好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Stephen Bishop - CARELESS

春がそこまでやって来ているのを実感させるような暖かい日が続いています。そこで今回はそんな季節にぴったりのアーティストを取り上げることにしました。ご登場を願う方はビッシュことスティーヴン・ビショップ。お題は彼が1976年に発表したデヴュー・アルバム、『CARELESS』です。

ケアレスケアレス
(1995/10/04)
スティーブン・ビショップ

商品詳細を見る

1. On and On
2. Never Letting Go
3. Careless
4. Sinking in an Ocean of Tears
5. Madge
6. Every Minute
7. Little Italy
8. One More Night
9. (Guitar Interlude)
10. Save It for a Rainy Day
11. Rock and Roll Slave
12. Same Old Tears on a New Background

1951年11月14日、カリフォルニア州サンディエゴで生まれたスティーヴン・ビショップは9歳にして楽器を手にし、12歳の頃にはバンドを組んでいたといいます。
やがて、音楽で生計を立てるべくロサンゼルスへ向かい、ソング・ライターやバック・ミュージシャンとして活動し始めました。しかし、音楽業界はそれほど甘いものではありません。暫くの間は苦汁を飲まされたようです。
そうした下積み生活の中で、ビショップには様々な人との出会いがありました。その中の一人にキャス・エリオットの実妹で、当時は高名なドラマーであるラス・カンケルの妻として知られたリア・カンケルがいます。今もシンガーとしてもソング・ライターとしても活躍している人ですが、この頃は同じような境遇が手伝ったのか、二人は親交を深めていきました。
その後、スティーヴン・ビショップはリア・カンケルとの共作「Under The Jamaican Moon」をニック・デカロのアルバム『Italian Graffiti』(1974)に提供。さらにリアの仲立ちにより、彼女自身もバック・ヴォーカルで参加したアート・ガーファンクルのアルバム『Breakaway』(1975)にビショップが書いた「Same Old Tears On A New Background」が取り上げられるなど着実に実績を積んでいきます。こうしてようやく運が巡って来たのか、abcレコードからのオファーを受け、シンガー・ソング・ライターとしてのデヴューに漕ぎ着けました。

ニック・デカロの「Under The Jamaican Moon」です。


アート・ガーファンクルの「The Same Old Tears On A New Background」です。


それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーは表題曲「On and On」。


ON AND ON
ジャマイカの田舎のほうでは
綺麗な娘がたくさんいて
おまえさんから金を盗み
おまえさんの心も痛めつけるだろう
孤独なスー
彼女はオールド・サムと恋仲さ
彼女は火焔地獄のような苦しみから
彼を連れ出し面倒をみている

続けているのさ
彼女はずっとそうしようと努力しているんだ
泣きたいような気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

可哀相なオールド・ジミー
月明かりの下に座っている
自分の女が他の男とキスしているのを見たのだ
それで彼ははしごを持ち出して
空から星を盗むような出来もしないことを思うのさ
フランク・シナトラのレコードをかけて泣き始めるんだよね

続けているのさ
彼はずっとそうしようと努力しているんだ
泣きたいような気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

出逢ったその日が別れの日
気分が悪くなっちまうぜ
でも分かっているのなら
はっきりさせてほしい
しっかりとつかまえておいて
彼女におやすみなんて言わせちゃ駄目だよ

太陽の光を肩に受けて
俺のつま先は砂の中にあるような気分
愛しの彼女が俺をおいて
他の男のところにいっちゃった
ああ だけど気にしないさ
俺はただ夢を見るだろうし
肌は日に焼けたままにしよう(気落ちせずにいよう)
心を放り上げて
どこに落ちるかを確かめるとしよう

続けているのさ
彼はずっとそうしようと努力しているんだ
死にそうな気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

うららかな雰囲気の曲調とは裏腹に、違和感を覚えるような重苦しい内容の歌詞です。鳴かず飛ばずの下積みの時代には挫折も経験したことでしょう。様々な苦渋を味わったことが投影されているかのようにも思えます。しかし、最後のVerseを鑑みると「人生は努力してもなるようにしかならないもの。気にせず生き抜こう」といった楽観的な思いが窺われ、決して希望を失っていません。
ビッシュは小粋な言い回しや比喩表現が巧みな人です。"My woman's left me for the some other man / Aw, but I don't care / I'll just dream and stay tan” というくだりはmanとtanが韻を踏み、直訳すると「愛しの彼女が俺をおいて他の男のところにいっちゃった/ああ、だけど気にしないさ/俺はただ夢を見るだろうし、肌は日に焼けたままにしよう」になるのですが、「落ち込まずのんびりと日焼けでもして構えていよう」との気持ちが表されているように思え、"Toss up my heart to see where it lands"という部分を直訳すると「心を放り上げて、どこに落ちるかを確かめるとしよう」となり、表か裏か、吉と出るか凶と出るかと運を天に任せているようにも受け取れました。

