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Renee Armand - The Rain Book

前回のローラ・ニーロに続いて今回も女性シンガー・ソング・ライターの記事です。ご登場いただくのはレネー・アーマンド。彼女が1972年に発表したファースト・アルバム『The Rain Book』を取り上げます。
ザ・レイン・ブックザ・レイン・ブック
(2001/10/24)
レネー・アーマンド

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1. England
2. Elizabeth Rain
3. I Think You're Letting Me Go
4. Does Anybody Loves You
5. Friends
6. You & I
7. Falling Ladies
8. Raining In L.A.
9. Guess I Never Knew You
10. I'm Going Away

生年月日や出身地などの詳しいプロフィールは不明ですが、カレッジ在籍時にジャズ・バンドのリード・ヴォーカルを担当していたことが彼女の音楽活動のスタートのようです。その後カレッジを中退。1968年頃にウディ・ハーマンのビッグ・バンドに迎えられてプロ・シンガーの道を歩み始めます。
若くしてビッグ・バンドのシンガーとしてステージに立ち、多くのジャズのスタンダードやミュージカル・ナンバーを歌ったことは彼女にとって貴重な経験となりました。艶のある歌声、パワフルでダイナミックな唱法や静と動を巧みに使い分ける豊かな表現力はここで体得したものと思われます。ソング・ライティングの技量を身につけたのもこの頃のことでしょう。
ビッグ・バンドに3年ほど在籍してウディ・ハーマンのもとを去ったレネーはソング・ライターとしてコマーシャルの仕事を手掛けるようになりますが、1971年にリリースされた映画『Bless The Beasts And Children(動物と子供たちの詩)』のサウンド・トラック・アルバムの1曲に歌手として抜擢され、収録曲「Lost」(バリー・デヴォーゾン&ベリー・ボトキン・ジュニア作)をレコーディング。ちなみに主題歌はカーペンターズが歌っていました。
このレコーディングがきっかけとなったのか、レネー・アーマンドはA&Mレコードと契約を交わし、デヴュー・アルバム『The Rain Book』がリリースされる運びとなります。参加ミュージシャンにはダニー・クーチ(ギター)、ラリー・カールトン(ギター)、ジュー・オズボーン(ベース)、リー・スクラー(ベース)、ジム・ホーン(フルート)など腕利きのミュージシャンが参加。A&M側の期待が大きかったことを彷彿させました。
また、このアルバムはレネー・アーマンドの夫となるジム・ゴードンが殆どの曲でプロデュースを行っています。彼は天才的ドラマーとしてフィル・スペクターのレコーディング・セッションで頭角を現し、以後売れっ子ミュージシャンとして引く手あまたとなってジョン・レノン、カーペンターズ、ハリー・ニルソンなど数多くのアーティストの作品に参加。エリック・クラプトンとのデレク&ドミノス、スティーヴィー・ウィンウッドとのトラフィックのメンバーとしても活躍しました。ことにデレク&ドミノス時代には「Layla(いとしのレイラ)」の共作者としてクラプトンとともに名を連ねています。
レネー・アーマンドとジム・ゴードンが結婚したのは1973年。アルバムのレコーディング中は恋愛関係にあったと推測されます。ゴードンは妻となる愛する女性のためにいいところを見せようとハッスルしたのか、本職のドラムスだけでなくギターやピアノも弾いて懸命にバック・アップ。しかし、そんな涙ぐましい献身とは裏腹に歌詞の内容は別離について書かれたものが目立ちます。ゴードンの恋い焦がれる思いがレネーには重荷になっていたのでしょうか。
伝えられるところによると、実際の破局の理由はジム・ゴードンの暴力とのこと。もともとジム・ゴードンにDVの傾向があったのかどうか定かではありませんが、長年のドラッグ摂取の後遺症によると思われる幻覚や幻聴に苛まれ、レネーに暴力をふるって大怪我を負わす始末。当然ながら結婚生活は破綻。二人の幸福な期間は僅か半年で終わります。
ゴードンの症状はその後さらに悪化。1980年代に入ると精神分裂症となり一線を退きました。1983年には錯乱状態の中で実母を銃殺するという事件を起こし、現在も服役中だそうです。

