好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Karen Dalton - IN MY OWN TIME

フレッド・ニールの記事を扱った際にカレン・ダルトンの名を出しました。少々気になっていたので、今回は彼女が1971年に発表した『In My Own Time』について言及したいと思います。

IN MY OWN TIME+4 BONUS TRACKSIN MY OWN TIME+4 BONUS TRACKS
(2007/04/21)
カレン・ダルトン

商品詳細を見る

1. Something On Your Mind (Dino Valenti)
2. When A Man Loves A Woman (Calvin Lewis / Andrew Wright)
3. In My Own Dream (Paul Butterfield)
4. Katie Cruel (Traditional)
5. How Sweet It Is (Dozier/Holland/Holland)
6. In A Station (Richard Manuel)
7. Take Me (George Jones / L. Payne)
8. Same Old Man (Traditional)
9. One Night Of Love (Joe Tate)
10. Are You Leaving For The Country (Richard Tucker)
11. In My Own Dream (alternate Version)*
12. Katie Cruel (alternate Version)*
13. Something On Your Mind (alternate Version)*
14. Are You Leaving For The Country (backwards)*

私がカレン・ダルトンを知ったのは高校生の頃。雑誌の記事の中でビリー・ホリディを思わせるブルージーな歌声、アパラチア山脈で育まれたトラディショナルの深淵などと評された言葉が心に残り、彼女に興味を持ち始めたのです。しかし、その中で話題に出た彼女のセカンド・アルバム『In My Own Time』は既に廃盤状態。幻の名盤として扱われていました。
時間の経過とともにカレン・ダルトンのことは忘却の彼方。大学に入学後に知り合った友人との会話で、彼が偶然このアルバムを所有していることが判明。後日、ようやくカレン・ダルトンの歌声を聴くことが出来たのです。
評論通りのビリー・ホリディを彷彿させるしわがれた声。アーシーなサウンド。私はたちまち心を奪われてしまいました。友人曰く、「俺は数年前に新品を安価で入手したが、今では店頭で見かけなくなった」とのこと。再び彼女の歌声に触れることは困難であることを予期したのです。
その後、社会人になって幾歳月が流れました。ある日、海外の業者からレコードを個人輸入している知り合いが「今回の中古はなかなかの掘り出し物があるで。リストを見て欲しいのがあったら一緒に申し込んどいたるわ」と声を掛けられたのです。私はリストを隅から隅までまじまじと見渡しました。すると、「Karen Dalton 『In My Own Time』」と記されているのが目に飛び込んで来たのです。安価であったこともあり、迷わず私はその知り合いに頼みました。それから約一ヵ月、私はカレン・ダルトンのアルバムとの再会を果たしたのです。

