好きな音楽のことについて語りたいと思います。

Neil Young - Only Love Can Break Your Heart

 8月にリリースされたリッキー・リー・ジョーンズの新譜、『The Devil You Know』はカヴァー集です。彼女は既に何枚かのカヴァー・アルバムを出しているのですが、今作も興味深い選曲がなされていました。その中でひときわ目を引いたのはニール・ヤング作の「Only Love Can Break Your Heart」。彼が1970年8月に発表したアルバム『After The Gold Rush』に収録されていた曲です。今回はリッキー・リー・ジョーンズといきたいところですが、ニール・ヤングのオリジナル・ヴァージョンをお題とさせていただくことにしました。

After the Gold RushAfter the Gold Rush
(2009/07/20)
Neil Young

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1. Tell Me Why
2. After the Gold Rush
3. Only Love Can Break Your Heart
4. Southern Man
5. Till the Morning Comes
6. Oh, Lonesome Me
7. Don't Let It Bring You Down
8. Birds
9. When You Dance You Can Really Love
10. I Believe in You
11. Cripple Creek Ferry



ONLY LOVE CAN BREAK YOUR HEART
まだ若くて自分の力で何とかしていた時
ひとりぼっちでいるってどんな気分だった?
俺はいつも自分がやってたゲームのことを考えていたよ
自分の人生で最高の瞬間にしようと一生懸命に

でもねぇ、愛って奴だけは人の心を引き裂けるんだよな
最初からまっ正直に事にあたらなきゃね
そうさ、愛って奴だけは人の心を引き裂けるんだよ
自分の世界が粉々になるとしたらどうなる?

俺には一度も会ったことのない友がいる
奴は俺の夢の中に頭を隠してるのさ
誰か奴を呼び出してくれよ
そして奴がちゃんと出て来れるかどうか確かめてくれ
奴は一皮むけるようにならなくちゃね

でもねぇ、愛って奴だけは人の心を引き裂けるんだよな
最初からまっ正直に事にあたらなきゃね
そうさ、愛って奴だけは人の心を引き裂けるんだよ
自分の世界が粉々になるとしたらどうなる?

俺には一度も会ったことのない友がいる
奴は俺の夢の中に頭を隠してるのさ

そうさ、人の心を引き裂けるのは愛だけなんだ

 この曲はグラハム・ナッシュとジョニ・ミッチェルの関係が終わったことを描いたとされています。すなわち夢の中の友とはナッシュを指し、失恋した彼に現実を受け入れよと諭しながら慰めていたと解釈できますが、本来はニール・ヤング自身の経験に基づいて創作されたとも言えるでしょう。周囲を顧みることなく自信過剰のままに誰かを愛しても苦しみや痛みが待ち構えていると説き、億劫なもうひとりの自分に対しては自立心を促すかのようなメッセージが受け取れます。少しセンチメンンタルなメロディーに乗せ、こんな風に説教がましくなく人生や愛をシンプルに語れるあたりがニール・ヤングの魅力であり、リスナーの心をとらえて離さない所以なのかもしれません。

 カーラ・ボノフでお馴染みのナンバー、「Walking The Room」の作者であるジャッキー・デシャノンのカヴァー・ヴァージョンです。1972年のアルバム、『Jackie』に収録されていました。
 ジャッキー・デシャノンはフォーク・ロックの元祖と言える存在なのですが、日本ではその名があまり知られておりません。決して美声でなく少し癖のある歌い方が美貌とミス・マッチしている印象さえ窺えますが、優れたソング・ライターでもあり、キム・カーンズに取り上げられた「Bette Davis Eyes」は1981年に全米で9週連続1位の記録的な大ヒットを打ち立てました。


 1995年にデビューしたアイルランド出身の兄妹からなるザ・コアーズのヴァージョン。2002年の『Live in Dublin』 に収録されています。 伝統的なケルト音楽と現代的なポップスが融合されたサウンドには定評があり、2000年のアルバム『In Blue』、シングル・カットされた「Breathless」は全英チャート1位を獲得しました。2006年より活動が休止されている状況が残念です。


