好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Leonard Corhen - Dance Me To The End Of Love

この度の震災と津波による原発事故によって福島が、広島や長崎と同様の核攻撃を受けたかのような錯覚が生じ、重苦しい空気が日本国内を包み始めている。政府や東電が真実を把握していないのかそれとも隠しているのか、原子力の専門家たちの発言や解説が各人で食い違い信頼を寄せるに足らないからだろうか。また、文化人や知識人の中には事態の収束を祈るどころか、原爆と原発を同一視して煽り立てるかのような言動を行う人も少なくないように思われる。
このような状況において、精神科医で立教大学現代心理学部映像身体学科教授の香山リカ先生がコラムの中で、「不安の正体は原発問題。いま「原発鬱」とも呼ぶべき症状が増加している」と分析し、「 「『目に見えない』『いつ来るかわからない』『いつ終わるかわからない』不気味な状態の行く末を、冷静に見守る耐性のようなものが弱くなっています。今回の原発事故は、現代の日本社会にとって最も苦手な部分に突き刺さる問題になっていて、それが日本人のこころに大きなダメージを与えているのです。」と述べておられた。興味のある方は全文を読まれることをお勧めする。

香山先生のコラムが掲載されているダイヤモンド社書籍オンラインのURL
http://diamond.jp/articles/-/12152

さて、長々と前置きを書き連ねたが、ここからが本題。今回はレナード・コーエンが1985年に発表したアルバム『Various Positions』に収録されていた「Dance Me To The End Of Love」を取り上げたい。気分が滅入った時は青空と乾いた空気を連想させるような明るく軽快なサウンドや愛くるしい女性の歌声で癒されるのが一番かもしれないが、そんな想いと裏腹に哀愁を帯びた重く淀んだ響きに不思議と耳を奪わてしまうものである。

Various PositionsVarious Positions
(1995/02/07)
Leonard Cohen

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1. Dance Me To The End Of Love
2. Coming Back To You
3. The Law
4. Night Comes On
5. Hallelujah
6. The Captain
7. Hunter's Lullaby
8. Heart With No Companion
9. If It Be Your Will



DANCE ME TO THE END OF LOVE
情熱のヴァイオリンで踊りながらあなたの美しさへお導きください
恐怖を通り抜けて落ち着けるところまでお導きください
オリーブの枝のように私を持ち上げて運び
家路に向かう鳩になってください
愛の最果てまで踊りながらお導きください

好奇の目を向ける人々が去れば踊りながらあなたの美しさへお導きください
人々がバビロンで行うようにあなたの動きを感じさせてください
私が最後の限界と分かるまでゆっくりと示してください
愛の最果てまで踊りながらお導きください

いま結婚しても踊りながらお導きください
止めないでお続けください
とても優しく、とても長く踊りながらお導きください
私たちは一緒に愛の上にいたり下にいたり
愛の最果てまで踊りながらお導きください

誕生を請う子供たちのように踊りながらお導きください
私たちのキスで擦り切れさせたカーテンの向こうで踊りながらお導きください
避難所のテントを立ててください たとえ裂けていようとも
愛の最果てまで踊りながらお導きください

情熱のヴァイオリンで踊りながらあなたの美しさへお導きください
恐怖を通り抜けて落ち着けるところまでお導きください
素手でも手袋のままでもよいので私に触れてください
愛の最果てまで踊りながらお導きください

この歌は単なる恋愛を描いたものではなく、神へのメッセージが込められていると思われる。レナード・コーエンの神に対する深い感謝の念。それ故に "Dance" はたんに「踊る」という意味ではなく、神の下へ導かれる様子と解釈できよう。
レナード・コーエンの歌は芸術と宗教とエロスが溶け合うことを特徴としているが、この歌でも当然ながら聖書からの引用も幾つか窺える。私は宗教には無知だが、一見して分かる範囲で例示してみよう。
鳩は平和の象徴として有名であるが、旧約聖書の『創世期』8章8~11節にノアが方舟から放った鳩がオリーブの枝をくわえて戻り、7日後に再び放つと戻らなかったことから水が引き洪水が終わったことを知ったとの記述がある。ここでは神が不安や苦悩を取り除くことを意味しているのだろうか。
バビロンとは逸楽と悪徳の街として知られる古代バビロニアの首都。バビロニア神話は世界で最も古い神話とされている。紀元前625年に将軍ナポポラッサルがアッシリアからバビロニアを奪取して新バビロニアを建国し、二代目王ネブカドネザル2世の時代の紀元前597年にユダヤ人を強制的に移住させた「バビロン捕囚」が行われた。

全体を通して難解な箇所や官能的な表現が見受けられる。男女の交わりと考えればかなり刺激的な表現だろう。また、あたかも神と特別な関係を持つことを望むような心得違いさえ表されているようにも思える。とかく陰鬱だの悲壮だのと語られることの多いコーエンの世界だが、深い洞察力に富み、人生における不条理や関心事のすべての考察が内包されているのだ。同時に、言葉にできぬほどの色香も漂わせている。
レナード・コーエンの歌は宗教的見地から考えを巡らせても良いだろうし、単純にラヴ・ソングとして楽しみながら聞くのも良いだろう。リスナーの想いによってコーエンの歌には様々な解釈が成り立つが、引き込まれれば抜け出せなくなるようなとてつもない魔力が彼の歌には存在している。

DVD『Live In London』からの映像。



LIVE IN LONDON [DVD]LIVE IN LONDON [DVD]
(2009/06/24)
レナード・コーエン

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イギリスBBC制作の「Jools Holland Show(ジュールズ倶楽部)」に出演した際の映像。


ジャジーな雰囲気にアレンジされたマデリン・ペルーのカヴァー・ヴァージョン。レナード・コーエンの歌は女性のカヴァーがよく似合う。2004年発表の『Careless Love』に収録。


他にも加藤登紀子氏が日本語詞を付け、マーク・ゴールデンバーグのプロデュースのもと、邦題「悲しみのダンス」(1986年のアルバム『Ethnic Dance』に収録)として歌っておられるが、私は加藤氏の音楽には何の興味もなく、また、思想的にも相容れないので勝手ながら映像及び音源の紹介を割愛させていただく。悪しからずご了承のほどをお願い申し上げたい。
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コメント

その昔(09/05/2008)に
Suzanneを取り上げましたて
Judy Collins
絡みでね
独特の節回し
歌詞がちょっと難解ですよね

“SMAILE” is the BEST word in the world

Pray for Japan

God bless you...
誤字・脱字
申し訳ない
Azumi様、ご訪問ありがとうございます。
独特の宗教観と世界観を持つレナード・コーエン。彼は臨済宗の僧侶でもあり、理解するにはキリスト教のみならず仏教にも精通しなければならないようです。
SSW好きなんですが、レナード・コーエンは不思議(?)と縁がありません。しいていえば、ジェニファー・ウォーレンの「レナード・コーエンを歌う」
くらいです。。。。ちゃんと聴かなければ^^;

ロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーと見分けがつきません。。
kuwa様、ご訪問ありがとうございます。
レナード・コーエンのトリビュート・アルバムを発表したことのあるジェニファー・ジョーンズですが、この『Various Positions』にもバック・ヴオーカルで参加していました。
レナード・コーエンもブライアン・フェリーも少し前の言葉で表すと、「ちょい悪オヤジ」という印象でしょうか。さらにコーエンの場合は好々翁というよりも「マフィアのボス」のような風格さえ漂わせています。

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