カレン・ダルトンの本名はカレン・J・カリカー。1937年7月19日生まれ。オクラホマ州の出身(生誕地はテキサス州との説もある)。ネイティヴ・アメリカンの血を引くといいます。このように詳しい生い立ちは未だに謎のままですが、彼女は1950年代の半ばにニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジで活動を始めていました。
12弦ギターと5弦バンジョーを手にフォーク・ブルースを歌うカレン・ダルトン。同じく12弦ギターの名手であったフレッド・ニールはいちはやく彼女の才能の見抜き、彼自身のアルバムを担当したキャピタル・レコードのプロデューサーであるニック・ヴェネットに紹介します。ニック・ヴェネットはビーチ・ボーイズの『Surfin' Safari』(1962)、『Surfin' USA』(1963)、ストーン・ポニーズ時代のリンダ・ロンシュタットの諸作などの作品を手掛けた人でした。
グリニッチ・ヴィレッジで存在感を示していたカレン・ダルトンでしたが、なかなか高い評価を得られない状況が続いていました。新しい活動場所を求めてニューヨークとコロラド州デンヴァーを行ったり来たりの生活を余儀なくされていたようです。そんな時に舞い込んだ朗報。1969年にニック・ヴェネットのプロデュースでファースト・アルバム『It's So Hard To Tell Who's Going To Love you The Best』の発表に漕ぎ着けました。
フレッド・ニールやティム・ハーディンの楽曲やトラッド・ナンバーが収録された興味深いアルバムでしたが、このとき既にシーンは自作自演が主流。フレッド・ニール然り。ボブ・ディラン然り。歌うことにより社会へのメッセージが投げかけられていたのです。また、ブリティッシュ・インヴェイジョンに対抗するかのようにアメリカのグッド・タイム・ミュージックを奏でたジョン・セバスチャン率いるラヴィン・スプーンフルも中心となるのはオリジナル作品でした。グリニッチ・ヴィレッジで鎬を削り合いながらも支え合った仲間たちを横目に、トラディショナルの継承者といった風情のカレン・ダルトンの個性は真価を問われることなく埋没して行ったのです。
正当な評価を得られなかったカレン・ダルトンでしたが、ニューヨークのウッドストックに拠点を移し活動を続ける中で再びチャンスが訪れました。ジャスト・サンシャイン・レコード(設立者はウッドストック・フェスティヴァルのプロモーターであるマイケル・ラング)からセカンド・アルバム制作のオファーがはいったのです。ファースト・アルバムのセッションに参加したベーシストのハーヴィー・ブルックスをプロデューサーに迎えられ、ジョン・ホール(ギター)、エイモス・ギャレット(ギター)、ジョン・サイモン(ピアノ)ビル・キース(スティール・ギター)などの腕達者がカレンを励ますかのように終結。ルーツ・ミュージックが見直される過程に入っていた1971年、カレンのオリジナル作品はないものの彼女の魅力がいかんなく発揮されたアルバムに仕上がりました。
ファースト・アルバム同様、カレン・ダルトンのオリジナル作品はありませんが、取り上げられた楽曲には彼女独自の解釈により新たな息吹が吹き込まれています。

アルバムのオープニングを飾るのはクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスのディノ・ヴァレンティの書いた「Something On Your Mind」。続いて、マーヴィン・ゲイの歌唱で知られる「How Sweet It Is 」。マーヴィン・ゲイのヴァージョンは1965年発表の『How Sweet It Is To Loved By You』に収録。ジェームズ・テイラーも『Gorilla』(1975)で取り上げていました。


パーシー・スレッジでお馴染みの「When A Man Loves A Woman」。カレンは女の立場から歌っているので一部歌詞を変えており、曲全体のニュアンスも微妙に異なった印象を受けます。なお、このYouTubeの画像ではニーナ・シモンの「What More Can I Say」(1966年発表の『Wild Is The Wild』に収録)が続いて収められていました。制作者の意図はよく分かりませんが、個性的な歌声でジャンルに捕われることなく精力的に活動を行ったニーナ・シモンとカレン・ダルトンを比較しながら聴いてみるのも興味深いものです。



WHEN A MAN LOVES A WOMAN
男が女を愛するとき
男は絶対に間違ったことが出来ない
自分が見つけた宝物のことを語るだろう
もしも彼女が性悪であっても気がつかない
彼女は絶対に正しいのだ
彼女をけなそうとするなら
たとえ親友であっても背を向ける

男が女を愛するとき
最後の持ち金を使ってでも
必要なものを手放さないようにする
安楽のすべてを捨て
雨の中で眠る
もし彼女がそうしろと言うのならば

ここにいる男はひとりの女に惚れている
持っているものは何でも女にくれてやる男
あんたの大切な愛を繋ぎ止めようとして
ベイビー、どうかこの男を冷たくしないでやって

男が女を愛するとき
魂の奥深くで
女が男を惨めにする時もある
もし女が男を弄んだとしても
男は最後まで気がつかない
恋は盲目だから

男が女を愛するとき
男は絶対に正しい
他の女に決して手を出さない

そう 男が女を愛するとき
男の気持ちがよく分かる
そんな風にあなたはいつもわたしにしているから

パーシー・スレッジのヴァージョンはライヴ映像でご覧ください。彼のオリジナル・テイクは1966年発表の『When A Man Loves A Woman』に収録されています。


この曲のカヴァーは枚挙に暇がありません。今回はアート・ガーファンクルのヴァージョン(1988年の『Lefty』に収録)をお聴きくださると幸いです。


ポール・バターフィールド作の「In My Own Dream」。続いてカレンの当時の夫だったリチャード・タッカー作の「Are You Leaving For The Country」。