 リッキー・リー・ジョーンズのヴァージョン。けだるい歌声が独特の雰囲気を醸し出しています。



Devil You KnowDevil You Know
(2012/09/13)
Rickie Lee Jones

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 画像が悪いのですが、ニール・ヤングとポール・マッカートニーが共演したライヴ映像がありました。宜しければご覧ください。


 この他にもロンドン出身のグループ、セント・エティエンヌが1991年にダンス・ミュージックにアレンジされたヴァージョン(1991年リリース)を発表し、『After The Gold Rush』のレコーディングに参加し、ニール・ヤングのツアーにも同行した経験のある二ルス・ロフグレン(ブルース・スプリングスティーンの片腕としても活躍)も2008年のソロ・アルバム『The Loner - Nils Sings Neil 』で取り上げるなど多数のカヴァー・ヴァージョンが存在しています。

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Jackson Browne & Timothy B. Schmit - Let It Be Me

 申し訳ございませんが、今回もジャクソン・ブラウンです。但し、彼のオリジナル・アルバムから楽曲を取り上げるのではなく、ティモシー・B・シュミットとデュエットした「Let It Be Me」をお題としました。

Bye Bye, Love: Original Soundtrack AlbumBye Bye, Love: Original Soundtrack Album
(1995/03/14)
J.A.C. Redford、 他

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1. Let It Be Me
2. I Will
3. Don't Worry Baby
4. Bye Bye Love
5. Stones In The Road
6. Our House
7. So Sad (To Watch Good Love Go Bad)
8. This Little Girl Of Mine
9. Falling In Love Again
10. The Main Thing (Original Score Ballad)



LET IT BE ME
君と出逢えた日を心から感謝する
君の傍にいたい
お願いだから
君の傍にいさせておくれ

この天国のような幸せな場所から俺を連れ出さないでくれ
君が誰かにすがりつかなければならないのなら
今、そして永遠に
君の傍にいさせておくれ

二人が会う時にはいつも愛があり
俺はかけがえのない愛を見つける
君の素敵な愛なくして
人生なんてどんなものなんだろうか

だから俺をひとりにしないでくれ
俺だけを愛していると言ってくれ
そして君はいつも
俺を傍にいさせてくれるだろうことも

 マシュー・モディーン、ランディ・クエイド、ポール・ライザーらが主演するアメリカ映画『BYE BYE LOVE』(1995年公開)の挿入歌として、ジャクソン・ブラウンとティモシー・B ・シュミットのデュエットする「Let It Be Me」が収録されるとの話を耳にした当時、リリースをとても待ち遠しく思ったのを憶えています。多感な時代よりウエスト・コーストのロックに大きな影響を受けた者として、ジャクソンとティモシーの共演は垂涎の的。もっと早く、何らかの曲で二人のデュエットが実現していても良かったと言えるでしょう。

 映画は高校時代からの親友でバツイチという共通点もある3人の男たちの友情と、彼らを取り巻く様々な人間模様が描かれたコメディですが、キャストが地味だったせいか日本未公開に終わりました。ビデオ発売はあるもののレンタル店で見かけたこともありません。マシュー・モディーンは『The Hotel New Hampshire』(1984)、『Full Metal Jacket』(1987)などで好演、ランディ・クエイドはデニス・クエイドの兄で、『Last Picture Show』(1971)、『The Last Detail』(1973)、ライ・クーダーが音楽を担当した『The Long Riders』(1980)などに出演してキャリア豊富、ポール・ライザーは『Diner』(1982)、エディ・マーフィー扮する刑事の相棒役を演じた『Beverly Hills Cop』(1984)、『Aliens 2』(1986)、『Beverly Hills Cop2』(1987)などでコメディからシリアスな役までをもこなしていますが、3人ともいかにも名脇役といったイメージが強く、淡白な印象が否めません。そのあたりが災いして日本での公開が見送られたのかもしれません。

