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Levon Helm - ELECTRIC DIRT

前回の記事ではロビー・ロバートソンの『Storyville』を取り上げましたが、彼のかつての僚友だったリヴォン・ヘルムに言及しないと不公平のような気がしました。そこで今回は彼が2009年に発表した『Electric Dirt』について少しばかり触れてみたいと思います。

Electric DirtElectric Dirt
(2009/06/30)
Levon Helm

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1. Tennessee Jed
2. Move Along Train
3. Growing Trade
4. Golden Bird
5. Stuff You Gotta Watch
6. White Dove
7. King Fish
8. You Can't Lose What You Ain't Never Had
9. When I Go Away
10. Heaven's Pearls
11. I Wish I Knew How It Would Feel to be Free

リヴォン・ヘルムは1940年5月26日、アメリカ南部アーカンソー州マーヴェルの農家に生まれました。10代の頃、エルヴィス・プレスリーやジョニー・キャッシュに魅せられてロックン・ロールに興味を抱き始めます。1957年、高校を卒業したリヴォンはロニー・ホーキンスのバンド、ザ・ホークスに加わりミュージシャンとしての活動を開始。ロックン・ロールの人気が下火になりつつあった59年にホーキンスが拠点をカナダに移すとリヴォン以外のメンバーは相次いで脱退して行き、現地調達のかたちでロビー・ロバートソンらが加入しました。
1964年、ザ・ホークスは意見の相違からロニー・ホーキンスの下を離れ、リヴォン&ザ・ホークスと名乗って、カナダとアメリカで活動を続けることになります。クラブでのライヴ活動が中心でしたが、64年から65年に掛けてロビー・ロバートソンによるオリジナルを含む数曲のレコーディングを行い、シングル盤が幾度か発表されたもののヒットには至りませんでした。この時期はバンド名から察するに、最古参でもあるリヴォンがリーダー・シップを発揮していたことが推測されます。
こうした地道な活動が実を結び、1965年にボブ・ディランのマネージャーであるアルバート.グロスマンの目に留まり、ディランのバック・バンドに採用。68年に The Band と改名し、ようやくアルバム『Music From Big PInk』のリリースに漕ぎ着けたのでした。
ロック・ミュージックにカントリー、ブルース、R&Bなどルーツ・ミュージックの要素を融合させ、音楽を通してアメリカ人が忘れていた文化や伝統や歴史をカナダ人の手で甦らせた The Band。その功績は計り知れないものでした。
楽曲の殆どを創作していたのはロビー・ロバートソンですが、リード・ヴォーカルはリヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルの個性的な三人が主に担当。リヴォンの歌声はとりわけアーシーで、唯一のアメリカ南部出身者であることから他の四人のカナダ人のアメリカへの憧憬を具体化するための感触を持ち合わせた存在だったと言えるでしょう。
1977年発表のアルバム『Island』を最後にザ・バンドは解散。メンバーはそれぞれの道を歩みます。リヴォン・ヘルムやリック・ダンコは相次いでソロ・アルバムをリリース。82年に二人は一緒にツアーを行い、そのことがきっかけとなって翌83年にザ・バンドは再結成されました。しかし、そこにロビー・ロバートソンの姿はなかったのです。リヴォンとロビーの間には修復し難いほどの確執があったのでしょう。
順調な活動が続くと思われた矢先の1986年、リチャード・マニュエルが自ら命を絶ち、99年にはリック・ダンコも他界。そんな中の96年にはリヴォン・ヘルムも病魔に冒されるというアクシデントに襲われていたのです。リヴォンは喉頭がんによって歌声を失ってしまいました。
それでもドラマーとして気丈に音楽活動を継続するリヴォン。現状を受け入れ地道に努力する者を神は決して見放しませんでした。リヴォンは奇跡的な回復力で歌声を取り戻し、2007年にアルバム『Dirt Farmer』をリリースするに至ったのです。

そして今回紹介する『Electric Dirt』。プロデュースは前述の『Dirt Farmer』に引き続き、ボブ・ディランのツアー・バンドや数々のアーティストのレコーディング・セッションで活躍したマルチ・プレイヤーのラリー・キャンベルが起用されています。また、リヴォンの娘でオラベルのメンバーでもあるエイミーがバック・ヴォーカルで参加していました。
2008年のグラミー賞で最優秀トラディショナル・フォーク・レコーディング賞に輝いた前作『Dirt Farmer』の成功にリヴォンは気を良くしたのか、ヴォーカルにもドラム演奏にも気合いが込められた反面、リラックスした雰囲気で気の合う仲間と自分が追求する音楽を楽しみながら作った印象が窺える本作。幾つもの試練を乗り越え、闘病の苦しみに耐え、年齢を重ねるとともに説得力や表現力を増した成果が如実に表された一枚でしょう。

オープニングを飾るのはグレイトフル・デッドのナンバー、「Tennessee Jed」。ジェリー・ガルシアとロバート・ハンターの共作曲です。酒色やギャンブルに溺れ、違法な仕事に手を染めた男が居場所をなくして故郷のテネシーに思いを馳せる歌。ライヴ映像でお楽しみください。


TENNESSEE JED
冷たい鉄の手かせと鎖つきの鉄球がついた足かせ
黄昏時を走る列車の汽笛に耳を傾けろ
なぁ、あんたはお陀仏となる運命だぜ
テネシー・ジェドのもとに戻らないんだったらな

