好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Ned Doheny - HARD CANDY

梅雨空を吹き飛ばそうと、今回もウエスト・コーストからの風をお願いすることにしました。ご登場いただくアーティスの方はネッド・ドヒニー。海辺、青空、パーム・トゥリーといったジャケットが示す通り明るく爽やか、それでいてちょっぴり切ない世界が表現されています。

ハード・キャンディハード・キャンディ
(1990/08/01)
ネッド・ドヒニー

商品詳細を見る

1. Get It Up For Love
2. If You Should Fall
3. Each Time You Pray
4. When Love Hangs In The Balance
5. A Love Of Your Own
6. I've Got Your Number
7. On The Swingshift
8. Sing To Me
9. Valentine (I Was Wrong About You)

ネッド・ドヒニーは1948年3月26日にロサンゼルスで生まれました。名門の出身らしく、ロサンゼルスのビヴァリー・ヒルズにあるドヒニー通りとは彼の家系に因んだものとのことです。
恵まれた環境の中で、何不自由なく育ったネッド・ドヒニー。少年期から青年期に掛けてごく自然に音楽に興味を持ち、ミュージシャンになることを夢見てドヒニー通りの近くにあるトルバドゥール、さらにはローレル・キャニオン通りに点在する有名アーティストの邸宅にも出入りするようになります。ジャクソン・ブラウン、J.D.サウザー、グレン・フライらとの交流が始まったのはこの時期のことでしょう。
1968年夏、有望な新人を求めていたエレクトラ・レコードがバッフロー・スプリングフィールドを世に送った影の功労者として知られるプロデューサーのバリー・フリードマンの発案によってあるプロジェクトを発足させました。このプロジェクトは「エレクトラ・ミュージック・ランチ」と名付けられ、いわば新人発掘が目的であり、カリフォルニア州パクストンの山奥にあるホテルで共同生活を送りながらレコーディングを繰り返すというものです。選ばれた新人はジャクソン・ブラウン、オハイオ出身のジャック・ウィルス、そしてネッド・ドヒニーの三人。
都会の喧噪を離れ、大自然に囲まれた静かな環境の中で音楽に打ち込むと思いきや、彼らは川で泳ぎ、陽光の下で昼寝をし、ドラッグでハイになるといった始末。フリードマンは注意するどころか放任し、さらには恋をしなければラヴ・ソングも書き辛かろうと女性まで送り込む有様。血気盛んな二十歳そこそこの男たちのこと、後はどうなるか言うまでもないことでしょう。楽園さながらに至れり尽くせりの緊張感のない日々を送っていたのではさしたる成果をあげることが出来ませんでした。
エレクトラ側にすれば「あほか、君ら何しとんねん。ええかげんにせい」といったところでしょうか。レコーディングされたものは採用されず、期待に応えられなかったネッドたち三人は解雇。簡単に音楽で身を立てられるほど人生は甘くないことを痛感させられます。

エレクトラの企画は失敗に終わりましたが、めげることなくネッドは心機一転、ジャズのサックス奏者チャールズ・ロイドのバンドにギタリストとして参加。ロイドのアルバム『Moon Man』(1970)のレコーディングにも加わりました。彼にはこの経験がギター演奏とソング・ライティングの腕を向上させる格好の修行の場となり得たことでしょう。
1971年、デイヴ・メイソンとキャス・エリオットの共演アルバム『Dave Mason & Cass Elliot』に彼の書いた「On And On」が取り上げられ、そのままバンドのメンバーに加わる話まで持ち上がります。結局、その話は実現することなくメイソンとママ・キャスのデュオは短期間で解散。またも念願かなわずといったところですが、実績としては十分なものとなりました。

こうした活動が功を奏したのか、1972年、ネッド・ドヒニーはジャクソン・ブラウン、J.D.サウザー、イーグルスらかつてしのぎを削り合った仲間たちが所属するアサイラムと晴れて契約。翌73年にデビュー・アルバム『Ned Doheny』がリリースされます。アコースティックな雰囲気が主体でありながらもソウルフルでファンキーかつジャジーなサウンドに優しく繊細な歌声。ラヴ・ソングが中心であるものの孤独や自由への憧れといった若者特有の悩みや青臭さを嗅ぎ取れ、どことなくジャクスン・ブラウンと共通したものを連想させました。

