好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Everly Brothers - Stories We Could Tell

POCO、The Byrdsとカントリー・ロックの源流と称される有名どころのアルバムを扱ってきましたが、今回はどうしても忘れてはいけない方々を取り上げます。ご登場を願うはエヴァリー・ブラザーズのお二人。この人たちもカントリー・ロックの始祖として位置づけられていました。
一般的に1954年にカントリー・バンドだったビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツがR&Bの要素を加えた楽曲、「Rock Around The Clock」を発表したことがロック・ミュージックの起源とされているようです。でも、ポピュラー・ミュージックは様々な音楽が融合して形成され進化して行った音楽であると思われ、それ故、カントリー、ゴスペル、R&Bなどとジャンル分けして境界線を引くことのほうが無意味なのかもしれません。

1937年2月1日生まれのドンと1939年1月19日生まれのフィルの2人の兄弟からなるケンタッキー州ブロウ二ー出身のエヴァリー・ブラザーズ。両親がカントリー・ミュージックのミュージシャンでだった関係からか幼き頃に芸能活動を始め、ステージに立ち、ラジオにも出演していました。やがて彼らはナッシュヴィルに向かい、クラブで歌っている時にチェット・アトキンスに認められてレコード・デヴューする運びとなりました。
1956年、CBSよりデヴュー曲「Keep A Lovin' Me」をリリース。翌1957年にはケイデンス・レコードと契約して「Bye Bye Love」、「Wake Up Little Susie」「All I Have To Do Is Dream」などのヒットを放ち、カントリー・ミュージックとロックン・ロールを基盤にした美しいハーモニーとさわやかな曲調で本格的な人気を獲得しました。
彼らのハーモニーはクローズ・ハーモニーと呼ばれるカントリー・ミュージックの伝統的なスタイルです。このクローズ・ハーモニーとは二人のヴォーカリストが全く同じ歌詞で音程だけが異なるメロディー・ラインを同時に歌うというもので、ジャズと賛美歌を基本にしたビーチ・ボーイズのスタイルとともに後のポピュラー・ミュージックのハーモニーのスタイルを形成する大きな柱となって行きました。

「Bye Bye Love」はブログへの貼付けが出来ないようなので、宜しければ下記のアドレスをクリックしてご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=vFoIdxLBm_A

「Wake Up Little Susie」。


「All I have to do is dream + Cathy's Clown」。


エヴァリー・ブラザーズは1960年には破格の契約金でワーナー・ブラザーズに移籍。しかし、彼らは1962年に徴兵に取られ、活動休止を余儀なくされました。僅か1年ほどの兵役でしたがこのブランクは大きく、人気が低迷するきっかけとなります。
何とか巻き返しを図ろうと、1967年にはイギリスに渡ってホリーズと共演した『Two Yanks In England』、1968年にはレニー・ワロンカーをプロデューサーに迎え、カントリー・ミュージックから始まる彼らのルーツを浮き彫りにした『Roots』、1969年にはバーズのクラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズが参加したシングル「Cuckoo」をリリースするものの不発に終わり、1970年のライヴ・アルバム『Everly Brothers Show』を最後にワーナーとの契約は打ち切られました。

ヒット曲が出ず、忘れ去られた存在になろうとしていたエヴァリー・ブラザーズですが、ビートルズ、ホリーズ、サイモン&ガーファンクル、バーズ、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング、イーグルスなど彼らの織りなすサウンドとハーモニーに影響を受けたアーティストは枚挙に暇がありません。

拙ブログに度々出ていただいているグラム・パーソンズの「Sleepless Night」もエヴァリー・ブラザーズのナンバーでした。グラムのエヴァリー・ブラザーズに対する傾倒ぶりはかなりのもので、他にも「Brand New Heartache」、「Love Hurts」などをカヴァーしています。


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何と言ってもS&Gのこのカヴァー・ヴァージョンは外せません。


さて、捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったもので、1971年、エヴァリー・ブラザーズは言わば恩人であるチェット・アトキンスが専属アーティスト兼エグゼグティヴ・プロデューサーを務めるRCAに迎え入れられます。心機一転、彼らはドアーズやジャニス・ジョプリンを手掛けたプロデューサーのポール・ロスチャイルドを起用して移籍第一弾となるアルバムを制作することになりました。それが今回取り上げる『Stories We Could Tell』(1972年4月リリース)です。

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1. All We Really Want to Do
2. Breakdown
3. Green River
4. Mandolin Wind
5. Up in Mabel's Room
6. Del Rio Dan
7. Ridin' High
8. Christmas Eve Can Kill You
9. Three Armed, Poker-Playin' River Rat
10. I'm Tired of Singing My Song in Las Vegas
11. Brand New Tennessee Waltz
12. Stories We Could Tell
13. Poems, Prayers And Promises (Bonus Track)

このアルバムはプロデューサーのみ大物を迎えたわけではありません。エヴァリー・ブラザーズをサポートするために豪華なアーティストが集結していました。ギターにデラニー・ブラムレット(デラニー&ボニー)、クラレンス・ホワイト(バーズ)、ジェフ・マルダー(ポール・バターフィールズ・ベターデイズ)、ワディ・ワクテル、ジョン・セバスチャン、ライ・クーダー、ジェリー・マギー。ドラムスにジム・ゴードン(デレク&ドミノス)、ジョニー・バーバータ(ジェファーソン・エアプレイン)、ラス・カンケル(セクション)。キー・ボードはバリー・ベケット、スプーナー・オールダム。ベースにクリス・エスリッジ(フライング・ブリトゥー・ブラザーズ)、バック・ヴォーカルにはデラニー&ボニー、ジョン・セバスチャン、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュという錚々たる面々がエヴァリー・ブラザーズの新たな門出を祝うように駆けつけています。

