好きな音楽のことについて語りたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Linda Ronstadt - Talk To Me Of Mendocino

 中たるみの様相を呈しているかもしれませんが、リンダ・ロンシュタットの『Get Closer』を続けます。今回はケイト・マッガリグル作の「Talk To Me Of Mendocino」とロッド・テイラー作の「Mr. Radio」の2曲。シンガー・ソング・ライターの作品を取り上げることにしました。

Get CloserGet Closer
(1988/02/12)
Linda Ronstadt

商品詳細を見る

1. Get Closer
2. Moon Is a Harsh Mistress
3. I Knew You When
4. Easy for You to Say
5. People Gonna Talk
6. Talk to Me of Mendocino
7. I Think It's Gonna Work Out Fine
8. Mr. Radio
9. Lies
10. Tell Him
11. Sometimes You Just Can't Win
12. My Blue Tears

 まず、ケイト&アンナ・マッガリグルのケイト作の「Talk To Me Of Mendocino」。思い出が詰まったニューヨークを後にして、故郷のメンドシーノへ向かうまでの思いが綴られた歌です。なお、メンドシーノとはカリフォルニア州北部、サンフランシスコの少し北に所在し、北太平洋に面した郡。ワインの名産地としても有名。リンダは彼女たちの作品がお好みのようで、他にもケイト作の「Heart Like A Wheel」(74年の『Heart Like A WHeel』に収録)、アンナ作の「You Tell Me That I'm Falling Down」(75年の『Prisoner In Disguise』に収録)、「Heartbeats Accelerating」(93年の『Winter Light』に収録)などをレコーディングしています。


TALK TO ME OF MENDCINO
私は親愛なるニューヨーク州に別れを告げる
故郷から遠く離れた第二の故郷
私はニューヨーク州で大人の自覚を得た
私が最初に彷徨い始めた頃
ニューヨーク州では木々が繁り
秋になると黄金のように輝く
私の故郷では憂鬱な気分に陥ることはなかったけれど
ニューヨーク州ではそんなものに捕われてしまった

私にメンドシーノの話をして
瞳を閉じると海の音が聞こえる
私は待たなければならないの?
私は追いかけて行かなければならないの?
一緒に来てくれと言ってください

インディアナ州のサウスベンドに到達し
西部の平野を全速力で突っ走り
ロッキー山脈を超えて
カリフォルニアに入る
どこまでも岩以外のものがないところ
そして海の上に太陽を昇らせて
私は浜辺からそのありさまを見るだろう
セコイアの上に太陽を昇らせて
もうそれ以上昇れないところまで
私も一緒に昇って行くだろう

私にメンドシーノの話をして
瞳を閉じると海の音が聞こえる
私は待たなければならないの?
私は追いかけて行かなければならないの?
一緒に来てくれと言ってください

 セコイアとはアメリカ産の杉(Redwood)のこと。

 ケイト&アンナ・マッガリグルのヴァージョンは1976年の『Kate & Anna McGarrigle』に収録。


 こちらはリンダとマッガリグル姉妹の共演映像です。


 続いてはロッド・テイラー作の『Mr. Radio』。彼は1973年9月にアルバム『Rod Taylor』にて、アサイラム・レコ-ドからデビューしたノース・キャロイナ出身のシンガー・ソング・ライターで、「放浪」や「神の力」をテーマに掲げたシンプルな作品が特徴的。初めてラジオを手にした時の感動が淡々と描かれたこの「Mr.Radio」にも、バイブル・ベルト(聖書地帯)という言葉を使っていました。
 アリゾナ出身のリンダがどれほど信仰の篤い人なのかよく分かりません。ロッド・テイラーが同じアサイラムのレーベル・メイトだった経緯から選曲したものかと思われます。


MR. RADIO
ああ、なんていいお天気なんでしょう
ラジオが家に運ばれた時のこと
トラックから降ろされ家の中へ
そして犬たちははしゃぎ、私たち2人だけにしてくれなかった
ラジオさん、
あなたは私たちの仲間になってくれるために来てくれたのね
部屋の中でラジオに耳を傾ける
長い長い夜
金色に灯るラジオの光の中で
バイブル・ベルト(聖書地帯)の中心部の奥深く
ラジオさん、
あなたは私たちの仲間になってくれるために来てくれたのね

毎日の畑仕事はつらいもの
高い木のてっぺんにとまるカラスの群れ
一日中、家を空けようものなら
飼っているニワトリがキツネの餌食にるかもしれない
ラジオさん、何か良い手だてはないかしら? ああ

ラジオさんは私を川沿いの町に連れて行ってくれる
人々が夜明けまで踊り明かす町
あの人たちったらぴったり寄り添って踊るの
そんな踊り方を続けるなんて、殆ど罪なことね
ラジオさん、あなたがこんな気分にさせてくれるなんて
思ってもみなかった

