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James Taylor - October Road

来日間近ということで、今回は久々にジェームズ・テイラーに登場してもらうことにしました。取り上げるアルバムは2002年にリリースされた『October Road』です。季節外れのようで誠に申し訳ございません。

October RoadOctober Road
(2002/08/13)
James Taylor

商品詳細を見る

1. September Grass
2. October Road
3. On the Fourth of July
4. Whenever You're Ready
5. Belfast To Boston (God's Rifle)
6. Mean Old Man
7. My Traveling Star
8. Raised Up Family
9. Carry Me On My Way
10. Caroline I See You
11. Baby Buffalo
12. Have Yourself A Merry Little Christmas

いつものように心に響くギターの音色と穏やかな歌声。長年に渡り聴く者の心を癒すかのように歌い続けてきたジェームズ・テイラーですが、このアルバムでは円熟を超え、達観といったものを感じます。
繊細な性格ゆえに若い頃は精神治療施設へ入院した経歴があるジェームズ。人生の挫折を味わった経験も一度や二度ではありません。自分の体験を切り売りするようにして歌を紡ぎ、成功を獲得したことへの欺瞞や後悔の念に苛まされたこともあったでしょう。
しかし、ここにいるジェームズはうつろいやすい20代の若者ではなく、分別をわきまえた大人です。デビュー作から葛藤、悲哀、自己憐憫といった心情を吐露しながらも開放的な雰囲気を漂わせてきた人ですが、過剰なまでに意気込んだ様子も大袈裟な表現もなく、冷静に世の中や自分の周囲を見つめる姿がさりげなく醸し出されていました。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーの「September Grass」は若い頃の恋の思い出を綴った歌。夏から秋へと移る感傷的な季節が物語の舞台です。誰もが経験するような他愛ない出来事にふと切なさを覚えました。


表題曲「October Road」。アルバムではライ・クーダーの控えめながらも胸に滲みるような味わい深いギターを堪能出来ますが、今回はディクシー・チックスと共演しているライヴ映像でお楽しみください。


アイリッシュ風の趣がある「Belfast To Boston (God's Rifle)」。


BELFAST TO BOSTON (GOD'S RIFLE)
田舎の土の中にライフルが何挺も埋められている
月が出る頃に埋められたライフル
錆び付いて土に還るまでには
どうか埋められたまま忘れ去られるように

誰がいにしえから続くこの憎しみをはらってくれるのか
この殺戮に終わりがあるのか
長く続く不当行為を消し去ってくれるのか
同胞のために悪魔を追い払ってくれ

いったい誰が言うのか
「もうこれまでだ、ああ、神よ
私が死ぬとしたら」

武器を送るのを止めよう
資金援助も止めよう
復讐の念で幾つもの海を越えるのは止めよう
ただ寛恕の祈りのみ
私の新たなる同胞と私のために

行方不明になった兄弟たち
犠牲となった人々
地中で黙して語れぬ子供たち
我々はもの言えぬ彼らの声を
聞くこと以外に何が出来ようか
「今こそ神のライフルを捨て去る時」と

世の不条理な現実を鑑みて描かれた歌のようですが、世界各地における紛争が示唆されています。「ベルファスト(アイルランドの首府)からボストンへ」というタイトルからも察せられるように北アイルランド問題への懸念、と同時にアルバムが発表された前年に勃発したアフガニスタン紛争にも思いが込められていると思われます。
人間にはプライドとアイデンティティーがあり、さらに国益や宗教が絡むと問題が複雑化して解決の糸口を見つけるのは困難であるかと思われます。国家間の争いならば和解の道を探ることも不可能ではありませんが、テロリストが相手となると話し合いは通じないでしょう。

スタンダード曲を思わせるような「Mean Old Man」。頑固で偏屈な老人が、ある人との出会いによってすっかり人柄が変化する様子が描かれていました。


娘であるサリー・テイラーがバック・ヴォーカルで参加した「 My Traveling Star」。家庭を顧みず、放浪に旅を繰り返す男の物語です。決して良い父親ではなかったと思われるジェームズ・テイラーの自戒の念が少なからず込められているようで興味深く受け取れました。


DVD『From The One Man Band』(2007)からの映像のようです。


本作の次に『The Best of James Taylor』を2003年に、そしてクリスマス・ソングを集めた企画盤『James Taylor at Christmas』を2006年に発表してジェームズ・テイラーはSONYを去りました。移籍先のHear Musicからは2007年にライブ・アルバム『One Man Band』、2008年にカヴァー集『Covers』、2009年に続編の『Covers 2』と毎年のように彼の歌声が届けられていますが、ここ数年スタジオ録音のオリジナル・アルバムのリリースがありません。ぜひ近いうちにJTの新しい歌と出会えることを待ち望む次第です。
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コメント

正に自分の生きざまを
飾らず
素直に
偽らず
唄うところは見習わないとね
ついつい着飾ってしまう爺ですから♪

素晴らしい
日曜日を
お過しください♪

God bless you...
映像のコーラスをバックに歌う。
実にユニークですね。
2月のアカデミー授賞式。この一年間の物故者を紹介する
スライドショーのバックがJTのひきがたりでしたね。
良かったです。
今日紹介PVすべてがいいです。
Azumi様、コメントありがとうございます。
仰々しい言葉が時代を映し出しているとは限らないし、意気揚々とした歌が必ずしも明日に希望を抱かせるわけでもありません。このアルバムは些細なことに笑い、怒り、涙する、そんなあたりまえのことをことを教えてくれるような気がするアルバムでした。
やがて散り行く桜は明日が見頃でしょうか。Azumi様も良い日曜日をお過ごしください。
ミキタカ08様、コメントありがとうございます。
ジャンルの垣根を超えて多彩なアーティストと共演してきたジェームズ・テイラーならではのユニークな試みですね。気負いもなくしなやかに歌うJTの姿に心打たれます。
お久しぶりです!

私も以前このアルバムを取り上げましたが、その時、『何も足さない、何も引かない』(サントリーウイスキー山崎のCM)という表現をしました。

JTは、いい意味で昔から変わってほしくない<そのまんま>のサウンドなんですね!
Toshinosuke様、コメントありがとうございます。
初めて耳にするのに懐かしさを覚える。それでいて思慮深い言葉や熟成した音の響きが窺える。JTのこのアルバムはそんな一枚に思えました。
こんにちは。
以前、このアルバムを記事でちょっととりあげたはずと思い自分のブログを探しましたが残念ながらかなりの記事を削除したので(自業自得)どこへ行ってしまったのやら。きっとたいした記事ではなかったのかも。
このアルバム、書かれている通り達観という感すら感じる清々しい音に溢れた素晴らしい仕上がりのアルバムですよね。
「淡々と、静かに現実を受けとめて、過去も未来も全てに光を与える」このアルバムを聴いた最初の印象です。
自然体で、ユーモアを入れつつ自分の姿をみつめ、常に等身大の自分を表現しつづけるその真実の姿は私にとって光を感じさせる存在です。
wakuwaku様、コメントありがとうございます。
実は私もなるべく内容が被らないようにと事前にwakuwakuさんの過去記事を検索したのですが、発見出来ませんでした。
いつものように穏やかな歌声で熟成された作品を気負いなく届けてくれるジェームズ・テイラー。芳醇と呼ぶに相応しい感覚を覚えます。

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