好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jackson Browne - Standing On The Beach

 ジャクソン・ブラウンから『Time The Conqueror』以来、6年ぶりの「歌の贈り物」が届けられました。と言っても、盟友デヴィッド・リンドレーとの共演ライヴ盤「Love Is Strange」が2010年にリリースされているので、久々という気はしません。むしろ4年ぶりの新作、『Standing In The Breach』と言ったほうが正しいのでしょうか。


Standing in the BreachStanding in the Breach
(2014/10/07)
Jackson Browne

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スタンディング・イン・ザ・ブリーチスタンディング・イン・ザ・ブリーチ
(2014/10/08)
ジャクソン・ブラウン

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STANDING IN THE BREACH
大地に激震が走り、我々の立つ土台が引き裂かれたとしても
人々は皆集まって、もとのように築き直すだろう
手の届く範囲内にまだ生き残っている命を救助するために急いで駆けつけ
自分たちの世界を一緒に再構築しようとするだろう
この難局に当たって

貧困に苦しむ人々がいる一方で、王様のような暮らしを送る人々もいる
分相応の生活を享受して安らぎを見いだす人々もいるのだけれど
彼らが、どれほどの覚悟をしようとも、私には決して理解できないだろう
誰かの命を救うために他の命を奪うことなどできようものか

大地に激震が走り、我々が仕事を投げ出す事態になろうとも
我々の努力が、あたかも上下に変動する潮流に似てうつろいやすいものであろうとも
愛が我々を救出するという信頼と確信を持って
その波の上で浮かんだり沈んだりするのだ
そして背中を曲げて心をひとつにする
この難局に当たって

わからないのか
この世界があるべき姿からそんなにほど遠くなってしまったのかを
どうしてだかわからないだろうが、
人々は見たいと望む世界のために今なお頑張っているのだ
わからないのか
すべてに綻びが出来た後で
どのようにして今、そんなことがなされようとしているのかを
だけど、人々は現実の世界に変化が必要であることが分かっている
そらすぐそこに、みんなの中に

未だ払われぬ歴史の負債
ぱっくりと開いた時間の傷跡
人間性の法則が、いつも後ろへと引き戻す
私は思いたい
大地(地球)は回復し、人々はまだ学べるかもしれないと
どうすれば世界本来の難題に対処できるのかを
我々の歩む道筋が、別の方向に変えられるのかを

大地に激震が走り、海がうねって潮位が高まろうとも
人々は皆集まって、見上げるだろう
我々の前に置かれた課題を
我々が嘆願する祈りの力を
そして我々の魂を天に向かって投げかける
この難局に当たって

わからないのか
この世界があるべき姿からそんなにほど遠くなってしまったのかを
どうしてだかわからないだろうが、
人々は見たいと望む世界のために今なお頑張っているのだ
わからないのか
すべてに綻びが出来た後で
どのようにして今、そんなことがなされようとしているのかを
人々が待ち望んでいる世界はやって来ないかもしれない
そんな世界はやって来やしないかも
だけど、人々は現実の世界に変化が必要であることが分かっている
そらすぐそこに、みんなの中に

 この歌は2010年に起きたハイチ地震を想起させる内容の歌詞から始まり、続いて格差・貧困へと及び、さらに民族紛争、宗教問題などが扱われているようです。天災や格差社会は決して海の向こうの他人事ではなく、震災、土砂災害、火山噴火など2011年以降の日本の状況にも当てはまるでしょう。
 ジャクソンは「愛が、我々を救出する」という言葉を用いて人間が持つ普遍的な人間性、人道主義の必要性を訴えています。それは仏教でいうところの「慈悲」および「自利利他」とも通じると言えるのかもしれません。
 アルバムのタイトルでもある "Standing In The Breach" は「難局に当たる」、「矢面に立つ」という意味ですが、直訳すると「破れ口に立つ」となります。国内盤の解説で音楽評論家の五十嵐正さんが述べられておられますが、ジャクソン・ブラウンお得意の聖書からの引用(旧約聖書詩篇106篇23節、出エジプト記32章1-4節)を盛り込んだものでしょう。その「破れ口」とは城壁の裂け目。古代の都市は城壁が巡らされ、戦闘時に門を閉ざして敵の侵入を防ぎました。しかし、敵は兵糧攻めにして士気を挫いたうえで城壁を壊し始め、決壊した場所から場内へと攻め入ります。そうなると戦いの雌雄は決し、町が占領されるのは明らか。命がけで敵の侵入を防いで撃退しようとする勇士の存在が必要となるでしょう。このことから聖書では「破れ口に立つ」、「攻撃の矢面に立つ」といった表現は、神の戒めを破り、罪を犯した人間のために許しを乞うべく御前に立つ者の喩えとして用いられるのです。神と人間の間を取り持つことに失敗すれば、報いとして「死」が待ち受けていることでしょう。
 聖書の中にはアブラハム、アロン、パウロ、モーセ、そして主イエス・キリストなど幾人かの「御前の破れに立った」人物がおりますが、その中のモーセの逸話が例としてよく取り上げられます。不信仰と不誠実ゆえに神の逆鱗に触れたイスラエルの民を存亡の聴きから救うためにモーセは御前に立ち、このように懇願したのでした。

