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Valerie Carter - Wild Child

前回の記事、ジャクソン・ブラウンの「Lives In The Balance」は少々重苦しい雰囲気が漂っておりましたので、今回は彼と関連のある女性シンガーの清々しく可憐な歌声で癒されることにします。ご登場を願うのはヴァレリー・カーター。彼女が1978年にリリースした「Wild Child」を取り上げることにしました。

ワイルド・チャイルドワイルド・チャイルド
(1993/12/12)
ヴァレリー・カーター

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1. Crazy
2. Da Doo Rendezvous
3. What’s Becomes Of You
4. Taking The Long Way Home
5. Lady In The Dark
6. The Story Of Love
7. The Blue Side
8. Change In Luck
9. Trying To Get To Know You
10. Wild Child

ソロ・デビューを果たした前作、『Just A Stone's Throw Away』はロック、ポップス、ジャズ、ソウルなど様々なジャンルの音楽が溶け合い、洗練された趣が特徴的なアルバムでした。あたかも1970年代後半のウエスト・コースト、およびアメリカの音楽シーンを象徴するかのような響きが凝縮されていたのです。セカンド・アルバムとなるこの『Wild Child』は前作の延長線上にありながらもAORの色合いを濃く滲ませていました。親友ローウェル・ジョージやアース、ウインド&ファイアーの面々に代わり、今作では、ジェイ・グレイドン(ギター)、チャック・レイニー(ベース)、レイ・パーカー・Jr(ギター)、TOTOのメンバーらがヴァレリー・カーターをサポート。
バックのミュージシャンの個性に圧倒されたり過剰に演出されることもなく、シンガーとしてのヴァレリーの魅力が十二分に引き出された一枚です。プロデューサーに迎えたジェームズ・ニュートン・ハワードの功績も大きかったことでしょう。彼はエルトン・ジョンやメリサ・マンチェスターらの楽曲のアレンジで注目され、後にリッキー・リー・ジョーンズの『The Magazine』(1984年発表)のプロデュースを手掛け、現在は『Pretty Woman』(1990)、『The Fugitive(逃亡者)』(1993)、ER(1994 - 2009)、『Batman Begins』(2005)、『I Am Legend』(2007)など映画やテレビ・ドラマの音楽の世界で活躍している人物です。

オープニング・ナンバーはヴァレリー・カーターがプロデューサーのジェームズ・ニュートン・ハワードらと競作した、「Crazy」。恋愛する複雑な女心が描かれた曲です。スティーヴ・ルカサーらTOTOの面々がバックを受け持っていました。


CRAZY
何度も朝を迎える度に
随分長いこと私を辛い気持ちににさせられてきたのだと思う
太陽の光に目が眩み、何かをするのを妨げ続けている
私の頭の中はこんなことばかり
私はもうこれ以上嘘を並べ立てることは出来ない
そんなものを引きずる自分なんて
ひとりぼっちで生きて行くよりも厄介に違いないわ

気にし過ぎだと
あなたの声が聞こえる
自分がどんな女だったなんか忘れよう
向こう見ずでどうかしてるってことはわかってるわ

気にし過ぎだと
あなたの声が聞こえる
でもあなたにはわかってるでしょう
私がいつもこんな風だってことを
向こう見ずでどうかしている女
たぶんそれが私の本性よ

他の人よりはるかに私の思いを受け入れてくれたのは
あなただってことがはっきりしている
あなたはカヴァーの中に片足を突っ込み
私はそこから片足を出す

特別扱いだなんて
あなたは私のために乾杯を呼びかける
ひそひそ話はやめてちょうだい
こうならないようにと誓ったことから
私は逃げてきた
あなたは私が楽しんでいると思っているのね
でも、本当は
私をどうしようもなくさせるの
クレイジー、どうかしているわ
私の言いたい意味が分かるわね
私はクレイジー、どうかかしている女なの

「どうしようもなくあなたが必要なの/どうしていいのかわからない」と愛する人への思慕が歌われた、「Da Doo Rendezvous」。ギター・ソロはレイ・パーカー・Jr、アコースティック・ギターはフレッド・タケット、ベースはチャック・レイニー。


TOTOの面々とジェームズ・ニュートン・ハワード(キー・ボード)がバックを担当した軽快な曲調の「Lady In The Dark」。ヴァレリー・カーター、ジェームズ・ニュートン・ハワード、スティーヴ・ルカサーの共作曲です。


ホーン・セクションが印象的な「The Story Of Love」。ファンキーなソウル・ナンバーに仕上がっていました。理性を捨ててしまうほどの恋物語が綴られています。ヴァレリー・カーターとR.Bellの共作。ギターはジェイ・グレイドン、ホーンのアレンジはアース、ウインド&ファイアーやシャイライツを支えたTom Tom 84ことトム・ワシントンが担当していました。


愛する人への未練が漂う「The Blue Side」。深みのある歌声から凛々しさが伝わってきます。ファルセット・ヴォイスが魅力のシンガー・ソング・ライター、デヴィッド・ラズリーとアリー・ウィリスの共作曲。


アリー・ウィルスが1980年に音楽関係者に配布したサンプル盤に収められていたヴァージョンのようです。デヴィッド・ラズリーが2003年にリリースした未発表曲集『Demos』に収録されたものと同一なのかよく分かりません。
http://www.youtube.com/watch?v=35vosxPMDbk

クリスタル・ゲイルも歌っています。1979年のアルバム『Miss The Mississippi』に収録されていますが、今回はライヴ映像でお楽しみください。
http://www.youtube.com/watch?v=rrW1U-IfptU

爽やかで軽やかな「Trying To Get To Know You」。新しい恋への積極的な気持ちと切なさが交錯する女性の心理を歌うヴァレリー・カーターがいじらしく思えるようなナンバーです。シカゴの名門ソウル・グループであるシャイライツのリード・ヴォーカルとして活躍したユージン・レコードの作品。オリジナル・ヴァージョンは1978年に発表された彼のソロ・アルバム『Eugene Record』に収録されていました。


ユージン・レコードのヴァージョンも宜しければお聴きください。
http://www.youtube.com/watch?v=vn5AN2at4vA

AORの名盤として語り継がれる本作ですが、商業的には芳しい結果を残せなかった本作。CBSとの契約が打ち切られた後は数々のアーティストのバック・ヴォーカルとして活動します。彼女がレコーディングやツアーに参加したアーティストはジャクソン・ブラウン、ジェームズ・テイラー、クリストファー・クロス、ダイアナ・ロス、ロッド・スチュアートなど枚挙に暇がありません。
洗練された癖のない声質と巧みな歌い回しの妙、清楚と妖艶を兼ね備えた天性の資質に磨きをかけ、ようやくヴァレリーがサード・アルバム『The Way It Is』をリリースできたのは1996年。なんと12年もの歳月がかかりました。

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