ネッド・ドヒニー・ファースト(SHM-CD)ネッド・ドヒニー・ファースト(SHM-CD)
(2009/08/26)
ネッド・ドヒニー

商品詳細を見る

アサイラムでのデビュー作は不発に終わり、ネッド・ドヒニーは1976年にCBSへ移籍します。プロデューサーにブッカー・T&ザ・MG‘Sのスティーヴ・クロッパーを起用した『Hard Candy』を発表。甘酸っぱく清涼感のあるネッドの歌声がホーンやストリングスが導入されたお洒落なサウンドに溶け込み、彼のソウル・ミュージックへの志向が強く表された1枚に仕上がっていました。
ここに収められたのは九編のラヴ・ソング。様々な恋の事情が綴られていますが、ひとつの曲の中でも感情が変化していることが窺われ実に味わい深いものです。そう思うと、「エレクトラ・ミュージック・ランチ」での体験もまったく無駄ではなかったのかもしれません。

アルバムのオープニング・ナンバー、「Get It Up For Love」。恋とは厄介なものであるとしながらも愛する人のために自己の犠牲も厭わない気持ちが表されています。


恋は気まぐれなものであるから、チャンスを逃がさぬようにすべてを賭けろと歌う「If You Should Fall」。


印象的なトム・スコット、ジム・ホーンらのサックスの音色で始まる軽快な「 Each Time You Pray」。心が動揺して落ち着かないほどの贅沢な恋の悩みが打ち明けられています。
http://www.youtube.com/watch?v=GlMQOf6dl8k

「愛する人のためならどうなってもいい。でも彼女の心は別の男のもの」と切ない恋心が描かれた「When Love Hangs In The Balance」。
http://www.youtube.com/watch?v=xwVgRgRKHWk

恋人を促すように「惜しまずに与えさえすればすぐに君だけの愛が手に入るよ。俺は待っている」と歌っていますが、実際に彼女が傍に来てくれることはなかったような気がする「A Love Of Your Own」。


 こちらは2014年にNumeroからリリースされた『Separate Oceans』に収録されていたデモ・ヴァージョン。


 セルフ・カヴァー・アルバム、『Postcards From Hollywood』(1991)に収録されていたヴァージョン。


A LOVE OF YOUR OWN
惜しまずに与えさえすればすぐにでも手に入る
君だけの愛が
長くかかればかかるほど
理解出来るようになる
君だけの愛が

心を捧げることを恐れないで
やってみなければわからない
自分自身をごまかしてはいけない
ためらわずに入っておいで
ドアはいつでも開いているよ
私はいつもそう望んで待っている

惜しまずに与えさえすればすぐにでも手に入る
君だけの愛が
君の行くところにはどこでも
振り向いた遠くないところにあるよ
君だけの愛が

駆け落ちすることを恐れないで
やってみなければわからない
考えを変えるのを恐れずないで
いつでもプロポーズするよ
私はいつもそう望んでいるんだ

君だけの愛
寒さから私を守る隠れ家
君だけの愛
現状はいつも許すだろう
君だけの愛

 この曲は後にポール・マッカートニーの片腕となって活躍するアヴェレージ・ホワイト・バンド(AWB)のヘイミッシュ・スチュワートとの共作です。AWBの演奏はライヴ映像でご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=RzX5BQwplNw&feature=related

元クラッキンのリード・ヴォーカル、レスリー・スミスのカヴァー・ヴァージョンは『Les Is More』(1992)に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=Yrpqqa0t1rg&feature=related

 メリサ・マンチェスターも1977年のアルバム『Singin'』でカヴァーしていました。


「君の電話番号を知っている」と交際を迫る「I've Got Your Number」。21世紀の世の中ではストーカーとして訴えられそうですが、今に比べて個人情報という概念が希薄だった1970年代は淡い恋心として理解され、これが縁で恋の成就に至ることもあり得たのかもしれません。キーボードにクレイグ・ダーギ、シンセサイザーにデヴィッド・フォスターが配されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=2BI3Z01Zdi0

甘いながらも翳りのあるネッドの歌声が堪能できるジャジーな失恋の歌「Valentine (I Was Wrong About You)」。ピアノはデヴィッド・フォスターが担当。


VALENTINE (I WAS WRONG ABOUT YOU)
ヴァレンタイン 私の心は傷ついたまま
平静を装うふりをしても
すぐに安らぎは消え去り
二人が語り合う言葉は何もない

ヴァレンタイン 幸運は私の手をすり抜け
購入したわずかなものでさえ争いの中で失った
じきに何もかもなくしてしまうかもしれない
君に打ち明けるにはほど遠いことなのか

君を誤解していた
君を疑うのは誤りだった
気分が優れないとき
私は青色のインクで言葉を記す

ヴァレンタイン 私はいつでも待っている
将来においても君はそのままでいてくれるだろう
何があろうと再会の日々はやって来るのだ
ひとつだけ言い残したことがある

君を誤解していた

こうして君への愛が残る
愛がいつまでも残るのだ

ネッド・ドヒニーが長い沈黙を破って2009年に新作『The Darkness Beyond The Fire』をリリースしたことがウィキペディアに記されておりました。詳細をご存知の方がおられれば、ご教示をいただくと幸いに存じます。

