好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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The Chieftains - The Long Black Veil

前回はチーフタンズのアルバム『The Long Black Veil』の中から表題曲のみを取り上げましたが、今回は残りの収録曲について述べてみることにします。


Long Black VeilLong Black Veil
(1995/01/01)
The Chieftains

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1. Mo Ghile Mear (Our Hero)
2. Long Black Veil
3. Foggy Dew
4. Have I Told You Lately That I Love You?
5. Changing Your Demeanour
6. Lily of the West
7. Coast of Malabar
8. Dunmore Lassies [Instrumental]
9. Love Is Teasin'
10. He Moved Through the Fair
11. Ferny Hill [Instrumental]
12. Tennessee Waltz/Tennessee Mazurka
13. Rocky Road to Dublin

アイルランドの伝統的な音楽に現代的なアレンジを取り入れ、ある時はオーソドックスに、ある時は斬新にと多様なスタイルで音楽の楽しさを伝えて来たザ・チーフタンズ。パディ・モローニー(ティン・ホイッスル、イーリアン・パイプ)、マーティン・フェイ(フィドル)らを中心として1962年に結成され、1965年にアルバム『The Chieftains』でデビュー。1972年、ポール・マッカートニーのソロ・シングル「Give Ireland Back To The Irish(アイルランドに平和を)」にリーダーのパディー・モローニーが参加したことで注目を浴びるようになりました。その後もアルバムをリリースしながら順調な活動を続け、1976年にスタンリー・キューブリックが監督したイギリス映画『Barry Lyndon』では音楽を担当。映画音楽の制作にも携わり始めます。
チーフタンズとロック・アーティストとの交流は古く、前述のポール・マッカートニーとのレコーディング、さらには1960年代後半、ミック・ジャガーが当時の恋人マリアンヌ・フェイスフルを伴ってチーフタンズのコンサートにしばしば足を運んでいたという逸話もあると聞きました。また、チーフタンズの名がロック・ファンに広く認識されるようになったきっかけは、1988年にヴァン・モリソンの『Irish Heartbeat』で共演した頃からであると思われます。

1995年にリリースされた『Long Black Veil』はザ・ローリング・ストーンズ、スティング、ライ・クーダー、ヴァン・モリソン、マーク・ノップラー、トム・ジョーンズ、シネイド・オコナー、マリアンヌ・フェイスフルといった錚々たるメンバーが終結したアルバムです。
アルバムのオープニングを飾る「 Mo Ghile Mear (Our Hero)」。スティング(ポリス)がリード・ヴォーカルを担当しています。もともとはチャーリー・スチュアート王子(1688年の名誉革命で王位を失った英国王ジェームズ2世の孫。スチュアート朝を復古しようと1745年に蜂起するも鎮圧される)を讃えるために18世紀の詩人ショーン・クララッフ・マクドーナルによって書かれた作品でした。スティングはアイルランド系ではありませんが、歴史を鑑みたのかオリジナルのゲール語で歌っています。


メアリー・ブラックのヴァージョン(1984年発表の『Collected』に収録)です。
http://www.youtube.com/watch?v=qDlCM_Mwtys

前回に取り上げた「Long Black Veil」。


よほどお気に入りだったのか、生涯で何度もカヴァー・ヴァージョンをレコーディングしたジョニー・キャッシュの歌声も宜しければお聴きください。
http://www.youtube.com/watch?v=p-AED1BjuJ8

アイルランド出身のシネイド・オコナーをヴォーカルに迎えた「Foggy Dew」。1916年のイースター蜂起で死んだ男たちを讃える歌です。アイルランド共和国樹立のために民族主義者らによって復活祭週間に行われたこの武装蜂起は英軍に7日間で鎮圧され、アイルランド民族主義者側の指導者たちは処刑されました。双方に多数の死傷者が出た戦闘でしたが、アイルランド独立運動の礎になったことは間違いないでしょう。
オコナーはカトリックへの愛憎が溢れた言動で何かと物議を醸した遍歴があり、1992年のボブ・ディランのデビュー30周年を記念するトリビュート・コンサートに出演した際に彼女が観客からブーイングを受けるシーンは衝撃的でした。彼女は1999年に独立カトリック教会の司祭になっています。
http://www.youtube.com/watch?v=LRvSdUh3wCE&feature=related

ヴァン・モリソンとチーフタンズが共演した「Have I Told You Lately That I Love You?」のヴァージョンがYouTubeにはなかったので、参考までにヴァンが1989年にリリースした『Avalon Sunset』に収録のオリジナル・ヴァージョンをお聴きくだされば幸いです。
http://www.youtube.com/watch?v=olqCpohdY3Y&feature=related

マーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)のヴォーカルが切ない男心を表した「Lily of the West」。フィドルの音色がさらなる哀愁を誘います。


THE LILY OF THE WEST
何か楽しいことがあるだろうと
俺が最初にアイルランドにやって来た時のこと
俺は美しき乙女に見とれた
彼女の姿は俺の心をときめかせ
バラ色の頬と輝く瞳が
矢のように俺の胸を貫く
人々は彼女のことをこう呼ぶ
愛らしきモリー・オー、アイルランド西部の百合

ある日 日陰の多い涼しい木立を歩いていると
やんごとなき身分のお方が
俺の愛するあの人と話しているのが目にとまった
彼女は楽しそうに歌を歌っていた
それで俺は激しく打ちのめされて
モリー・オーに別れを告げた
アイルランドの西部の百合に

俺は小剣と短剣を手にして進み出た
邪悪となった恋人のもとから貴族の男を引きずり出し
彼にそこに立つようにと勇ましく告げた
絶望によりただ気も狂わんばかりだった俺は
男の胸を剣で突き刺すことに名誉を賭けてしまった
その時の俺はモリー・オーに惑わされていたのだった
アイルランドの西部の百合に

それから俺は裁判を受け
はっきりと抗弁を行った
俺の起訴事実に不備が見つかり
間もなく俺は釈放された
そこには俺が思いを寄せていた
まばゆくほどに美しいあの人
裁判官が彼女に向かって話しかけた
「不実なモリー・オー、行くがよい
アイルランドの西部の百合よ」

今 俺は自らの自由を勝ち得て
放浪の旅に出るつもりだ
愛しきアイルランド中を歩き回り
スコットランドにまで足を伸ばそう
彼女は自分の人生が台無しになったと思っているだろう
だが彼女は俺の眠りを妨げてくれるのだ
俺はいまだに彼女のことをこう呼ばねずにいられない
モリー・オー、アイルランドの西部の百合よ

もともとイギリスのブロードサイド・バラッドだったこの曲は、ジョーン・バエズ(1961年発表の『Joan Baez Volume 2』などに収録、ボブ・ディラン(1973年の『Dylan』に収録)、ピーター、ポール&マリー(1963年の『Moving』で「Flora」のタイトルで発表)らアメリカのアーティストに好まれて歌われています。但し、歌詞は幾分異なり、ストーリーに大差ないものの登場人物名や地名などが変えられていました。
なお、バラッドとは物語や寓意のある歌のこと。15世紀にドイツ出身のヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を発明し、ヨーロッパで印刷が急速に広まります。口承が主流だったバラッドも歌詞を紙に印刷し、路上で売りながら歌うといったスタイル(ブロードサイド・バラッド)に変化して行きました。

ジョーン・バエズのヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=txmlaZbY-f4&feature=related

ライ・クーダー参加の「Coast of Malabar」。トラッドとカリプソが融合したかのような雰囲気です。
http:///www.youtube.com/watch?v=BQOHDztmCT0

こちらもライ・クーダー参加の「Dunmore Lassies」です。
http://www.youtube.com/watch?v=0cw7PrzqC2g

マリアンヌ・フェイスフルが歌うトラディショナル曲「Love Is Teasin'」。こちらはライヴ映像でご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=FNXrq7_WWR4

トム・ジョーンズがエネルッギッシュにリード・ヴォーカルを取る「Tennessee Waltz/Tennessee Mazurka』」。
http://www.youtube.com/results?search_query=the+chieftains+tennessee+waltz&aq=f

ローリング・ストーンズが参加した「Rocky Road to Dublin」。途中で「Satisfaction」のフレーズが飛び出してきます。なお、ヴォーカルはミック・ジャガーではなく、チーフタンズのケヴィン・コーネフでした。


ライヴ映像も宜しければご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=VLcC5_antg8

オーケストラをバックにしたライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=mgEZXw7cWyU

アイルランドのこのトラッド・ナンバーは多くのアーティストが取り上げています。今回はアイルランド人のヴォーカリスト、シェイン・マガウアンを中心として活動するザ・ポーグスのヴァージョンを紹介しましょう。彼らのライヴではよく演奏されているものの正式には発表されず、2008年リリースの5枚組ボックス・セットでようやく陽の目を見ました。
http://www.youtube.com/watch?v=uEe7_b6NHtA&feature=related

ロック・アーティストらとの共演が話題になった『The Long Black Veil』。アルバムの根底には人間模様やアイルランドの歴史といった様々なテーマが存在しています。そうしたものを頭の片隅に置きながら聴いていると、当代のロック・スターたちによる演奏という贅沢な味わいとはまた違った、人間の営みにおける音楽の意味、音楽の多元性といったことへの理解が深まるかもしれません。ともあれ、多くのロック・ファンにアイルランドへの興味を抱かせた一枚であることは間違いないでしょう。