「今もしあなたが、彼らの罪をゆるされますならば——。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが書きしるされたふみから、わたしの名を消し去ってください」。 (出エジプト記32章32節)

 モーセの身命を賭した嘆願により、神は思い直してイスラエルの民に恩赦を与えます。己を捨てたモーセの願いと祈りが神の心を動かしたのでした。

 警察国家を自負していたアメリカを中心した体制の終焉。時代は新しい段階を迎えようとしていると言えます。モーセのような「御前の破れに立つ」存在、というよりもモーセのような献身的な心が必要とされるでしょう。
 しかし、世界で起こっている別の現実、引いては日本を取り巻く状況に置き換えたらどうでしょうか。国家と自称する過激派が神の名の下、原理主義を正義として迫害や人権侵害を行い、殺戮と処刑を繰り返しています。その背景には同じ宗教の中の宗派間の対立はもとより、同じ宗派の中でも争いが起きるといった状態になっており、事態は混迷を極め複雑化の様相。有効的で抜本的な解決法は誰にも見いだせないままです。また、日本のすぐ傍に独裁国家があり、今も多くの日本国民が拉致されたままであることは言うまでもないことでしょう。
 独裁国家やテロ組織との「話し合い」は困難を極め、不可能に近いと認識しておくことが肝要です。譲歩するような姿勢を示せば、さらにつけこまれて増々事態が悪化するかもしれません。人質にされた人々や自国民を救い、そして守るためには相手の命を奪う覚悟をしなければならないこともあり得ると思われます。
 地球の未来のために我々は今すぐ行動しなければならないとの意思を示したジャクソン・ブラウン。もちろんひとりのアーティストが、身を呈して「破れに立つ」ことは無理難題であり、非現実的なのかもしれません。しかし、人々に関心を持ってもらうために注意を促すことは可能です。そのことで人々が危機感を抱き、問題解決のためにどうすれば良いのかを考えるきっかけとなり得るでしょう。それが、リスナーの矢面に立ってパフォーマンスを繰り広げるロック・アーティストであるジャクソン・ブラウンが、使命として自覚していることであると思います。

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Carole King - Will You Love Me Tomorrow

 前回のリンダ・ロンシュタットの記事の中で、彼女のヴァージョンとファースト・リリースのザ・シュレルズのヴァージョンを紹介しました。ご存知の通り、この曲は数多くのアーティストによって歌い継がれており、カヴァー・ヴァージョンの数は枚挙に暇がありません。今回は誠に僭越ながら、それらの中から独断と偏見によるお気に入りを幾つか紹介させていただきます。

 まずは1971年リリースのアルバム、『Tapestry』に収録されていたキャロル・キングのセルフ・カヴァー・ヴァージョンです。


つづれおりつづれおり
(2013/03/06)
キャロル・キング

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WILL YOU LOVE ME TOMORROW
今夜、あなたはすっかり私のもの
こんなにも優しく愛してくれる
今夜はあなたの瞳に愛が灯っているけれど
明日も私を愛してくれるのかしら?

これは一生の宝物?
それとも一瞬の喜び?
あなたのため息の魔法を信じるなら
明日も私を愛してくれるのかしら?

今夜、言葉を内に秘め
唯一の人よ、とあなたは言ってくれた
でも、夜に代わって朝日が昇ると
私の心は張り裂けるかもしれないわね?