この『The Rain Song』が発表された1972年はシンガー・ソング・ライターが脚光を浴び始めた時代でした。発売当初レネー・アーモンドの作風はローラ・ニーロやキャロル・キングと比較されましたが、曲調や歌声はむしろイーヴィ・サンズを連想させます。

期待されながらのデヴュー・アルバムの不発、離婚といったアクシデントにいつまでも滅入ることなく、レネー・アーマンドはスタジオ・シンガーや楽曲提供でバック・バンドのシンガーとして活動を続けます。スタジオ・セッションではリア・カンケルのファースト・アルバム『LEAH KUNKEL』(1979年発表)収録の「I've Got To Get A Message To You(獄中の手紙)」やリトル・フィートの『Let It Roll』(1988年発表)収録の「Hangin' on to the Good Times」などへの参加がよく知られているところ。楽曲提供ではサム・ブラウンとの共作「One Day In Your Life」をマイケル・ジャクソンが歌って1981年に全米55位、全英1位のヒットを記録しています。なお、この曲はマイケルが1975年リリースしたアルバム『Forever, Michael』に収録されていました。
また、1977年頃にジョン・デンバーのバンドにバック・ヴォーカルとして加わり、78年には彼のレーベルであるウインドソングから2作目のアルバム『In Time』を発表。サックス/フルート奏者としてお馴染みのジム・ホーンがプロデュースにあたり、ダニー・クーチ、ラリー・カールトン、スティーヴ・クロッパー、フレッド・タケット、デイヴィッド・フォスターら錚々たるメンバーが参加していました。
1984年には旧知のリア・カンケル、マーティ・グインらとコヨーテ・シスターズを結成してアルバム『THE COYOTE SISTERS』をリリース。リア・カンケルはママ・キャス・エリオットの実妹で、バック・ヴォーカルとしての実績とソング・ライターとしての実力を持ち、2枚のソロ・アルバムを発表。マーティ・グインも様々なアーティストのアルバムにスタジオ・シンガーとして参加し、自身もソロ・アルバムをリリースした経歴がありました。
しかし、このアルバムを最後にレネー・アーマンドの名前は聞かれなくなり、2001年に突然発表されたコヨーテ・シスターズのセカンド・アルバム『WOMAN AND OTHERVISIONS』に作詞提供が1曲だけあるのみ。再び表舞台に戻って来てほしいところです。

なおレネー・アーマンドの『In Time』については田中タケル様のサイト「IN A FAR AWAY LAND」を参照させていただきました。この場を借りて感謝の言葉を述べさせていただきます。ありがとうございました。

それではアルバムの中から何曲か紹介しましょう。オープニング・ナンバーはジム・ゴードンとの共作、「England」。ジム・ホーンの奏でるフルートの爽やかな音色にしっとりとしたレネー・アーマンドの歌声が印象的。タイトルが示すように、何となくサンディ・デニーらブリッティッシュ・トラッドのシンガーの雰囲気が窺えました。ジム・ゴードンはドラムス、パーカッション、ピアノ、ギターと獅子奮迅の大活躍です。


控えめながらもソウルフルな歌唱が心に残る「Elizabeth Rain」。この曲のギターはダニー・クーチとルイ・シェルトンが担当しており、ジム・ゴードンはドラムスのみです。


シングル・カットされた「Raining In L.A.」。ゲイリー・パケット&ザ・ユニオン・ギャップの元メンバー、ケリー・チェイターとの共作です。この曲のギターはラリー・カールトンが弾いていました。


