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Linda Ronstadt - Don't Cry Now

前回はJ.D.サウザーに登場していただきましたが、その流れで今回はリンダ・ロンシュタットを取り上げることにしました。お題は『Don't Cry Now』。彼女がアサイラム・レコード移籍第一弾として1973年にリリースしたアルバムです。

ドント・クライ・ナウ(紙ジャケット)ドント・クライ・ナウ(紙ジャケット)
(2010/07/07)
リンダ・ロンシュタット

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1. I Can Almost See It
2. Love Has No Pride
3. Silver Threads And Golden Needles
4. Desperado
5. Don't Cry Now
6. Sail Away
7. Colorado
8. The Fast One
9. Everybody Loves A Winner
10. I Believe In You

このアルバムのメインのプロデューサーはJ.D.サウザーですが、曲によってジョン・ボイランやピーター・アッシャーの名が記されています。レコード会社を移籍し、これまでリンダを公私に渡って支えて来たジョン・ボイランからピーター・アッシャーにマネージャーが交代する過渡期であったために起こった事態かと思われますが、そうした影響は及ぶことなくアルバム全体の統一感は損なわれておりません。
若さにまかせたような一本調子な面が消え、情感を込めて繊細に歌うリンダ・ロンシュタット。たおやかさも感じ取れます。こうした変化はジョン・ボイランからJ.D.サウザーに恋のパートナーが替わったことも関係しているのでしょうか。

アルバムのオープニング・ナンバーを飾る「I Can Almost See It 」(J.D.サウザー作)はYouTubeに映像・音源がないため割愛させていただきます。ジミー・ファッデン(NGDB)のハーモニカが印象的なカントリー・タッチのこの曲はJ.D.がプロデュースのみならずアコースティック・ギターとベースまで担当していました。スティール・ギターにスヌーキー・ピート(元フライング・ブリトゥー・ブラザーズ)、ピアノにスプーナー・オールダム、エレクトリック・ギターにジェリー・マッギーという豪華メンバー。愛する女性のために張り切るJ.D.の姿が映し出されているような気がします。

二曲目はエリック・カズとリビー・タイタス共作の「Love Has No Pride」。リンダの本領が発揮されたカントリー・ロッックに仕上げられています。プロデュースとピアノはジョン・ボイラン。スティール・ギターはスヌーキー・ピートが担当していました。
続いて、「Silver Threads And Golden Needles」。プロデュースはジョン・ボイランとJ.D.サウザー。バック・ヴォーカルにハーブ・ペダーセンが参加。以前紹介したリンダのファースト・ソロ・アルバム『Hand Sown... Home Grown』にも収録されていた曲の再演です。ワンダ・ジャクソンのヴァージョンがオリジナルのようですが、ダスティ・スプリングフィールドが在籍していたスプリングフィールズが1962年にヒットさせました。
ブログへの貼付けが出来ないのでこの二曲は下記のURLをクリックしてご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=UWN2CPLftF0

リビー・タイタスが歌う「Love Has No Pride」は1977年リリースの『Libby Titus』に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=jSQ9te0qvaI

何の説明の必要もないイーグルスのナンバー「Desperado」。プロデュースとギターはJ.D.サウザー。ピアノはスプーナー・オールダム。ベースはクリス・エスリッジ。彼らの演奏とゴスペル風のコーラスによるおかげか、イーグルスのヴァージョンよりもソウルフルな感触を感じ取れました。


DESPERADO
向こう見ずのあなた 目を覚ましたらどうなの
ずっと長い間どっちつかずのまま
ああ 困った人ね
あなたなりの理由があるんでしょう
あなたを楽しませていることが
自分自身を傷つける日が来るわ

ダイヤのクイーンは引かないで
もしかしたら酷い目に遭うわよ
最良の選択はハートのクイーンだって分かってるのに
あなたの目の前のもの
結構いい手に見えるわ
でもあなたは手に入らないものを欲しがるだけ

向こう見ずのあなた 若さは取り戻せないでしょ
心身の痛みと満たされぬ思いから安楽を得たいはず
それに自由 ああ自由と
そんなことを誰もが口にしている
あなたはたったひとりでこの世を渡る囚われの身ね