 この「Let It Be Me」はシャンソンのジルベール・ベコーがピエール・デラノートの共作で1955年に発表した「Je T'appartier」がオリジナルで、ソング・ライターのマン・カーティスが英詞をつけ、1957年にジル・コーリーが最初にレコーディング。1960年にはエヴァリー・ブラザーズが歌って全米7位まで上昇するヒットになりました。

 ジルベール・ベコーのオリジナル・ヴァージョンです。


 英詞でのファースト・リリースであるジル・コーリーのヴァージョン。


 エヴァーリー・ブラザーズのヴァージョン。


 この歌は数多くのアーティストに愛され、カヴァー・ヴァージョンは枚挙に暇がありません。YouTubeの映像から幾つかアップしますので、興味の持たれたものを聴いていただければ幸いです。

 1964年にリリースされたアンディ・ウィリアムスのアルバム『Wonderful World Of Andy Williams』に収録されていたヴァージョンのデュエットの相手は、当時妻だったクロディーヌ・ロンジェとのこと。また、クロディーヌ自信もアルバム『Colours』(1968)で録音しています。


 おしどり夫婦だった頃のソニー&シェールも1965年の『Look At Once』にて取り上げていました。今回はサム・クックの名曲「Bring It On Home」とメドレーで歌う二人のライヴ・パフォーマンスをお楽しみください。


 ボビー・ジェントリー&グレン・キャンベルの顔合わせは1968年のアルバム『Bobbie Gentry & Glen Campbell』に収録。ボビー・ジェントリー作の「Mornin' Glory」と続けてお聴きください。


 1965年にリリースされた「Down Town」のヒットで有名なイギリスの女性シンガー、ペトゥラ・クラークのヴァージョンは 『A Portrait of Petula』(1969)に収録。彼女は子役出身で、1969年公開の映画『Goodbye, Mr. Chips』において、ピーター・オトゥール扮する堅物のチップス先生と結ばれる美人女優のキャサリン役の好演も懐かしいところです。


 彼の人への想いを込めて静かに歌うかのようなロバータ・フラックのヴァージョンは、1970年のアルバム『Chapter Two』に収録。


 映画化もされたSFドラマ『Star Trek』のミスター・スポック役が有名な俳優レナード・ニモイも1970年の『The New World Of Leonard Nimoy』で歌っています。
 

 ボブ・ディランはお馴染みのしわがれた声でなく、1969年にリリースされたアルバム『Nashville Skyline』で披露した美声で歌い上げています。1970年の『Self Portrait』に収録。


 オーリアンズのヴァージョンは1982年の『One Of A Kind』に収録。


 フリオ・イグレシアスが1994年のアルバム『Crazy』にてアート・ガーファンクルをデュエットの相手に迎え、持ち前の甘く情熱的なヴォーカルでリスナーの心を魅了します。


 他にもスキーター・ディヴィス&ボビー・ベア(1965年の『Tunes For Two』に収録)、ブレンダ・リー(1965年の『Brenda Lee Sings Top Teen Hits』)、ナンシー・シナトラ(『How Does That Grab You?』)サム&デイヴ(1967年の『Soul Man』)、トム・ジョーンズ(1969年の『This Is Tom Jones』)、ジミー・ウェッブ(1970年の『Words And Music』)、エルヴィス・プレスリー(1970年の『On Stage - February, 1970』)、ナンシー・ウィルソン(1971年の『Kaleidoscope』)、ポインター・シスターズ(1974年の『Live at The Opera House 』)、ウィリー・ネルソン(1982年の『Always On My Mind』)、ボビー・コールドウェル(1995年の『Soul Survivor』)、アン・マレー&ヴィンス・ギル(2002年の『Country Croonin'』)、ロッド・ステュワート&ジェニファー・ハドソン(2009年の『Soulhook』、ニール・ダイアモンド(2010年の『Dreams』)など数々の秀逸なカヴァー・ヴァージョンレコーディングされています。