好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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The Byrds - SWEET HEART OF THE RODEO

前回はカントリー・ロックにポップ・フィーリングを持ち込み、爽やかなサウンドを響かせるPOCOを取り上げました。今回はバーズが1968年に発表し、「カントリー・ロックの起源」と称される『SWEETHEART OF RODEO』について語りたいと思います。

ロデオの恋人ロデオの恋人
(2005/04/20)
ザ・バーズ

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1. You ain't goin' nowhere
2. I am a pilgrim
3. Christian life
4. You don't miss your water
5. You're still on my mind
6. Pretty boy Floyd
7. Hickory wind
8. One hundred years from now
9. Blue Canadian Rockies
10. Life in prison
11. Nothing was delivered
12. You got a reputation
13. Lazy days
14. Pretty Polly
15. Christian life
16. Life in prison
17. You're still on my mind
18. One hundred years from now
19. All I have is memories

こちらはデモやアウトテイク、そしてグラム・パーソンズがバーズ加入以前に在籍したインター・ナショナル・サブマリン・バンドの音源が収録されたデラックス・エディションです。
ロデオの恋人ロデオの恋人
(2003/11/06)
ザ・バーズインターナショナル・サブマリン・バンド

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前述したように「カントリー・ロックの起源」と称されるアルバム『SWEETHEART OF THE RODEO』ですが、これ以前にカントリー・ミュージックを取り入れたロッカーはあまたに存在しています。例えばバッファロー・スプリングフィールドの1stに収録されていた「Go and Say Goodbye」は1966年のリリースでバーズよりも2年早く、ザ・ビートルズの『HELP! 』に収められた『I've Just Seen A Face』は1965年に発表されていましたし、このアルバムではバック・オウエンズの「Act Naturally」をカヴァーしていました。また、ジョージ・ハリスンの奏法はチェット・アトキンスから大きな影響を受けています。
さらに、ナッシュヴィルで録音されたボブ・ディランの『John Wesley Harding』に入っている「Down Along the Cove」や「I'll Be Your Baby Tonight」といった曲にはあきらかにカントリー・ミュージックの影響が窺えました。
バーズも1965年の『Turn! Turn! Turn! 』の中でポーター・ワゴナーが歌ったカントリー・ナンバーの「Satisfied Mind」やスティーヴン・フォスターの「Oh! Suzannah」などカントリー志向が窺える曲をレコーディングしており、1966年にリリースの『Younger Than Yesterday』に収録されたクリス・ヒルマン作の「Time Between」はカントリー・ロックの先駆けと解釈できる楽曲でしょう。
しかしながらナッシュヴィルのミュージシャンを起用し、正統派カントリーの色合いが濃い曲で占められた本格的なアルバムとしてはこの『SWEETHEART OF RODEO』が最初のものだったと言えます。

バーズはアルバムの中でカントリー風の楽曲を演奏していても、全体的には斬新なアイデアが目立つ曲を提示してきました。それがどうして全編をカントリー・サウンドで埋められたアルバムを発表したのでしょうか。もともとロジャー・マッギンはカントリーのアルバムを作ることに乗り気でなかったと言われています。彼の構想では伝統的なフォーク、カントリー、そしてロックン・ロールに至るまでのアメリカ音楽史全体を網羅するようなコンセプトが描かれていました。
前作『Notorious Byrd Brothers』を最後にデヴィッド・クロスビーとマイケル・クラークが脱退。ロジャー・マッギンは新たなメンバーとしてマッコイ・タイナーのようなジャズのピアノが弾けるピアニストを求めていました。しかし、もともとブルーグラス畑出身のクリス・ヒルマンの頭の中にはカントリー・ミュージックへと舵を切りたい考えがあったのでしょうか、バーズと共通のスタッフがいたということが縁でグラム・パーソンズ率いるインター・ナショナル・サブマリン・バンドのアルバム『Safe At Home』のレコーディングを見学し、グラムとすっかり意気投合してしまいました。このときクリスは腹を決めたのかもしれません。

Safe at HomeSafe at Home
(2004/12/07)
The International Submarine Band

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幸いグラム・パーソンズはピアノも達者で、ロジャー・マッギンの前でジャズ風のピアノ演奏を行い、バック・オウエンズの曲を歌ってみせました。マッギンはグラムの実力と才能を認め、クリス・ヒルマンの後押しもありバーズのメンバーに加えることを承諾します。さらにヒルマンはマッギンに構想を断念するように説得。また、マイケル・クラークの後任のドラマーには自分の従兄弟のケヴィン・ケリーを既に加えており、着々とロジャー・マッギン包囲網を張り巡らしていました。こうして全編カントリーのアルバム制作というヒルマンの思いは実現の運びとなります。

