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Bonnie Raitt - Give It Up

前回掲載したジャクソン・ブラウンの「Doctor My Eyes」の記事の中で、シェリル・クロウと彼女のファンの皆様方には誠に失礼ながらボニー・レイットとジャクソンのジョイント・コンサートが観てみたいといった趣旨の発言をしました。ミズーリ大学でクラシック・ピアノを専攻して音楽の基礎を固め、マイケル・ジャクソンを始めとする大物アーティストのバック・ヴォーカルとして下積みの経験を長く送ったシェリル・クロウの実績や音楽性を決して否定する意図で申し上げたわけでありません。ただ、プロモーターの安易と思えるようなジョイント方法やブッキングに少なからず違和感を覚えました。
また、昨今の活動を鑑みて、名前を挙げたボニー・レイットのほうが今となってはジャクソン・ブラウンとそれほど近い存在ではないのではとおっしゃる方も多々おられることでしょう。そこで、今回はボニー・レイットの素晴らしさを理解し、確認してもらう意味を込めて、1972年にリリースされた彼女の2ndアルバム、『Give It Up』を取り上げます。
このアルバムは感動的で愛情のこもった記事を他人様のブログ(例えばPurple_Hazeさんのブログ「Blues Power」)で何度も拝見したことがありました。私のような者が書く陳腐な文章はそうした記事の足下にも及びませんが、何とかボニー・レイットの魅力が伝われば幸いです。

ギヴ・イット・アップギヴ・イット・アップ
(2008/05/28)
ボニー・レイット

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1. Give It Up or Let Me Go
2. Nothing Seems to Matter
3. I Know
4. If You Gotta Make a Fool of Somebody
5. Love Me Like a Man
6. Too Long at the Fair
7. Under the Falling Sky
8. You Got to Know How
9. You Told Me Baby
10. Love Has No Pride

1949年11月8日にカリフォルニア州バーバンクで生まれたボニー・レイット。父親がミュージカル・シンガーだったことから幼き頃より音楽に親しむ環境に恵まれていました。10歳の頃にはフォークやブルースに興味を持ち、ミシシッピ・ジョンハート、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズがお気に入りのアーティストだったそうです。やがて大学進学のためにマサチューセッツ州のケンブリッジ(チャールズ川を隔てたボストンの対岸に位置する都市。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学がキャンパスを構える)に向かい、学生生活の傍らコーヒー・ハウスに出演する日々を送りました。マリア・マルダーやジェフ・マルダーが在籍したジム・クウェスキン・ジャグ・バンドやクリス・スミザーと交流を育むようになったのもこうした活動がきっかけとなったようです。
コーヒー・ハウスでボトル・ネック・ギターを弾きながらブルースを歌う女がいる。そんな彼女のパフォーマンスが話題となり、ワーナー・ブラザーズが注目。たちまちボニー・レイットとレコーディング契約を交わします。1971年にデヴュー・アルバム、そして、翌1972年にセカンド・アルバムであるこの『Give It Up』がリリースされました。

それでは、スタジオ録音のヴァージョンとは少々ニュアンスの違いがありますが、YouTubeにある映像を使ってアルバムに中の楽曲を幾つか紹介して行くことにします。
オープニング・ナンバーはデキシーランド・ジャズ風の演奏をバックにボニー・レイットの豪快なボトル・ネック・ギターが唸る、「Give It Up Or Let Me Go」。彼女のオリジナル作品です。ホルンかチューバかよく分かりませんが、少々ユーモラスな音色を出していました。


ディクシー・チックスによるカヴァー・ヴァージョン。1998年リリースの『Wide Open Spaces』に収録されていました。 


続く「Nothing Seems To Matter」もボニー・レイットのオリジナル。「一人ではとても生きて行けないわ。だから急いで帰って来て。あなたがいなければ何も始まらないの」と情感込めて歌われ、サックスのサポートが味わい深く心に響きます。


ニュー・オーリンズ出身のシンガー・ソング・ライター、クリス・スミザー作の「Love Me Like A Man」。ボニー・レイットの巧みなギター・プレイが心に沁みるかのようなブルース・ナンバーです。クリス・スミザーのオリジナル・ヴァージョンは『I'm Stranger Too!』(1971年発表)に収録。


