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The Band - JERICHO

ボブ・ディランさんが長期に渡る来日公演に勤しんでおられます。そこで今回は彼と縁の深い方々のアルバムを取り上げることにしました。ご登場していただくのはThe Bandの面々。お題は1993年に発表された『JERICHO』です。

JerichoJericho
(2006/02/21)
The Band

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1. Remedy
2. Blind Willie McTell
3. Caves of Jericho
4. Atlantic City
5. Too Soon Gone
6. Country Boy
7. Move to Japan
8. Amazon (River of Dreams)
9. Stuff You Gotta Watch
10. Same Thing
11. Shine a Light
12. Blues Stay Away from Me

ザ・バンドがボブ・ディランやエリック・クラプトンらを始めとする錚々たるメンバーをゲストに迎えて『THE LAST WALTZ』と題するフェアウェル・コンサートを行ったのは1976年11月25日。このステージの模様はマーティン・スコセッシ監督により映画化され、サントラ・アルバムもワーナー・ブラザーズから78年にリリースされています。
ところが、豪華な解散興行を行ったにもかかわらず、77年にアルバム『Islands』がリリース。何か釈然としないものを感じましたが、ワーナーに移籍して『LAST WALTZ』を発表する見返りとしてもう1枚分のアルバムを制作するというキャピタル・レコードとの契約を履行するために発表されたことが判明して納得したものです。
ラスト・アルバムとなった『Islands』。元の所属先のキャピタル・レコードから「君らなに浮かれてんねん。もう一枚アルバム作る契約が残っとるやろ。あほか」と怒られ、「すんまへん。急いで作りますよってかんにんしておくんなはれ」という風なやり取りがあったのかどうかは定かではありませんが、名曲「Georgia On My Mind」の名演が含まれていたもののいかにも急ごしらえといった内容は消化ゲームのような出来映えと酷評されました。もし翌年に『LAST WALTZ』が発表されなければザ・バンドの活動は寂しく幕が引かれたことになったでしょう。
5人のメンバーは解散後、それぞれの道を歩み始めました。ロビー・ロバートソンはマーティン・スコセッシ監督の映画『Raging bull』(1980年公開)の音楽監督を担当。リヴォン・ヘルムはRSOオール・スターズを結成。リック・ダンコもソロ・アルバム『Rick Danko』(1977年発表)。リチャード・マニュエルとガース・ハドソンは主に他のアーティストのレコーディングに参加することを生業としていました。
1982年、リヴォン・ヘルムとリック・ダンコがアコースティック・デュオを組んでツアーを開始したのがきっかけとなってザ・バンド再結成の気運が高まります。翌83年、ロビー・ロバートソン以外の4人によりザ・バンドは再結成。メンバーを新たに補充してツアーを行いました。
1986年、リチャード・マニュエルがツアー中に自らの命を絶つという出来事があったもののその後も精力的にライヴ活動を続行。1993年にはボブ・ディランのデビュー30周年コンサートにも駆けつけています。
そうした実績が実ったのか、1990年代の初頭にCBSと契約し、スタジオアルバムを制作。しかし、 ロビー・ロバートソンのソロ・アルバム『Robbie Robertson 』(1987年発表)、『Storyville』(1991年発表)の売り上げが芳しくない状況からザ・バンドの神通力も過去のものとの判断がなされたのか発売が見送られました。そんな不運にめげず、ザ・バンドのメンバーは一部をその後再録音するなど手直しをし、1993年にようやくマイナー・レーベルから『JERICHO』と題するアルバムのリリースに漕ぎ着けます。
プロデュースはお馴染みのジョン・サイモン。ロビー・ロバートソンに代わるギタリストとしてツアー・ギタリストとして経験が豊富で、リヴォン・ヘルムのバンドのメンバーでもあったジム・ウエイダー、リチャード・マニュエルの穴を埋めるキー・ボード・プレイヤーにはジャニス・ジョプリンのフル・ティルト・ブギ・バンドのオリジナル・メンバーで、ジョン・セバスチャンやボニー・レイットらのバックで活躍して来たリチャード・ベル、さらにはランディー・シャーランテ(ドラムス)を迎えた6人編成の新生ザ・バンドの姿がここにありました。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーはリヴォン・ヘルムがリード・ヴォーカルを担当する「Remedy」です。ホーン・セクションがフイーチャーされたザ・バンドお得意のニューオーリンズ風のR&B。ロビー・ロバートソンのギターが聴けないのは残念ですが、ジム・ウェイダーのプレイもなかなか味があります。今回はライヴ映像でお楽しみください。