この『SWEETHEART OF THE RODEO』ではロジャー・マッギンのオリジナル作品がなく、ボブ・ディラン作の2曲、グラム・パーソンズの書いた2曲以外はカントリー・ミュージック系の楽曲で占められていました。マッギンはディランの歌では持ち味を発揮していますが、やや精彩を欠く印象が否めません。対して、グラム・パーソンズは自作を含めて5曲のリード・ヴォーカルを担当していました。
しかし、グラム・パーソンズのバーズへの電撃移籍に関してインター・ナショナル・サブマリン・バンドのマネージャーからクレームが入り、グラムの歌う「The Christian Life 」、「You Don't Miss You Water」はロジャー・マッギンのヴォーカルに差し替えられ、「One Hundred Years From Now」はマッギンとクリス・ヒルマンのコーラスが添えられました。こうしてロジャー・マッギンのパフォーマンスが追加された結果、幸か不幸か彼のリーダーとしての面目を保つ格好に収まったように思えます。

バーズが自信を持って送り出した『SWEETHEART OF THE RODEO』は話題になったもののロック・ファンから温かく迎えられることはなく、カントリーのファンからは反発を受け、評論家の論評も賛否が分かれました。セールス的にも芳しい成績を上げることが出来ず、次回作の方向は修正を余儀なくされることになります。
グラム・パーソンズは自分のヴォーカルが差し替えられたことに落胆し、南アフリカ公演にも賛同できずバーズを離れる決心をします。恵まれた家庭環境に育ち何不自由なく育ったといわれるグラム・パーソンズ。彼にはバーズを自分の意のままに動かせるという慢心があったのかもしれません。それ故、乗っ取りが叶わないと判断しての離脱は必然的なことでしょう。
クリス・ヒルマンも責任を取るかのようにバーズを辞め、グラム・パーソンズと合流してフライング・ブリトゥ・ブラザーズを結成します。彼らにとっては『SWEETHEART OF THE RODEO』はその後のキャリアの出発点に過ぎなかったのかもしれません。
クリス・ヒルマンが抜けたバーズに居場所を無くしたのか、ケヴィン・ケリーも脱退。残されたロジャー・マッギンは『SWEETHEART OF THE RODEO』を含めたこれまでのアルバムのレコーディング・セッションに度々参加していたクラレンス・ホワイト(ギター)を正式メンバーに迎え、さらにジーン・パーソンズ(ドラムス)、ジョン・ヨーク(ベース)などを加えて新生バーズを始動させます。

それではアルバムの楽曲を紹介して行きます。
オープニングはボブ・ディラン作の「You ain't goin' nowhere」。


グラム・パーソンズとクリス・ヒルマンが抜け、クラレンス・ホワイト(ギター)、ジーン・パーソンズ(ドラムス)、ジョン・ヨーク(ベース)を新たに加えた陣容でのライヴ映像。「You Ain't Goin' Nowhere」に続いて、同じくボブ・ディラン作の「Wheels On Fire」を演奏しています。


ブルーグラスに拘ることなくジャンルを超えて幅広い活動を行うバンジョー・プレイヤー、アール・スクラッグスとのセッション映像。この時期にはベースがジョン・ヨークからスキップ・バッティンに交替していました。


ボブ・ディランのヴァージョン。ザ・バンドとの共演盤『The Basement Tapes』(1975年発表)に収録。



続いて、「ヨルダン河に降りて行って疲れた魂の許しを請うことにしよう。主の着物のへりにでも触れれば幸運だ。そのとき主は私を故郷に連れ戻してくださるはずさ」と歌われる「I am a pilgrim」。宜しければ下記のURLをクリックしてお聴きください。
http://www.youtube.com/watch?v=I-rcAuk6UGE

ジューン・カーター、ジョニー・キャッシュ、ピート・シーガーによるヴァージョン。


The Soul Stirrersのヴァージョン。こちらはゴスペルのアレンジです。


「人の助けはいらない。神の光があるから。俺はクリスチャンの生活が好きなのさ」と歌われる「Christian life」。
http://www.youtube.com/watch?v=SBAz7iwPPdg

