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Carole King - ONE TO ONE

まもなくキャロル・キングがジェームズ・テイラーを伴って来日します。そこで今回は彼女が1982年に発表したアルバム『ONE TO ONE』を取り上げることにしました。

ワン・トゥ・ワンワン・トゥ・ワン
(2010/03/24)
キャロル・キング

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1. One to One
2. It's a War
3. Lookin' Out for Number One
4. Life Without Love
5. Golden Man
6. Read Between the Lines
7. (Love Is Like A) Boomerang
8. Goat Annie
9. Someone You Never Met Before
10. Little Prince

このアルバムは1977年から4年間在籍したキャピタル・レコードを離れ、アトランティック・レコード移籍第一弾としてリリースされたものです。キャピタル時代には吹っ切れたような明るさが窺える『Simple Things』(1977)、シンプルな音作りをしながらも時流に合わせたかのようなディスコ風の楽曲も収録された『Welcome Home』(1978)、ファンキーなR&Bテイストが印象的であるもののリラックスした雰囲気の『Touch The Sky』(1979)、そして原点に戻るかの如くセルフ・カヴァーで満たされた『Pearl』(1980)と4枚のアルバムを制作しましたが、中には注目されることなく芳しいセールス結果を残すことが出来なかった作品もありました。
ロサンゼルスという大都会の喧噪を離れ、コロラド、テキサスなどの穏やかな環境に身を置いて音楽に打ち込めたこの時期のキャロル・キング。バックを受け持ったナヴァロやジェリー・ジェフ・ウォーカーと彼のバンドとの出会いがあった反面、78年に三番目の夫だったリック・エヴァーズが他界。彼女は創作のみならずプライヴェートにおいても変化の激しい数年間を過ごしたのです。

こうした悲喜こもごもの出来事を経験したことにより、創作面ではやがて収穫となって実を結びことになりました。前作『Pearl』では最初の夫であるジェリー・ゴフィンと紡ぎ出した数々のヒット曲を自らの声で歌い、さらに二人の手による新曲「Dancin' With Tears In My Eyes」も収録。そのことがきっかけとなったのか、この『ONE TO ONE』でも二人が書き下ろした「Someone Met Never Before」が収められ、さらにはジェリーと娘であるルイーズの親子による共作曲「Life Without Love」をキャロル・キングが歌うといった趣向も盛り込まれていたのです。

共同プロデュースには『Touch The Sky』と同じくナヴァロのマーク・ホールマンを起用。二番目の夫だったチャールズ・ラーキーもベースで全面参加してキャロル・キングのこの新たなる門出に花を添えています。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーは表題曲で、シンシア・ウェイルとの共作「One To One」です。シンシア・ウェイルは夫であるバリー・マンと組んで数々のヒット曲を送り出して来た女性。キャロル・キングと同じくブリル・ビルディング・サウンドを代表するソング・ライターです。
「ひとりひとり/あなたから私へ/愛を送っていけば/どこまでも広がって行く」というシンプルなメッセージが心に届きました。


続いて「あなたはただナンバーワンが欲しいだけ」と歌われるファンキーな「Lookin' Out For Number One」。強欲に取り憑かれ、周囲や他人の気持ちを顧みない人への強烈な皮肉に受け取れました。


かつてのキャロル・キングを彷彿とさせるような「Read Between The Lines」。


もう一曲、ジェリー・ゴフィンとの共作曲「Someone You Never Met Before」。途中で娘のルイーズ・ゴフィンの歌声が聴けます。ギターはダニー・クーチが担当していました。


SOMEONE YOU NEVER MET BEFORE
キャニオンの向こうに陽が沈み
一人取り残されたように思える時
見知らぬ誰かがあなたのドアを
ノックするかもしれない
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かが

さて これはよくあるときめきってことなのかも
悲しみにつながるのか喜びに導かれるのか分からないけれど
でもそれはあなたが知らなかった
チャンスの訪れ
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かかも

恐れてはいけない
ゲームはまだ始まっていないのだから
愛を見つけるまで
彼女はあなたを待っている
そしてあなたがしなければならないことのすべては
彼女を中に迎え入れること
そしてもう寂しい生活とお別れするのよ

だから陽が街の向こうに沈んだら
哀れな気分に陥ってはいけない
あなたのドアをノックするのは
新しい恋人かもしれない
前に会ったことがなくても
知っている人のように思える誰かが
知っている人のように思える誰かなのかも