時の中で疲れた手の
ありのままの感触が続く
夜のとばりが落ち
見知らぬ人が夢を売る声が聞こえた
私が一度も手にしたことがなかった夢を
ラジオさん、
あなたは私たちの仲間になってくれるために来てくれたのね

Bible belt
アメリカ中西部から南部を中心としたキリスト教篤信地帯。福音派プロテスタントを始めとする聖書を字義通りに信じる正当派キリスト教徒が優勢な地帯であり、サウスカロライナ、ジュージア、アラバマ、テキサス、フロリダなど旧アメリカ南部連邦の都市とも重なる。
 
 なお、ロッド・テイラーのヴァージョンは1974年9月に「Radio」のタイトルでシングル盤としてリリースされ、1976年のアルバム『New Nation』では「Mr. Radio」で再録されていました。
スポンサーサイト

Linda Ronstadt - I Think It's Gonna Work Out Fine

 ザ・バンドのリヴォン・ヘルムさんが4月19日に逝去されました。故人への感謝とともに惜別の思いを述べたいところですが、いまだ動揺が収まりません。申し訳ございませんが、今回もリンダ・ロンシュタットの『Get Closer』を続けさせていただきます。取り上げる曲は「People Gonna Talk」、そしてジェイムズ・テイラー参加の「I Think It's Gonna Work Out Fine」の2曲。渋いR&Bのナンバーをご堪能ください。

Get CloserGet Closer
(1988/02/12)
Linda Ronstadt

商品詳細を見る

1. Get Closer
2. Moon Is a Harsh Mistress
3. I Knew You When
4. Easy for You to Say
5. People Gonna Talk
6. Talk to Me of Mendocino
7. I Think It's Gonna Work Out Fine
8. Mr. Radio
9. Lies
10. Tell Him
11. Sometimes You Just Can't Win
12. My Blue Tears

 活発でおきゃんなリンダのパーソナルが発揮された「People Gonna Talk」。人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、噂が好きな人間の心理や傾向がユーモラスに描かれた歌です。


PEOPLE GONNA TALK
みんながあんたのやってることを噂したがってるわ
みんな噂してんのよ
それが嘘か誠か
夜も昼も、昼も夜もあんたのことばかり
みんなが噂してんのよ
それが正しいのか間違ってるのかってね

とにかく
みんなはあんたのことを噂にしたがってる
たとえあんたが何と言おうとも
みんなはあんたのことを噂したいのよ
夜も昼も、昼も夜もあんたのことばかり
みんなが噂してんのよ
それが正しいのか間違ってるのかってね

あの人たちといったら、ただお喋りしたいだけのようね
そんなことはしないほうが良いって分かってても
あんたが背中を向けたとたんに
満足するまで話し続けるの
あんたを泣かすまで話し続けるのよ
あっちでもこっちでも、今この場で直ちに
みんなあんたのことを噂したがってる
それが世の人の常ってもんね

みんなあんたのことを噂したがってる
それが世の人の常ってもんね
みんなあんたのことを噂したがってる
世間の人ってそんなもんよ

 オリジナルはリー・ドーシー。1961年リリースのシングル「Do-Re-Me」のB面に収録されていました。力強いリンダのヴァージョンと違い、とぼけた味わいがあります。


 アルバムからの2曲目はジェイムズ・テイラーがデュエットの相手として参加した「I Think It's Gonna Work Out Fine」です。遊び人だった男がそろそろ身を固めようと一人の女性を選んだのですが、彼女は半信半疑で皮肉を言われる始末。でも、誠意が通じたのか、永遠の伴侶となることに同意してもらえたようです。


I THINK IT'S GONNA WORK OUT FINE
ダーリン、俺は牧師さんに会いに行ってたんだ
ダーリン、俺は結婚の準備を始めたんだぜ
おまえの唇が俺の魂に火をつけた
おまえと一緒になることが俺の唯一の望みさ
ああ、ダーリン、きっとうまくいくだろう

ダーリン、あなたのほうが先に私の傍に近づいて来たっけね
ダーリン、あなたは二人の関係がどうなるか考えてたのよね
あなたの愛が私が捧げている愛の半分でも真実なら
ダーリン、きっとうまくいくわ

