好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

The Bernie Leadon = Michael Georgiades Band

 寒い日々が続いておりますので、ウエスト・コーストの陽光と爽快な風に包まれて暖まることにします。ご登場を願うのはバーニー・レドンとマイケル・ジョージアディスのご両人。彼らが1977年に発表した唯一のアルバム、『Natural Progressions』を今回のお題としました。

バーニー・リードン=マイケル・ジョージアディス・バンドバーニー・リードン=マイケル・ジョージアディス・バンド
(2013/11/13)
ザ・バーニー・リードン=マイケル・ジョージアディス・バンド

商品詳細を見る


 1975年にイーグルスを脱退したバーニー・レドンが、旧友であるマイケル・ジョージアディスと組んでリリースした本作『Natural Progressions』。親友同士の和気あいあいとしたセッションが繰り広げられている1枚です。

 1947年7月19日にミネソタ州のミネアポリスで生まれたバーニー・レドン。カリフォルニア州のサンディエゴに移り住んだティーン・エージャーの頃にはブルーグラスに傾倒し、ギターのみならずマンドリンやバンジョーも弾きこなすようになって行きました。そんな彼はカントリー・ロック系のバンドでは重宝される存在となり、ディラード&クラークやフライング・ブリトゥー・ブラザーズなどのメンバーとして腕を振るった経歴があります。また、レドンのカントリー・フィーリングに溢れたパフォーマンスは、初期イーグルスのサウンド形成に多大な貢献をしていたのは言うまでもないことでしょう。
 しかし、イーグルスは次第にカントリー・ロック色を薄めて行きます。そんなバンドの変化にレドンはついて行けなかったのでしょうか。レドンは1975年の『One Of These Nights』を最後に脱退。イーグルスを去った後の彼がどのような音楽活動を続けて行くのか、ファンの注目するところとなりました。
 1977年、レドンは満を持したかのようにマイケル・ジョージアディスとバンドを結成し、アルバム『Natural Progressions』を発表。彼の持ち味を活かしたブルーグラスやカントリー・タッチのフレーヴァー溢れる作品を期待した向きもあったようですが、むしろAOR風の雰囲気さえ漂う都会的なサウンドのアルバムに仕上がっています。
 10曲の収録曲の内、マイケル・ジョージアディスが6曲を創作。彼はジョニー・リヴァースのアルバム『L.A.Reggae』(1972年)や『Blue Suede Shoes』 (1973年)に参加していた経歴のある人物ですが、殆ど無名であり、イーグルスというバンドに在籍してスターの座に就いたレドンが花を持たせてやっているかのような配慮が窺えました。

 ジョニー・リヴァースのアルバム『L.A.Reggae』に収録されていた「Life Is A Game」。レドンとジョージアディスの共作で、二人がバック・ヴォーカルで参加していました。


 さて、アルバムの紹介を始めましょう。誰も愛なしでは生きられないとストレートに歌うバーニー・リードン作のバラード、「How Can You Live Without Love?」。ザ・バーズの「See The Sky About To Rain」(ニール・ヤング作)を連想させるような味わいを醸す切ないナンバーです。


HOW CAN YOU LIVE WITHOUT LOVE
愛なしで生きられるかい?

俺は丘の上で7年間も生きてきたが
人世は満たされていた
次々と女たちや友達が訪ねて来て
そりゃ、楽しい日々だったよ

愛なしで生きられるかい?

街で美女に出会った君
突然に出くわしたのさ
見知らぬ君を見て
目をそらす彼女
あまりにも恥ずかしくて微笑むことが出来ないのさ

君は愛なしで生きられるかい?


 マイケル・ジョージアディス作の「Breathe」。愛する人への想いと心の変化が描かれています。


BREATHE
君がくれた愛の歌
俺は君のメロディを聴いたんだ
君の人生の1ページに
明るい将来が形作られるのが見えるんだ

君の素敵な愛の感触に
俺の背筋は震えた
友達だと言ってくれたよね
打ち明けるのにこれ以上の時はなかったのさ

君を愛しているとはっきりさせるために
何度も何度も繰り返そう
様々な変化と季節の移ろい
風に乗り
息づかいをしながら

眠りが妨げられた辛い夜があり
羊を数える代わりに悩み事を数えた
とうとう俺は深い苦しみに陥った
もはや心の内側に抑えておくことが出来ない

だけど俺には時の歩みがゆっくりに感じられ
俺の心変わりを止めることもなく
俺に思い知らすために様々なことを
そうした感覚が促すだけ

ただ風に乗り
息づかいをしながら

 もう1曲、マイケル・ジョージアディス作のナンバー、「You're The Singer」。キャッチーなメロディとは裏腹に、ちょっと勝手な恋人への皮肉が込められた歌です。


