好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Leah Kunkel - LEAH KUNKEL

 梅雨明けしたので、抜けるような青空、さんさんと輝く太陽、爽やかな風がよく似合う音楽をとあれこれ思いを巡らせたところ、今回はリア・カンケルに登場していただくことにしました。前回のスティーヴン・ビショップと関わりの深い女性アーティストです。

Leah Kunkel / I Run With TroubleLeah Kunkel / I Run With Trouble
(2006/08/29)
Leah Kunkel

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1. Step Right Up
2. Under The Jamaican Moon
3. Souvenir Of The Circus
4. If I Could Build My Whole World Around You
5. Down The Backstairs Of My Life
6. Losing In Love
7. Step Out
8. Don't Leave These Goodbyes
9. I've Got To Get A Message To You
10. Fool At Heart
11. Let's Begin
12. The Only Man On Earth
13. Temptation
14. Hard Feelings
15. Never Gonna Lose My Dream Of Your Mind
16. Someone On Your Mind
17. Dreaming As One
18. Heart Of Stone
19. Fast Asleep
20. I Run With Trouble

 セカンド・アルバム『I Run With Trouble』との2in1です。

 拙ブログではリア・カンケルについて幾度も言及してきました。彼女はママ・キャスことキャス・エリオットの実妹であり、ラス・カンケルの夫人だった人です。1948年にメリーランド州のボルティモア(ワシントンD.C.という説もあり)で誕生したリア。1969年のにコットン・キャンディの名でダンヒル・レコードから「Billy」という曲でデビューするも不発に終わりました。


 デビューと前後してリアはラス・カンケルと結婚。以後はバック・アップ・シンガーに転身します。ジャクソン・ブラウンの『Jackson Browne (Saturate Before Using)』(1972年発表)収録の「From Silver Lake」におけるカウンター・ヴォーカル、スティーヴン・ビショップの『Careless』(1976年)、『Bish』(1978年)、ジェイムズ・テイラーの『JT』(1977年)、アート・ガーファンクルの『Fate For Breakfast』(1979年)などのアルバムに参加して実績を積んで行きました。また、キャス・エリオットはリアの書いた楽曲を積極的に自らのアルバムに収録しており、実の姉のサポートも心強いものだったでしょう。
 こうして着々と舞台は整えられ、ラス・カンケルのプロデュースのもとで1979年にリリースされたリア・カンケルのソロ・アルバムが、今回紹介する『Leah Kunkel』です。

 アルバムのオープニングを飾る軽快でメロディアスな「Step Right Up」。ピーター・マッキャンの作品です。当時のレーベル・メイトだったヴァレリー・カーターを彷彿させる面がありますが、後にコヨーテ・シスターズを結成するレニー(ルネィ)・アーマンドと共通する雰囲気も窺えました。ラス・カンケル(d)、リーランド・スクラー(b)、ジム・ホーン(flutes)らに加えてスティーヴ・ルカサー(TOTO)がギターで参加。なお、作者であるピーター・マッキャンのヴァージョンは1979年リリースの『One On One』に収録されています。


 こちらがピーター・マッキャンのヴァージョンです、


 スティーヴン・ビショップとの共作である「Under The Jamaican Moon」。リア・カンケルが歌詞を担当したとされています。以前に取り上げたニック・デカロのヴァージョンは叙情をそそるムーディな作りになっていましたが、少々ディスコ・サウンドを意識したかのようなリア・カンケルのヴァージョンはリズムが強調されていました。また、リアのさりげなく歌う様子からはクールで妖艶な大人の女性のイメージが伝わってきます。


UNDER THE JAMAICAN MOON
あなたは私とともに夏の夜を楽しんだ
私は雰囲気に酔いしれていた
それでいいのかよく分からなかった
ジャマイカの月の下で
世界中がおぼろげな光に包まれる
ねぇ、さぁ今なら馬鹿げたことも大丈夫

あなたが町のイースト・サイドに
戻ったと聞いたわ
二人が初めて出会った場所ね
でもあなたの心はここにある
あなたが求める愛も
ジャマイカの月の下で
世界中がおぼろげな光に包まれる
ねぇ、さぁ今なら馬鹿げたことも大丈夫