あなたの愛を信じていいと
私は確信したいの
だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日も私を愛してくれるのかしら?

だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日もまだ、私を愛してくれるのしら?

 高校生の頃には既に作曲を始めていたというキャロル・キング。ザ・コザインズというヴォーカル・グループを結成し、レパートリーのほとんどを自ら作曲、アレンジしていました。高校を卒業すると、ニューヨーク州立大学クイーンズ校に進学。そこではジェリー・ゴフィンと出逢いが待っていたのです。
 化学を専攻していたジェリーは作詞家を志望する青年でした。キャロルとジェリーはたちまち意気投合し、一緒に曲作りを始めます。ソング・ライターという共通の夢を共有するふたり。いつしか愛を育み合うようになり、1958年にはゴール・インすることになりました。
 ジェリーとともに曲作りに励んでいたキャロル・キングは、大学在学中に学友であるポール・サイモンからデモ・テープの作り方を教わり、レコード会社に売り込むようになります。1959年に見事、コサインズ時代に作った「Baby Sittin' In」でデビューを飾りますが、商業的には失敗。以降、数枚のシングルをリリースするも鳴かず飛ばず。結局、歌手活動を一旦断念し、夫とのソング・ライター稼業に専念することになりました。
 歌手としての成功はつかめなかったとはいえ、ソング・ライティングには光るものがあったのでしょう。キング&ゴフィンのコンビはキャロル・キングの高校時代の学友ニール・セダカの紹介もあり、後にザ・モンキーズのプロデューサーとしても知られることになるドン・カーシュナーとアル・ネヴインズが設立した音楽出版社アルドン・ミュージックでスタッフ・ライターとしての職を得ることになったのです。なお、ニール・セダカの「Oh! Carole」はキャロル・キングに捧げた曲であるのは言うまでもなく有名な話。キャロルは前述した歌手時代に、「Oh! Neil」というアンサー・ソングを発表していました。
 ニューヨークのブロードウェイに立つブリル・ビルディングとその周辺の音楽出版社やスタジオが入居するオフィス・ビル。その中にアルドン・ミュージックはありました。キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンは同僚となったニール・セダカ&ハワード・グリーンフィールド、バリー・マン&シンシア・ワイルらと篠木を削りながら、ソング・ライターとしての才能を開花させていったのです。
 キャロル・キングの紡ぎ出すポップなメロディと弾むようなリズム。ジェリー・ゴフィンが創作する簡潔であると同時に説得力のある歌詞。覚えやすい旋律に青春期にありがちな激しい感情、不安、葛藤、欲求、孤独、献身的な思いなどが綴られたキング&ゴフィンの作品にはリスナーの琴線に触れる要素が十二分にありました。それ故に、ふたりが最初の成功をつかむのはそれほど多くの時間を要しなかったのです。
 1961年に黒人女性ヴォーカル・グループのザ・シュレルズに提供した「Will You Love Me Tomorrow」が、ヒット・チャートの1位に輝いたのを皮切りに、ボビー・ヴィーの「Take Good Care Of Baby」も第1位、翌62年にはリトル・エヴァの「The Loco-Motion」もトップの位置に上昇するなど、ふたりの書いた曲は次々とヒットし、チャートの上位を駆け上がって行きました。
 作詞を担当していたのは男性であるジェリー・ゴフィンですが、彼は思春期、青春期の女性の心理を巧みに捉えています。この「Will You Love Me Tomorrow」も若い女性のそうした心の揺れがよく表されていました。太宰治は『女生徒』という作品で少女ならでは物の考え方や心の機微を的確につかみ取っていましたが、洋の東西やジャンルを問わず、秀逸な作家やクリエイターはこの世にあまねく人々の感覚や情動を把握する能力に長けているのでしょう。常人にはまったく太刀打ち出来ません。ことにデリカシーがないとお叱りを受けてばかりの私のような人間には・・・・・・。
 実社会で考察してみても、異性であろうと同性であろうと、相手の心や気持ちをつかむことは肝要です。勤務している会社の幹部や上司、取引先のお偉いさんに気に入られると、たちまち出世コースへ。しかし、そんな薔薇色の経験はなく、能力不足か資質ゆえなのか、トラブルを引き起こしてばかりで疎まれる次第。人生はなかなかうまくいきません。
 おっと、話がどんどん逸れて行きそうです。それではお題に沿って、カヴァー・ヴァージョンを紹介して行くことにしましょう。
 こちらはキャロルと大御所ウィリー・ネルソンの共演です。2004年の彼のアルバム『Outlaws and Angels』に収録。DVDも発売されています。


 キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン宅のベビー・シッターから一躍スターダムへ。キング&ゴフィン作のナンバーである「The Loco-motion」のヒットを持つリトル・エヴァも1962年のアルバム『Llllloco-motion』でカヴァーしています。


 世界的なヒットとなった「Comment te dire adieu (It Hurts To Say Goodbye)」、あるいは日本では山田太一脚本、岸恵子主演のテレビドラマ『沿線地図』の主題歌として使われた「Ma jeunesse fout l'camp」でお馴染みのフランソワーズ・アルディも1968年の『En Anglais』で取り上げていました。アンニュイなウィスパー・ヴォイスが、より切なさを深めているものの決して強要したり束縛したりしようとの意図が窺えません。でも、そのほうが怖いというのは考え過ぎでしょうか。


 次は男性陣のカヴァー・ヴァージョンで。ビートルズ以前に最も人気のあったバンドと称せられるフランキー・ヴァリ率いるザ・フォー・シーズンズの歌声です。ドゥー・ワップを基本としながらもヴァリのパワフルなファルセット・ヴォイスが魅力。1968年にリリースされました。なお、彼らの経歴を基にしたミュージカル『Jersey Boys』が、2014年にクリント・イーストウッド監督で映画化されて好評を博しています。


 白人コーラスに対抗するわけではありませんが、今度は黒人コーラス・グループ出身の方の登場です。その方はかつてミラクルズを率いて一世を風靡したスモーキー・ロビンソン。彼の歌うヴァージョンは1973年の『Smokey』に収録。ボブ・ディランが、「男女間の『心のひだ』を歌わせたらスモーキー・ロビンソンにかなう人はいない」と言わしめたほど、彼はその鋭い感性と洞察力を持って「歌」を表現していました。ヴェルヴェット・ヴォイスは今も健在です。


 お次ぎはハード・ロックの分野の方に登場してもらいましょう。レインボーやアルカトラスで活躍したヴォーカリストの横山やすしさん、もといグラハム・ボネットのヴァージョンは1977年の『Graham Bonnet』に収録。


 デイヴ・メイスンのヴァージョンは『Mariposa de Oro』(1978)に収録。まるで中年男が見せる弱みと哀愁が窺えるような好演ぶり。情念の炎を燃やすと称される独特のギター・プレイも泣かせます。


 元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドラマーだったモーリン・タッカーのヴァージョンは1981年リリース。ヴェルヴェット時代にも彼女はアルバムの中で何曲かリード・ヴォーカルを担当していましたが、ここでもラフな演奏をバックにピュアな歌声を披露しています。
 
 
 ヘヴィでありながらも渇いた音色を醸し出すギター・プレイ。現在もイーグルスで活躍するジョー・ウォルシュのヴァージョンです。ソロ・アルバム『Songs for a Dying Planet』(1992)に収録。


 中高年男性の妖し気な色気が漂うブライアン・フェリーのヴァージョンは『Taxi』(1993)に収録。ロキシー・ミュージックとはまた違った、大人の味わいが魅力的です。


今夜、おまえはすっかり俺のもの
こんなにも優しく愛してくれる
今夜はおまえの瞳に愛が灯っているけれど
明日も俺を愛してくれるのか?

これは一生の宝物なのか?
それとも一瞬の喜びにすぎないのか?
おまえのため息の魔法を信じたら
明日も俺を愛してくれるのか?

今夜、言葉を内に秘め
唯一の人よ、とおまえは言ってくれた
でも、夜に代わって朝日が昇ると
俺の心は張り裂けるかもしれないぜ?

おまえの愛を信じていいと
俺は確信したいのだ
だから今、俺に言ってくれ、二度と聞き直さないから
明日も俺を愛してくれるのかしら?

だから今、俺に言ってくれ、二度と聞き直さないから
明日もまだ、俺を愛してくれるのか?