ヴェトナム戦争が敗戦という形で終結に向かいつつあった1972年のアメリカは、60年代の混乱にかわって重苦しさや閉塞感が漂う雰囲気の中にも平静な空気に包まれかけていた時期でした。いくら反戦を叫んでいても、当時の若者たちは自分の国が負けてしまうという結果には何かやりきれぬ違和感や喪失感、そして、手放しでは喜べぬ感情を覚えてしまっていたことでしょう。そんな中、ジャクソン・ブラウンとイーグルスは「Take It Easy」で、「心の重荷を振り払って気楽にやろうよ」と挫折から立ち直ろうとする意志を歌に込めていました。
そうしたカントリー・ロックの潮流が大きな本流となり、シンガー・ソング・ライターが台頭したことによってウエスト・コーストのロック・サウンドが興隆を極め、エヴァリー・ブラザーズが復活を懸けて満を持したように送り出したこの「Stories We Could Tell」も大きな期待が寄せられたのです。しかし、売り上げは伸びず、ヒット曲も出ないままに終わりました。
1973年にエヴァリー・ブラザーズはチェット・アトキンスのプロデュースによる『Pass The Chicken & The Listen』をリリースしますが、こちらも思うようなセールスを上げられず、これを最後に二人はデュオを解消。低迷によって自信を失うことで、影を潜めていた兄弟間の確執が露呈されたのでしょう。
その後10年間に渡って不和の状態が続きましたが、1983年にクリフ・リチャードの呼びかけに応じリユニオン・コンサートを開催しました。翌1984年にはデイヴ・エドモンズをプロデューサーに迎え、ポール・マッカートニーが提供した「On the Wings of a Nightingale」を含むアルバム『EB84』を発表。1986年には功績がたたえられ、第一回の「ロックの殿堂」入りを果たし、その後も二人で地道に活動を続けています。

それではアルバムの中から何曲か紹介致します。
アルバムのオープニング・ナンバーはデラニー&ボニー作の「All We Really Want To Do」。ファンに向けて復活の決意を語るような内容の歌です。デラニー&ボニーのオリジナル・ヴァージョンは1969年に発表された『HOME』のCDが2006年に再発された際にようやくボーナス・トラックとして収録されました。



ALL WE REALLY WANT TO DO
僅かでも時間を割いてくれるのならば
俺たちが考えていることを理解してもらえるのに
誰かにメッセージを伝えるために
言葉や詩を書くよりも
もっといいやり方があると考えている人たちがいる

俺たちがしたいことっていったら
人々に素敵な歌を歌い
一日をほんの少し明るく照らし
肩の荷を気持ちだけ軽くしてあげたいだけ
それが俺たちのしたいことさ

俺たちが一番だなんて言う気はさらさらないよ
他の人たちより目立つような存在じゃないかもしれない
でもひとつだけやりたいことがあるんだ
一日をほんの少し明るく照らし
肩の荷を気持ちだけ軽くしてあげたいだけ
それが俺たちのしたいことさ


続いてクリス・クリストファーソン作の「Breakdown」。自分たちの人生を噛み締めるように、「歩いて来た長い道のりを誇りに思えば良い」と歌っていました。クリス・クリストファーソンのオリジナル・ヴァージョンは『The Silver Tongued Devil And I』(1971年発表)に収録されています。


フィル・エヴァリーとテリー・スレイター共作の「Up In Mabel's Room」。ハリー・ニルソンを少し連想させるようなノスタルジックな曲です。


エルヴィス・プレスリーのヒット曲「Burnin' Love」の作者として知られるデニス・リンディ作の「Christmas Eve Can Kill You」。ブログへの貼付けが出来ないので宜しければ下記のURLをクリックしてご覧下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=_FyCU87phGw

ジョン・セバスティアン作の「Stories We Could Tell」とジェシ・ウィンチェスター作の「Brand New Tennessee Waltz」です。ジョン・セバスティアンのセルフ・カヴァー・ヴァージョンは『Tarzana Kid』(1974年発表)、ジェシ・ウィンチェスターのオリジナル・ヴァージョンは『Jesse Winchester』(1970年発表)に収録されていました。


「Stories We Could Tell」とヒット曲のメドレーです。


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コメント

エヴァリー・ブラザーズ,
抜群のハーモニーですね。
多くのアーティストに多大な影響を与えた理由がわかります。
それにしても豊富な知識と丁寧な解説に頭がさがります。
ミキタカ08様、コメントありがとうございます。
エヴァリー・ブラザーズは多くのアーティストに多大なる影響を与えたものの、実際に人気があった時期が短く、一般に過小評価されています。ドン・エヴァリーの娘さんがガンズ&ローゼズのアクセル・ローズと結婚した話のほうが有名なのかもしれません。
ご無沙汰しています。
エヴァリー・ブラザーズの紹介とあって、喜んでます~。
しょっちゅうブログに書いてますが、彼らの先進性というのは、本当に飛びぬけていたと思うんですよね。
この低評価は、現在のカントリー音楽の位置づけに引きずられてしまったのでしょうかねv-356

僕は逆に、ドンの娘がガンズのメンバーと結婚した話を知りませんでした(笑)。
ベンジャミン様、コメントありがとうございます。
エヴァリー・ブラザーズは先を進みすぎて一般には受け入れられなくなって行ったのかもしれませんね。かと言って、いつまでも同じ調子だと飽きられてしまい、シーンから姿を消すことになりかねません。
確かにカントリー・ミュージックは日本において馴染みが薄く、エヴァリー・ブラザーズの評価も引きずられてしまったように思えました。ただ、彼らの音楽性はカントリーだけではなく、もっと多様なものが窺えます。
つたないブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。

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