冬になっても弱気にならないで
空からは雪も降らず 陽も照らない
昼と夜の区別をつけるのも困難
気持ちの高ぶりも落ち込みもなくし
感情が消え去ることを楽しんでいるの

向こう見ずのあなた 正気を取り戻して
どっちつかずはもうやめて 心を開いて
今は雨でも あなたの頭の上には虹が掛かっているわ
あなたは誰かに愛されることが必要
誰かに愛されて 誰かに愛されて
手遅れになる前に

"Desperado" とは19世紀のアメリカ西部の無法者のことですが、現代に生きる女性の視点を考慮して「向こう見ずの困ったさん」という風に訳してみました。イーグルスのヴァージョンでは弄ばれ自暴自棄に陥った失意の親友を思いやるようなイメージが頭に浮かびますが、リンダが歌う「Desperado」は何事にも満足せずにダイヤのクイーンのような美しくも刺のある女に翻弄されて深みにはまって行く元カレを励まし見守るような雰囲気が窺えます。最後には女性のほうから一緒にやり直すことを提案しているようにも受け取れました。こんな駄目男は母性本能をくすぐる場合もあるようですが、愛想を尽かされるほうが多く、実際に寄りを戻すなんて滅多に起こらないことかもしれません。

ネルソン・ラドル・オーケストラとの共演映像です。


イーグルスのヴァージョンは1973年リリースの『Desperado』に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=7lidn3qrrCU

カーペンターズも1975年発表の『Horizon』で取り上げていました。
http://www.youtube.com/watch?v=KKpLI7aiKrg

J.D.サウザー作の表題曲「Don't Cry Now」。プロデュースはJ.D.が担当。ギターにラリー・カールトン、ピアノはスプーナー・オールダム、ベースにクリス・エスリッジ、バック・ヴォーカルにウェンディ・ウォルドマンといった布陣が配されています。
http://www.youtube.com/watch?v=-Bpx1X3TTOI

黒人奴隷を船に乗せ、新大陸アメリカを目指して就航した移民を歌ったランディ・ニューマン作の「Sail Away」。プロデュースはピート・アッシャー。ギターはラリー・カールトン。スティール・ギターはスヌーキー・ピート(元フライング・ブリトゥー・ブラザーズ)。クレイグ・ダーギ(ピアノ)、リー・スクラー(ベース)、ラス・カンケル(ドラムス)らセクションの面々も駆けつけていました。


ランディ・ニューマンのオリジナル・ヴァージョンは『Sail Away』(1972)に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=chaP4MCXp4w

フライング・ブリトゥー・ブラザーズで活躍したリック・ロバーツ作の「Colorado」。リック自身もアコースティック・ギターで参加しています。スティール・ギターはスヌーキー・ピート。プロデュースはジョン・ボイラン。
叙情的なリンダの歌声が胸を打ちます。


リック・ロバーツが歌うフライング・ブリトゥー・ブラザーズのヴァージョンは1971年リリースの『The Flying Burrito Bros』に収録。
http:///www.youtube.com/watch?v=dPpnvNlywP8

J.D.サウザー作の「The Fast One」。彼のファースト・アルバム『John David Souther』(1972)にも収録されてた曲です。こちらもプロデュースはもちろんJ.D.サウザー。アコースティック・ギターをJ.D.サウザー、エレクトリック・ギターをグレン・フライ(イーグルス)、ベースをクリス・エスリッジが担当していました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ef_ziJLWxzo

ウィリアム・ベルとブッカー・T・ジョーンズ共作の「Everybody Loves A Winner」。ウィリアム・ベル本人のヴァージョンは1967年リリースの『Everybody Loves A Winner』に収録。カントリー風にアレンジされているものの、こうした選曲はリンダのR&B/ソウルへの興味が窺えるような気がします。プロデュースはジョン・ボイランとJ.D.サウザー。リタ・クーリッジもアルバム『The Lady's Not For Sale』(1972)の中で取り上げていました。
http://www.youtube.com/watch?v=17F7gpJIdwc
ニール・ヤング作の「I Believe In You」。この曲もリタ・クーリッジが『Rita coolodge』(1971)でカヴァーしています。プロデュースはピート・アッシャー。ピアノをクレイグ・ダーギ、ベースをリー・スクラー、ドラムスをラス・カンケル。こちらもセクションの面々が参加。
なお、ニール・ヤングのオリジナル・ヴァージョンは『After The Goldrush』(1970)に収録されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=g3wDtNgm990