RAINING IN L.A.
電話であれこれ話したわ
あなたがどこへ行ったのか聞こうとして
いつ電話してもつながらない
私の留守番電話を聞いたはずよね

ロサンゼルスは雨だってね
思いもよらない嵐に見舞われているって
ロサンゼルスは寒くて雨が降っているのね
誰があなたを暖めてくれるのかしら

空白のページにたくさんの言葉を書いたわ
私が何をしたかをあなたに聞きたくて
手紙を送っても返事をくれない
私が書いた言葉を呼んだはずよね

ロサンゼルスは雨だってね
思いもよらない嵐に見舞われているって
ロサンゼルスは寒くて雨が降っているのね
誰があなたを暖めてくれるのかしら

少し前に聞いたのはあなたが一人でいるということ
もう誰も必要としないのね
いつもあなたを愛していたのに受け入れてもらえなかった
もうあなたは本当にいないのね

アルバムの最後を飾るのはケリー・チェイターとの共作曲「I'm Going Away」。少々仰々しいオーケストラの演奏で始まるこの曲は「I'm going away / He knows my love is stronger than he cares to say(私は行くわ/彼が思っている以上に私の愛は強いけど)」といった歌詞にレネー・アーマンドとジム・ゴードンの行く末を暗示しているかのように受け取れました。力強いゴードンのドラムスは却って虚しく響き、情感豊かなレニーのヴォーカルが涙を誘うかのようです。この曲での作風と歌唱はローラ・ニーロを思い起こさせました。


コヨーテ・シスターズのアルバムから1曲お聴きください。


1973年に放映されたナタリー・ウッド主演のアメリカのテレビ・ドラマ『The Affair』からの映像。ナタリー・ウッドが劇中で歌った「I Can See You Anymore」を提供していました。


ジョン・デンバーに提供された「The River」。この曲が収録された彼のアルバム『perhaps Love』(1980)は諸般の事情でお蔵入りしていましたが、1988年にリリースされた未発表曲集『Forever, John』にて陽の目を見ました。


前述のマイケル・ジャクソンに提供した「One Day In You Life」。


ライヴ映像です。


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コメント

このアルバムはジャケットが秀逸で、70年代から気になっていました。
聴いたのは3年前で、その素晴らしさに狂喜したものです。
梅雨の頃に、聴きたくなるのですが寒い時も良いものです。名盤は季節を選びませんね。
イヴィ・サンズですか。なるほど、そう言われてみれば雰囲気近いですね。
white様、コメントありがとうございます。
私が中学生の頃に読んでいた『ニュー・ミュージック・マガジン』や『ライトミュージック』などの音楽雑誌のアルバム・レヴューで評価が高かったことを憶えています。でも、あまり売れなかったようでした。
ラジオや友人の家で何曲かをに耳にしたことがありましたが、完全に聴くことが出来たのは「名盤の殿堂」シリーズによるもの。今では廃盤になっているようですが、2ndとともに再発してほしいところです。
こんにちは!

よくここまで調べましたね~v-237

アルバム『Forever, John』は持っていますが、『The river』がレネーの作品だとは知りませんでした。またアルバムを聴く楽しみができましたv-360

彼女はジョン・デンバーのライブのバックで歌っているのを見たことがあります。シンガーソングライターだったのですね。

アルバム『In Time』もぜひとも聴いてみたいですねv-341
再び失礼いたします。
昨年10月に発売された「Around The World Live」というジョン・デンバーの5枚組のDVDのディスク1にレネー・アーマンドさんがバックシンガーとして登場していました。1977年のオーストラリアでの映像ですが、テレビ未収録の映像もたくさん登場していますし、レネーさんもばっちりと映像の中に登場しています。オリビア・ニュートン・ジョンとデュエットした「Fly Away」をジョン・デンバーとレネーさんが歌っていましたが、オリビアとはちょっと違った雰囲気で良かったですね・・・・。

2枚しかアルバムを出していない、レネーさんですが、もしこの日本に彼女のファンがいるのでしたら、このDVDを購入されるといいでしょう。何しろ円高のお陰でボーナストラック付きのUK版が3000円、USA版が6000円ほどで手に入るのですから・・・。(Amzonで購入した場合です。他のサイトはもっと高いです。)
マーヤ様、コメントありがとうございます。
画面では分からないと思われますが、レネー・アーマンドの『The Rain Book』のLP盤ジャケットはエンボス印刷で、水滴の部分がこんもりと浮き上がっていたそうです。そのことを鑑みてもA&Mの期待のほどが計り知れました。
ジョン・デンバーの5枚組DVDにレネー・アーマンドの映像が幾つも登場しているとなると食指が動きます。マーヤさんの書かれた記事を読むとNTSC方式のリージョン2ということなので問題ないようですしね。海外へのクレジット支払いに少々不安が残るだけです。
国内盤の発売は無理でしょうね。もしリリースされても高額になるでしょうけれど。

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