好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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P.F. Sloan - From A Distance

前回のジミー・ウェッブの記事でP.F.スローンのことについて言及しましたので、今回は彼自身に登場していただくことにしました。取り上げる曲はもちろん「From A Distance」。1966年にリリースされたものの本国アメリカでは話題にもならず、1969年に日本でヒットした曲です。

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(2008/05/27)
P.F. Sloan

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1. Sins Of A Family
2. Take Me For What I'm Worth
3. What Exactly's The Matter With Me
4. I'd Have To Be Out Of My Mind
5. Eve Of Destruction
6. This Mornin'
7. I Get Out Of Breath
8. This Is What I Was Made For
9. Ain't No Way I'm Gonna Change My Mind
10. All The Things I Do For You Baby
11. (Goes To Show) Just How Wrong You Can Be
12. What Am I Doing Here With You
13. From A Distance
14. The Man Behind The Red Balloon
15. Let Me Be
16. Here's Where You Belong
17. This Precious Time
18. Halloween Mary
19. I Found A Girl
20. On Top Of A Fence
21. Lollipop Train (You Never Had It So Good)
22. Upon A Painted Ocean
23. City Women
24. A Melody For You
25. Sunflower, Sunflower
26. Karma (Study In Divinations)
27. I Can't Help But Wonder, Elizabeth

P.F.スローンは1945年9月18日にニューヨークで誕生し、幼い時に彼の一家はロサンゼルスに移住しています。詳しい経歴は分かりませんが、スローンが音楽業界に関わり始めたのは早く、なんと12歳の頃。1957年に地元のマイナー・レーベルと契約を交わしたのがキャリアのスタートのようです。しかし、このレーベルはスローンがシングル盤をリリースした直後の1959年に閉鎖されてしまいました。そんな不運にめげず、スローンはヴィー・ジェイ・レコードのA&Rマンに転身して修行を積む日々を送ります。
1963年、当時ジャン&ディーンのマネージャーだったルー・アドラーの紹介でスローンはスティーヴ・バリと出会いました。スティーヴ・バリも幼き頃にニューヨークからロサンゼルスに移り住み、数枚のシングル盤をリリースするものの鳴かず飛ばずの状況におかれていた身。境遇の似た二人は意気投合したのか、ジャン&ディーンのバック・ヴォーカルを担当すると同時にソング・ライティングのチームを組み、「Summer Means Fun」、「Tell 'Em I'm Surfin'」などの楽曲の提供もジャン&ディーンに行いました。
1964年、スローンとバリはファンタスティック・バギーズ名義で、アルバム『Tell 'Em I'm Surfin'』を発表。ドラムスのハル・ブレインらスタジオ・ミュージシャンと作り上げた作品であり、ライヴを含めたバンド活動を行う予定がなかったためか、アルバムのジャケットに写る二人以外のメンバーは友人を連れて来て撮影に臨んだとのことでした。
こうした実績が認められたのか、スローンとバリのチームはルー・アドラーが設立したダンヒル・レコードのソング・ライター兼プロデューサーとして契約を結び、多くのヒット曲を世に送り出して行きます。

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1965年、ザ・バーズがボブ・ディランの「Mr. Tambourine Man」をヒットさせていたことからルー・アドラーはフォーク・ロックが音楽の潮流となると確信しました。そこで彼はスローンとバリのコンビにプロテスト色が醸し出されたフォーク・ロック調の楽曲を書くように指示。二人は冷戦における核戦争の恐怖をテーマにした「Eve Of Destruction」を作り、アドラーはニュー・クリスティ・ミンストレルズのリード・ヴォーカルで「Green, Green」の作者であもあるバリー・マクガイアにこの歌を歌わせました。アドラーの狙い通り「Eve Of Destruction」は全米1位の大ヒットとなり、ダンヒル・レコードは幸先の良いスタートをきったのです。


P.F.スローンのセルフ・カヴァー・ヴァージョンです。1965年発表の『Songs Of Times』に収録。日本では「From A Distance」のB面としてもリリースされていました。


フォーク・ロック・サウンドの流行の中、ダンヒル・レコードはママス&パパスやグラス・ルーツといったグループを続けて輩出。スローンとバリもスタッフとしてダンヒルのサウンドを支えると同時に外部のアーティストにも楽曲を提供して名声を高めて行きます。

1966年に全米3位となったジョニー・リヴァースの「Secret Agent man」。彼はダンヒルの所属ではありませんが、ルー・アドラーがマネジメントを担当していたことがあるので、その縁で楽曲が提供されたものと思われます。


