好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Crosby, Stills & Nash - Wooden Ships

福島第一原発の事故がいまだに予断を許さぬ状況です。札幌医科大学のある教授が、「中国による核実験で日本に飛んできた放射線・黄砂よりも、今回の福島原発からの放射線量は安全圏である。福島原発正門前に防護服なしで立っても問題なし」との趣旨を述べれば、京都大学のある助教が「とっくの昔にレベル7。チェルノブイリをはるかに超える放射性物質が放出される可能性がある。」といった具合で主張されていました。両極端な見解なのでどちらの説を信じていいのか分かりません。さらに『東京に原発を! 』や『危険な話』などの著書で原子力の危険性を指摘し、原子力撤廃運動の論客と知られる作家の広瀬隆氏に至っては、「施設全体をコンクリートで固めてしまえ」といった内容の発言を「ニュースの深層」(朝日ニュースター)でされていたのです。結局のところ、専門家といえども誰も解決に向けての決定打を持ち合わせていないのではないかという気がして、ますます不安感が募りました。

クロスビー、スティルス&ナッシュクロスビー、スティルス&ナッシュ
(2008/01/23)
クロスビー、スティルス&ナッシュ

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1. SUITE: JUDY BLUE EYES
2. MARRAKESH EXPRESS
3. GUINNEVERE
4. YOU DON'T HAVE TO CRY
5. PRE-ROAD DOWNS
6. WOODEN SHIPS
7. LADY OF THE ISLAND
8. HELPLESSLY HOPING
9. LONG TIME GONE
10. 49 BYE-BYES
11. DO FOR THE OTHERS
12. SONG WITH NO WORDS
13. EVERYBODY'S TALKIN'
14. TEACH YOUR CHILDREN

そういった不安の中で、今回はクロスビー、スティルス&ナッシュの「Wooden Ships」を取り上げることにします。彼らが1969年にリリースしたファースト・アルバムに収録されていた曲で、放射能に汚染された島から脱出するというストーリーが描かれていました。
スティーヴン・スティルスとデイヴィッド・クロスビーの対話形式で歌が始まり、恐怖を煽るような出来事が劇的に展開されて行きます。ここでは放射能汚染を象徴的に掲げておりますが、物質文明への批判、人の心が失われつつある荒廃した現実社会からの訣別などが内包されていると解釈してよいでしょう。
歌詞の内容を鑑みると、旧約聖書の『創成期』(第6章~9章)に登場するノアの方舟の話が浮かんできます。人間の業に怒りを覚えた神は「神に従う無垢な人間」ノアに方舟を作らせ、彼の家族とすべての動物の雌雄一組ずつをその方舟に乗せて大洪水に対処させました。以前にB.J.トーマスの『Everybody's Out Of Town』の記事でも少し述べましたが、人々が欲望のままに暮らし、自然環境を破壊し、社会を荒廃させた報いとしたことを非難する例えとして「ノアの方舟」が引用されることが多々あるように思われます。


WOODEN SHIPS
S : 君が俺に微笑みかけてくれたら理解出来るだろう
  だってそんなことは同じ言語で誰もがどこでもしていることだから
D : 君のそのコートで分かったよ、君が反対側から来た人間だってことをな  
  知っておかなければならないことが一つだけあるんだ
どうか教えてくれないか、誰が勝ったのかを
S : まあとにかく、君の紫色のベリー(果粒)を少し食べさせてくれないか?
D : ああ、俺6週間か7週間もそれらを食べ続けてるんだ
一度も具合が悪くなったことがないぜ
S : たぶん俺たち二人を生きながらえさせてくれるのさ

水面に浮かんだ木の船はとても自由で安らか
どんなふうになっているのか分かるだろう
海岸に銀色の防護服を着た作業員たちが見過ごしてくれたおかげで
自由で気楽に話が出来るのさ

君が死ぬのを見る時、俺たちは恐怖に支配される
俺たちに出来ることは君の苦悶に満ちた叫びを響き渡らせるだけ
すべての人間の感情が死滅するのをじっと見つめて
俺たちは去って行く 
君には俺たちが必要ではないから

妹の手を取り、行こう
この異郷の地から彼女を連れ出すんだ
遥か彼方の地へ向かえば
俺たちは再び笑えるかもしれない
俺たちは去って行く 
君には俺たちが必要ではないから

