好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Linda Ronstadt - Alison

5回に分けて取り上げてきたリンダ・ロンシュタットの『Living In The U.S.A.』も今回が最終回。残った2曲、「When I Grow Too Old To Dream」と「Alison」について紹介しながら少しばかり述べたいと思います。

ミス・アメリカミス・アメリカ
(2011/02/23)
リンダ・ロンシュタット

商品詳細を見る

1. Back In The U.S.A.
2. When I Grow Too Old To Dream
3. Just One Look
4. Alison
5. White Rhythm & Blues
6. All that You Dream
7. Ooh Baby Baby
8. Mohammed's Radio
9. Blowing Away
10. Love Me Tender

1935年に制作されたMGM映画『The Night Is Young(春の宵)』の主題歌として作詞家のオスカー・ハマーステイン2世、作曲家のシグマンド・ロンバーグの共作で作られた「When I Grow Too Old To Dream」。1954年のMGM映画『Deep in My Heart(我が心に君深く)』にも主演のホセ・ファーラーが劇中で歌う場面がありました。ドン・グロルニックのピアノとマイク・マイニエリのヴァイブをバックに、リンダは情感を込めながらもしっとりと歌い上げ、まろやかで豊潤な味わいが伝わってきます。


カエルのカーミット氏らと共演するマペット・ショーの映像。


WHEN I GROW TOO OLD TO DREAM
二人は肩を寄せ合い
楽しい日々を過ごしていた
あの頃の人生は素晴らしく
二人は若かった
だけどあなたが去って行った後の
人生はかつて二人が歌った古い歌のように
色褪せて行くのだろう

夢を見るには年を取り過ぎた頃に
あなたに私のことを思い出してもらいたいの
夢を見るには年を取り過ぎた頃でも
あなたの愛が私の心の中に生き続けていることでしょう

だからキスして、私の愛しい人
そしてお別れましょう
夢を見るには年を取り過ぎた頃になっても
あまたのキスが私の心の中に生き続けるでしょう

そう、夢を見るには年を取り過ぎた頃でも
あなたの愛が私の心の中に生き続けていることでしょう

スタンダードとして有名な曲ですが、とりわけナット・キング・コールのヴァージョンがよく知られてるようです。1956年にリリースされた『After Midnight』に収録。


クリフ・リチャードのヴァージョン。ジャジーなナット・キング・コールと打って変わって哀愁を帯びた歌声に、別れた恋人への思慕がひしひしと伝わって来るようです。1961年発表の4曲入りEP、『Dream』に収録。


次に扱う曲の作者であるエルヴィス・コステロの奥方、ダイアナ・クラールのヴァージョンです。ナット・キング・コールへのトリビュート・アルバム『All For You: A Dedication to the Nat King Cole Trio』(1996年)に収録。


レイジーな雰囲気が漂うエルヴィス・コステロ作の「Alison」。もともとは昔の恋人への優しさと皮肉が相半ばする歌のようですが、リンダは第三者的な立場からアリスンを冷静に見つめています。デヴィッド・サンボーンのサックスがそんな大人の視点を支えるように雰囲気を盛り上げていました。


ALISON
何だかおかしな気分よね
こんなにたってからあなたに会うなんて
ああ、でもその様子だと
あなたには再会の感激なんてなさそうね
聞いたわよ
あなたって私の友達にパーティ・ドレスを脱がせたんですってね
私は厄介なヴァレンタインの恋人たちのように
感傷的になるつもりはないの
あなたに誰か好きな人がいるのかどうか知らないけれど
その人が私の前の恋人でなければいいなって思うだけ

アリスン
わかってるわ、今の世の中があなたを辛い目に遭わせているってことを
ああ、アリスン
私の意図は確かね

そう、今のあなたには夫がいる
彼はあなたの綺麗な指を突っ込んだままにしたのね
ウェディング・ケーキの中に
あなたはその手ですぐに彼を捕まえたままにしたものだった
でも彼は奪えるものはすべて手に入れた

時々思うのよね、あなたがバカなことを言ってるのを聞くと
そんなお喋りなんか止まってしまえばいいなんて
誰かその大きな灯を消してくれないかしら
だってそんな辛そうなあなたを見ていられないんだもの

アリスン
わかってるわ、今の世の中があなたを辛い目に遭わせているってことを
ああ、アリスン
私の意図は確かね

イギリスでは昔から結婚式にまつわる言い伝えやジンクスが存在していました。例えば、ウェディングケーキの中にいんげん豆を入れておき、そのいんげん豆が 入っているケーキが当たった人は幸せになれる(ラッキービーンズ)とか、花嫁の左足の靴のなかに6ペンスコインを1枚いれておくと 二人は永遠にお金に不自由なく暮らせるとかといったことです。
この歌の中にウェディング・ケーキの中に指を入れるという風な描写がありますが、結婚指輪をウェディング・ケーキの中に入れて焼くという風習も過去にあったそうです。また、近年の結婚式でよく見られるようになった新郎新婦がお互いにケーキを食べさせ合うという「フィーディング」あるいは「ファーストバイト」という演出も西洋では以前から行われていて、決して珍しいことではないとのこと。ここでは浮かれた新郎新婦が指でケーキのクリームをすくいとってお互いの顔に塗り合うような光景が描かれているのかもしれません。