もともとアーティストだったスローンとバリ。スローンが単独でシングルやアルバムを出す傍ら、二人は適当なバンド名を付けてシングルをリリースしたこともありました。その中の一曲が The Glassroots(グラスルーツ)名義で発表された「Where Were You When I Need You」です。この曲はローカル・ヒットとなり気を良くしたスローンはメンバーを集めてステージに立ち、ツアーに出ようと考えました。しかし、ダンヒル側はスローンが抜けるとレコードの制作に支障が出ることを理由に難色を示し、ベドウィンズというグループをグラスルーツに仕立て上げたのです。そして、スローンとバリを中心としたスタジオ・ミュージシャンが楽曲を録音し、グラスルーツがステージで演奏するというスタイルで事が進行しはじめました。


ところがグラスルーツはそんなスタイルに飽き足らず、自分たちもレコーディングに参加する事を望んで離脱してしまいます。このトラブルを乗り越えるために、ダンヒルは彼らに代わってデビュー間近のサーティンス・フロアを「The Grass Roots(グラス・ルーツ)」に改名させて打開。このバンドはデビュー当時は鳴かず飛ばずだったものの1967年にイタリアのグループ、ローグスの「Live For Today」をカヴァーして全米8位となるヒットを放ちました。
こうして順調にプロジェクトが進行して行くように思われましたが、業を煮やしたのか今度はスローンが離脱。ソロ活動に専念します。

今回紹介する「From A Distance」は冒頭で述べた通り1966年にP.F.スローン単独で発表されましたが話題にもならずに終わりました。やがてダンヒルとの契約も打ち切られ、幾つかのレーベルを渡り歩く羽目に会います。そんな中で1969年当時日本でのダンヒルの発売権を持っていた東芝(現 EMI Japan)が強力にプッシュ。シンプルなメロディーと哀愁を帯びた切ない歌声が好まれたのか、翌70年にかけて日本だけのヒット曲となりました。ちなみにこの曲は1966年発表のアルバム『Twelve More Times』に収録されています。



FROM A DISTANCE
人里離れた教会の鐘の音を聴いたことがあるかい
天使が泣きながら歌う声を聴いたことがあるかい
遠くから 遠くから
人々は天使の嘆きが聞こえるんだ
ああ 天使は明日の罪がもたらす悲しみに泣いている

空から流れ落ちて来る星を見たことがあるかい
遠くから眺めていると
天が片目をなくしたように見えるよ
遠くから 遠くから眺めていると 
天が片目をなくしたように見えるのさ
そう、神様が君と俺を見るためのチャンスを
ひとつなくしたんだ

信念とは、友よ
何であるのか悟るのは困難なことだ
夜中に一人彷徨うときには

君は思いめぐらしたことがあるかい
高いってどのくらい高いかということを
遠くからだと
高い建物でさえもとても小さく見える
遠くからだと 遠くからだと
高い建物だってとても小さく見えるもの
そう、誰のことも何のことも計ることなどできやしないのさ

信念とは、友よ
何であるのか悟るのは困難なことだ
夜中に一人彷徨うときには
灯りを消しなさい そうすれば

人里離れた教会の鐘の音を聴いたことがあるかい
天使が泣きながら歌う声を聴いたことがあるかい
遠くから 遠くから
天使の嘆きが聞こえるんだ
ああ 天使は明日の罪がもたらす悲しみに泣いている

前述したようにその後のスローンはヒットに恵まれず、次第に忘れ去られた存在になりました。ソング・ライターとして成功しているので生活に困窮することはなかったと思われますが、干されたような状況に耐え忍んでいたのかもしれません。スローンのウェブ・サイトを閲覧すると、1990年代にニューヨークで何度かステージに立った事が記されているので、完全に引退したわけではなかったようです。

細々と活動していたことを裏付ける1990年のライヴ映像。


そして、1994年に日本先行発売で、パイオニアLDC(現 ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)から12年ぶりの新作『SERENADE OF SEVEN SISTERS』を発表。新曲に加えて環境保護をテーマに改作した「Eve Of Destruction」のニュー・ヴァージョンや「Secret Agent Man」のセルフ・カヴァーなどが収録されており、スローンの健在ぶりが示されました。なお本国アメリカでは1997年に『STILL ON THE EVE OF DESTRUCTION』と改題されてリリースされています。

明日なき世界明日なき世界
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忘れ去られたアーティストにとって続けてアルバムを出すというパフォーマンスは容易なことではなく、再びスローンの歌声が届けられたのは10年以上の年月を経た2006年。今作は「From A Distance」の再録や三度目の再演となる「Eve Of Destruction」を含む新旧取り混ぜた楽曲で構成されていました。

