好きな音楽のことについて語りたいと思います。

Paul McCartney - Waterfalls

 ポール・マッカートニーさんの来日公演の感動が覚めやらぬ日々が続いております。それ故に今回も彼の作品を取り上げることにしました。お題は「Waterfalls」。1980年にリリースされたアルバム、『McCartney II』に収録されていた曲です。

Mccartney IIMccartney II
(2011/06/09)
Paul Mccartney

商品詳細を見る




WATERFALLS 
滝に飛び込まないで
どうか湖のほとりにいたままで
滝に飛び込むような人々は
過ちを犯しやすい

愛が欲しい 俺には愛が必要なんだ
1秒には1時間が必要であるように
雨滴にはにわか雨が必要であるように
俺には1日中、愛が必要なんだ
もし君が俺と別れる決心をしたなら
俺の人世は違ったものになるだろう

愛が欲しい 俺には愛が必要なんだ
城が塔を必要とするように
庭が花を必要とするように
俺には1日中、愛が必要なんだ
もし君が俺と別れる決心をしたなら
俺の人世は違ったものになるだろう

ホッキョクグマを追いかけて
未知の世界へ行ったりなんかしないで
大きくて人なつこいホッキョクグマが
君を家に連れ帰るかもしれないから

愛が欲しい 俺には愛が必要なんだ
1秒には1時間が必要であるように
雨滴にはにわか雨が必要であるように
俺には1日中、愛が必要なんだ
もし君が俺と別れる決心をしたなら
俺の人世は違ったものになるだろう

車の後を走ってついていかないで
側道に留まっていてくれ
誰かの金ぴかの車が
君を誘って乗せて行ってしまうかもしれないから

愛が欲しい 俺には愛が必要なんだ
城が塔を必要とするように
庭が花を必要とするように
愛が欲しい 俺には愛が必要なんだ
1秒には1時間が必要であるように
雨滴にはにわか雨が必要であるように
1日中どんな時でも愛を求めているんだ
もし君が俺と別れる決心をしたなら
俺の人世は違ったものになるだろう

滝に飛び込まないで
どうか湖のほとりにいたままで

 1970年に発表されたソロとしてのファースト・アルバム、『McCartney』同様、ポール・マッカートニー本人のみによって多重録音された『McCartney II』。アルバムからのファーストシングル、「Coming Up」が全米1位に輝き、ポールの健在ぶりを示しましたが、この曲を始めとしてテクノ・ポップス調の楽曲が幾つも収められていたことに複雑な思いをしたファンが多かったと聞きます。また、「Frozen Jap」が日本人を皮肉っていると誤解されたこともアルバムの評価を下げる一因となったことは否めないでしょう。しかしながら、ポールの真骨頂ともいえる哀愁を帯びたラヴ・ソングである「Waterfalls」のような曲も含まれており、野心的な試みと従来の彼の魅力が巧みに融合された1枚と捉えても良いのかもしれません。なお、『McCartney II』は全米3位、全英1位を獲得しています。

 こちらはプロモーション・ビデオ。途中でホッキョクグマが登場しますが、CGや合成でなく、本物を使ったそうです。人に馴れたサーカスのクマだったとのことですが、ポールは内心とても怖い思いをしたことでしょう。


 恋人を想う気持ちが表された例えが興味深く、ホッキョクグマも金ぴかの車に乗った誰かも、財力に物を言わせて思うがままに生きる人間の象徴のように受け取れます。それでも、「庭には花が必要」と切っても切れない縁の例示し、「行かないでくれ」と懇願する歌の主人公。もう相思相愛の時期は過ぎたのでしょうか。そして冒頭の「滝に飛び込まないでくれ」という歌詞は誘惑されそうな恋人への忠告であると同時に、結果としてどのような事態に陥っても軽率な行動を取らないようにと自己を戒め、警告する意味が込められているのかもしれません。
 なお、"Waterfalls" とはロンドンから100キロほど離れたケントにあるポールの家の愛称とのことです。
スポンサーサイト