このアルバムはジャケット違いがリリースされているようです。この件に関する経緯や詳細についてご存知の方からのご教示をいただければ幸いです。

Long Black VeilLong Black Veil
(1995/01/24)
The Chieftains

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コメント

むむむ奥が深い・・・英国ロックの深い森を覘いてみたいと思う私には勉強不足でまだまだ聴いていなかったり意識していないモノが多いです。。。

>ボブ・ディランのデビュー30周年を記念するトリビュート・コンサートに出演した際に彼女が観客からブーイングを受けるシーンは衝撃的でした。

この映像はwowowで見ました。ビックリした記憶があります。前述のシャロンはCD持ってました。ライブですが。。
アイルランドの音楽に興味を持つようになるきっかけとなる名盤はこれまでもいくつかありますが、このアルバムの貢献度は特別ですね

参加しているゲストの声も普段より力強く聴こえるというか、素のヴォーカリストとして真剣に向き合ってる感じがするのも新鮮です
kuwa様、コメントありがとうございます。
英国とアイルランドの森は深すぎて、一度迷い込んだら決して出られそうにもありませんね。
ボブ・ディランのデビュー30周年記念コンサートにおいて、観客のブーイングに対してシネイド・オコナーが涙ながらにボブ・マーリーの「War」を歌ってステージを降りたことには賛否両論が交わされました。その場にいたわけではないので実際の雰囲気が分かるわけもなく、また、彼女を非難するつもりもありませんが、予定されていたディランの曲を歌いきって欲しかったとは思います。
col様、コメントありがとうございます。
これはアイルランドの音楽がロック・ミュージックのルーツの一つであることを思い知らされるアルバムだと思います。実際に移民とともにアメリカへ渡ったアイルランド・ミュージックはカントリーやフォークを生み出し、黒人のブルースと融合してロックン・ロールへと発展したわけですからね。
おっしゃる通り、ゲスト参加したアーティストはヴォーカリストに徹していた感がありますね。マーク・ノップラーやライ・クーダーもお得意のギター・プレイのほうは控えめにしているように聴こえました。
こんばんは。
自分が持っているのは、この白黒ジャケの方です。
ヴェールの後ろの女性の、額真ん中から鼻筋を通り、あごの先やや右にかけたあたりを結ぶ曲線で、左側に開くようになっていて、開くとメンバーのモノクロ写真があります。
リリースされた頃に米国で入手しました。ディスク自体は、Made in USA、ジャケは、Printed in USAとなってます。
ジャケが2種類ある経緯は、すみません、分かりません。
Substitute様、コメントありがとうございました。
何故にジャケットが二種類あるのか不思議です。発売された国よって違ったり、何か不都合があって変更されたりというケースはありますが、どうやらそれらに当たらない様子。Amazonでも二種類のものが現行商品として現在も売られておりました。
そんな些細なことはどうでも良くなるほど、素晴らしいアルバムであることは間違いないのですがね。
こんばんは、昔の記事に失礼します。
このアルバム、最近わたしも夢中になって聴きました。
“Foggy Dew”や“Rocky Road to Dublin”は笛で覚えた曲ですが、
このアレンジも素晴らしいです。特にイリアン・パイプスの響きが。

さて、“Lily of the West”ですが、ジョーン・バエズやPP&Mが
“Flora”という名前で歌っていて、アメリカのトラッドだと思っていたら、
元はアイリッシュだと聞いて、このアルバムに注目しました。
彼女の名は「モリー」で、恋敵を刺した男性は釈放されたのですね!!

で、このジョーン・バエズやPP&M版とは異なる穏やかな3拍子のメロディ、
どこかで聴いたことがあると思ったら、アイリッシュ・フルート吹きの
ハンズ・アラキさんが、“Lakes of Ponchartrain”というタイトルで、
アメリカ南部が舞台のまったく別の歌詞で歌っていたものでした。

バラッドや伝承曲は、歌詞の伝える物語だけでなく、その背景にも
深い物語があるようで、掘っていくと本当におもしろいですね。
松月様、過去記事へのコメントも大歓迎です。
アメリカのトラッドやカントリー・ミュージックはヨーロッパからの移民が持ち込んだ民謡や伝承歌がもとになっています。それ故、時を経て環境や背景に変化が生じ、同じ歌であろうと歌詞が変えられて行くものでしょう。著作権侵害という問題も殆ど生じませんしね。
おっしゃる通り、バラッドや伝承歌は掘り下げて行くと病みつきになるほど興味深いものです。語学や歴史の復習にもなりますね。

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