こちらはカナダ出身のジャズ・シンガー兼ピアニスト、ダイアナ・クラールのカヴァー・ヴァージョン。『Live At The Montreal Jazz Festival』(2004年発表)に収録。彼女はエルヴィス・コステロの奥さんでもあります。


ジョエル・ゾス作の「Too Long At The Fair」。彼のヴァージョンは1975年リリースの『Joel Zoss』に収録。「イエスは涙を流し、この世を去った」という歌詞で始まり、中ほどでは「私の魂をアブラハム(『旧約聖書』に出て来る預言者)に捧げてもよい。私の魂を苦しめてもよい」と歌われます。演奏面にもゴスペル的なフィーリングが窺えました。


ジャクソン・ブラウンの作品、「Under The Falling Sky」。1972年リリースの『Jackson Browne』に収録。ジャクソン・ブラウンのヴァージョンは比較的シンプルでくつろいだ雰囲気に仕上げられていましたが、ボニー・レイットはソウルフルに歌い上げ、演奏も分厚い感じがします。


別の会場でのライブ映像。


ジャクソン・ブラウンのヴァージョンは下記のURLをクリックして聴いてもらえれば幸いです。
http://www.youtube.com/watch?v=1-5JOEvw248

エリック・カズとリビー・タイタス共作の「Love Has No Pride」。


エルヴィス・コステロとの共演映像でもご覧ください。エリック・カズのセルフ・カヴァーはクレイグ・フラーらと組んだアメリカン・フライヤーのファースト・アルバム(1976年発表)に収録されていますが、リード・ヴォーカルを担当していたのはクレイグ・フラーでした。


LOVE HAS NO PRIDE
あまりにも多くの悪い夢を見てきた
そんなものはたいした意味がないとはね
楽しい日々が過ぎ 悲しみにつつまれた家が残っただけ
かつて親しかった友だちも去って行く
あなたの名を大声で叫ぶ時 愛にプライドなんて無用
誰にも責任がない時 愛にプライドなんていらないの
もう一度あなたに会えるなら何でも捧げるわ

あまりにも多く夜をひとりぼっちで過ごしてきた
あなたが戻って来るかもしれないなんてね
あなたが話しているのを耳にした
彼女は夢中ですがりついてくるんだと
でもあなたは私の恋人
どんなことを言おうと気にしない
あなたの名を大声で叫ぶ時 愛にプライドなんて無用
誰にも責任がない時 愛にプライドなんていらないの
もう一度あなたに会えるなら何でも捧げるわ

あなたの愛をお金で買うことができるなら
私は本気で試みるわ
祈ってすむことなら
私は永遠に祈り続けるわ
あなたが私に乞い願えと望むなら
私はひざまずくでしょう
戻って来てほしいと願い
あなたに戻って来てほしいと懇願するわ
戻って来てほしいと請うのよ
あなたの名を大声で叫ぶ時 愛にプライドなんて無用
私以外の誰にも責任がない時 愛にプライドなんていらないの
もう一度あなたに会えるなら何でも捧げるわ


割と未練がましい思いが込められた内容の歌詞なので、ボニー・レイットのようにあっさりと歌ってもらったほうが落ち着きます。情感たっぷりで熱唱されたならば少々気分が重たくなるかもしれませんね。男性が歌うと女々しいなどと言われる方がおられる方がおられるかもしれませんが、男の弱さや哀愁が込められていて、それもまた味わい深いものになるでしょう。前述のクレイグ・フラーのヴォーカルはそうした雰囲気の中で、愛する人への偽らざる気持ちと決意を堂々と歌っていました。



アメリカン・フライヤーに関してはPurple_Hazeさんのブログ「Blues Power」を参照してください。

リビー・タイタスのヴァージョン。1977年リリースの『Libby Titus』に収録されていました。


リンダ・ロンシュタットのカヴァー・ヴァージョン。1973年リリースの『Don't Cry Now』に収録。


ギタリストにのみならず、ソング・ライターとしての実力を兼ね備えながらも同時代のシンガー・ソング・ライターたちの楽曲をいち早く取り上げて世の中に紹介していたボニー・レイット。彼女はそんな発掘者としての顔も持ち合わせた才気あふれるアーティストです。

