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The Hollies - HOLLIES sing DYLAN

まもなくボブ・ディランが来日します。今回はいつものようにディランの歌について勝手な解釈をだらだら述べるのではなく、趣向を変えてザ・ホリーズが1969年にリリースしたディランのカヴァー集『HOLLIES sing DYLAN』を取り上げることにしました。

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(2004/03/17)
ホリーズ

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1. When the Ship Comes
2. I'll Be Your Baby Tonight
3. I Want You
4. This Wheel's on Fire
5. I Shall Be Released
6. Blowin' in the Wind
7. Quit Your Low Down Ways
8. Just Like a Woman
9. Times They Are A-Changin'
10. All I Really Want to Do
11. My Back Pages
12. Mighty Quinn (Quinn the Eskimo)

ザ・ホリーズは小学校からの親友だったグラハム・ナッシュとアラン・クラークを中心として1962年に結成されたイギリスのロック・グループです。1963年にザ・ビートルズと同じEMIよりシングル「(Ain't That) Just Like Me 」でデヴューを飾り、その後「Stay」(ドゥー・ワップの名曲。オリジナルはモーリス・ウィリアムズ&ザ・ゾディアックス。後にジャクソン・ブラウンもカヴァー)が全英8位、翌64年に発表した「Just One Look」(オリジナルはドリス・トロイで全米10位のヒットとなったR&B。リンダ・ロンシュタットのカヴァー・ヴァージョンも有名)が全英2位、さらに65年の「I'm Alive」、66年の「I Can't Let Go」(拙ブログではお馴染みのチップ・テイラー&アル・ゴーゴニの作品)が全英1位を記録して着々と人気をつかんでいきました。

日本では1966年に全英3位、全米5位となったこの曲、「Bus Stop」があまりにも有名でしょう。作者は後に10ccで活躍するグレアム・グールドマンです。


1967年になるとカウンター・カルチャーやフラワー・ムーヴメントといった当時の時流に呼応するかのように、ホリーズは従来のポップ路線を基本としながらもサイケデリックな感覚を取り入れて音楽性に幅を広げていきました。このことは1966年の全米ツアー中にママ・キャス・エリオットやバーズのデヴィッド・クロスビーと親交を深め、ヒッピー文化にも関心を示したグラハム・ナッシュの影響力が大きかったと思われます。彼は同時にボブ・ディランにも傾倒。ロック・アーティストは社会に向けてメッセージを発信すべきとの見解を持ち始めていました。
ところが、ストリングスやブラスを導入し、シタールやSEを使ったサイケデリックな試みが必ずしも功を奏することはなく、1967年にリリースされたアルバム『Evolution』は全英13位まで上ったものの、続く『Butterfly』はチャート・インせず芳しい売り上げを残せませんでした。メンバーは次第にナッシュの志向に不満を抱くようになります。

日本公演が行われた1968年、グラハム・ナッシュはバンド内でますます孤立感を深めて行きました。リーダーとしての威厳も薄れ、後にCS&Nでもレコーディングすることになる自作の「Marrakesh Express」の発表を拒否される始末。バンドの低迷傾向を打破しようとしたのか、ディランに傾倒していたナッシュに配慮したのかリード・ギター担当のトニー・ヒックスの発案でボブ・ディランのカヴァー集が企画されたのですが、ナッシュは「我々はまだディランを演奏できる器ではない」と反対。彼にはディランの主張や感性をメンバーが十分に理解しないまま、話題性を狙って安易に扱おうとする行為に我慢がならなかったのかもしれません。また、親友アラン・クラークがヒックスらに同調したことにも失望の念を禁じ得なかったことでしょう。

1968年12月8日、ロンドン・パラディアムの公演を最後にナッシュはホリーズを脱退。アメリカに渡り、既に意気投合していたデヴィッド・クロスビーやスティーヴン・スティルス(元バッファロー・スプリングフィールド)らとクロスビー、スティルス&ナッシュを結成します。
ホリーズは元スウィンギング・ブルー・ジーンズのテリー・シルヴェスターをナッシュの後任に迎え、ディランの楽曲のレコーディングを続行。1969年5月にアルバム『HOLLIES sing DYLAN』として発表しました。