卓越した歌唱力と豊潤な歌声を持ったリンダ・ロンシュタット。他のアーティストが書いた作品の良さを理解し、その魅力を十二分に引き出すことの出来るシンガーです。と同時にどの曲も彼女のために書かれたと思わせるぐらいの個性もあわせ持っていました。現在のアメリカの音楽界はヴェテラン・アーティストにとって辛い状況が続いているようですが、近いうちに彼女の新曲が聴けることを望む次第です。

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コメント

こんばんは。
これは、とても充実度の高い盤ですね。
音的には、この盤でカントリーからロックの世界にグッと寄ったような印象があります。
本当に仰る通り、彼女は他人の楽曲をまるで我が物のように歌い、それに合う演奏やプロデュースといったサポートを得ていますね。
Substitute様、コメントありがとうございます。
リンダ・ロンシュタットはこのアルバムでロック色を増しましたが、女性らしい繊細な心づかいを窺わせるようにもなりました。
悲しみを情感を込めて歌い上げたり、いきいきと力強くシャウトしたりと楽曲の魅力を変幻自在に表現する彼女の持ち味は誰にも真似が出来ませんね。
リンダの事 書こかいな?なんて思とりましたが これだけ詳しく
解説されてるとは 流石です 
ほんまボキャブラリー無さ過ぎの ええ加減 naldanブログとは大違い
たいしたもんです!!
リンダの歌声は正しく喜怒哀楽歌唱ですな 切なくもなり和んだり元気になりますね。

ナルダン珈琲店主様、コメントありがとうございます。
いつもながらのつたない文章でお恥ずかしい限りです。
おっしゃる通りリンダ・ロンシュタットの歌声には喜怒哀楽が溢れていますね。そのことがリスナーの心の琴線に触れる要因となっているのでしょう。唯一無比の存在。彼女には身も心も奪われてしまいます。やはり「Witchy Woman」といったところですな。
こんばんは~
これは良いアルバムですよね。80年代のスタンダードジャズの彼女も嫌いではないんですが、やはりカントリーテイスト漂うこの頃が好きかな・・・

有名曲ばかりで今聴くと少々こっぱずかしさみたいなものも感じてしまうんですが、それでも名唱揃いの素敵なアルバムです。
shintan様、コメントありがとうございます。
おっしゃる通りスタンダード・ジャズのリンダも良いのですが、彼女にはカントリー・ロックが一番よく似合っていますね。
有名曲であろうと書き下ろしであろうと、自分だけのものにしてしまうような実力がリンダには備わっているようです。唯一無比の存在といったところでしょうか。
の名前を聞くとついついテンションが上がってしまいます(笑)
Backstreetsさんの記事を読んでいるとTBさせて頂いた記事がお恥ずかしいばかりです。
改めてLove Has No Prideは名曲ですね。
ボニー・レイット、リタ・クーリッジのヴァージョンも絶品だと思います。
Purple_Haze様、コメントありがとうございます。
Purple_Hazeさんのアーティストへの愛情に溢れたあたたかみのある記事を拝読していると、いつまでたってもつたない文章しか書けない自分を恥ずかしく思う次第です。
「Love Has No Pride」のカヴァーは女性ばかりが目立ちますが、男性シンガーであるポール・ヤングも1993年発表の『The Crossing』というアルバムで取り上げているようです。もちろんエリック・カズ本人による歌声もいつの日か聴いてみたいものですね。

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男子たるもの思春期時代に芸能人(古っ)の女性に夢中になったり、ほのかな思いを寄せたりした思い出はだれでもあるはずだ。 僕の場合、小学校高学年の頃は小川知子や久美かおり。 久美かおりは知らない人が多いとおもうが、GSのザ・タイガース
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