好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Paul Parrish - SONGS

 昼間はまだ真夏日が続いているようですが、朝夕めっきり涼しくなってきました。秋はシンガー・ソング・ライターの切ない歌声が似合います。まだまだセンチメンタルな気分にはほど遠いのかもしれませんが、季節を先取りし、ナイーヴな雰囲気を醸し出すシンガー・ソング・ライターに登場していただくことにしましょう。その人の名はポール・パリッシュ。彼が、1971年に発表したアルバム、『Songs』が今回のお題です。

ソングスソングス
(2013/08/14)
ポール・パリッシュ

商品詳細を見る


 ポール・パリッシュはミシガン州ウォード・レイクの出身。幼き頃よりピアノを始めて歌い出した彼は、1968年頃にMGM傘下の Music Factory Records からファースト・アルバムを発表するに至ります。しかし、どのような経緯でプロ・デビュー出来たのか、詳細は分かりません。
 そのファースト・アルバムである、『Forest Of My Mind』は当時のトレンドが反映されていたのか、サイケデリックな雰囲気が漂い、その後のパリッシュの持ち味となるピアノの音色がまだ特徴づけられていないような作りでした。

 アルバムの中から、ドノヴァンを意識したかのような「Walking In The Forest Of Mind」。


 もう1曲。ビートルズの「You've Got To Hide Your Love Away」を割と原曲に忠実なアレンジで歌っていました。


 1971年、パリッシュは大手であるワーナー・ブラザーズに移籍。デビュー・アルバムは話題にもならなかったようですが、シンガー・ソング・ライターが脚光を浴びていた当時、瑠璃も玻璃も照らせば光るの如く、多少なりとも実績のある彼に即戦力として白羽の矢が立てられたのかもしれません。
 パリッシュには与えられたチャンスを逃すまいとの意気込みがあったのか、前作の過剰なアレンジを払拭し、自身が弾くピアノの音色をフィーチャーした歌心のあるアルバムに仕上げました。それが、このアルバム『Songs』です。

 「自分には寒さをしのぐ織物も外套もないが、君の美しい髪の毛のために詩を書いたんだ」と歌う「A Poem I Wrote For Your Hair」。誠実さが表されたような曲ですが、歌の中に出て来る老人の姿に変装した性格の悪い奴とは自分のことを揶揄しているのでしょうか。


A POEM I WROTE FOR YOUR HAIR
風立ちぬ10月
空高く11月
冬はもうすぐそこに
老人の姿に変装した 
考えの貧弱な奴
言葉も乏しい
そしてまもなくそんな奴が
君のドアをノックしにやって来るんだ

木の葉が木々から投げ落ち
鴨は月に向かって飛んで行く
ワイシャツ姿で腹をすかせた冬には
スプーンで缶を叩いている
奴の服はぼろぼろで
裸足のまま
でも、まもなく奴は成功して
それなりの暮らしをするようになるだろう

俺は君を降る雨から守ってあげられないし
雪からも守ってあげられない
冬の嵐が吹きつける中で
君を暖めてあげることさえ出来ない
君に愛をもたらす毛糸の織物もないし
一緒に羽織れるマントも持ち合わせていない
俺は君への愛を歌うためにやって来ただけさ
君の髪を想って書いた詩だよ

風車が寝返りを打つように回る
秋の岸辺にトウモロコシの毛
冬は小麦畑を歩きながら
手にした籾殻を振りまいている
奴は怒り心頭
そして不格好に痩せている
奴は君の幸せなど願ってくれないよ
奴は性格が悪いのだ

la la la la
la la la la

夏は彼女に最後の歌を作り上げ
奴は谷間にひとりですすり泣いている
奴の頭の回転はだんだんと鈍くなり
指もしびれて感覚を失いつつある
夏が去って行ったら
疑いなく冬がやって来る

俺は君への愛を歌うためにやって来ただけさ
君の髪を想って書いた詩だよ

 この歌はジェイソン・ロバーズ、キャサリン・ロス主演の映画『Fools(邦題:愛のさざなみ)』(1970年制作)の主題歌として採用され、映画の中ではケニー・ロジャース&ファースト・エディションによって歌われていました。