グラム・パーソンズがヴォーカルを取るヴァージョン。


恋人が去って行った悲しみの気持ちが込められた「You don't miss your water」。もともとは黒人シンガーのウィリアム・ベルが書いた楽曲で、オーティス・レディングも1965年発表の『OTIS BLUE』でソウルフルに歌っていました。
http://www.youtube.com/watch?v=Nj1AxSYOxLc

グラム・パーソンズのヴォーカル・ヴァージョン。


ウィリアム・ベルのヴァージョン。


ブラス・セクションも印象的なオーティス・レディングのヴァージョン。


失恋した相手の面影が忘れられない切なさが描かれた「You're still on my mind」。
http://www.youtube.com/watch?v=8Ua2EMC_Qsc

大恐慌時代におけるアウトロウの物語、「Pretty boy Floyd」。
http://www.youtube.com/watch?v=Mtxan0bJw7k

ロジャー・マッギンのソロ・アクト。2007年にC.F.マーティン社の主催で行われた横浜レンガ倉庫におけるライヴの映像のようです。


ウディ・ガスリーのオリジナル・ヴァージョン。


郷愁を誘うようなグラム・パーソンズの歌声が胸を打つ「Hickory wind」。グラムとインター・ナショナル・サブマリン・バンドのボブ・ブキャナンの共作です。
http://www.youtube.com/watch?v=9VX-GdOTw9A

HICKORY WIND
サウス・キャロライナには
背の高い松の木が沢山
俺は樫の木を思い出す
その木によく登ったものさ
でも今じゃおれは一人きり
ヒッコリーの風を感じるように
いつも装っていた

俺は若い頃から
殆ど全てのことをやってきた
富と喜び
人生にはそれ以外に何があるっていうんだ
だがあの頃を思い出す度に落ち着くのさ
俺を故郷に呼び戻してくれ
ヒッコリーの風よ

道を見つけるのは辛いことさ
困難は現実のこと
街を遠く離れて
心も遠く
俺を故郷に呼び戻してくれ
ヒッコリーの風よ
呼び続けてくれ
ヒッコリーの風よ


キース・リチャーズのカヴァー・ヴァージョン。グラム・パーソンズのトリビュート・コンサートからの映像です。バーズはイギリス・ツアーを行った際にローリング・ストーンズと交流を深め、特にキースとグラムは意気投合して親しくなりました。


エミルー・ハリスのカヴァー・ヴァージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=WCCAZgI_hrE

ギリアン・ウェルチのカヴァー・ヴァージョン。グラム・パーソンズの作品は歌い継がれて行きます。
http://www.youtube.com/watch?v=lbMM8LnrirQ

グラム・パーソンズ作の「One hundred years from now」。
http://www.youtube.com/watch?v=i_9AXakWgxQ

グラム・パーソンズのヴァージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=APLrlL3YsPY

クリス・ヒルマンが歌うカントリのスタンダード・ナンバー、「Blue Canadian Rockies」。
http://www.youtube.com/watch?v=oGRq5_X3Gw0

マル・ハガードのナンバー、「Life in prison」。妻を殺した罪で一生を監獄で過ごすことが強いられた男の嘆きが描かれていました。
http://www.youtube.com/watch?v=UEbgsj14UDs

ボブ・ディラン作の「Nothing was delivered」。
http://www.youtube.com/watch?v=Zfq91LLXRyY

ボブ・ディランのヴァージョン。前述の『The Basement Tapes』に収録。


ボーナス・トラックとして加えられた「You got a reputation」。
http://www.youtube.com/watch?v=_uSBJTjEliQ

こちらもボーナス・トラックとして収められた「Lazy days」。後にフライング・ブリトゥの『Burrito Deluxe』(1970年発表)で再演されました。
http://www.youtube.com/watch?v=xrdYSY7YR18

こちらはバーニー・リードンがリード・ヴォーカルを担当するヴァージョンの映像です。


ブリティッシュ・トラッドと共通する雰囲気を持つ「Pretty Polly」。ロジャー・マッギンはこの曲をソロ・アルバム『Cardiff Rose』(1976年発表)にて違ったアレンジで再演していました。
http://www.youtube.com/watch?v=-Ni2uOVcPCA