トラディショナル曲の「 Katie Cruel 」。
http://www.youtube.com/watch?v=raLXnnlPI_I

The Bandの『Music From Big Pink』(1968)からリチャード・マニュエル作の「In A Station」を取り上げています。


The Bandのヴァージョンです。


ジョージ・ジョーンズ作のカントリー・バラード「Take Me 」。彼のヴァージョンはタミー・ウィネット&ジョージ・ジョーンズ名義のアルバム『We Go Together』(1971)に収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=5ozK8UBOdZE

トラディショナル曲の「Same Old Man」。
http://www.youtube.com/watch?v=er8PVjBB5xM

充実した出来映えのアルバムでしたが商業的には不発に終わり、供給元のパラマウントがレコード・ビジネスから撤退したこともあって契約が更新されることなくカレン・ダルトンは次第にシーンから姿を消して行きました。そして、その後の消息が分からぬまま届いたのは悲しい知らせ。1993年3月19日、享年55歳で逝去。晩年はアルコールやドラッグに溺れ、ホームレス同然の生活を送っていたとのことです。

2006年にCDで再発された際に約15年ぶりにこのアルバムを聴き直してみましたが、The Bandの楽曲を取り上げていることもあり、彼らのアルバム『Music From Big Pink』を連想させる風情があります。また、どことなくノラ・ジョーンズと共通する雰囲気が窺えました。

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コメント

Nina Simoneと歌声の奥に潜んでいる「心」粋が
どこか似通っているように思えますが
Native American
African American
ではないでしょうか
決して澄んだ綺麗な声では有りませんが
一度聴くと忘れられない
又聴きたくなる
不思議な魅力の持ち主ですね♪

God bless you...
おはようございます。友人がアナログを10年前に手に入れて幻の名盤にふれることが出来ました。今ではファーストもセカンドもCDで手に入れることが出来ますね。

亡くなったことは知りませんでした・・・
Azumi様、コメントありがとうございます。
ジャズ・シンガーであるニーナ・シモン、フォーク・シンガーであるカレン・ダルトン、両者のルーツにはゴスペルやブルースが色濃く存在していると思います。それ故にネイティヴ・アメリカンの血を引くカレン・ダルトンの心にはアフリカン・アメリカンの魂が備わっているのでしょう。
もっと長く活動していればビリー・ホリディのような「艶」を得られたかもしれません。残念です。
kuwa様、コメントありがとうございます。
幻の名盤だけに入手困難な状況が続いておりましたが、今ではCDで簡単に手に入るようになりました。カレン・ダルトンのような音楽が幅広く聴かれることは喜ばしいことです。
最近ライヴとデモ録音が国内でも同時にリリースされ、彼女の人気の高さを痛感しております。
カレン・ダルトンさん…この方のことは、いつか扱いたいと思っていました。

でも、お亡くなりになっているとは…。

しかも、そんな悲しい死に方で…。

ワタシの生まれる前の音楽ですが、
60年代終わりから、70年代始めの音楽は大好きです。

でも、ブログで反応が良かったのは、

ジャニス・ジョプリンと、
ジミヘンぐらい。


ロリー・ギャラガー、
ピーター・グリーン、
は全く…。

カレンさんのバンジョーもスゴいですが、

上のお二人のギターもスゴいんですけどね…。

ma shanti mika様、再度の訪問ありがとうございます。
厳密に言えば私もリアル・タイムで聴いていたわけではありません。私よりもかなりお若い方々がカレン・ダルトンに興味を持たれている昨今の状況に驚く次第で、月並みな表現ですが、良い音楽というものは色褪せず、年代や世代に関係なく親しまれるものだと痛感しました。
ロリー・ギャラガーにピーター・グリーンとは渋いですね。私は楽器を演奏しないのでギターのことはよく分かりませんが、リンクを結んでいただいている「Blues Power」のPurple_Hazeさんはピーター・グリーンのことを「師匠」と呼ぶぐらい敬愛されています。
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