍らに寄り添いたいの

だからあなたを喜ばせるような
歌を歌いましょう
自分の気持ちをはっきりさせようと
決心したの
困難な状況の中でもやっぱりあなたを愛している
あなたには私の気持ちが通じていないみたいだけど
あなたを見ても私を見ても
私たちってあの空のボトルより惨めで
あのワインよりも愚かね


 ルー・リード、ジョン・ケイル&ニコによるヴァージョン。ジョン・ケイルがヴェルヴェッド・アンダーグラウンドを離れた理由はルー・リードとの確執だとされており、彼ら二人が同じステージに立つとはどういう風の吹き回しか、過去を水に流せたのかと思わせます。演奏に関してはリラックスしたような雰囲気の中に、どことなく緊張感が窺えました。



 ジャクソン・ブラウン作の「These Days」。この曲は前述のニコがアルバム『Chelsea Girl』で取り上げていました。詳細は以前の記事を参照していただけたら幸いです。
 ジャクソン・ブラウン自身もレコーディングに参加している模様で、かつての盟友へのはなむけといった風情が窺えました。



ジャクソン・ブラウンのヴァージョンです。


 この他にもジェニファー・ウォーンズ自身のペンによる、「Last Song」、ドノヴァンの「Sand And Foam」、プロコルハルムの「Magdalene(My Regal Zonophone) など多彩な内容の1枚でしたが、セールス面では振るわずアリスタへ移籍。全米6位を記録した「Right Time Of The Night」を収めた『Jennifer Warnes』、19位まで上昇した「I Know A Heartache When I See One」収録の『Shot Through The Heart』をリリースし、一躍脚光を浴びました。ようやく長年の苦労が報われたといったところです。
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コメント

そうなんですよ?何度もレーベル替わってますが、キャリアは長いですね。
今回の名盤探検隊CDの再発は、嬉しい驚きです。(^-^)
kuwa様、訪問していただき誠にありがとうございます。
ジェニファー・ウォーンズは1968年にデビューして今年で25周年。オリジナル・アルバムはたったの8枚という寡作のアーティストです。今回の再発(世界初CD化)は嬉しい限りで、これを機にアリスタ時代の作品も国内盤で再発していただきたいところです。
ご無沙汰してます(FBではお世話になってます)。
実は私も名盤探検隊CDシリーズのなかでも、本作、すごく気になってました(マイケル・ジョンソンも気になります)。特にPFスローンは大好きな曲なので。このアルバム、やっぱり聞いておくべきアルバムのようですね。
240様、訪問していただき誠にありがとうございます。
ワーナーさんの名盤探検隊の復活は嬉しい限りです。ことに世界初CD化となる『Jennifer』は目玉であるとともに貴重な出来事かと思われます。
1990年代の後半、行きつけのレコード屋にて「Jennifer」の中古LPを目にしたことがありました。そのとき既にアナログを聴ける環境ではなく、買うか否かと逡巡。マスターの「買うとかんと後悔するかもしれへんで」との忠告をよそに、別のCDを購入して店を出ました。今回のCD化によって、ようやく再会することが出来、感激もひとしおといったところです。
小生は『famous blue raincoat』の丁寧な作りが大好きで、オールタイムベスト10ランクインの一枚です。
とは言えjennifer が評価される時代が来るとは嬉しい限りです。
yam様、訪問していただき誠にありがとうございます。
良質の短編集のような『Famous Blue Raincoat』。聴いた後に残る痛々しさと清涼感が同居したような余韻が何とも言えぬアルバムに思います。レナード・コーエンの作品は女性シンガーの歌声によく似合っていますが、とりわけジェニファー・ウォーンズは誰よりも彼の歌心を深く理解しているように受け取れました。
ジェニファー・ウォーンズというと、どうしても「愛と青春の旅立ち」のイメージが強いのかもしれませんが、成熟した大人の女性への過渡期のように映る『Jennifer』の瑞々しさ、そして彼女の本領が発揮されていくその後のアルバムにも正当な評価がされることを期待してやみません。
Backstreetsさん、こんにちは!

ジェニファー・ジョーンズは「Right Time of the Night」で知りました。敬虔な日曜学校の先生のような硬派なルックスと、気怠くセクシーな歌声がなんともアンバランスで魅力を感じます。

深夜に1人で聴くとぞくぞくします^^;でも大好き!(笑)
zaza♪様、訪問していただき誠にありがとうございます。
ジェニファー・ウォーンズの知的なルックスと凛としながらも色香漂う歌声に魅了されます。ジェニファーは1972年にレナード・コーエンのバック・コーラスに採用されましたが、「私は自分の声で自分が憂鬱になる。君の声で私の声を和らげてほしい」との趣旨の言葉をコーエンから掛けられたとのこと。ジェニファーの声がコーエンの声と絡むと、いっそう魅惑の響きが窺われます。
自分は、ジェニファーと言えばレナード・コーエンがらみでした。(Famous Blue Raincoat はやはり名盤だと思います)

彼女もPFスローンを歌っていたのですね。
2月のジミーのライヴを思い出しました。
mackk様、訪問していただき誠にありがとうございます。
ジェニファー・ウォーンズは本作をリリースした後に、レナード・コーエンのヨーロッパ・ツアーにバック・ヴォーカルとして参加することになりました。コーエンの下で修行したことでさらなる成長を遂げ、アリスタからの再デビュー盤にて真価を発揮することが出来たのでしょう。
近年、ルーマーというシンガーが「P.F.スローン」を取り上げて話題となりました。不遇の人生を味わうスローンの復活を願うジミー・ウェッブの思いは、リスナーのみならずアーティストにも伝わり、今後も歌い継がれて行くのかもしれません。

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