好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jackson Browne - Before The Deluge

前回はCS&Nの「Wooden Ships」へのジャクソン・ブラウンによるアンサー・ソング、「For Everyman」を扱いました。旧約聖書の『創成期』の中の話をモチーフにした「Wooden Ships」が選ばれた人しか救われない結果になっていることへの疑義を呈した「For Everyman」。今回はジャクソン・ブラウンの終末観がよりいっそう鮮明に示された「Before The Deluge」を取り上げます。

Late for SkyLate for Sky
(2000/03/13)
Jackson Browne

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1. Late For The Sky
2. Fountain Of Sorrow
3. Farther On
4. The Late Show
5. The Road And The Sky
6. For A Dancer
7. Walking Slow
8. Before The Deluge

1976年のTVショー出演時の映像のようです。


1977年のライヴ映像。


1982年のモントルーでのライヴ映像。


デヴィッド・リンドレーが参加している1992年のライヴ映像のようです。


BEFORE THE DELUGE
夢を追い求める人々
無邪気な人々
未来のことばかり考えて
計画を練っているのだ
無垢のエネルギーを含め
彼らは道具を集めていた
自然に戻る旅を始めるために
彼らには必要だったんだろう
隙間から砂がこぼれ落ちる間に
金の指輪を求めて彼らの手が伸びる
心とともに
彼らはお互いの意志を隠れ家を作るために向ける
大洪水が到来する前の
この苦難の歳月に

喜びを知っている人々
苦痛を知っている人々
現在のこの瞬間だけを刹那的に生きる人々
血気に任せて勇敢で狂気じみた翼に乗り
彼らは雨の中を飛び立った
かつて美しかった羽は引き裂かれずたずたに
結局くたびれた翼は
平穏な人生への服従のために取引され
愛の輝きとほのかなぬくもりに交換されてしまった
きらめきとルージュのために
大洪水を前にしてたちまち人心は押し流された

さぁ、音楽で我々の気持ちをハイ(高揚)にしよう
建物の中で子供たちを濡らさないように守ろう
天地創造の秘密を明らかにして行こう、少しずつ、少しずつ
我々の心の中で失われた光が空に届くその時に

権力で美しさを偽造できることを学んだ者たちによって
地球が残酷な扱いを受けていることに怒りを覚えた人々
彼らがこの地球を守ろうと奮闘しても
混乱を招くだけ
最後に審判が下されるときの地球の猛烈なマグニチュードにより
砂がさらわれ覚悟の時が到来し
丸裸にされた夜明けの中では僅かな人々しか生き残っていない
彼らがこんなに単純で壮大な出来事だったのだと理解しようと思案する中で
彼らは生き続けなければならないことを悟るだろう
この大洪水の後で

荘厳な雰囲気を漂わせる「Before The deluge」。少々抽象的な印象が窺われた「For Everyman」に比べ、具体的に黙示録の世界が目の前に現れて理想主義者、夢破れその場を惰性で生きる人々、権力を誇示する有力者など様々な立場の人間が、大洪水の中に飲み込まれてしまう結果が描かれていました。それでも人類すべてが殲滅されたわけではなく、ほんの一握りの人々が希望を託されたように生き残っていたのです。しかし、この状況は熟慮すると「選ばれた人たち」とも受け取れ、「For Everyman」でジャクソン・ブラウン自身こだわった「普通の人」の救済はどうなったのかとの疑念が生じました。また、聖書の言葉を彷彿させるように構成されているものの、冷静に楽曲を見つめ直すとファンタジー的な要素が先行している気配も否めません。

