好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jackson Browne - For Everyman

前回の記事でクロスビー、スティルス&ナッシュの「Wooden Ships」が、「選ばれた者だけがユートビアに行けるとの感が拭えない」と疑義を呈したのがジャクソン・ブラウンの『For Everyman』である」との趣旨を述べました。という訳で、今回はジャクソン・ブラウンが1973年10月に発表したアルバムの表題曲でもある「For Everyman」を取り上げます。

For EverymanFor Everyman
(1999/07/28)
Jackson Browne

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1. Take It Easy
2. Our Lady Of The Well
3. Colors Of The Sun
4. I Thought I Was A Child
5. These Days
6. Red Neck Friend
7. The Times You've Come
8. Ready Of Not
9. Sing My Songs To Me
10. For Everyman

1986年のドイツ公演の映像です。


FOR EVERYMAN
俺が話しかける人々は皆
朝の光が差し込んで来るのと同時に立ち去ろうとしている
世の終わりが訪れるのを目の当たりにして
最後の警告を聞かされたのだと信じこんでしまっているのだ
誰もがひとりぼっちで立ち尽くし
それぞれの手にチケットを握りしめている
そして黄昏が訪れる時
俺は座り込んで普通の人のことを考えている

気兼ねなく落ち着けるどこか他の場所を
俺はこれまでずっと見つけようとしていたみたいだ
そこでなら何人かの気のおけない友とともに人生の競争から抜け出し
何かもっとましなものを見つけ出せると思っていたのだ
だが、俺の儚い夢の数々も
根城を手に入れようと考え抜いた周到な計画も
結局はすべてが普通の人がやって来るのを待つことに関わっていたのだ

俺はここで普通の人がやって来るのを待っている
うまくやれると思うのなら君一人でやってみればいい
どこか行くところがあるのなら、了解だ
俺はここで普通の人がやって来るのを待っている
その人が本当に現れるなんて聞かないでくれ
俺にも分からんのだよ

うまくやれると思うのなら君一人でやってみればよい
どこかで後になって君は自分の立場を明らかにしなければならないだろう
それから助けを必要とすることになるんだ

誰もが待っているんだ
自分たちに答えを与えてくれる人からの言葉を聞くのを
そして自分たちを太陽の温もりのある場所へと連れ戻してくれるのを
そこでは今でも素敵な幼少時代が心弾む
だが、この先誰がやって来て
逞しくて優しい父の手を差し出してくれるのか?
随分昔に俺は普通の人についての話を誰かに聞かされたものだ

俺はここで普通の人がやって来るのを待っている
うまくやれると思うのなら君一人でやってみればいい
どこか行くところがあるのなら、了解だ
俺があの計画を分かっていたなんて言おうとしているのではない
そう思うのなら背中を向けて立ち去ってくれ
でも、砂を握りしめたまま取り残された人のことをあまり悪く思わんでくれよ
彼もたんなる夢を見る人間のひとりにしか過ぎない
普通の人と出会うことを夢見ているのさ

ジャクソン・ブラウンは自らの人生経験や愛の遍歴をもとに、私的で内省的な歌をうたうことによってリスナーの心をとらえたアーティストです。彼の歌はまるでこの世の不幸を一身に背負い、社会の現状と先行きを憂えるような響きが紡ぎ出されていたと言えるでしょう。しかし、深く絶望しながらも実際は時に楽観的すぎると思えるほど未来に希望を託し続けるという姿勢が根底に流れていました。
核戦争で放射能に汚染された島から選ばれし者だけが救われる「Wooden Ships」。ジャクソン・ブラウンの目には現代、あるいは近未来版「ノアの方舟」をデヴィッド・クロスビーらが気取っているかのように映ったのかもしれません。ジャクソン・ブラウンについて書かれた『ジャクソン・ブラウン・ストーリー』には以下のような記述がありました。

