好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Emmylou Harris - ANGEL BAND

拙ブログとリンクしていただいているPurple_Hazeさんが、エミルー・ハリスの『Luxury Liner』を記事にされていました。初期のアルバムはこの方にお任せするとして、今回はエミルー・ハリスが1987年に発表した『Angel Band』を取り上げることにします。
Angel BandAngel Band
(1987/07/22)
Emmylou Harris

商品詳細を見る

1. Where Could I Go But to the Lord
2. Angel Band
3. If I Be Lifted Up
4. Precious Memories
5. Bright Morning Stars
6. When He Calls
7. We Shall Rise
8. Drifting Too Far
9. Who Will Sing for Me?
10. Someday My Ship Will Sail
11. Other Side of Life
12. When They Ring Those Golden Bells

このアルバムがリリースされた1987年のアメリカは貿易赤字と財政赤字が併存する「双子の赤字」を抱え、さらには10月にブラック・マンデーという株価の大暴落が起こり経済の立て直しが迫られていた時期です。
暗く混沌とした世相の反映か、人々が戦争の敗北という結果を冷静に受け止められるようになったのか、この年は前年の12月に封切られた『Platoon』(オリヴァー・ストーン監督)を始め、『Hamburger Hill 』(ジョン・アーヴィン監督)『Full Metal Jacketフルメタル・ジャケット』(スタンリー・キューブリック監督)、『Gardens Of Stone (友よ風に抱かれて)』(フランシス・コッポラ監督)、『Good Morning Vietnam』(バリー・レヴィンソン監督)などヴェトナム戦争を描いた映画が相次いで公開されました。
一方、ポピュラー音楽のトレンドはダンス・ミュージックやヘヴィ・メタルであり、数々のアーティストがヒット・チャートを賑わしていました。デュラン・デュラン、ワムといったイギリス勢が「第二次ブリティッシュ・インベイジョン」の波に乗って80年代中頃のアメリカを席巻した後にU2が台頭。アメリカ勢ではザ・バングルズやホイットニー・ヒューストンらの女性陣の躍進も見逃せません。メタル/ハード・ロックのカテゴリーではホワイト・スネイクやエアロスミスらが復権し、ボン・ジョヴィ、ガンズ・アンド・ローゼズらの新興勢力と篠木を削っていました。こうしたアーティストの活躍はビデオ・クリップを流し続けるMTVの効果を活かしたもので、マドンナやマイケル・ジャクソンがスーパー・スターへと成長する要因をもたらしていたのです。

音楽が巨大な産業へと肥大化して行く状況の中で、エミルー・ハリスがリンダ・ロンシュタット、ドリー・パートンらと共演したアルバム『Trio』は全米6位を記録します。カントリー・ロックやシンガー・ソング・ライター系のサウンドを基調にした音楽が受け入れられなくなった時代、口当たりの良いポップスやヘヴィ・メタルを好まぬ人々にカントリー・ミュージックの素晴らしさを再認識させたのか、消耗品ではなく自分と一緒に年を取っていけるアーティストに親近感がわいたのか、成熟した層のニーズに合致したのか考えられる要素は幾つもあるでしょう。ともあれ、『Trio』は彼女たちが再び脚光を浴びる結果となりました。

その余韻が覚めやらぬうちにリリースされたアルバム『Angel Band』。トラディショナル・ナンバーを含む収録曲のほぼすべてがキリスト教への帰依と信仰が描かれ、神への愛に溢れています。これは神への信仰を心のよりどころとして日々を送るというアメリカ人が元来持っていた普遍的な価値観。アメリカ南部アラバマ州で生まれ育ったエミルー・ハリスにはそうした傾向がより強いことでしょう。
ヒット・チャートに現れては消えるあまたのアーティストを横目に、独自の新鮮な感覚と解釈でカントリー・ミュージックの伝統を継承するエミルー・ハリス。何事にも捕われず、自分自身に正直に生きることが何よりも大切だということを物語っているかのように思えます。

アルバムのオープニング・ナンバーはミシシッピ州出身の教師で多くのゴスペル作品を残したJ.B.コーツ作の「Where Could I Go But to the Lord」。
http://www.youtube.com/watch?v=VFU1Vj4vjyQ

WHERE COULD I GO BUT TO THE LORD
罪に溢れるこの世界に生き
安らぎに至る余裕は殆どない
誘惑に負けまいと戦い
主の身許に行かんとするのみ

