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Emmylou Harris - Boulder To Birmingham

エミルー・ハリスの「The Road」を扱った前回の記事の中で、1975年にリリースされたアルバム『PIECES OF THE SKY』収録の「Boulder To Birmingham」について言及しましたので、今回はこの曲を取り上げることにします。

Pieces of the SkyPieces of the Sky
(2004/02/23)
Emmylou Harris

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1. Bluebird Wine
2. Too Far Gone
3. If I Could Only Win Your Love
4. Boulder To Birmingham
5. Before Believing
6. Bottle Let Me Down
7. Sleepless Nights
8. Coat Of Many Colors
9. For No One
10. Queen Of The Silver Dollar
11. Hank And Lefty
12. California Cotton Fields

ジョン・デンバーでお馴染みのヒット曲、「Country Road」の作者のひとりであるビル・ダノフとエミルー・ハリスの共作曲、「Boulder To Birmingham」。前回の記事でも触れましたが、全幅の信頼を寄せていたグラム・パーソンズが急死したことで絶望の縁に立たされたエミルー・ハリスは両親の住むワシントンD.C.に帰り、虚無感に苛まれながら心の傷を癒していました。しかし、彼女は歌うことを捨てることが出来ず、やがて地元のクラブでライヴ活動を再開。グラムが残してくれた音楽の遺産を引き継ぎ表現することが今の自分に出来る彼への鎮魂であると悟ったのかもしれません。そして、彼女は迷いながらも自分の進む道を模索していたのでしょう。
そんな時、アン・マレーの育ての親として名を馳せたプロデューサーのブライアン・エイハーンがエミルー・ハリスの評判を聞きつけて彼女のもとを訪れます。噂に違わぬパフォーマンスを行うエミルーを見初めたエイハーン。彼自らがプロデューサーを買って出て、リプリーズ・レコードとの契約に至り、メジャー・レーベルからの再デビューとなるソロ・アルバムがリリースされる運びとなりました。それが今回紹介する「Boulder To Birmingham」が収められた『Pieces Of The Sky』です。



1992年のライヴ映像です。


こちらは2006年の「Cambridge Folk Festival」出演時の映像のようです。

BOULDER TO BIRMINGHAM
ラヴ・ソングなんて聴きたくないわ
この飛行機に乗ってただ飛んで行きたいの
そして足下に広がる世界に人生があるのに
でもあなたが私に教えてくれることといったら
大草原と空ばかり

傷心と欲望に満ちた
悲しい身の上話なんて聞きたくないわ
この前こんな気分になったのは
私が荒野にいた頃
そして峡谷は炎に包まれ
その夜、私は山の上に立ち
燃え盛る光景を見つめていた
燃え盛る光景を見つめていた
燃え盛る光景を見つめていた

エイブラハムの懐(死後に天国の平和を享受する場所)にて
私はこの魂を揺らすだろう
神から授かった恩寵(神の愛やめぐみ)の中で
私は自分の人生を抱くだろう
ボルダーからバーミンガムへと
私ははるばる歩いて行くだろう
もしあなたの顔を見ることができると
思えたならば

この時あなたは私を打ちのめした
いちばん辛いことは自分が今後も生きていくと分かっていること
私は95号線を行き交うトラックの唸りを
聞くためにやって来た
そしてそれが海であると自分に思い込ませて
我が身を洗い流そうとする
我が身を清めようとするのよ
ねぇ、私の言ってることが分かってるかしら


「Boulder To Birmingham」と前回扱った「The Road」には共通するキー・ワードが幾つかあります。例えば、「私は荒野を彷徨い迷子になっていた」という歌詞がありましたが、ここでも「傷心と欲望に満ちた/悲しい身の上話なんて聞きたくないわ/この前こんな気分になったのは私が荒野にいた頃」と「荒野」を傷心と混乱の日々に見立ており、「そして峡谷は炎に包まれ/その夜、私は山の上に立ち/燃え盛る光景を見つめていた」という歌詞の中の「山」という言葉は「The Road」の中でも「私は山から下りてくる/あなたの靴の中で歩き回る」という一説でも歌われ、進路を見出せないで思案している自分の立場を比喩したものでしょう。そして、「燃え盛る光景を見つめていた」という箇所は遺言に従ってジョシュア・トゥリーで荼毘に付されたグラム・パーソンズを連想させます。
また、グラムへの想いは「ボルダーからバーミンガムへと私ははるばる歩いて行くだろう/もしあなたの顔を見ることができると思えたならば」というところにも描かれ、現世で二度と会うことの出来ない彼への思慕が表されていました。