そして俺の肩越しに心地よい風が南から吹いて来るぬくもりを感じて
俺は進路を定めて出発することにしよう

紫色のベリーとはヨウ素剤のことでしょうか。原子力災害時の放射能予防薬として一躍有名になりました。

この「Wooden Ships」を記事にするにあたり歌詞を検索していると、見慣れない言葉が冒頭に綴られているのを目にしました。それは、「Black sails knifing through the pitchblende night・・・・・・・」で始まるもので、CS&Nがその言葉を発しているのを耳にしたことがありません。「Wooden Ships」はデイヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、そしてジェファーソン・エアプレインのポール・カントナーの共作曲。しかし、ジェファーソン・エアプレインのヴァージョンでも冒頭に記されたヴァースのようなものを聴いた憶えがなかったのです。
私はジェファーソン・エアプレインに関しては疎く、「Wooden Ships」が収録された名盤『Volunteers』を所有しておりません。この歌詞のようなものは何か、リマスター盤やBOXセットなどに別ヴァージョンが収められているのだろうか、と想いを巡らしていたところ、ジェファーソン・エアプレインに詳しい方のサイトがあったことを思い出したのです。早速そのサイトである「Pooneil House」掲示板で尋ねさせてもらい、管理人のプーニールさんから「LP『Volunteers』に付属している "Wooden Ships" の歌詞の冒頭に書かれているもので、歌の内容を補足する前書きとしてたぶんポール・カントナーが付け足したものであろう」との趣旨の回答をいただきました。自らの不勉強を恥じるとともに、プーニールさんにはこの場を借りて感謝の意を表したいと思います。

ということで、その冒頭の部分を訳してみると、少々抽象的な印象を受けた歌詞が明確に放射能汚染を描いていることが読み取れました。同時にカウンター・カルチャー特有の楽観的な様子も窺えます。

瀝青ウラン鉱の夜を切りつけるように暗黒が船出する
放射能による大陸の狂気を後にして
汚染されていない食料と海岸の避難所を捜索している
銀色の上下の防護服を着た作業員からも逃れて
光るような金属を使っていない木製の俺たちの舟
宇宙で裸になった自由でハッピーでクレイジーな人々
俺たちは大地の言葉を喋っている
音楽に乗って行くのだ

1977年のライヴ映像です。


こちらは1991年のライヴ映像です。



CS&Nに数ヶ月遅れて発表されたアルバム『Volunteers』に収録されていたジェファーソン・エアプレインのヴァージョンです。


VolunteersVolunteers
(2004/06/18)
Jefferson Airplane

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この歌を聴いていると、荒んだ現実社会から抜け出し、選ばれた者だけが理想の社会へ向かうことが出来るといった雰囲気が否めません。取り残された者はどうなるのでしょうか。そんな冷酷な様子に疑義を呈した歌が、ジャクソン・ブラウンの「For Everyman」です。
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コメント

当サイトにお越しいただき、ありがとうございました。
こちらのブログはすごく中味が濃くて充実していますね。
私の好きな作品も多く取り上げられているので、
ぜひ最初の記事から読ませていただきます。

「Wooden Ships」は、CS&NとJ・エアプレインの両方にとっての
オリジナル曲ということになり、ほぼ同時期にレコーディングし
発表された珍しいケースだと思います。
それぞれに独自の歌詞やメロディが付け加えられ、
アレンジや演奏全体のムードにも両方のバンドの特色がよく表れていますね。
この曲に対するアンサーソングが、ジャクソンの「For Everyman」ファンにとっては有名な話ですね(^^;)時代もあるだろうから、どちらが良いとは言えないんですが、福島の原発での情報操作とかを見ていると、ジャクソンに一票です。
プーニール様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
プーニールさんのサイトの綿密さには目を見張るばかりです。
スティーヴン・スティルス、デイヴィッド・クロスビー、ポール・カントナーの三人は「モンタレー・ポップ・フェスティヴァル」の出演をきっかけに交流を深めて行ったのでしょうね。ジェファーソン・エアプレインは『Crown Of Creation』でクロスビー作の「Triad」を取り上げていましたし、クロスビーの『If I Could Only Remember My Name』にもエアプレインの面々が参加していました。この時期の彼らの関係の親密さが窺い知れます。
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
kuwa様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
ノアの方舟の話に沿うようにして、エリートだけがユートピアに行くことが出来ると受け取れる「Wooden Ships」。普通の人のありのままの人生にこだわるジャクソン・ブラウンにすれば、「先輩たち、それは少しおかしいのでは」との疑問を呈したくなるのも当然の行動だったのかもしれませんね。

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