1970年代後半から1980年代にかけての音楽界を振り返ってみると、ディスコ・サウンドが興隆を極め、パンク・ロックとエレクトロニクス・ポップスが市場を席巻していました。私小説を語るように歌うシンガー・ソング・ライターやアコースティックを基調とした爽やかなハーモニーが冴えるウエスト・コーストのロックは時代のグルーヴ感に合わずに隅へと押しやられていたのです。ヴェテラン・アーティストの中にはその潮流をうまく取り込み昇華して行った人もあれば、時代に対応出来ずに押し流され消えてしまった人もいました。
ヒット・メイカーであるキャロル・キングとて例外ではありません。前述のようにディスコ・サウンドを取り入れて音に変化をつけたり、従来のような弾き語りを中心にするのではなくバンド・サウンドを前面に押し出すなどの工夫を試みていたのです。

この『One To One』はアルバムのリリースに合わせたTVプログラム映像も制作され、ジェリー・ゴフィンとのコンビ復活が話題を集めたもののヒット・チャート119位までしか上昇せずに終わりました。しかし、この『One To One』にはシンプルでぬくもりを感じる演奏をバックに、『Tapestry』を始めとするOde時代の作品で表現されたような普通の女性像が投影されているかのように感じ取れます。また、ライヴ・パフォーマンスの映像からも窺えるように不遇の時期であっても決して心が折れることのないひたむきさが伝わってきました。商業的には不発でしたが、シンガー・ソング・ライターとしての才覚のみならず、幾度となく辛い別離を味わった女として、娘と共演する姿から母として、そして人生経験を積んだひとりの人間としてのキャロル・キングの魅力が表された見過ごすことの出来ないアルバムだと思います。
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コメント

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先日、BS TBSでの”Song To Soul”で
放映されていました
彼以外は
Carole King
Peter Asher
Richard Sanford Oshofu
Danny Kortchmar

なかなか興味深い内容でした♪

素敵な
日曜日を
お過しください♪

God bless you...
Azumi様、コメントありがとうございます。
この番組が放映されるのは知っていたのですが、見逃してしまいました。DVDプレーヤーが旧型のため、BSハイビジョン放送の録画が出来ないことが難点です。
こんばんは。この頃のキャロル・・・たしかに時代に乗れてなかったのかもしれませんが、あまりに「つづれ織り」が有名って事も災いしているのかもですね。
前述のトム・ウェイツといい細かい解説は、勉強になります。一つ一つが奥深いので表面をなぞって分かったフリをしている私は恥ずかしい・・・・
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kuwa様、コメントありがとうございます。
ヴェテラン・アーティストには1980年代を器用に立ち振る舞って過ごした人もいれば、押し流されて消えて行った人も少なくありません。そんな中でキャロル・キングは自分を見失わず、無理して時代に乗らなかったから却って生き残れたのかもしれませんね。
kuwaさんのアーティストに対する愛情に溢れた記事には感服しております。また、私は楽器演奏については門外漢ですが、ギターに関する記事も興味深く拝読しております。
今晩は
今年で確か68歳になる
キャロル・キングの来日コンサート見てみたいなあ。
youtubeで見ると、全く歌唱力が衰えていないですね。
このアルバムは未聴なんです。
ギターはエリック・ジョンソンなんでしょうか。
おっしゃる通り80年代初頭という時代背景を考えるとキャロルのような立ち位置のアーティストは微妙なポジションだったんでしょうね。
でもいかにも彼女らしいサウンドが展開されているように思いました。
CK&JTの来日もうすぐですね。
ミキタカ08様、コメントありがとうございます。
円熟しても老いることはないといった感じですね。でも年齢的なことを考えると今回が最後の来日になるかもしれません。
願わくば来年あたりもう一度JTを伴って関西を訪れてほしいものです。その際の料金は出血大サービス価格にしてもらえると有り難いのですがね。
Purple_Haze様、コメントありがとうございます。拙ブログへのアドバイスも感謝しております。
アルバムでは表題曲「One To One」を含めて、エリック・ジョンソンが5曲でギターを担当していました。
アトランティック移籍第二弾となる次作の『SPEEDING TIME』ではシンセサイザーを大幅に導入して、より80年代サウンドへのアプローチを試みています。結果は散々でしたが、キャロル・キングの個性は保たれていて、今聴くとそれほど違和感を感じません。
長く低迷の時期を過ごしても無理せず自分を失わない人が生き残るものだと実感しました。

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