好きな音楽のことについて語りたいと思います。

Laura Nyro - Eli And The Thirteenth Confession

今回は1968年に発表されたローラ・ニーロの『Eli And The Thirteenth Confession』について言及したい。このアルバムも遼さんの「DAYS OF MUSIC & MOVIES」MASAさんの「rolling beat blog」DEB DYLANさんの「DEB DYLAN の 風に吹かれて」purple_Hazeさんの「Blues Power」といった先達が私のような者の知識や技量では足下にも及ばぬ記事を書かれており、今さら取り上げるに及ばないのかもしれない。しかし、勝手ながら敢えてこの場で私見を述べさせていただくことにする。

イーライと13番目の懺悔イーライと13番目の懺悔
(2002/08/21)
ローラ・ニーロ

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1. Luckie
2. Lu
3. Sweet Blindness
4. Poverty Train
5. Lonely Women
6. Eli's Comin'
7. Timer
8. Stoned Soul Picnic
9. Emmie
10. Woman's Blues
11. Once It Was Alright Now (Farmer Joe)
12. December's Boudoir
13. The Confession
14. Lu (Demo) (Bonus Track)
15. Stoned Soul Picnic (Demo) (Bonus Track)
16. Emmie (Demo) (Bonus Track)

ヴァーヴ・レコードから放り出されたもののマネージャーとなったデヴィッド・ゲフィンの働きが功を奏し、念願のCBSとの契約が結ばれ自由な創作の場を与えられたローラ・ニーロ。プロデューサーにフォー・シーズンズのアレンジャーとして名高いチャーリー・カレロを迎え、1968年1月から2月にかけてセカンド・アルバムとなる『Eli And The Thirteenth Confession』のレコーディングが行われた。ちなみにチャーリー・カレロは山下達郎氏のアルバム『CIRCUS TOWN』(1976年発表)のプロデューサーとしても知られる。
チャーリー・カレロの起用はローラが紡ぎ出そうとするサウンドや変幻自在のヴォーカルを具現化するには適任だった。ローラ・ニーロ自身もたんなる自作自演歌手ではなく、共同制作者として深く関与している。歌のみならず殆どの曲で自らピアノを弾き、バック・ヴォーカルも彼女本人によるものだ。
そうした二人の妥協を許さぬ心意気がダイナミックな音作りへと発展して行く。チャーリー・カレロによって結集されたチャック・レイニー(ベース)、ヒュー・マクラッケン(ギター)、バディ・サルツマン(ドラムス)、ポール・グリフィン(ピアノ)といった腕利きのスタジオ・ミュージシャンを配しての重厚なサウンド。加えてジョー・ファレル(サックス、フルート)、ズート・シムズ(サックス)などジャズ界の名手が参加。ローラの織りなす楽曲にさらなる斬新な息吹を吹き込み、輝きと説得力が増した。
アルバムには女性であることの喜びと絶望、都市生活の光と影、恋愛と失恋、憧れ、怨恨、孤独、飲酒、ドラッグ、死といった人生における様々な体験や機微といったものが13篇の物語の中に綴られている。好奇心が人一倍に旺盛で、死をも恐れぬほど気丈な反面、純粋で傷つきやすく一途な人だったローラ・ニーロ。彼女のひたむきに自分の音楽に向き合う誠実さ、ほとばしる情熱、溢れ出るエネルギーといったものが昇華され結実した作品と言えよう。

オープニングを飾る「Luckie」。軽快でグルーヴィーなシャッフルに胸が躍るナンバーだ。都会を闊歩するような感覚を覚えるものの歌詞にはドラッグの匂いが嗅ぎ取れる。


ポップなR&Bが心に沁みる「Lu」。途中でリズムが変わるのはローラ・ニーロならではのもの。


心弾むようなポップなナンバー「Sweet Blindness」。


1960年代後半に活躍したコーラス・グループ、5th Dimentionのカヴァー・ヴァージョン。1968年にシングルでリリースされ、全米13位を記録した。


少々不気味な雰囲気で始まるジャジーな「Poverty Train」。ジョー・ファレルのフルートが効果的。歌詞の中に出て来る悪魔やコカインといった言葉が不気味な印象を放っている。


1967年に開催されたモンタレー・ポップ・フェスティヴァル出演時のライヴ映像。「Wedding Bell Blues」のエンディングから「Poverty Train」へと続いて歌われる。


ズート・シムズの哀愁を帯びたサックスの音色が都会の女の孤独を物語るかのような「Lonely Women」。「寂しい女のために誰ひとりとして家路を急がない」、「死なせて」と具体的な言葉が記され非痛な叫びが歌われる。


「Eli's Comin'」。ブラス・セクションが畳み掛けるように迫る。ここでのピアノはローラではなく、ポール・グリフィンが担当していた。


1970年代に数多くのヒット曲を放って人気を誇ったバンド、スリー・ドッグ・ナイトのカヴァー・ヴァージョン(1969年シングルにてリリース)はライブ映像でご覧いただきたい。全米10位まで上昇した。


ローラのヴォーカルの魅力が十二分に表されたような「Timer」。語りかけるような、力強くシャウトするような歌声とオーヴァーダビングされたローラ自身によるコーラスが変化に富んでいる。