どこへ行けば見つかるのか
魂の安息地を探して
私を救う友を求めて
主の身許に行かんとするのみ

隣人たちは陽気で、私は皆を愛して止まない
ともに仲良く暮らしている
だけど私が死神のような冷たい手を差し出した時
主の身許に行かんとするのみ

個々での生活は申し分なく、友を愛して止まない
神の言葉が私を励ましてくれる
だけど私が天与の糧を求める時
主の身許に行かんとするのみ

この曲は多くのアーティストに取り上げらています。今回はエルヴィス・プレスリーのヴァージョンをお聴きくだされば幸いです。彼が1967年に発表した『How Great Thou Art』に収録されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=J_s23-_uK4w

表題曲はトラディショナル・ナンバー、「Angel Band」。神に懺悔し、天使に永遠の安息の地に連れて行ってもらうことを願う歌です。
http://www.youtube.com/watch?v=6gptQW7jACc

神のご加護を祈るトラッド、「If I Be Lifted Up」はライヴ映像をご覧ください。


人生の苦難に陥った時、貴く神聖な思い出が甦って励まされることを歌った「Precious Memories」。これもトラディショナル・ナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=IG0oIZ0Spxc

天国の父母に想いを馳せ、暁の星とともに心が晴れ晴れとして行く様が描かれた「Bright Morning Stars」はシェリル・クロウ、ギリアン・ウェルチとの共演映像でお楽しみください。


イエス・キリストに導かれて生きることが肝要と説かれたトラッド、「Drifting Too Far」。
http://www.youtube.com/watch?v=WHcDZlnahMg

人生と言う旅を終える自分のために歌ってくれる人を求めた「Who Will Sing for Me?」。末期の水ということでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=kTWXbr39CAk

いつか魂の満たされる日まで人生という荒波を航海して行こうとの意志が表された「Someday My Ship Will Sail」。


心の中に歓喜の歌があれば死は恐れるものではないと歌われる「Other Side of Life」はヴィンス・ギルとの共演映像をご覧ください。


天の楽園では黄金の鐘の音が鳴り響くという「When They Ring Those Golden Bells」。これもトラディショナル・ナンバーで、鎮魂歌のようです。


伝統を踏まえた上で、カントリー・ミュージックに新しい息吹を吹き込むエミルー・ハリス。自らも含めた既存のスタイルを崩壊させるような彼女の挑戦的な試みは1990年代以降に開花することになります。

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コメント

BackStreetsさん、お久しぶりです♪

エミルー・ハリスは好きで、昔聴いてたんですが、長いこと聴いたことが無く、動画を見たら何と金髪で濃い化粧をしパーマを当てているではありませんか?
いまだに黒髪でストレート・ヘアーだと思ってました。
(古~っ)

リンダ・ロンシュタッド、ドリー・パートンとのトリオが好きでした!

「Who Will Sing For Me?」なんかも、私の好みです。


彼の本来の姿は
Gospel
White Spiritual
です
Emmylou Harris
彼女も素晴らしい「心」の持ち主です

God bless you...


Toshinosuke様、コメントありがとうございます。
映像は『Angel Band』発表時のものから2001年ぐらいのものが多いと思われます。このアルバムのジャケットも既に黒髪のストレート・ロング・ヘアーというイメージから脱していますが、1995年の『Wrecking Ball』あたりから髪の色が完全に白色がかかったプラチナのような金髪に変わり始めました。染めているのか年齢によるものなのかはよく分かりません。
こんにちは。”Elite Hotel"からリアルタイムでアルバムを購入していた小生にとって、”Angel Band"前後は惰性で買っていた時期なので1~2回ぐらいしか針を落していなかたです・・しかし・・声かすれ気味・・これもアリかな。
Azumi様、コメントありがとうございます。
私もエルヴィスはゴスペル・シンガーだと思います。彼の歌からは祈りを感じました。
何事にも捕われずに我が道を行くエミルー・ハリスの姿勢には菩薩のようなものを連想します。
スナジイー様、コメントありがとうございます。
1995年の『Wrecking Ball』あたりから以前のような澄んだ声が影を潜め、かすれた声に変わって行きましたね。グラム・パーソンズの影を感じなくなり始めたのと同時かと思います。
初めて知ったのはディランの「ハリケーン」。
ディランの癖のある節回しに負けない素敵なコーラスを聞かせてくれている女性ボーカルがとても気になり、それがエミルー・ハリスということを知りました。
ソロアルバムもいいですが、ガイ・クラークとのコーラスも忘れられません。
がじゅまる様、コメントありがとうございます。
私がエミルー・ハリスを知ったのはグラム・パーソンズのアルバムからです。ボブ・ディランのアルバム『Desire』における彼女のパフォーマンスも素晴らしく、かけがえのないものだと思いました。
カントリー・ミュージックの枠に捕われないエミルー・ハリスの活動に目が離せません。

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