ブルーグラスの大御所ラルフ・スタンリーとパティ・ラヴレスの共演ヴァージョン。


最後はインストゥルメンタル、「All I Have Are Memories」。


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コメント

こんにちは。
カントリーロックの名盤ですね。私も本作はクリス・ヒルマンの革命アルバムだと思ってます。個人的にはちょっとカントリータッチが過ぎたかなとも。もうちょっとロック寄りだったら、もっと商業的に成功していたかもしれません。
バーズがバーズらしくない唯一のアルバムかもしれませんね。
240様、コメントありがとうございます。
もう少しロック寄りのサウンドに仕上げていたら商業的成功を収めることが出来たかもしれませんが、伝説の色合いが少々異なったものになったかなと思われます。ともすればクリス・ヒルマンとグラム・パーソンズが中心となりロジャー・マッギンが追放されるという事態も起こったのではないかと考えさせられました。でも、気まぐれなグラムのこと、遅かれ早かれバーズの活動に飽きて脱退していたでしょう。クリス・ヒルマンとグラム・パーソンズが早期に抜けてくれたので、ロジャー・マッギンは「これで俺の音楽が追求できる」と内心ほっとしていたかもしれませんね。
こんばんは。この辺り、個人的にとても気に入っている領域で、
そこに、含蓄の深い記事、大変楽しく拝見しました。
最近は、カントリー、ブルー・グラス、ホワイト・ゴスペル、ゴスペル、R&B、さらに言ってしまえば、Chuck BerryあたりのR&Rは、あまり区別しないで聴くのが良いのかな、と思ってます。
カントリー/ブルー・グラスの代名詞的楽器であるバンジョーも元々は、奴隷貿易でアフリカから来たものだそうですし。
Substitute様、コメントありがとうございます。
カントリー、R&B、ゴスペルの境界線などないのかもしれませんね。グラム・パーソンズは「フライング・ブリトゥはカントリーとゴスペルを基盤にしたサザン・ソウル・グループだ」との趣旨の発言をしていたし、クリス・ヒルマンも「俺はグラムの望むままにR&Bを演奏していた」と述べていました。
それ故暴論かもしれませんが、カントリーやR&Bのみならずポピュラー・ミュージックは融合し合いながら進化して行った音楽と言っても過言ではないと思います。
昔からずっと気になっていたものの未だに未入手な一枚です。
レガシーエディションが出たり、紙ジャケが出たり、どっから手を付けていい手良いのか分からないんですよね(汗)。
グラム・パーソンズのライブ盤を持ってるんですけど、それなりに気に入ったし、チャレンジしてみようかなぁ。

しかし素晴らしい解説・・・下手な評論家より断然説得力ありますよ。
こんにちは。ご多分にもれずこのアルバムもLP、CD、リマスター、紙ジャケと買わされたうちの一枚。カントリーロックの記念碑的なアルバムで違いないんでしょが”Dr.byrds & "の方がカントリーロック色としては強いと思っています。バンドメンバーでもあり先駆者であるGPとCWのふたりに捧げたアルバム”WHEELS"にはLarry Murray,swamp water,Flying Burrito Brothers,John Beland等が参加したライブCDアルバムです。GPファン、カントリーロックファンの方にお薦めします。買って損はしませんよ。
グラム・パーソンズがいいですね。
カントリー・ロックの名盤であることを
実感しました。
ryo様、コメントありがとうございます。
ボーナス・トラックが収録されたリマスター盤だけでも十分満足の行く出来に仕上がっておりますが、もし、インター・ナショナル・サブマリン・バンドの音源も少し聴きたいのであればデラックス・エディションをお薦めします。
人間性は別として、ちょっと危うい感じのグラム・パーソンズの歌声は魅力的です。
スナジイー様、コメントありがとうございました。
ボブ・ディラン作の「Wheels On Fire」のヘヴィーなアレンジの印象が強い『Dr. Byrds & Mr. Hyde』ですが、クラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズの個性がよく表されており、その意味ではよりカントリー色が強いですね。
グラム・パーソンズとクラレンス・ホワイトのトリビュート盤は噂に聞いておりますが未聴です。早いうちに手に入れなけれなりません。
ミキタカ08様、コメントありがとうございます。
グラム・パーソンズは我がままで気ままな人だったようですが、そんなことはまったく気にならないほど魅力的な歌声を持っていました。でも、決して友人にはしたくないタイプです。

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