ライヴ映像もお楽しみください。


こちらは近年のパフォーマンス。2005年にリリースされたDVDからの映像と思われます。


これはいつ頃のものかよく分かりません。貼付けが出来ないので下記のURLをクリックしてご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=y6NVZRepPFs

哀愁を帯びたギターのイントロで始まり、効果的なストリングスが涙を誘うような「Never Letting Go」。愛する人への思いが滲み出た内容の歌です。


アート・ガーファンクルがバック・ヴォーカルで参加した「Careless」。不用意な言動で恋人の心を傷つけてしまったことを後悔する歌です。


大恐慌の時代に絡めた人生の興亡を背景にして昔の恋人のことを思い出す「Madge」。1985年のライヴ映像をご覧ください。


通りで催されるパレードで浮かれる人々。気に入った女性を手放すなと母親にアドバイスされる青年。そんなのどかな光景が描写され、自国の中にある異国情緒を味わうような「Little Italy」。


恋人にすがる思いを打ち明ける曲のようですが、大人のドラマと言った風情が醸し出された「One More Night」。切々と歌われるところが心に滲みます。"There's a man at the train stop / with tears in his eyes / It reminds me of so long ago / when I was able to cry / Now I'm strong / Slip away and laugh along / with anyone who needs someone blue(停車場に一人の男がいた/その目を泣き濡らしながら/俺は遥か昔を思い出した/泣くことの出来た頃を/今では俺は強くなって/笑い飛ばしながら通り過ぎる/人には悲しみがつきまとうものだ)" というくだりが印象的。


エリック・クラプトンのギターがほどよく唸る「Save It for a Rainy Day」。印象的なバック・コーラスはチャカ・カーンです。ブラス・セクションも効果的。
クラプトンはスティーヴン・ビショップのソング・ライターの魅力に惹かれて参加を買って出て、男心に男が惚れたのかどうかよく分かりませんが、その後もビッシュのレコーディングに付き合っています。


2007年に発表された『Saudade』収録のアコースティック・ヴァージョン。こちらのギター・ソロもエリック・クラプトンが弾いていました。


近年のライヴ映像です。


洒落たサウンドに甘い歌声。都会的なユーモアとほろ苦いペーソス。スティーヴン・ビショップが紡ぎ出す音楽はAORブームに後押しされて確固たる地位を築きました。順調にアルバムを発表する傍ら次第に映画音楽を手掛けるようになり、ジョン・ベルーシ主演、ジョン・ランディス監督作品『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラス主演『The China Syndrome』(1979年公開)、ダスティン・ホフマン主演『Tootsie』(1982年公開)、ミハイル・バリシ二コフ主演『White Nights』(1986年公開)などのサウンド・トラック盤に楽曲を提供。彼自身も俳優としてジョン・ランディス監督作品『The Kentucky Fried Movie』(1977年公開)、『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、『The Blues Brothers』(1980年公開)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『Twilight Zone』(1983年公開)などの映画にも出演しています。

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コメント

こんばんは。私もこのアルバム、高校時代にリアルタイムで聴きました。アートの方が先でしたが・・・中で少しやってるギターインストも好きですよ(笑)
kuwa様、コメントありがとうございます。
私もビッシュの歌を初めて耳にしたのは高校生の時です。
魅力的なソング・ライティングや甘い歌声に加えて、ギターもなかなかの腕達者。ギター・プレイについても少し言及してあげたほうが良かったと反省しております。
僕もリアルタイムで聴いたくちです。マイケル・フランクスなんかと並べて。
つい先日突然思い立ってこのひとの”ロマンス・イン・リオ”を購入しました。
以前トッド・ラングレンも同じ趣向で出してましたがどちもやっぱりオリジナルが好きだなあと思っちゃいます。
が、元が良いからボサ風味にしても映えますね。
miracle-mule様、コメントありがとうございます。
AORブームに後押しされたかの如く登場したビッシュやマイケル・フランクスを聴いていた頃を懐かしく思います。当時は彼らの歌声がさりげなく心に染み込みました。
ビッシュにしろトッドにしろ、ヴェテラン・アーティストになるとボサノヴァやブラジル音楽を取り入れる傾向がありますね。おっしゃる通りオリジナルが良いとボサノヴァ風のアレンジがよく映えます。

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