YOU'RE THE SINGER
何度も何度も君がああだこうだと言ってるのを聞かされたよ
「ねぇ、あの人たちったらこうなのよ」なんてね
ベイビー、分からないのかい
それが運命ってもんさ

君は時々距離をおこうとする
落ち着いた気分になれず
君はクールに装うとした
本当に馬鹿なマネをしたもんだ
まるで道化さ
恋い焦がれる気持ちは去っちまった

人生はミステリーじゃないんだよな
必要な時に君の愛を捧げるんだ
長く終わりのないひとつのシンフォニーの中で
君はシンガー
人生は歌だよ
誰もが一緒に歌い出すのさ

何度も何度も君がああだこうだと言ってるのを聞かされたよ
「何もかもが嘘に思えるわ」なんてね
そんな風に感じるのは君だけさ
つべこべ言わずにこっちへ来なよ

すべてが変化し続け
誰もが動き続けている
そのままでいるものなんて何もないのさ
そして過去は消え行く
ここにあるのは現在のみ

何度も何度も君がああだこうだと言ってるのを聞かされたよ
「私、引きこもっていようと思うの」なんてね
ベイビー、君は隠れることが出来ても
時間は待ってくれないぜ

君は可愛くて大切な人
まるで天使のよう
とても信じられないくらいさ
でも時間は泥棒のように忍び寄る
注意しなよ
年月を盗んじまうぜ

誰もが一緒に歌い出すのさ

 バーニー・レドンがイーグルスを脱退する際、「あほんだら、なめとったら承知せんど」とばかりにグレン・フライの頭にビールをぶっかけて去って行ったという逸話があります。それほどまでにメンバー同志の人間関係は最悪だったのでしょう。ところが1998年、イーグルスがロックの殿堂入りを果たした際にはレドンも授賞式に駆けつけ、「Take It Easy」、「Hotel California」を一緒に演奏。2013年にはイーグルスのツアーに参加しているとの報道を耳にしました。本気の雪解けなのか、ツアー成功のための話題作りなのか、お金が絡んでいるのか、大人の事情は本当のところよく分かりません。

スポンサーサイト

Graham Nash & David Crosby - Southbound Train

 昨年(2013年)の12月6日に特定秘密保護法案が成立しました。多くのマスメディア、ジャーナリスト、市民団体、弁護士、作家、文化人、知識人、芸能人たちが、「報道・表現・言論の自由が制限される」、「軍靴の音が聞こえる」、「政府が都合の良い情報を隠す」、「一般の国民が処罰される」などといった理由で反対の大合唱。私の頭が悪いのか、読解力が不足しているのか、この法案のどこをどう読めばそのような解釈が出来るのかまったく分かりません。もし、その時の政府にとって都合が悪い情報が隠されると言うならば、現在の政権よりも「尖閣諸島は隣国様のもの」といった趣旨の発言をした "Loopy" 、SPEEDIの情報を握りつぶして大量の被災者を被曝させた「空き缶」、TPP交渉に際して「日本はポール・マッカートニーだ。ポールのいないビートルズはあり得ない。米国はジョン・レノンだ。この2人がきちっとハーモニーをしなければならない」と不的確かつ不適切な趣旨の発言をしたサモ・ハン・キンポーならぬ太ったドジョウらのような人々が、総理の座に就いた時のほうが恣意的運用がなされるのではないかと不安です。もっとも、民主党は尖閣諸島沖の漁船衝突事件のビデオ映像流出問題を受け、国の持つ秘密情報の漏洩に厳罰を科す秘密保全法を提案したことがありました。その時、特定秘密保護法に反対している人々が何か声をあげたでしょうか。そのような記憶がありません。日曜早朝の報道番組で、「映像を流出させた海上保安官を逮捕せよ」と叫んでおられた和服姿の大学教授も特定秘密保護法には異議を唱え、反意を示されています。

 さて、ビートルズの話題が出たので今回もFAB4のご登場と思われるかもしれませんが、然にあらず。グラハム・ナッシュ&デイヴィッド・クロスビーのご両人にご足労を願いました。お二人が1972年の4月5日に発表した『GRAHAM NASH/DAVID CROSBY』に収録されていた「Southbound Train」で、自由について少しばかり考えてみたいと思います。

グラハム・ナッシュ=デイヴィッド・クロスビー(紙ジャケット)グラハム・ナッシュ=デイヴィッド・クロスビー(紙ジャケット)
(2013/12/18)
グラハム・ナッシュ=デイヴィッド・クロスビー

商品詳細を見る




SOUTHBOUND TRAIN
笑いながら首を傾げる自由よ
あんたに死者を故郷に連れ帰る松明を掲げることができるのか?
あんたがその生き方を導いた父祖伝来の地に
この町の外れにある駅から
南に向かう列車に乗って