ボブ・ディラン作の「Blind Willie McTell」。アルバム『Infidels』(1983)制作時のアウト・テイクで、1991年に発表された『The Bootleg Series Volumes 1–3 (Rare & Unreleased) 1961–1991』で陽の目を見た作品です。


BLIND WILLIE McTELL
門柱に突き刺さった矢に記されていた言葉が目に入った
「ニューオーリンズからエルサレムまでに至るまでの
土地の収用を宣告する」と
俺はテキサスの東部を通って旅して来た
そこで多くの殉教者が倒れていた
分かってるのさ
ブラインド・ウィリー・マクテルのように
ブルースを歌える者は誰一人としていないってことを

彼らがテントをたたんでいる時に
俺はフクロウがホーホーと鳴くのを聞いた
実を結ばない木々を照らす星々が
奴の唯一の聴衆だった

濃灰色のジプシーの娘たちが
羽を広げながら気どって歩く
だけどブラインド・ウィリー・マクテルのように
ブルースを歌える者は誰一人としていない

大きな農園が燃えているのを見ろよ
鞭が打たれる音を聞けよ
マグノリアの花の甘い香りを嗅げ
奴隷船の亡霊を見よ
俺には部族の人々のうめき声が聞こえる
俺には葬儀屋が鳴らす鐘の音が聞こえる
ブラインド・ウィリー・マクテルのように
ブルースを歌える者は誰一人としていない

川のほとりに一人の女が
ハンサムな若い男と立っている
彼はまるで大地主のようにめかしこみ
密造酒を片手に持っている

鎖に繋がれた囚人がハイウェイを行く
俺には奴らの反逆の叫びが聞こえる
そしてブラインド・ウィリー・マクテルのように
ブルースを歌える者は誰一人としていない

天にまします神よ
俺たちは神の恵みを望んでいる
だがそこにあるのは
権力と欲望と腐敗に思える

俺はセント・ジェームズ・ホテルの窓から
外をじっと見ている
そしてブラインド・ウィリー・マクテルのように
ブルースを歌える者は誰一人としていない

ボブ・ディランのヴァージョンです。ディランはブルースを生んだアメリカ南部という土壌や黒人の歴史を鑑みながら現代社会の状況にも目を向け、誰もブラインド・ウィリー・マクテル(1898 - 1959)のようにブルースは歌えないのだと嘆くように歌っていました。


リチャード・ベル、ジョン・サイモン、リヴォン・ヘルム共作の「Caves of Jericho」。ケンタッキー州のジェリコ炭坑での事故による悲劇が歌われています、


マンドリンやアコーディオンの音色が興味深いブルース・スプリングスティーン作の「Atlantic City」。


ブルース・スプリングスティーンのオリジナル・ヴァージョンは『Nebraska』(1982)に収録されていますが、今回はライヴ映像でお楽しみください。


リチャード・マニュエルがリード・ヴォーカルを担当した「Country Boy」。1985年に録音していたヴァージョンとのことです。


マーティ・ウェブとダニエル・ムーア共作のゴスペル・ナンバー「Shine a Light」。


確かにザ・バンドのナンバーの殆どを手掛けたのはロビー・ロバートソンです。彼の不在は残念に他なりませんが、メイン・ヴォーカルを務めたリヴォン・ヘルムとリック・ダンコの健在ぶりが示されたことは何よりも有り難く思えたものです。また、ボブ・ディランの「Blind Willie McTell」のような楽曲はアメリカ人が忘れ去った歴史や伝統を歌って来た彼らにとってこのうえない作品だったことでしょう。
新生ザ・バンドはこのあと、『High On The Hog』(1996)、『Jubilation』(1998)と2枚のアルバムをリリースします。しかし、かつてのような注目を浴びることはなく1999年にリック・ダンコが逝去。活動を停止しました。

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