何度も何度も
あなたは鎖に繋がれた自分に気がつく
町は憂鬱と苦痛に苛まれ
永遠に変わることがない

狭苦しいところで
どのラジオも騒々しく鳴り響き
汚れたつなぎを着た汗だくの男たちが
通りを埋める
ジャマイカの月の下で
世界中がおぼろげな光に包まれる
ねぇ、さぁ今なら馬鹿げたことも大丈夫


 こちらはスティーヴン・ビショップのヴァージョン。2007年リリースの『Romance In Rio』に収録。


 ジャック・テンプチン率いるファンキー・キングスのメンバだったジュールズ・シアーのペンによる「Don't Leave These Goodbyes」。シンプルな演奏をバックに大人の恋が語りかけるように歌われています。地味ながら心に残る響きを醸し出しているキーボードはクレイグ・ダーギ。


DON'T LEAVE THESE GOODBYES
こんな悲しい時には
さりげない言葉も慰めにならない
どんなに追いすがっても
あなたの気持ちを変えることは出来ない

時々私がゆっくり話すのは
あなたに私を知ってもらいたいから
誤解しないでね
時間が長いか短いか
それはあなた次第
だけどひとつだけお願いがあるの
ふたりが愛を育んだ後で
嘘をついて
幾多の別れをあなたの人生の中に置き去りにしないでね

私が悪いとあなたは言う
でも、結果は同じ
誰かの心が傷つくものよ
愛が危うくなる時
私たちは良いところだけを見てしまい
他のところは見ないふりする
ふたりが愛を育んだ後で
嘘をついて
幾多の別れをあなたの人生の中に置き去りにしないでね

私たちは笑いながら
それそれがひとりきりでひと時を味わうの
私たちは笑い合う
そうすればあなたが行ってしまうことも殆ど忘れられる

でも、私たちはこの親切な友だちや愚かな人々が
溢れる中を切り抜けていくのよ
そうして安心な場所へ近づくの
あなたが必要とする力はあなたの顔に表れている
その力が案内するままについていってごらんなさい
ふたりが愛を育んだ後で
嘘をついて
幾多の別れをあなたの人生の中に置き去りにしないでね

 アート・ガーファンクルとのデュエットが聴ける音源。1978年にリアが、アートのバック・アップ・シンガーとして彼のツアーに同行していた頃にの録音のようです。


 アルバムの締めくくりはスティーヴン・ビショップのナンバーです。ビッシュのヴァージョンは『Bish』に収録。


 1970年代後半は多数の女性シンガーがロサンゼルスのロック・サーキットを賑わせた時代でした。リンダ・ロンシュタットが小悪魔、カーラ・ボノフが優美、ヴァレリー・カーターが繊細ならば、リア・カンケルの成熟した大人の女性の魅力が溢れているといったところでしょうか。
 余談ですが、リア・カンケルと別れたラス・カンケルはジェイムズ・テイラーと離婚したカーリー・サイモンと再婚。ところが長続きせずに再び別離。その後、アンドリュー・ゴールドと破局したニコレット・ラーソンと再々婚しますが、ニコレットが病に伏して死別という運命を辿っています。
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Stephen Bishop - BISH

 今回はビッシュことスティーヴン・ビショップに登場していただきます。梅雨空の続く日々は気分だけでも晴れ晴れとしたいもの。ビッシュのうららかな歌声とほんわかとした音の響きはこの時期によく似合います。

BISH-水色の手帖BISH-水色の手帖
(2012/06/27)
スティーヴン・ビショップ

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1. If I Only Had a Brain
2. Losing Myself in You
3. Looking for the Right One
4. Everybody Needs Love
5. Guitar Interlude
6. Fool at Heart
7. What Love Can Do
8. Prelude: Vagabond from Heaven
9. Bish's Hideaway
10. Only the Heart Within You
11. Recognized
12. I've Never Known a Nite Like This
13. When I Was in Love

 今回は彼が1978年に発表したアルバム『Bish』から何曲か取り上げることにしました。1曲目はアコースティック・ギターのつま弾きで始まる「Losing Myself In You」。ちょっぴり「On And On」を彷彿させる軽やかな曲調ですが、内容は傷心の歌です。ビッシュは鳴かず飛ばずの下積みや何度かの挫折を経験したようなので、卑屈な気持ちになることもあったのでしょう。