金持ちの男が哀れな俺の頭を踏んづける
戻ってきたら俺のパンにバターを塗ったほうがいい
ほらな、俺の言った通りだろう
テネシー・ジェドのもとに早く戻ったほうがいいぜ

テネシー、テネシー
俺がいたい場所はここ以外にない
ベイビー、俺を連れ戻してくれないか
テネシーへとな

一日中飲んだくれ、一晩中踊りまくる
ちゃんと歩かないとブタ箱入りだぜ
今朝一通の手紙を受け取った
なんて書いてあったか分かるかい
とっととテネシー・ジェドのもとに帰ったほうがいいってな

階段を四つも踏み外し、俺は背骨を砕いてしまった
ハニー、早くヨードチンキを持ってきてくれ
ベッドでひと眠りしよう
それからテネシー・ジェドのもとへ帰るんだ

昔なじみのチャリー・フォグに出くわした
だが奴は俺を殴って目の回りに黒いアザをつけ
俺の犬を蹴飛ばしやがった
犬は俺のほうを見てこう言ったのさ
テネシー・ジェドのもとへ帰ろうよとな

今朝目が覚めたらしみったれた気分
スロット・マシーンをやりに出かけたのさ
スロットの回転板がくるくる回り
こんな言葉が出てきた
さっさとテネシー・ジェドのもとへ戻りなよ

独特のルーズなグルーヴ感が漂うグレイトフル・デッドのヴァージョンは1972年リリースの『Europe ’72』に収録。今回は1991年のライヴ映像をご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=t7oNS-bDZqc

リヴォン・ヘルムとラリー・キャンベルの共作による「Growing Trade」。このアルバムの中で唯一のオリジナル作品です。全体的な雰囲気やギターのフレーズがThe Band 時代のナンバーを彷彿させました。働けど暮らしは良くならず、やがて違法な稼業に手を染める不条理と諦観がやるせない歌です。淡々としたリヴォンのヴォーカルに侘しさをかき立てられました。


ハッピー・トラウム作の「Golden Bird」。フィドル、ダルシマー、オートハープなどを用いてアパラチア風に仕上げています。リヴォンの枯れたような渋い歌声が郷愁を誘い、心に滲み渡ります。恋人を傷つけたことへの後悔が、一羽の鳥を撃ち落として置き去りにした行動になぞらえて切なく歌われていました。なお、ハッピー&アーティーのオリジナルは1968年の『Happy And Artie Traum』に収録。


ノスタルジーを感じさせる「King Fish」。拙ブログではお馴染みのランディ・ニューマンの作品です。ニュー・オリンズ・ジャズ風のホーン・アレンジはアラン・トゥーサンが担当しています。人種に関係なく、ニュー・オリンズにおいての貧富の差が歌の中で語られていました。


ランディ・ニューマンのオリジナル・ヴァージョンは1974年の『Good old Boy』に収録。今回はライヴ映像をご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=ZmFQu_8u1TU

ラリー・キャンベル作の「When I Go Away」。もともとは彼がプロデュースを担当したゴスペル・グループ、ディクシー・ハミングバーズのアルバム『Diamond Jubilation: 75th anniversary』(2003年発表)に収録されていた曲で、内容は臨終の時を迎えた男への鎮魂歌です。このアルバムにはリヴォン・ヘルム、ガース・ハドソン、ドクター・ジョン、トニー・ガーニエ(ボブ・ディランのツアー・バンドの中心的存在)などが参加していました。

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コメント

こんばんは。
Dirt Farmerと、このElectric Dirtの2連発は、本当に強烈ですね。
ベテラン・ビッグ・ネームの新作で経験しがちな、「やっぱり昔の方がいいや」という気が全くおきない、素晴らしい内容のアルバムだと思います。
良く聴きます。
Substitute様、コメントありがとうございます。
殆どがカヴァー曲ばかりですが、自己流の解釈とアレンジでオリジナルとはまた違った味わいを醸し出していますね。リヴォン・ヘルムの資質はもとより、プロデューサーであるラリー・キャンベルの力も大きかったのでしょう。リヴォンには今後もザ・バンド時代の栄光にとらわれず、円熟したパフォーマンスを漂わせてほしいものです。
いつも奥の深い内容に驚かされますが、ザ・バンドの確執はリックダンコだけじゃなかったんですね・・・・メンバーも3人が亡くなり再結成など望むことも出来ませんが来日しているイーグルスといいバンドを続けるのは難しいですね。頑張れ!ストーンズ(笑)
kuwa様、コメントありがとうございます。
The Bandのレパートリーの中で、ロビー・ロバートソン単独で作った作品であっても共作曲が幾つもあったとリヴォン・ヘルムは主張しているそうです。印税という金銭に関わる問題が露になると、グループが築いたチーム・ワークや人間関係などいとも簡単に吹っ飛んでしまうものですね。
少し前に発売されたキース・リチャーズの自伝において、ミック・ジャガーの悪口が記されていたことが話題になりました。そのことに対して、ミックは殆ど意に介さなかったとのこと。結局、喧嘩が出来るほど仲のいいことを証明した出来事だったのかもしれません。
昨年、リヴォン来日情報がありましたが、
どうなったんでしょうね。
元気だといいんですけど。
BRUCE06様、コメントありがとうございます。
以前のBRUCE06さんのブログで、細野晴臣さんのステージに飛び入りした久保田真琴さんが「リヴォン・ヘルム2010年来日予定」との趣旨の発言をされたとの記事が掲載されていましたね。あれから少し時間が経過し、その後のリヴォン・ヘルムの情報もあまり耳にしません。具合が少々気になります。

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