The Beatles - Her Majesty

 10月31日に開催された園遊会にて、脱原発を掲げて当選した俳優出身の参議院議員が、天皇陛下に直筆の手紙を渡したことで物議を醸しました。手紙の内容は、「子供と原発労働者を被曝から救え」といった趣旨がしたためられていたとのこと。
 震災後、何度も福島を訪問された天皇皇后両陛下のこと、この議員に言われなくても現状をご存知だと思います。国会議員なら被曝に関する科学的なデータを示して国会で訴え、最善策を提案すればよいことであり、国民の象徴であり、「権威」であっても何の「権力」も持たない陛下に直訴するのはお門違い。それともこの議員は陛下に大統領並みの権力があるとでも思っていたのでしょうか。
 天皇陛下に対しての請願書は、まず内閣に提出しなければならない旨が、請願法に規定されています。これは日本国憲法第16条に規定される請願権の実際の運用に関して規定する法律であり、同憲法の施行と同時に施行されました。よってこの議員の行動は憲法違反にあたると言っても差し支えないでしょう。それ以前に常識を欠いた行動であることは言うまでもありません。
 そう言えば、かつて民主党の幹事長だった政治家が、陛下の体調に配慮するために1ヵ月前に会見の申請をする「1ヵ月ルール」を無視し、中国の習近平国家副主席(当時)と陛下の会見を急遽ねじ込んだ一件がありました。この幹事長は、日本国憲法第7条(天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。)を引用し、「陛下と習副主席との会見は内閣の助言と承認で行われる天皇の国事行為である」との趣旨を述べましたが、「外国の大使及び公使を接受すること。」という項目はあっても、 陛下が外国の要人に会うことは憲法の国事行為に含まれておりません。習副主席は大使でも公使でもなく、幹事長は明らかに憲法解釈を逸脱していたと言えるでしょう。
 ブログやSNSを閲覧していると、「天皇に手紙を渡して何が悪い」、「天皇への請願を禁止するのは前近代的」といった趣旨の意見が目立ちます。この議員へ票を投じ、今も支持している人々の多くは、おそらく天皇陛下や皇室への畏敬の念を持ち合わせていないのでしょう。それ故、この議員の行動を「あっぱれ」と賞賛する人も少なくないのかもしれません。そうした人々には「秩序」という概念がなく、そして規制のルールに縛られず、常識や慣習を打破することで新たな発想や創造力が生み出されるという固い信念をお持ちと見受けられます。

 これ以上この議員のパフォーマンスについて語っていると、まんまと彼の陣営の策略に陥ってしまいますので、このあたりで本題に移ります。さて、本日ご登場を願うのはまもなく来日する予定のポール・マッカートニーさんもメンバーのひとりであるザ・ビートルズの皆様です。取り上げる曲は、「Her Majesty」 。4人のビートルズが最後にレコーディングしたアルバム、『Abbey Road』(1969年発表)に収録されていました。もっとも、ジョン・レノンが生前に残したデモ録音を基にした、「Free As A Bird」(1995年の『The Beatles Anthology 1』収録)、や「Real Love」(1996年の『The Beatles Anthology 2』に収録)も正式なビートルズのアルバムであるため、現時点では『The Beatles Anthology 2』が4人による最新アルバムであるという見方も出来るでしょう。ビートルズのファンにとってはジョンもジョージ・ハリスンも心の中で生き続けているわけですから。


HER MAJESTY
女王陛下はとても可愛いお方、だけど彼女はああだこうだとお喋りする人じゃない
女王陛下はとても素敵なお方、だけど彼女は日々コロコロ変わるお天気屋
とても好きだよと言ってあげたいけれど
その前にワインをたらふく飲まなくちゃ
女王陛下は可愛いお方、だけどいつの日か俺のものにしてみせる
いつの日か俺のものにしてみせるさ

 アルバム『Abbey Road』の後半ではメドレー形式の曲が続き、まさに有終の美を飾るような「The End」で締めくくられます。さて、これにてお開きかと思った瞬間、突然「ジャーン」という音。続いて、ポールのアコースティック・ギターの弾き語りによる「Her Majesty」が始まり、あっという間に曲が終わります。まるでポールだけがアンコールに応えて再び登場してくれたかのよう。歌の内容はエリザベス女王への憧憬なのか、はたまた恋い焦がれる片思いの人を女王様に見立てたラヴ・ソングなのか。これはやはりポールお得意のダブル・ミーニングと受け取って良いでしょう。
 『Abbey Road』発表後に案の定、「女王陛下並びにイギリス王室への冒涜」、「ビートルズ一流のジョーク」と賛否両論が巻き起こったそうです。しかし、発売禁止はもとより放送禁止になったという話をきいたことがありませんし、イギリス王室からの抗議も耳にしていません。当時の詳細をご存知の方がおられればご教示をお願いしたいとところです。

 ロング・ヴァージョンが存在しているようです。正式に発表された憶えはないので、ブートレグからのものでしょうか。


 2002年6月に開催されたエリザベス女王戴冠50周年記念コンサートにおいて、女王陛下の前で、「Her Majesty」を披露するサー・ポール・マッカートニー。けげんな表情を浮かべる女王陛下の姿が印象的ですが、内心はどうなんでしょう。ポールのことを本当に理解しているのは母親のメアリーと最初の妻であるリンダであるのは言うまでもないことでしょう。ビートルズのファンとしては現実は別として、人情的にジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターらの名も挙げたいところかも。ひょっとして、女王陛下もポールのことをよく理解する、そのひとりなのかもしれません。