Sailover (Dig)Sailover (Dig)
(2006/08/22)
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ニュー・ヴァージョンの「From A Distance」。苦難を乗り越えた彼の噛み締めるようなヴォーカルが印象的です。


ジミー・ウェッブの記事の中で触れた「Sins Of A Family」。1965年のアルバム『Songs Of Our Times』に収められていた楽曲の再録音です。ボブ・ディランを意識したようなスローンのヴォーカルにルシンダ・ウィリアムスの少々はスキーな歌声が絡みます。二人のヴェテラン・シンガーによって人生の酸いも甘いも噛み分けたような雰囲気が醸し出されていました。


現在も地道に活動を続けるP.F.スローン。2006年頃のライヴ映像で今回はお開きとします。

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コメント

先日はご訪問ありがとうございました

ダンヒルサウンドの象徴的なグループのグラス・ルーツ~メンバー入れ替わり等の話は聞いたことがありましたが、こんなに複雑だったんですね!

これとちょっと似たような話で、70年代初頭の大ヒット曲「ノックは3回」トニー・オーランドとドーンも、曲がヒットして慌ててバンドを組ませたり、ジャケット写真は別人といったような、かなりアバウトな状況な話も聞いたことがあります(笑)

まだまだ、レコード会社の力が強かったんですね!

また寄らさせていただきます!
これからもよろしくお願いします。

PS.僕はまともにウェストコーストサウンドの洗礼を受けてます。
しばらくしたら、特集予定なので、トラックバックを遠慮せず、じゃんじゃん送って下さい!(笑)
JOHN BEATLE LENNON様、コメントありがとうございます。
スタジオ・ミュージシャンによる実体のない覆面バンド。1960年代は英米ともにそんなスタイルが数多く見られたと聞きます。レコード会社がヒットを狙うには新人を発掘するよりも手っ取り早く、そのほうが確実だったのかもしれませんね。ちなみに、ダンヒルにはグラス・ルーツと同じようなプロジェクトで進行したハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズというバンドも存在しました。
つたなくとりとめのないブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
なぜか日本では流行りましたね
本国ではいまいちでしたが

余談ですが
情報として
24 Oct 2010に
1 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA, USにて
Neil Young at Shoreline Amphitheatre
参加者がすごいのです

Neil Young
Jeff Bridges
Leon Russell
Kris Kristofferson
Merle Haggard
Neko Case
Grizzly Bear
and 8 more…
Elvis Costello
Elton John
Modest Mouse
Bridge School Benefit Concert
24th Annual Bridge School Benefit Concert
Pearl Jam
Buffalo Springfield
T Bone Burnett

行きたいですよね♪

God bless you...

Azumi様、コメントありがとうございます。
洋楽にも日本人の心の琴線に触れるメロディーというものがあるようですね。
バッファロー・スプリング・フィールドの再結成は嬉しいような、何を今さらというような複雑な気持ちが交錯しております。
こんにちは。
”From A Distance”が谷村新司の学生時代に活動していたロック・キャンディーズ”あなたの世界”
を思い浮かべるのは関西人の小生のようなオッサンだけかな?
スナジイー様、コメントありがとうございます。
この曲は後に猫を結成する田口清さんがジ・アマリーズ時代に日本語でカヴァーされていたそうですが、さすがに私も当時は小学生だったこともあり、谷村新司さんのロック・キャンディーズのことはよく分かりません。
ロック・キャンディーズは大阪や神戸で絶大な人気を博したPP&Mスタイルのバンドだったようですね。伝説だけは耳にしたことがあります。
こんばんは^^
"Secret Agent Man"、かっこいいですねー。
ベンチャーズも演奏してましたっけ?
「孤独の世界」、いいですね。
歌詞の意味はこういうことだったのですね。
ニューバージョンもゆったりした曲調がいいですね。
saya様、こちらこそご無沙汰しております。
"Secret Agent Man"はザ・ベンチャーズを始め多くのアーティストにカヴァーされているようです。インストゥルメンタルでもかっこいい曲ですね。
1970年代に入ってP.F.スローンが低迷した理由の一つは ”From A Distance” や "Eve Of Destruction" のようなプロテスト色の強い歌が敬遠され始めたからだとも言われております。冷戦やヴェトナム戦争が終結に向かい出した社会背景が関係しているのでしょう。
P.F.スローンの「孤独の世界」をブログで書こうかな
と思って少し調べているうちに、こちらのページを
拝見いたしました。素晴しい内容だと思います。

もしよろしければ、拙ブログの記事中に
こちらの記事のリンクを貼らせていただければと
思いますがいかがでしょうか。
とらくる様、ご訪問ありがとうございます。
私が書いた拙い記事でよければどうぞお貼りください。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

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