静かに拳と向き合う平等よ
あんたは怒り、疲弊し
狙いを外していないか?
奥の部屋に行って
電話を使っているギャンブラーたちの
リストを調べてくれないか?
南に向かう列車に乗りながらそんなことが脳裏をよぎった

流れる涙をこらえきれなくなっている友愛よ
あらゆる恐怖を打破するには永遠の時間が必要なのか?
既に道化師への支払いは済んでいると聞かされた
乗客はどうするのだろう
南に向かう列車に乗ってそんな思いを巡らす

 アルバム『GRAHAM NASH/DAVID CROSBY』のオープニングを飾るグラハム・ナッシュ作の「Southbound train」。フランス革命で掲げられた3つのスローガンである「自由」、「平等」、「友愛」を引用し、政治や社会に対する批判が織りなされています。
 この歌が世に出た1972年頃のアメリカはヴェトナム戦争の戦況が悪化し、社会全体に重苦しさや閉塞感が漂っていました。北ヴェトナムが攻勢に出て、アメリカは対抗して北爆を強化。泥沼の様相を呈し、国内外では反政府デモや反米デモが激化。しかし、いくら反戦を叫んでいても、当時のアメリカの若者たちは自分の国が負けてしまうのではないかという結果には何かやりきれぬ違和感や喪失感、そして、手放しでは喜べぬ感情を覚えていたのかもしれません。
 東西冷戦を背景とし、ヴェトナム統一による共産主義の拡大を防ぎ、自由と民主主義を守ることを謳って参戦したアメリカ。結果、莫大な資金と大量の兵器をつぎ込んで社会全体が疲弊し、膨大な数の戦死者を出してしまいました。帰還兵も戦闘時の恐怖がトラウマとなり、精神に異常を来す人も多かったと聞きます。自由に向かって問いかける最初のヴァースは、ヴェトナム戦争で戦死した兵士たちのことを歌っているのでしょうか。ちなみに、自由を象徴する建造物として名高い自由の女神像はアメリカ合衆国の独立100周年を記念し、独立を支援したフランス人の募金を基にして、1886年に完成したものです。
 自由と民主主義を標榜した国家である以上、競争原理が働き、国民に収入の格差が生じることは仕方のないことかもしれません。しかしながら、まっとうな商売をして稼いだ金ならともかく、「死の商人」の如く戦争で儲けることに釈然としないのは当然です。次のヴァースに出て来るギャンブラーたちとは政治家および軍需関連産業とその経営陣や大株主を指すのでしょう。ナッシュの怒りが窺えました。なお、21世紀のアメリカ社会でも貧富の格差が広がっていることは言うまでもありません。
 最後のヴァースではあらゆる恐怖を打破しようとする友愛に問いかけています。本来の友愛とは家族、兄弟、隣人、同胞などへの深い愛情のこと。ここでの恐怖とはいったい何なのでしょうか。戦争の恐怖でしょうか。国家権力の暴走でしょうか。追いつめられた貧困層が暴徒化することでしょうか。それとも闇の勢力の跋扈でしょうか。そのように考えると、道化師への支払いとは権力側に協力した人々が得た対価や兵士が授かった勲章のことを揶揄しているのかもしれません。また、乗客とはアメリカ国民のことを見立てていると受け取れ、国家への信用や信頼が崩壊したことを物語っているかのようです。友愛の情も消え失せたといったところでしょうか。

 お互いを信じ合うことは大切ですが、人間にプライドとアイデンティティがある限り、相容れない矛盾や疑問が生じます。他者との違いを認めて尊重することは大事ですが、決して迎合、追従せず、時には毅然とした態度で臨むことも必要だと個人的には思えました。余談になりますが、昨今の日本では "Loopy" 元総理のおかげで、「友愛」がまったく違った意味(「口封じ」、「粛正」など)を持ってしまったようで残念です。

 21世紀になっても利害や主義・主張がぶつかり合い、信仰も絡んで世の中は混沌とした状態におかれています。紛争や内戦が絶えず、テロ活動も頻発。自由、平等、友愛は民主主義の基本理念ですが、欲望が優先され、秩序や常識の薄れた社会に向かっているのが現実なのかもしれません。
 「Southbound Train」は政治への批判が色濃く描かれていました。でも、決して大上段に構えず、優しく諭すように歌うグラハム・ナッシュ。この歌を聴いてみると、政治批判や社会への異議申し立てといったこととは別に、ふと立ち止まって自分の周囲を見回し、何か思いを巡らすことがあるのではないでしょうか。生き方の指針を示してくれているような興味深い作品です。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。