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コメント

いいですね。
なぜ、あまり売れなかったのでしょうか。
ミキタカ08様、コメントありがとうございます。
ボニー・レイットはグラミー賞を授賞するほどのアーティストですが、日本では知名度が今ひとつ高くありません。きっと日本人の心の琴線に触れないのでしょう。欧米とは文化が違うので致し方ないところです。
日本でのデビュー盤がこちら。1stのブルーズ臭さはなくなり
幾分SSW好みのアルバムに仕上がって小生このアルバム大好きです。一曲めからぶっとびましたね。あまり有名ではないですがボニーとの付き合いがある(このアルバムでベースを弾いている)FREEBOの”the end of the beginning"ではバックコーラスで参加しています。またレオン・ラッセル絡みならThe tractorsの"トラクターズがやってくる!”では3曲ほどスライドギターを聴かせています。どちらとも豪華ゲストが参加。
スナジイー様、コメントありがとうございます。
Freeboというベーシストはリトル・フィートのポール・バレアとバンドを組んでいたことがある人ですね。『The End Of The Beginning』は未聴ですが、アルバート・リーやヴァレリー・カーターも参加していて興味を惹かれます。音楽評論家の萩原健太先生がプロデュースしていたFreeboなる日本のロック・バンドの名の由来はこの人に因んだものでしょうか。1stだけが日本でも発売されていたThe Tractorsも未聴です。ルーツ・ロックの香りのするカントリー・ロック・バンドでしたね。ライ・クーダーやボニー・レイットもゲスト参加していました。
こんにちは。
ボニーのアルバムにはかならず参加しているみたいですね。長い付き合いらしですが・・・。
ポール・バレアとバンドを組んでいたことがあるせいかリトルフィート風もあったりしてなかなか良いアルバムですよ。 アルバートリーも3曲ぐらいカントリーギター弾いています。日本のバンドのことは知りませんでした。しかしボニーのCD、紙ジャケで発売してくれないかな。せめて初期5作品ぐらいまではー。
あとリンダもエミルーもね。
こんばんは。
コレは、本当に滋味溢れる素晴らしいアルバムですね。
スナジイー様、再びコメントありがとうございます。
アメリカではワーナー時代のボニー・レイットのアルバムがリマスターされて再発されているようですが、日本盤はこの『Give It Up』と『Takin My Time』の2枚だけ。セールス的には期待できないでしょうが、全作品の再発を望むところです。リンダ・ロンシュタットもエミルー・ハリスも同様。とくに「Forever Young」でリリースされたリンダのアルバムは音質が悪かったので、ぜひリマスターしてもらいたいところです。 
Substitute様、コメントありがとうございます。
キャピタルに移籍し、グラミー賞を獲得した後のボニー・レイットのアルバムも円熟味が増して心地よいのですが、やはり若々しさのあふれるワーナー時代の作品のほうが身近に感じます。
お邪魔していたのですがようやく一通り映像を見る事が出来ました。
モントルーの映像は翌1978年の初来日と全く同じメンバーですね。
フリーボの吹いているのは多分チューバでしょうね。
このアルバムでLove Has No Prideと並んで好きだったのがToo Long At The Fair。
曲はもちろんジョン・ホールのギター・ソロがたまりませんでした。
しかし、ボニー・レイット来日してくれないですかね・・・。
Purple_Haze様、コメントありがとうございます。
Freeboの吹いているのはチューバですか。アルバムと同じですね。吹奏楽には疎いのではっきり見分けがつきませんでした。ありがとうございます。そう言えば、アルバムではこの曲にエイモス・ギャレットがトロンボーンで加わっていましたね。まったく異なる楽器を複数操れるとは凄い人たちだと思えました。
残念ながらこのライヴにはジョン・ホールは参加していませんが、スタジオ録音とはまた違った味わいが醸し出されています。
ジャクソン・ブラウンとボニー・レイットのカップリングでの来日なら大歓迎ですが、現状ではペイできるほど観客が集まらない恐れがありますね。

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Give It Upアーティスト: 出版社/メーカー: Warner Bros.発売日: 2002/03/19メディア: CDBonnie Raittさん、コンピ盤やら、イベントのビデオでそれなりに聴いたり観たりして、好感を持っていたのですが、ご当人のオリジナル盤にはなかなか縁がありませんでした。いいオッ
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