エミルー・ハリスの親友であるドリー・パートンが取り上げています。彼女が1976年に発表したアルバム、『All I Can Do』に収録。


ザ・ホリーズも彼らの1977年のアルバム『A Crazy Steal』の中でカヴァーしていました。


もうひとつ、宜しければお聴きください。エミルー・ハリスが2006年にリリースしたライヴ盤、『Real Live Roadrunning 』ではマーク・ノップラーが駆けつけていました。


アルバムの中からもう一曲、「Sleepless Nights」を宜しければお聴きください。この曲はブードロー&フェリス・ブライアント夫妻の作品で、もともとはグラム・パーソンズが敬愛するエヴァリー・ブラザーズのレパートリー(1960年発表の『It's Everly Time!』に収録)でした。グラム・パーソンズとエミルー・ハリスがデュエットしたヴァージョンはグラムのアルバム『Grievous Angel』のためにレコーディングされたものですが、アウト・テイクとなり1976年にリリースされた編集盤『Sleepless Nights』で陽の目を見ました。ソロ活動再開にあたってグラムとの思い出を偲ぶように、エミルー・ハリスは再びこの曲をひとりで歌っています。

今回は1979年にレコーディンされたリッキー・スキャッグスとのライヴ・ヴァージョンをお聴きください。

http://www.youtube.com/watch?v=50a0RIEtgt8

SLEEPLESS NIGHTS
眠れない夜の間ずっと君を思って泣いていた
誰が君にキスをしているんだろう
ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心をまっぷたつに引き裂くよ

昼間はくじけないでいられるが
心の中では溢れ出そうな涙を押し隠している
ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心を再び引き裂く

どうして行ってしまったんだ
どうして行ってしまったんだ
俺が君を必要としているのを
わかってるんだろう
ねぇ、わかってるんだろう

ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心をまっぷたつに引き裂くよ
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コメント

はじめまして。
この曲は本当に何度聴いてもキーンとした緊張感があり、ぞくりとしてしまいます。
To wach me clean
baby do you know what a mean
そういえばカバーといえばかのジョーン・バエズも歌っていますね。ゴスペル調で歌い上げるので、エミルーの魂のふるえるような世界とはちがってしまっていますが^^;件の箇所も、「baby do you know」ではなく「you know」にしてしまっているので「わかるわね?」ってな上から目線の脅迫調になっちゃってまして面白いですw
V様、ご訪問いただき誠にありがとうございます。
おっしゃるように、何度聴いても爽やかな曲調の中にエミルー・ハリスの張りつめた想いが伝わって来るような気がしますね。
ジョーン・バエズのヴァージョンはグラム・パーソンズが対象とは考えにくいので、それ故に違った雰囲気が窺えるのかもしれません。
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
BACKSTREETさま
ご返信ありがとうございます。
このネタの元記事のThe Roadのエントリーの文章も拝読させていただきました。
正直に言いますと、熱狂的な初期のエミルーファンであった分、White lineあたりから顕著になる声の衰えを直視できず、それでもしばらくは買っていてそれなりに好きな曲もあったりしたのですが、2000年にはいってしまうと彼女の歌を聞かなくなってしまっていたのです。どうして彼女は、今はもう出はしない若いときのキーを落とそうとしないのだろう?といらだったりとか。
そういう経緯で、The roadも初聞きでした。磨きがかかったもやもやした歌唱に「・・・」となりつつ聞いていると、ある小節でエミルーの声が少女のように聞こえてくる箇所があるんですね。ぴたりとはまるとき、まるで過去にピントが合うようにピンポイントで時空をつきぬけてしまう稀有な声なのだな、と感じた次第です。
そして、若き日のエミルー・ハリスとグラムとの交感についての文章で、あらためて感じ入った次第です。
どうぞこちらこそよろしくおねがいします。
V様、再びコメントいただきありがとうございます。
エミルー・ハリスは年齢を重ねるにつれてエンジェル・ヴォイスだけでなく、ハスキーな声でエモーショナルな表現を身につけたと解釈していたのですが、「ある小節でエミルーの声が少女のように聞こえてくる箇所があるんですね。ぴたりとはまるとき、まるで過去にピントが合うようにピンポイントで時空をつきぬけてしまう稀有な声なのだな、と感じた次第です。 」とは言い得て妙ですね。長年に渡って彼女の歌を聴いて来られた方ならではの鋭い指摘だと思いました。
どうも!
エミルー姐さん大好きです
この、ソプラノボイスで朝起こされたいですね!
SNAKE
SNAKE様、訪問していただき誠にありがとうございます。
エミルー・ハリスは天使のような歌声で、アメリカ音楽のきらめきを聴く者の心に届けてくれるといったところでしょうね。

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