ジャクソン・ブラウンに関して書かれた『Jackson Browne - His Life And Music』の中で、彼は「Before The Deluge」について以下のように述べていました。
「60年代後期は、社会の構造が崩れる寸前だったんだと思う。国民はいつも貧乏くじを引かされ、ずっと虐げられて、挫けそうになっていた。すべてが一触即発の状態にあったような気がするんだ。60年代にはワッツの暴動があったし、ヴェトナム戦争反対のデモもたくさんあった。われわれには見えない巨大な、よからぬ何かに取り囲まれているような、そんな感じがあったよね。それはいまももちろん同じだと思う。大洪水が起こるようなことを(ビフォー・ザ・デリュージ)で書いて、少し後悔したこともあったよ。『これほど惨事を、何もしないでただ予測するだけでいいわけがない。大勢の人が流され死んでいくというイメージを抱かせて、混乱させていいわけがない』って思ったんだ。でも、だからといって、これをうたうのをやめたりはしないー同じことを考えている人は多いと思うんだ」(『Jackson Browne - His Life And Music』マーク・ビーゴ著、水木まり訳、P.124 蒼氷社 2007年)

ジャクソン・ブラウン―ヒズ・ライフ・アンド・ミュージックジャクソン・ブラウン―ヒズ・ライフ・アンド・ミュージック
(2007/11)
マーク ビーゴ

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先頃、石原慎太郎東京都知事が東日本大震災に関して、「日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う。被災者の方々はかわいそうですよ」と述べたことで世間の顰蹙を買い、強烈な批判を受けた出来事がありました。石原知事は記者会見の場で「天罰」の意味について「日本に対する天罰だ」と釈明。さらに、「大きな反省の一つのよすがになるんじゃないか。それしなかったら犠牲者たちは浮かばれない」とも述べ、その後、「言葉が足りなかった。撤回し、深くおわびする」と謝罪し、「天罰」発言が失言であったと認めています。私は東京都民ではないし、彼の支持者でもないので庇うつもりはまったくありません。毎度のことながら、今回も場と時期をわきまえない不適切な表現であり、被災者の心を深く傷つけたのではないかとの印象を受けました。しかし、現代社会は物質中心主義が蔓延し、人々が欲望のままに生活を営む傾向が否めません。天災を安易に神からの警告と解釈するのは軽卒な判断かもしれませんが、石原都知事の言葉を「戒め」と捉えることも肝要であると思えます。物欲、情欲、金銭欲、様々な欲望を基軸にして驕り高ぶる現代人の自己中心的な生き方への疑義。月並みな言い方かもしれませんが、ジャクソン・ブラウンの「Before The Deluge」にも石原発言と共通するようなメッセージが少なからず根底に流れていると言って差し支えないでしょう。

DVD『Going Back』収録のライヴ映像。


2010年に開催されたグラストンベリー・フェスティヴァル出演時の映像。


2012年のデンヴァー公演から。


ジョーン・バエズのヴァージョンは1979年発表の『Honest Lullaby』に収録。


ジョーン・バエズとジャクソン・ブラウンの共演映像です。


イラン出身でイギリスに渡ってデビューした Shusha のカヴァー・ヴァージョン。ブリティッシュ・トラッドのグループ、ヘロンのメンバーがバック・アップした1975年のアルバム『Before The Deluge』に収録されていました。


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コメント

大好きなジャクソン・ブラウンの古い歌、取り上げて下さり、ありがとうございます。
学生時代、意味も分からずに大好きだったこの歌ですが、私も歳をとり、東日本大震災が起って、こうして聴いてみるとまた新たな感慨で、響いてきます。
自分なりの戒めを求めて、これからのことを考えていきたいと思うこの頃です。
takaboh様、ご訪問ありがとうございます。
科学万能の世の中において、人間は便利で快適な生活を手に入れました。しかし、本来持っていた道徳心、公共心、自然への畏敬の念などを蔑ろにするようになっていったように思われます。
同時に我欲にまかせて自由・権利・平等といったものを過剰に行使する傾向も窺えます。
何事もバランスが大事であるということを今回の震災、そしてジャクソン・ブラウンのこの歌の意味を再び思い返すことで見つめ直す次第です。

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