スポンサーサイト

コメント

こんばんは。今日、偶然にもアサイラムの本を読み返していました。ドヒニーとのインタビュー記事に「On And On」は、「エレクトラ・ミュージック・ランチ」時代に書いた曲だなんて答えていました。1stも好きですが、2ndの方が圧倒的にグルーブ感が良いですね♪セルフ・カバーで新作を作っているなんて先のインタビューで答えていましたが、2009のCDってそれなのでしょうか?
kuwa様、コメントありがとうございます。
ネッド・ドヒニー本人は『Hard Candy』がAOR 路線で売り出されたことを苦々しく思っているようですが、ジャズやソウルの要素を吸収して見事に昇華した完成度の高いアルバムに仕上がっています。
2006年に出版された『アサイラム・レコードとその時代』に掲載されたインタビューでは「セルフ・カヴァーのアルバムを制作中」と述べていましたね。インター・ネットで検索しましたが、ウィキペディア以上の情報はありませんでした。気になります。
彼はレコード会社とのディールには恵まれませんでしたね。
この2ndが日本でもAORのムーヴメントに乗ってヒットした事が幸いして日本では根強い人気がありますよね。
でもそのおかげで3rd以降も彼のアルバムが日本では聴く事が出来たのは結果的に良かったんだと思います。
これからの季節にぴったりですね。
Purple_Haze様、コメントおよびトラックバックありがとうございます。
塞翁が馬と言えばネッド・ドヒニーにとって誠に失礼ですが、日本においてAORの旗手のように扱われたことにより3rd以降のアルバムをリリースすることが出来て結果的に良かったのかもしれません。
この『Hard Candy』におけるソウルフルで洗練されたサウンド。その後のアルバムの傾向を考慮して、ここに本来ネッド・ドヒニーが提示したかった音楽が詰まっているのでしょう。プロデューサーであるスティーヴ・クロッパーの手腕も見事です。
さて、2009年に発表されたという新作が気になって仕方ありません。
はじめまして。
ネッドの名前とアルバムタイトルで検索してこちらにたどりつき、拝読させていただきました!
実は昨夜ブルーノート東京でネッドのライブ聴きに行ってきまして、そこで去年発売の新譜をゲットしてきましたよ♪
もうご存じかもしれないですが。。。 全て過去の曲ですがアレンジがかなり違っていました。それにしても還暦過ぎてもあのハイトーンヴォイスは健在で、ギターワークもカッコよかったです。
お久し振りです。
昨夜ビルボード東京のLIVEを見てきました。
「Hard Candy」から3曲やりました。
事前に「The Darkness Beyond The Fire」が会場で買えるという情報も仕入れていたので、ゲットしました。あとで正式に発売されるのだと思います。
にゃんちゅう様、コメントありがとうございます。つたないブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
ネッドの来日公演に行かれたとは羨ましい。還暦過ぎても格好良く、さらなる円熟味を醸し出していたことと思います。
セルフ・カヴァーによる新作が正式に発売されるのが待ち遠しいですね。欲を言えば新曲も収録してほしかったところです。
kofn様、こちらこそご無沙汰しております。
新作の正式発売が待ち遠しい限りです。ネッドは以前にもアコースティック・ギターの弾き語りによるセルフ・カヴァー・アルバムをリリースしたことがありますが、今回はどのような仕上がりになっているのか楽しみです。
輸入盤ですがディスク・ユニオンさん入手可能になりました!


http://diskunion.net/rock/ct/news/article/5/18377
little rascal様、貴重な情報を教えていただき誠にありがとうございます。ネッド・ドヒニーは日本での人気が高いので、国内盤の発売もあり得るかもしれませんね。
つたないブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
お久しぶりです。

しばらく前にThe Darkness Beyond The Fireがディスク・ユニオンさんで入手可能になりましたが日本盤の発売はまだ決定していません。でも、アマゾンでは本人のサイン入りポストカードが付いた輸入盤を売ってますよ!
Little Rascal様、情報提供ありがとうございます。
本人がサインしたポスト・カードとは食指が動きますね。こうなれば対抗する意味で、ネッド・ドヒニー本人が日本のファンに向けたインタビュー付きの国内盤を出していただきたいと思います。

コメントの投稿

URL
コメント

パスワード
秘密
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL : http://shadowdream25.blog105.fc2.com/tb.php/223-37703fdf
1976年にリリースされたネッド・ドヒニーの2ndアルバム「Hard Candy」。 いかにも夏っぽいウェスト・コースト風のジャケットだけど、秋が深まった今の季節にもぴったりのちょっと切なくってセンチメンタルでメローなアルバムです。アサイラムからリリースされた1st
<< Marc Jordan - MANNEQUIN | TOP | Jack Tempchin - Peaceful Easy Feeling >>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。