きっとうまくいくと思う
きっとうまくいくよね
きっとうまくいくと思う
ダーリン、おまえが俺のものだなんて本当に嬉しいぜ

憶えてるかしら、以前あなたは伊達男と呼ばれていたってことを
ずっと昔、俺がキラーだった頃のことだな、ベイビー
俺はみんなに愛される男だったんだ
数多くの女たちが俺の気付け薬だったものさ
でも今は、可愛いベイビー、おまえだけが必要なんだ
ああ、ダーリン、きっとうまくいくだろう
彼はとても 俺はとても 私たちとても嬉しい
憶えてるよな、みんなが俺を伊達男って呼んでたことを
ずっと昔、あなたがキラーだった頃ね
そして、みんなに愛される男だった
数多くの女たちが俺の気付け薬だったものさ
でも今は、可愛いベイビー、おまえだけが必要なんだ 

きっとうまくいくと思う
きっとうまくいくよね
きっとうまくいくと思う
ダーリン、おまえが俺のものだなんて本当に嬉しいぜ

そう、きっとうまくいくって考えよう
そう、きっとうまくいくって考えるのよ
うまくいくって考えなきゃ
きっとうまくいく
そう、分かってるのさ、うまくいってね

 ファースト・リリースは1961年のアイク&ティナ・ターナーのシングル盤。ティナ・ターナーは1993年のソロ・アルバム『What's Love Got To So With It』で再録しています。


 これは1982年、ニューヨークのセントラル・パークにおけるライヴ・パフォーマンスのようです。観客が撮影した映像なので画質・音質はさほど良くないことを差し引いても少々ラフな印象を受けました。まさか、そっくりさんによるものではないでしょうね。

Linda Ronstadt - Easy For You To Say

 今回もリンダ・ロンシュタットの『Get Closer』を続けます。取り上げる曲は「Moon Is a Harsh Mistress」と「Easy for You to Say」。どちらもリンダのお気に入りのシンガー・ソング・ライターのひとりであるジミー・ウェッブが書いた作品です。

Get CloserGet Closer
(1988/02/12)
Linda Ronstadt

商品詳細を見る

1. Get Closer
2. Moon Is a Harsh Mistress
3. I Knew You When
4. Easy for You to Say
5. People Gonna Talk
6. Talk to Me of Mendocino
7. I Think It's Gonna Work Out Fine
8. Mr. Radio
9. Lies
10. Tell Him
11. Sometimes You Just Can't Win
12. My Blue Tears

 リンダの歌唱はしおらしく囁くようであり、情感を込めて迫るようでもあり、とても切なく心の琴線に響きます。一見、第三者からの忠告のような体裁を取っていますが、無慈悲な月の女王がリンダ自身の姿と重なってしまいました。


THE MOON IS A HARSH MISTRESS
銀の翼で空を横切る彼女を見てごらん
手を伸ばせば届きそうな距離にいるのだけれど
近づくなら気をつけて
彼女は黄金のように温かく見えるけれど
月は無慈悲な夜の女王
月はとても冷たくあしらう

かつて太陽がぎらぎらと輝いた
ああ、その様子はなんて素晴らしかったことか
月が、幻の薔薇が
山々や松林の間を抜けて夜空に昇り
そして辺りは暗闇に包まれた
月は無慈悲な夜の女王
月はとても冷たくあしらう

私は彼女の眼中になかった
私は彼女の心からも締め出された
私はうつぶせに倒れた そう、倒れたのだ
私はつまずき、自分の星を見失った
月は無慈悲な夜の女王
空は石で出来ている
月は無慈悲な夜の女王
彼女を自分だけのものにするのは難しい

 この曲はロバート・A・ハインライン作のSF小説『The Moon Is A Harsh Mistress/月は無慈悲な夜の女王』(1966年発行)の題名を借用して創作されたのかもしれません。小説の内容は流刑地となった月が年月が経過して植民地となり、行政府が置かれて統治されていたものの、やがて革命が起こって地球との武力衝突に発展するといったもの。歌の内容とはまったく関連がありません。

 リンダとジミー・ウェッブの共演によるライヴ映像です。


 ジミー・ウェッブのヴァージョンは1977年発表の『El Mirage』に収録。今回はライヴ映像で彼のパフォーマンスをご覧ください。


 この曲のカヴァー・ヴァージョンはジョー・コッカー(1974年の『I Can Stand A Little Rain』)、グレン・キャンベル(1974年の『Reunion: The Songs of Jimmy Webb』)、ジュディ・コリンズ(1975年の『Judith)、ジョーン・バエズ(1988年の『Recently)、チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー(1997年の『 Beyond the Missouri Sky - Short Stories 』)など枚挙に暇がありません。今回はジョー・コッカーのライヴ・パフォーマンスをご堪能あれ。


 もう1曲は「Easy For You To Say」。別れた男への不満と皮肉が込められた歌です。
 この曲はウェッブがリンダのために書き下ろしたらしく、私の知る限りでは彼のどのアルバムにも収録されていません。ウェッブは正式にレコーディングしていないのでしょうか。詳しい方のご教示があれば幸いです。