魂がぶっ飛ぶようなピクニックとでも訳すのだろうか。この「Stoned Soul Picnic」はドラッグやアルコールでハイになった状態のことであろう。


5th Dimentionのカヴァーは1968年にシングルにてリリース。全米3位の大ヒットとなった。


ジャジーでお洒落なサウンドで知られるスウィング・アウト・シスターのカヴァー・ヴァージョンは1997年リリースの『Shapes and Patters』に収録。


一転してチャーミングな楽曲「Emmie」。多感な少女時代に決別し、大人の女性へと成長して行く瞬間が表されている。母と子の愛と受け取れる表現、あるいはフェミニズムと窺える面もあるが、女性讃歌的な要素はローラ・ニーロ自身がその後も綴り続けたテーマのひとつだ。
アルバムの裏ジャケットに大人の女性が少女の額にキスをするモノクロのシルエット写真が使われているが、この曲を象徴する印象的な1枚に思えた。


EMMIE
ウー ラララ
エミリーと未来の恋人は
ベリーの木に心の印を彫った
だけどそれは愛の別れを告げる言葉
女へと成長する時
私に触れて
ああ 私を目覚めさせて
エミリー
あなたは私のために大地を飾り立ててくれる

エミリー
あなたは無垢の雪
自然の海
あなたはカメオ
私は断言出来る
あなたは機織りの恋人として
生まれて来たのだと
織機を悦ばすために生まれて来たのよ
私を動かして
揺らして
エミリー
あなたは私のために大地を飾り立ててくれる

エミリー
あなたのママがあなたをずっと呼んでいたわ
おお
誰がママの心を虜にしたの
誰がこの庭で抱擁したの
愛しきエミー
ウー ラララ
あなたは私の友だちだった
私はあなたを愛している
エミリー

ライヴ・ヴァージョンは1989年に発表された『LIVE AT THE BOTTOM LINE』から。歌声に深みが出ている。


タイトルからも察せられるように、失恋して自暴自棄になった女を描いた「 Woman's Blues」。物悲しい雰囲気から一転して激しい曲調へと変化して行く様は怨念めいたものさえも感じてしまう。


ファンキーな「 Once It Was Alright Now (Farmer Joe)」。リード・ヴォーカルとしてBS&Tからローラ・ニーロが誘われた理由がよく分かるようなポップなブラス・ロックに仕上げられている。ここでもポール・グリフィンがピアノを弾いていた。


情念が揺らめくような美しいバラード曲、「December's Boudoir」。


アルバムを締めくくるフォーキーでソウルフルな「The Confession」。奔放な愛の表現が目立ち、"Love my lovething"という言葉が意味深である。


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コメント

こんにちは!

Backstreetsさんの好みの女性シンガーって、細面の美人が多いですね・・・v-410

静かナンバーからリズミカルにシャウトするものまでいろんな曲を歌っていますね。

5th Dimentionやスリー・ドッグ・ナイトのカバー等、カバーものが結構ヒットしているんですねv-218
マーヤ様、コメントありがとうございました。
関西弁で言うシュッとした、つまり細面でスリムな方がタイプであるのは確かですが、リンダ・ロンシュタットさんのような丸顔の女性も好きです。しかし、ルックスで選んでいるのではなく、あくまで音楽本位で記事にしているのですが・・・。
さて苦しい言い訳はそこそこにして、ローラ・ニーロの魅力はジャンルや形式にとらわれない音楽性と歌詞の中に描かれた様々な人生模様です。可憐な容姿からは想像出来ないような心理や情景も描写されていました。
天は二物も三物も与えたようですが、長寿は保証されなかったようです。
ご無沙汰しておりました。
ローラ・ニーロの独特の世界、いいですよね。
いずれ、後追いでもじっくりと聴きたいです。
ベアトラック様、コメントありがとうございます。
ローラ・ニーロはジャズやR&Bの要素が複雑に絡み合った都会的なサウンド、心に沁みるエモーショナル歌声といった言葉では片付けられないほどの魅力ある世界を紡ぎ出していました。
つたないブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
遅くなりましたがご紹介&素敵な記事をありがとうございます。
トラックバックさせて頂いた記事で書いたようにローラ・ニーロの存在はリアル・タイムで知っていたものの僕が実際にアルバムを聴いたのはごく最近の事でした。
改めて自分が知らずに通り過ぎてしまっていた素敵な音楽が沢山ある事を再確認するとともに、みなさんのブログを通じて今になってこうやって出会えた事をとても感謝しています。
Purple_Haze様、コメントおよびトラックバックありがとうございます。
知ろうともせずに通り過ぎて行った音楽、若かりし頃は気にも留めなかったアーティストの素晴らしさに年齢を重ねるに連れて引き込まれて行くといった体験がよくあります。少し生意気な言い方かもしれませんが、曲がりなりにも人生経験を積んだことでそうした音楽やアーティストに向き合えるようになれるのかもしれません。また、ブログを通じて様々な音楽に出逢えることも感謝しています。
初めまして、こんばんは。
先日は書き込みして下さりありがとうございました。
わたくしは訳詞に特化したブログを書いている者ですが、ローラ・ニーロはやり始めた頃からいつかやろうと思っていました。
何といっても一押しはセカンドに入っていた「Emmie」なのですが、おっとBackstreets様が既に訳されているじゃないですか! 趣味がぴたりと一致してうれしいことこの上ないです。
なんと言うのでしょう。私はローラ・ニーロの歌声に「ロック魂」を感じずにはいられないのです。

このあとまた別の記事に書き込みします。
バルカローレ様、コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、ローラ・ニーロは「ロック魂」を表現出来るシンガーの一人だと思います。それは彼女の生き方、自分自身との向き合い方から培われたものでしょう。それ故にローラ・ニーロの歌は女性心理に加えて、社会背景を鑑みて理解していかなければならないので難解です。
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。

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