「<For Everyman>は最初デヴィッド・クロスビーに宛てて書かれた。<Wooden Ships>でうたっていたように、クロスビーはどこかの島へ行ってそこに自分たちだけのユートピアを築き、この悪い終末のような時代を忘れようと考えていた。曲を書き進めて行くうちに、ジャクソンはチリの国民的詩人パブロ・ネルーダの詩の一つに大きなインスピレーションを受けた。ネルーダの詩はこう歌っていたーもし自分が喜べるのなら。自由にいろいろな場所に出かけたり、戻って来たり、好きなふうにやるがいい。ただし、もし危機が訪れたときは、同志諸君、ぼくはきみらとともにいて、バイオリンで心を慰めよう、そして君たちとともに死ぬ覚悟があるのだー。」(リッチ・ワイズマン著、室矢憲治訳、『ジャクソン・ブラウン・ストーリー』P.137 CBSソニー出版 1983年)

米ソ冷戦構造の下での核戦争をテーマにした「Wooden Ships」でしたが、アンサー・ソングといわれる「For Everyman」は仏教でいうところの自利利他(自らの悟りのために修行する努力を惜しまず、他の人の救済のためにも尽くすということ)にも通じるものを感じました。また、人との出会い、一期一会の楽しみと捉えて解釈してみるのも興味深いところです。

1986年に日本で催された「JAPAN AID」出演時の映像です。


1987年の「The Secret Policeman’s Third Ball」出演時の映像。


アメリカで放送されているテレビ番組 "Storytellers"(1996年4月18日放映) に出演した時の映像のようです。


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コメント

こんにちは。
ジャクソンブラウンさんのことはお名前くらいしか知らないのですが、
昨日たまたま、ジャパンエイドの一部と、イースターということで
聖書の一部を取り上げたこともあり、興味深く拝見しました。

「普通の人」ってなんでしょう?
イメージ的には「最後の審判を行う人(神?)」のように思えました。
なかなか惹かれるところのある、音楽とご本人ですね。
この機会に聞いてみたいと思います。ありがとうございました。

ジャパンエイドのあった86年がチェルノブイリの事故のあった年と
言うのがなんとなく意味深ですね。

パブロ・ネルーダ大好きです♪
Mariamaniatica様、ご訪問ありがとうございます。
ジャクソン・ブラウンの歌には聖書からの引用も時おり見られるので、「最後の審判を行う人(神)」との解釈も成り立ちますが、ここでは大方のファンの味方に準拠して「救済されなかった一般人」として扱いました。また、ジャクソン・ブラウンの作品を含め、ロック・ミュージックの歌の数々がダブル・ミーニングであることは言うまでもありません。
そうそう、パブロ・ネルーダの母国であるチリの公用語はスペイン語で、彼自身も外交官としてスペインに赴任した経歴がありますね。
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
デイヴィッド・クロスビーのハーモニーの心地よさって何だろうとよく思います。
古くはバーズ時代の「Turn! Turn! Turn!」のあの決めのコーラス部分(ってわかるかな)が有名ですが、彼は「Jamica Say You Will」に続いて「For Everyman」ですばらしいハーモニーを聴かせてくれます。

なんか私のリクエストに応えてくれたような曲が続いて、すごくうれしいです。
「Wooden Ships」はふたりの掛け合いがうまく訳せなくて挫折したまんまでした。

パブロ・ネルーダという名前は初めて知りましたが、すてきな言葉です。

さてBackstreetsさんに教えていただいたロビー・ロバートソンの「When the Night Was Young」訳しました。よかったら見てみてくださーい。
バルカローレ様、ご訪問ありがとうございます。
デイヴィッド・クロスビーはジャクソン・ブラウンの才能を早くから買っており、互いに尊敬しあう仲だったと推測されます。クロスビーが麻薬中毒に陥った時、回復に向けて惜しむことなく尽力したのはジャクソン・ブラウンでした。
ジャクソン・ブラウンはアルバム『The Pretender』の裏ジャケットにもパブロ・ネルーダの詩(アメリカの偉大な詩人ケネス・レクスロスが英語に翻訳したもの)を引用しています。



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