それではアルバム収録曲を全曲紹介します。オープニング・ナンバーは「 When the Ship Comes 」。バンジョーをフィーチャーして軽快に仕上げています。


ボブ・ディランのオリジナル・ヴァージョンは『The Times They Are a- Changin' 』(1964)に収録。


ピーター、ポール&マリーのカヴァー・ヴァージョンは『A Song Will Rise』(1965)に収録。ホリーズはこのヴァージョンを参考にしたと思われます。


パンク・ロックにケルト音楽の要素を融合したサウンドで注目されたイギリスのロック・バンド、ザ・ポーグスのヴァージョンは『Pogue Mahone』(1995)に収録。


アーロー・ガスリーのヴァージョンは『Hobo's Lullaby』(1972)に収録。今回はライヴ映像をご覧ください。


ハーモニカとコーラスが印象的なカントリー・タッチの「I'll Be Your Baby Tonight」。


I'LL BE YOUR BABY TONIGH
瞳を閉じて
扉を閉じて
もう心配しなくていいんだ
今夜は俺が君の恋人だから

灯りを消して 
カーテンを引いて
もう何も怖がらなくていいんだ
今夜は俺が君の恋人だから

あのモッキングバードは行ってしまうのさ
忘れてしまおう
大きくて太った月がスプーンのように輝く
好きなようにさせとこう
悔やみはしないよね

靴を脱いで 怖がらず
ワインを持ってここに
今夜の俺は君のものだから

ボブ・ディランのヴァージョンは『John Wesley Harding』(1967)に収録。


ノラ・ジョーンズのヴァージョン。2002年にマキシ・シングルで発売された中の1曲です。


転調を交えたアレンジが冴える「 I Want You」。


ボブ・ディランのオリジナル・ヴァージョンは『Blonde on Blonde』(1966)に収録。ここではライヴ音源でお聴きください。


全英2位を記録した「Stop Stop Stop」に引き続いて演奏される「This Wheel's on Fire」。ザ・バーズのロジャー・マッギンを少し意識したかのような歌い方、シャッフル調のアレンジが興味深い。


ボブ・ディランのヴァージョンは『The Basement Tapes』(1975)に収録。


ザ・バーズのヴァージョンは『Dr. Byrds & Mr. Hyde』(1969)に収録。


明るく希望が見出せるような調子で演奏される「 I Shall Be Released」。


ボブ・ディランのヴァージョンは『The Basement Tapes』に収録。今回はノラ・ジョーンズと共演したライヴ映像でお楽しみください。


The Bandのヴァージョンは『Music From Big Pink』(1968)に収録されていますが、今回はライヴ映像をご覧ください。


これは珍しい。ママ・キャス・エリオット、マリー・トラヴァース、ジョニ・ミッチェルの1969年の共演映像。


ホーンやストリングスを導入してゴスペル・フィーリング溢れるアレンジが施された「Blowin' in the Wind」。


ボブ・ディランのオリジナル・ヴァージョンは『The Freewheelin' Bob Dylan』に収録。今回はジョーン・バエズと共演した1976年の「ローリング・サンダー・レビュー」の映像でお楽しみください。


グルジア出身で、現在はイギリスを本拠に活動するシンガー・ソング・ライター、ケイティ・メルアのライヴ映像。


アコースティック・ギターの演奏が目を引く「Quit Your Low Down Ways」。


ボブ・ディランのヴァージョンは『The Freewheelin' Bob Dylan』のセッションでレコーディングされたもののお蔵入りし、1991年にリリースされた『The Bootleg Series Volumes 1–3 (Rare & Unreleased) 1961–1991』でようやく陽の目を見ました。


堂々と歌い上げた「 Just Like a Woman 」。少々幻想的なイントロのキー・ボードやホーンやストリングスを加えたアレンジでボブ・ディランとの差別化を図っているようです。