 続いては、少しばかりノスタルジックな香りがするユーモラスな曲調の「Pink limousine」。「高価なものは何ひとつ持っていないが、君のために歌うことは出来る」といった趣旨が歌われています。背景にはお金で人の心は買えないといった物質文明への皮肉が込められているのでしょう。


PINK LIMOUSINE
もし俺が、ピンクのリムジンを持っていたなら
君をドライヴに連れていてあげるよ
毎日5時に迎えに行き
二人で街を乗り回し
窓を降ろして人々の暮らしを眺めてみよう
それから君を俺の家に連れて行くつもりさ
だって君を愛してるから
ああ、そうだよ

もし俺が、南イタリアに
古いカントリーハウスを持っていたなら
君をお茶に誘うために召使いに電話をかけさせるよ
それから二人で南の太陽の光を浴びながら座って
その日一日が終わるまでワインを啜るんだ
そして君に伝えるのさ
「君は俺の唯一の人」
だって君を愛してるから
ああ、そうだよ

もし君のパパがワニの養殖業者で
深い湿地で仕事に精を出していたなら
君を傷つけるようなことは
何ひとつしないつもりさ
だから俺は二人のキャビンに君をさらって行くよ
そうすればあのたちの悪いワニどもは
君に手出し出来ないだろうな

だけど俺は君をドライヴに連れて行けるような
ピンクのリムジンなんて持ってないし
部屋の中に誘えるような素敵な家もない
そしてワニの一件は意味のない作り話
俺が君に捧げし人世は
たんなる夢に過ぎず
俺にあるのは君に歌う歌ばかり
でも、君を愛している
うん、そうさ
ああ、君を愛している
そうさ、君を愛しているんだ

 タイトル通り印象的なチェロの独奏で始まる「Cello」。この曲も人間には愛が一番大切であると歌っていました。ピアノの音色に寄り添うようなチェロの響きをバックに、静かに訴えかけるように歌うパリッシュ。繊細な彼の魅力が存分に引き出されているようです。


Cello
台所の火を消してしまおう
古代の冬の風を吹かそう
奔流は流れのままを行く
その川が絶え間なく流れる様を見るんだ

鴨を飛びたがらなくさせて
空からきりもみ状態で転げ落としてしまおう
寒々とした指先に俺たちの扉を探らせろ
開いているから入ってこいよ

世界中が石になってしまうかもしれない
太陽は海に沈んでしまうかもしれない
だが、この世界には俺にとって唯一の愛が
まだ残されているはずだ

もしチェロに弦が張っていなかったら
いつも音が出ないだろう
もし人間に愛がなかったなら
その人はきっと毎日を過ごすことが出来ないだろう

 人を想う気持ちをさりげなく歌い上げた『Songs』。必ずしも芳しいセールスを記録するには至りませんでしたが、このアルバムからはヘレン・レディが、「Time」(1970年リリースの『Helen Reddy』収録)を、ブリティッシュ・フォークのロビン・ドランスフィールドが、「I Once Had A Dog」(1980年の『Tidewave』収録)を取り上げ、パリッシュの名をシーンに刻むには十分な結果を得たのでしょう。さらにパリッシュ本人の録音は確認されていませんが、彼のペンによる「One A.M.」を、ブルーグラス/カントリーロックのザ・ディラーズが1972年発表のアルバム、『Roots and Branches』でレコーディングしていました。
 
 その後、ポール・パリッシュは1977年にABCからアルバム、『Song for a Young Girl』 をリリース。1987年に Lorenzo Toppano とデュオを組み、『The Royal Falcon』、翌88年には『Shores of This Great Ocean』と2枚のアルバムを発表しました。しかし、近年はまったく音沙汰がありません。地方のライヴ・ハウスで地道に活動していれば良いのですが。彼の近況をご存知の方がおられましたらご教示願えると幸いです。

 3作目のアルバム、『Song For a Young Girl』より、「Ballerina」。


 アルバム『The Royal Falcon』で、パリッシュは「Cello」を再録していました。

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。