さて、作者のエルヴィス・コステロは1954年8月25日にロンドンで生まれてリバプールに育ったミュージシャンです。本名はデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナスといい、エルヴィス・プレスリーと母親の旧姓を組み合わせて芸名を付けたとされます。
父親がトランぺッターだったこともあってか、幼き頃より音楽に親しんでいたとのこと。ジャズ、R&B、ロックン・ロール、カントリー、スタンダードなど豊富な音楽の要素が混在する彼のサウンドはこうした環境や素養のうえで培われたものでしょう。
思春期を迎える前にビートルズに多大な影響を受けたコステロはやがてバンド活動を始め、1977年にシングル「Less Than Zero」でデビューに漕ぎ着けます。パンク・ロックの興隆の余波の中で次第に注目を浴びる存在となっていくのですが、前述のように彼の音楽性は幅広く、独特の個性や斬新さは窺えますが、とてもそんな範疇の中で語れるアーティストではありません。むしろ、オールド・ウェイヴと揶揄されたビートルズやエリック・クラプトンら既存のロックの路線の延長線上にあると解釈するほうが自然であると思われます。
デビュー直後で、まだ知る人ぞ知る存在だったコステロに目をつけたリンダ・ロンシュタット。彼女は以前からブレイク前のアーティストや無名のシンガー・ソング・ライターの作品を取り上げて世に送り出すといった役割を果たしてきた人でもあります。ジャクソン・ブラウン然り、J.D.サウザー然り、ウォーレン・ジヴォン然り、エリック・ジャスティン・カズ然り。リンダのアルバムに彼らの楽曲が収録され、存在の認知度が高められたと言っても決して過言ではないでしょう。コステロの場合も彼自身がパンク/ニューウェイヴの潮流に乗って人気を得るようになって行ったこともありますが、リンダに「Alison」が取り上げられたことが結果的により幅広い層にアピール出来る一助になったことは否めないと思われます。

エルヴィス・コステロのオリジナル・ヴァージョン。1977年発表のアルバム、『My Aim Is True』に収録されています。


リンダ・ロンシュタットはこの後、当時の音楽のトレンドを意識するかのようにパンク/ニューウェイヴ的なサウンドを取り入れた『Mad Love』(1980)、『Get Closer』(1982)を発表。その後は一転してスタンダード集である『What's New』(1984)、『Lush Life』(1986)、『For Sentimental Reasons』(1987)を立て続きにリリースして行きます。
1980年代前半頃はリンダ・ロンシュタットのみならず、ベテラン・アーティストが次々と時代の流れに合わせた音作りを試みていました。ホール&オーツのアルバム『Voices』(1980)はブルーアイド・ソウルやモータウン・サウンドの余韻を残しながらもパンク/ニューウェイヴの動きに接近した印象を受け取れますし、ポール・マッカートニーの「Coming Up」(1980)もエレクトロ・ポップ風のアレンジが施され、ジャクソン・ブラウンの「Disco Apocalypse」ではディスコ文化への皮肉や風刺を込めながらシンセサイザーをフィーチャーしたディスコ調のサウンドを展開していました。また、カーリー・サイモンは1920年代から30年代のトーチ・ソングを集めたアルバム『Torch』を1981年に発表。各々が試行錯誤しながら新たなる領域に踏み出していたのです。
リンダ・ロンシュタットが1978年にリリースしたアルバム、『Living In The U.S.A.』。ここではオールディーズのカヴァーとは明らかに趣が異なる「When I Grow Too Old To Dream」、ロック・ミュージックの新しい動きに目を向けた「Alison」が収録されていました。過去のアルバムの収録曲と比べて少なからず異彩を放つ雰囲気の選曲。リンダは『Living In The U.S.A』において自身の今後の方向を見据えており、同時に彼女の先見性の萌芽が内包されていたと言えるでしょう。

スポンサーサイト

コメント

とても読み応えのあるアルバム特集でした。

「ミス・アメリカ」は大好きなアルバムですが
改めて、リンダ・ロンシュタットの歌の上手さを感じています。
どんなジャンルでもお手の物ですね。

そんな中でも「夢見る頃を過ぎても」のドラマチックで豊かな表現力にはうっとりしました。

shoppgirl様、訪問いただき誠にありがとうございます。
アメリカを代表する女性シンガーの座に昇り詰めた頃のリンダ・ロンシュタット。歌の上手さに加えて、自信がみなぎっているように窺えます。
リンダは今年の春頃、アリゾナ州の地方紙のインタビューにおいて、「歌声にかつてのパワーが出せなくなったので引退を決意した」との趣旨の発言をしていました。実際の彼女の喉の状態はよく分かりませんが、この情報が真実ならとても残念です。

コメントの投稿

URL
コメント

パスワード
秘密
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL : http://shadowdream25.blog105.fc2.com/tb.php/312-7a1c9c0d
<< Rita Coolidge - The Lady's Not For Sale | TOP | Linda Ronstadt - Mohammed's Radio >>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。