 さて、フォー・シーズンズ、ミラクルズ(スモーキー・ロビンソン)とくれば、この方々のコーラス・ワークを忘れてはなりませんね。ザ・ビージーズの皆さんの出番です。『Tapestry Revisited - A Tribute to Carole King 』(1995)に収録されていました。


 卓越した作詞・作曲のセンス、ソウルフルな歌声、そして美貌。天は二物も三物も彼女に与えたのでしょうか。孤高のシンガー・ソング・ライターと形容されたローラ・ニーロのヴァージョンは『Angel in the Dark』(2001)に収録。彼女はキャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作の「Up On The Roof」(1970年の『Christmas and the Beads of Sweat』、1971年の『Gonna Take A Miracle』にもボーナス・トラックとして収録)をヒットさせたことがありますが、スタジオ録音では最後となるであろう『Angel In The Dark』(2001年)でこの曲を披露していました。


 こちらもローラ・ニーロのヴァージョン。1993年発表の『Walk The Dog & Light The Light』にボーナス・トラックとして収録されました。


 ジャジーな雰囲気に包まれた中で枯れた歌声が心に滲みるノラ・ジョーンズ。スピリチュアル・アンビエント・ジャズのタッチ・アコーストラのアルバム『When It Comes Upon You』(2003年)に客演した時のヴァージョンです。


 ハスキーでソウルフルな歌声でリスナーを魅了したエイミー・ワインハウスのヴァージョンは、レネー・ゼルウィガー主演の映画『Bridget Jones: The Edge of Reason』(2004年公開)のサントラ、彼女の追悼コンピレーション・アルバム『Lioness - Hidden Treasures』(2011年)などに収録。人生の酸いも甘いも噛み分けた女が、若かりし頃を振り返りながら自問しているといったところでしょうか。渋い味わいのする歌声です。


 音があまり良くないのですが、ブルース・スプリングスティーンがレコード・デビュー前に結成していたDr. Zoom& The Sonic Boomでの演奏をよろしければお聴きください。1971年の録音とのこと。

 
 今回はキャロルとジェイムズ・テイラーとの共演でお開きにしましょう。2007年リリースの『Live at the Troubadour』から。


Linda Ronstadt - Will You Love Me Tomorrow

 長々とリンダ・ロンシュタットのアルバム『Silk Purse』に関して、他愛もないことを語ってきましたが、今回で取り上げる「Are My Thoughts With You」と「Will You Love Me Tomorrow」でお開きにしたいと思います。

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リンダ・ロンシュタット

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Best of the Capitol YearsBest of the Capitol Years
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 ミッキー・ニューベリー作の「Are My Thoughts With You」。 原曲はR&B風のソウルフルなバラードですが、リンダのヴァージョンは少々カントリー・ロック調にアレンジされ、郷愁を誘うような雰囲気が漂っていました。


ARE MY THOUGHTS WITH YOU
私は自分に種をまいて
海のように大きく育てるつもり
木も何本か切り倒して
自分の島を作るわ

通りの曲がり角に立ち
市街電車を止めて
どこかに行って、彼に電話で尋ねるの
私の想いはどこにいったんだろうと

彼にはこう言うつもり
ねえ、私の想いはあなたとともにあるの?
どのくらいねじ曲がっているの?
あなたがいなくなってから
私は物事をまっすぐに考えられなくなったのよ

それで通じなかったら
私は花を育て
朝露の中に腰を下ろし
一時間おきに口づけをするわ

明かりを消して
夜を引きつけ
争いを止めて
飛び立つ準備をし
凧を捕まえましょう
何が正しいのか間違っているのかなんてどうでもいいこと
月に辿り着いたら
部屋を借り
暗闇の中でひとり座り込むの