ボブ・ディランのヴァージョンは『Blonde on Blonde』に収録。今回は1976年の「ローリング・サンダー・レビュー」のライヴ映像から。スカーレット・リヴェラの弾くヴァイオリンの音色が独特の雰囲気を醸し出しています。


セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンを父母に持つシャルロット・ゲンズブールのヴァージョンはボブ・ディランの伝記映画『I'm Not There』(2007年公開)のサウンド・トラック盤に収録。カトリーヌ・ドヌーブ主演の『Paroles et Musique』(1984)でデビューし、フランコ・ゼフィレッリ監督作品『Jane Eyre』(1996)など主演作も多数。


「Times They Are A-Changin'」は1966年のライヴ音源から。


ボブ・ディランのヴァージョンは2009年2月11日ホワイト・ハウスで演奏した映像をご覧ください。オリジナル・ヴァージョンは『The Times They Are a-Changin'』(1964)に収録。


グラハム・ナッシュ、ジョン・ホール、ジェームズ・テイラー、カーリー・サイモンによるパフォーマンスは1979年に行われた「No Nukes」コンサートの映像から。


豪快に歌う「 All I Really Want to Do」。スティール・パンの音色が躍動感のある雰囲気を盛り上げています。


ボブ・ディランのヴァージョンは『Another Side of Bob Dylan』(1964)に収録。これは『Bob Dylan at Budokan』(1978)の音源。


ザ・バーズのヴァージョンは『Mr. Tambourine Man』に収録。今回はライヴ映像で。


キー・ボードと木管楽器の音色が効果的に使われた「My Back Pages」。


ボブ・ディランのデビュー30周年記念コンサートからの映像です。オリジナルは『Another Side of Bob Dylan』に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=WThjO4IcZkg

ジャクソン・ブラウンがジョー・オズボーンとデュエットで歌うヴァージョンは2000年公開の映画『Steal The Movie』のサウンド・トラック盤に収録されていました。


バンジョーを使って陽気に仕上げた「Mighty Quinn (Quinn the Eskimo)」。


ボブ・ディランのヴァージョンは『Basement Tapes』に収録。


全英1位を獲得したマンフレッド・マンのヴァージョンは『Mighty Garvey!』(1968)に収録。


美貌とハスキー・ヴォイスで多くのファンを魅了したジャズ・シンガーのジュリー・ロンドンも歌っていました。1969年リリースのアルバム『Yummy Yummy Yummy』に収録されています。


周囲の圧力に屈したのか、歌ってみて時期尚早と判断したのか分かりませんが、グラハム・ナッシュは脱退前にディランの「Blowin' The Wind」をレコーディングしています。さらに「The Times They Are A-Changin'」もステージで披露していました。この『HOLLIES sing DYLAN』がCD化された際にこの2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

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コメント

幅広い人達が
Coverしますからね
その昔彼がDebutしたAlbumを
何故か即買って
歌詞を日本語に訳して
あるRadio番組に投稿したことが有りましたネ
難解な詩を訳すのに苦労したことを
覚えております♪

God bless you...
Azumi様、コメントありがとうございます。
ボブ・ディランの歌詞は難解で、年齢を重ねた今でもなかなか理解出来ません。そんな独自の主張と感性が窺える内容であったからこそ、分かった気になっていたずらに歌うことはディランに対して失礼であるとグラハム・ナッシュは思ったのでしょうね。
内容が濃いですねぇ・・
ナッシュがいたバンドって認識はありましたが、記事を読んで勉強になりました。
しかし、ディランの曲って本人じゃない人たちが歌うとメロディが綺麗なんですよね!?(笑)
不思議だ・・・
kuwa様、コメントありがとうございます。
もちろん取り上げるアーティストの解釈によって大幅なアレンジが加えられることもありますが、概してボブ・ディランの曲は他人が歌ったほうが綺麗に聴こえる場合が多いですね。
ボブ・ディラン本人に関しても、CDなどに録音されたヴァージョンとステージで披露されるものとは歌い方もメロディも時として大きく変えることがあるようです。

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