LOSING MYSELF IN YOU
誰もが一番高い星をつかもうとしている
誰だろうとどんな人だろうと関係なく
耳にする歌は子守唄ばかり

犬が吠えている
シーツが冷たい
通りに立っているあの男でさえ
愛がどんな男の心でも
右へ左へと傾かせることを
知っている

俺が成功する手だてがない
俺には勝ち目がない
悲しい別れの言葉が殆ど聞けそうだ
さて、俺は何をしたらいいのか
君のおかげで自分を見失ってるんだ

南フランスには宮殿があり
そこでは淋しい人々だけがダンスを学ぶ
君に半分でもチャンスがあるのなら
楽しそうにしている彼らに構わずに立ち去れ

思い出がいつにないことを経験させる
街角のバーで天国の気分
音楽が夢見心地にさせる

君のように出来る人は
他に誰もいなかった
君はいとも簡単に出来てしまうんだね

俺の思い通りになるなんてあり得ない
俺には出来そうもない
悲しい別れの言葉が殆ど聞こえてきそうだ
さて、俺は何をしたらいいんだ
俺は自分を見失っているんだ

絶対にうまくいきっこない
絶対に勝ち目はない
絶対に

 続いて、アート・ガーファンクルに取り上げられたことでビッシュの名が世に知れるきっかけとなった「Looking For The Right One」。今回はライヴ映像をご覧ください。


LOOKING FOR THE RIGHT ONE
俺はずっとついてなかった
恋の駆け引きには向いてないんだ
彼女たちの顔は憶えているけれど
名前は忘れちまった

相応しい人を見つけたと思ったのだけれど
彼女は俺のことなんか眼中にない
だから気持ちを束ねて
始めるのさ

相応しい人を見つけよう
でもそんな人がいつか現れるのだろうか
俺にぴったりの女性を探しているんだが
いつになったらそんな人が訪れるのだろうか

手に入れられないものを
追いかけても無駄だ
そんな風に人は言うけど
俺の心は「NO」と言う
この淋しき都会のどこかに
俺に相応しい女性がいるはずなんだ
でもその人を探しながら
2回分の人生を使ってまで待たなければならないのか

愛は移り気なものだと人は言う
そんなことは既に知ったこと
そうさ、分かりきったことなんだ

 アート・ガーファンクルのヴァージョンは1975年リリースの『Breakaway』に収録。


 全米チャートの32位まで上昇した「Everybody Needs Love」。イントロが、テレビ・ドラマ『太陽にほえろ!』を連想させます。1970年代はこうしたギターのカッティングが流行だったのでしょうか。


 ファースト・アルバム『Careless』発表後のビッシュは映画の世界に食指を動かし、ジョン・ベルーシ主演、ジョン・ランディス監督作品『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラス主演『The China Syndrome』(1979年公開)、ダスティン・ホフマン主演『Tootsie』(1982年公開)、ミハイル・バリシ二コフ主演『White Nights』(1986年公開)などのサウンド・トラック盤に楽曲を提供。彼自身も俳優としてジョン・ランディス監督作品『The Kentucky Fried Movie』(1977年公開)、『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、『The Blues Brothers』(1980年公開)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『Twilight Zone』(1983年公開)などの映画にも出演しています。
 セカンド・アルバムである『Bish』のジャケットも映画の一場面、あるいは絵画を連想させる趣向が凝らされていますが、中身もミュージカル『The Wonderful Wizard of Oz』(1939年公開)の中で案山子が歌った「If I Only Had A Brain」のインスト・ヴァージョンで幕が開き、アコースティック・ギターによるインタールード(間奏曲)や未カル・タッチの小品、「Recognized」を挟んで、最後はストリングスが印象的なバラード曲、「When I Was In Love」で締めくくるなど多分に映画を意識した構成を心掛けていたことが明白です。YouTubeにはこのアルバムからの楽曲の音源や映像が少なかったためにぶつ切りの紹介になってしまいましたが、一枚を通して聴いてみると、バラードからアップ・テンポなポップ・チューンが混在するドラマティックな展開の中にビッシュの持つ魅力が幾重にも紡がれている様子が受け取れることでしょう。
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