私の想いはあなたとともにあると大声で叫ぶ
どのくらいねじ曲がっているの、ねえ?
あなたが私の元を去ってから
私は物事を素直に考えられなくなったのよ

 R&B風バラードのミッキー・ニューベリーのヴァージョン。ハイトーン・ヴォイスでけだるく歌う様子に男の哀感が滲み出ていて、何とも言えないやるせなさが心の奥底へ伝わってくるかのようです。
 ミッキー・ニューベリー(1940年5月19日 - 2002年月29日)はテキサス州ヒューストン出身のシンガー・ソング・ライター。10代の頃にドゥーワップのグループを組み、サム・クックやジョニー・キャッシュのオープニング・アクトとして活動。やがてソング・ライターを目指してナッシュヴィルに転じ、1966年には彼の書いた「Funny Familiar Forgotten Feelings」がトム・ジョーンズに取り上げられてヒットしたのを皮切りに、アンディ・ウィリアムスの「Sweet Memory」(1968年)、「Time Is A Thief」(1968年)、ケニー・ロジャース&ファースト・エディションの「Just Dropped In」(1968年)など提供した曲が次々とチャートの上位を駆け上がり、一躍注目を浴びることとなりました。ミッキー自身も68年にソロ・デビューを果たしておりますが、1971年にリリースしたアルバム『Frisco Mabel Joy』のオープニングを飾る「An American Trilogy」はエルヴィス・プレスリーのヴァージョンで知られることになり、アルバムのエンディングに収められた「San Francisco Mabel Joy」はジョーン・バエズ(1971年の『Blessed Are... 』)、ウェイロン・ジェニングス(1973年の『Lonesome, On'ry & Mean』)、ケニー・ロジャース(1978年の『The Gambler』)、ジョン・デンヴァー(1981年の『Some Days Are Diamonds』)らのアルバムに収録されています。


 アメリカR&B界の女王、エタ・ジェイムズのヴァージョン。1970年発表の『Etta James Sings Funk』に収録。まるで「あんたがいーひんなって私はひねくれてしもたんかもしれんけど、もうそんな些細なことはどうでもええわ」と歌っているのではないかと思わせるぐらい、余裕と貫禄のある歌唱です。


 他にもケニー・ロジャース&ファースト・エディションが、1968年発表の『The First Edition's 2nd』でこの曲を取り上げていました。ケニー・ロジャースは1950年代から歌手活動を始め、カントリー界の大御所となり、今では国民的歌手とまで呼ばれる存在となっています。

 続いてキャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作の名曲、「Will You Love Me Tomorrow」。ソウルフルなバック・コーラスを配しながらも、カントリー・ロック調のアレンジが施され、リンダの本領発揮と言ったところです。


WILL YOU LOVE ME TOMORROW
今夜、あなたはすっかり私のもの
こんなにも優しく愛してくれる
今夜はあなたの瞳に愛が灯っているけれど
明日も私を愛してくれるのかしら?

これは一生の宝物?
それとも一瞬の喜び?
あなたのため息の魔法を信じるなら
明日も私を愛してくれるのかしら?

今夜、言葉を内に秘め
唯一の人よ、とあなたは言ってくれた
でも、夜に代わって朝日が昇ると
私の心は張り裂けるかもしれないわね?

あなたの愛を信じていいと
私は確信したいの
だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日も私を愛してくれるのかしら?

だから今、私に言って、二度と聞き直さないから
明日もまだ、私を愛してくれるのしら?

 明日になると気が変わってしまうなんて、親密な間柄なら考えられないことでしょう。でも、人の心はみっともないほど移り気で、常に新しい誰かを求めて過去を清算してしまいたいものかもしれません。愛する人から突然の別れを切り出された経験のある方はいらっしゃいますか? たいていはその前に関係が修復出来ないほど悪化し、「さよなら」を予感しているものだと思いますが、どうなんでしょうかねぇ。
 
 くだらない妄言はさておき、まだどこか初々しさの残るリンダのライヴ映像をご覧ください。1970年3月11日のジョニー・キャッシュ・ショーに出演した際の映像です。


 この曲のファースト・リリースは1960年に「Tomorrow」のタイトルで発表されたザ・シュレルズのヴァージョンです。シュレルズはハイスクールの同級生4人組によって結成された黒人女性コーラス・グループ。全米1位となったこの「Tomorrow」の他、ザ・ビートルズでもお馴染みの「Boys」(1960年)、「Baby It's You」(1962年)などのヒットを放ちました。


 1971年にリリースされた名盤『Tapestry』にて、キャロル・キング自身がセルフ・カヴァーしたヴァージョン。あたかも波瀾万丈の自分の人生を振り返り、ひとつひとつの想い出を噛み締めるように歌っているかのようです。


 ご存知の通り、この曲は数多くのアーティストによって歌い継がれています。カヴァー・ヴァージョンの数は枚挙に暇がありませんので、回を改めてそれらの中から幾つかを紹介させていただきます。
 
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