好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Marc Jordan - MANNEQUIN

蒸し暑い日が続くので、今回も夏向きの音を取り上げて一服の清涼剤としたいと思います。ご登場を願うアーティストの方はマーク・ジョーダン。彼が1978年にリリースした『MANNEQUIN』が本日のお題です。

マネキン(SHM-CD紙ジャケット仕様)マネキン(SHM-CD紙ジャケット仕様)
(2010/08/18)
マーク・ジョーダン

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1. Survival
2. Jungle Choir
3. Mystery Man
4. Marina Del Rey
5. Red Desert
6. Street Life
7. Dancing On The Boardwalk
8. Only Fools
9. One Step Ahead Of The Blues
10. Lost Because You Can't Be Found

マーク・ジョーダンは1947年にニューヨークのブルックリンで生まれ、カナダのトロントで育ちました。父親がカナダで活躍するジャズ・シンガーだった影響からか、幼少の頃より音楽に親しんでいたとのことです。
大学はニューヨークにあるブロック・ユニヴァーシティーに進学。映画を専攻していましたが、音楽で身を立てたいという意志が芽生え、大学を中退してミュージシャンの道を歩みます。
1970年にボビー・ヴィーのバック・バンドにギタリストとして採用され、アメリカおよびヨーロッパを回る下積みの日々を経験。その間にコンポーザーとしての腕を磨き、音楽的なセンスを向上させて行きました。
1974年にはCBSとソロ契約を結ぶ機会に恵まれ、シングル盤を何枚か発表したものの鳴かず飛ばずの状況が続きます。しかし、世の中捨てたものではなく、スティーリー・ダンのプロデューサーとして知られるゲイリー・カッツの目に留まり、彼のプロデュースのもとワーナーから再デビューする運びとなりました。
1976年にボズ・スキャッギスがアルバム『Silk Degrees』で繊細かつ洗練されたサウンドを披露して成功を収めて以来、シティ・ミュージックやAORと称される音楽の流れが定着。レコード会社もこぞってこの範疇の音楽を送り出す傾向にありました。知的でいて親しみやすい雰囲気を持ったマーク・ジョーダンの音楽はその時流の中で開花したのでしょう。

アルバムのオープニング・ナンバーである「Survival」。イアン・マシューズが『Siamese Frienda』(1979)で取り上げていました。


SURVIVAL
今時の子供たちはなんて大人びているんだろう
生きるための正しい術さえ知らぬのに
あまりにも早く成長し過ぎているのだ
生きるための手だてさえ分からぬのに
人によって様々に違うものさ
天国とやらを見つけるには
誰かの地獄を見なければならない

先人は水の上を歩き
空中をも歩いた
何が正しいかを示すために
風船を膨らませてくれた

生き残れ 生き残れ 生き残るんだ

頭の中を駆け巡るとてつもない空想
私の靴は擦り切れてずたずた
足が鉛で作られていたからだ
飛ぶための翼もあった
だが、詩の持つ本当の意味を探るために
時間を費やすのだ

空気は暖かく息苦しい
地下鉄は舗道と足下の大地を揺らす
陽が昇るまで
うるさくて眠れしない
煌めくネオンよ 消えてくれ
私はしばしの安堵が欲しいのだ

少々難解な詞です。先人が水の上を歩くという部分はマルコの福音書第6章49節をもとにしていると思われますが、風船云々は何の例えかよく分かりません。マーク・ジョーダンの書く詞には皮肉や風刺が込められており、甘いラヴ・ソングとは一線を画すものです。ボズ・スキャッグスやネッド・ドヒニーを思い起こす曲調を感じ取れますが、酒、ドラッグ、売春婦、人生の敗者、アウトサイダーなどが作品の中に登場し、表現される世界はむしろトム・ウェイツを彷彿させました。このことはジョーダンがアルチュール・ランボーを好みデカダンスに傾倒していたことに起因するのでしょう。

アルチュール・ランボー(1854-1891)はフランスの詩人。主な作品に『イリュミナシオン』(1872)、『地獄の季節』(1873)など。20世紀の詩人たちに多大な影響を与えた。日本でも西条八十、中原中也、小林秀雄など影響下にあったと思われる詩人・作家・評論家は数多い。ネオ・アカデミズム華やかなりし頃の1980年代半ば、京都大学助手・準教授時代の浅田彰(現 京都造形芸術大学大学院長)がエッセイの中でランボーの詩を引用して話題となった。

デカダンスとは退廃的ということ。既成のキリスト教的価値観に懐疑的で、芸術至上主義の立ち名を取り一派に対して使われた。前述のランボーもその一派に属すとされる。また、太宰治もその作風からデカダンスの作家としてよく語られる。

「ボー・ジャングルのように踊ってくれ」と歌う「Jungle Choir」。


失恋と自暴自棄とドラッグ体験が交錯する「Mystery Man」。タイトル通り奇妙な様子が窺えます。
http://www.youtube.com/watch?v=G-c3n9-NVT0

現在もよくステージで歌われるというトロピカル風の「Marina Del Rey」。明るい曲調とは異なり、「マリナ・デル・レイを出ろよ/仕事を見つけたほうがいいぜ/この素晴らしい太陽や海から遠ざかれよ」と辛辣な言葉が投げかけられていました。


アメリカを赤い荒れ地と呼ぶ、「Red Desert」。現在は希望のない生活を続けていても、ひとつずつ願望を叶えていこうという意志が示されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=W-MtbC0olkY

9. One Step Ahead Of The Blues
ドラッグとアルコールに浸った荒んだ生活の中での女性との出会いを描いた「Lost Because You Can't Be Found」。


適度な透明感と哀愁のあるサウンドとは裏腹に、マーク・ジョーダンが描いた歌の世界は決してソフト&メロウというものではありません。そう言えば、ウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンによるスティーリー・ダンの歌詞もひねくれていて訳の分からなものが多いように思えます。ゲイリー・カッツというプロデューサーはそうした知的で退廃的な匂いのするものが趣味なのかもしれません。また、カッツはマーク・ジョーダンを見初めたように新人発掘という仕事にも携わっており、リッキー・リー・ジョーンズやプリンスといった一癖あるアーティストを見出していました。

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コメント

スルーしてますけど、AORの名盤として誉れの高い一枚ですが。。。
ゲイリー・カッツってアメリカン・フライヤーのメンバーだった人ですか??
アルチュール・ランボーの名前は、マーク・ゴールデンバーグの音楽が使われたサントリーのウィスキー「ロイヤル」のMCに出てきました(笑)
kuwa様、コメントありがとうございます。
心地よいサウンドの中に込められた内容はエキセントリック。マーク・ジョーダンの織りなす世界は他のAORのアーティストとかなり異なった印象を受けました。
アメリカン・フライヤーのカッツさんはBS&Tでも活躍したスティーヴ・カッツさんです。奇しくも拙ブログとリンクを結んでいただいているPurple_Hazeさんの「Blues Power」でアメリカン・フライヤーが記事にされていました。
サントリーのCMはランボーが筆を断って商人に転向してからの人生をモチーフにしたものです。マーク・ゴールデンバーグの音楽がとてもよい雰囲気を醸し出していましたね。

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