EASY FOR YOU TO SAY
街中で噂になっているのを聞いたわ
あなたと私のことよ
あなたに愛想を尽かした
自由になりたい馬鹿な女だなんてね

それをあなたが言うのは簡単
私がしていることが分からないとか
私が二人の愛を無駄にしたとか
自分の人生を台無しにしたとか
そんなことをあなたが言うのは簡単よ

貴方の手紙をもう一度読み返した
どの手紙のことか分かっているわよね
臆病者のようにあなたはさよならを言った
長い目で見ればそのほうがいいのよね

それをあなたが言うのは簡単
私がしていることが分からないとか
私が二人の愛を無駄にしたとか
自分の人生を台無しにしたとか
そんなことをあなたが言うのは簡単よ

彼女のもとへお戻りなさい
以前のあなたに戻りなさいよ
あなたには彼女のほうがはるかにお似合いね
あなたは彼女にとって本当に必要な人のようだわ

それをあなたが言うのは簡単
私がしていることが分からないとか
私が二人の愛を無駄にしたとか
自分の人生を台無しにしたとか
そんなことをあなたが言うのは簡単よ

 ジミー・ウェッブ自身は正式にレコーディングしていないと前述しましたが、ライヴでは歌ったことがあるようです。


 アート・ガーファンクルは『Art Sings Jimmy Webb』というコンピレーション・アルバムを作れるぐらいジミー・ウェッブの作品をレコーディングしています。さりげない曲調が、飾らないガーファンクルのキャラクターに良く溶け合うからでしょうか。リンダもこの『Get Closer』の後、1983年の『Cry Like A Rainstorm』で「Adios」など4曲、1993年の『Winter Light』でも「Do What You Gotta Do」など2曲のジミー・ウェッブ作品を取り上げていました。活発なイメージからしっとりした雰囲気、あるいは小悪魔的から妖艶な女性への変貌。ジミー・ウェッブが織りなす楽曲はリンダのさらなる魅力が放たれるに似つかわしい何かを備えているのかもしれません。

Linda Ronstadt - Get Closer

 前回のジャクソン・ブラウンによる「Linda Paloma」につられて、今回はリンダ・ロンシュタットさんに登場していただくことにしました。取り上げる曲は1982年にリリースされたアルバム『GET CLOSER』からシングル・カットされた表題曲の「Get Closer」(全米29位)と「I Knew You When」(37位)の2曲です。

Get CloserGet Closer
(1988/02/12)
Linda Ronstadt

商品詳細を見る

1. Get Closer
2. Moon Is a Harsh Mistress
3. I Knew You When
4. Easy for You to Say
5. People Gonna Talk
6. Talk to Me of Mendocino
7. I Think It's Gonna Work Out Fine
8. Mr. Radio
9. Lies
10. Tell Him
11. Sometimes You Just Can't Win
12. My Blue Tears

 1980年に発表された前作『Mad Love』では音楽の新たな波のうねりに呼応した出来映えになっておりましたが、今作ではロックン・ロールの躍動感に身を任せながらも従来のカントリー・ロックあり、しっとりと歌い上げたバラードありと本来のリンダの持つ個性が表現されています。
 赤と白の水玉模様のワンピースに身を包み、ほのかな笑みを浮かべながら誘惑するような表情でこちらを見つめるリンダ。爽やかながらも紅いリップが印象的で、妖艶な色香が醸し出されていました。ロックン・ローラーとしての存在感を示したような『Mad Love』でのイメージ・チェンジに不満を感じた向きにもご納得いただけるのではないでしょうか。



GET CLOSER
愛が欲しいの? もっと近づいて
愛が欲しいのね? もっと近づきなさいよ
彼女の手を取って、前に出て
男らしく、もっと近づいて

何も心配しないくていいの
心の赴くままに、理性なんて忘れちゃいなさい
あなたが彼女に夢中だということを
彼女にふと気づかせる何かが
あなたの口から飛び出すかもね

愛が欲しいの? もっと近づいて
本当に愛が欲しいのね? だったらもっと近づきなさいよ

あなたのことが彼女の眼中になくっても
やきもきすることなんてないわ
あなたのことを何にも理解出来ずに去って行った女の子たちを思い出し
彼女に期待させるあなたの強みを見せてあげなさい

愛が欲しいの? もっと近づいて
愛が欲しいのね? もっと近づきなさいよ

何も心配しなくていいの
心の赴くままに、理性なんて忘れちゃいなさい
シートを引き寄せて彼女に寄り添ってごらんなさい
彼女、きっといいものをあなたにくれるから

 気の弱い彼氏を挑発しながらも最愛の男の子と慕う女の子の心情が描かれたジョニー・ソマーズの「Johnny Get Angry」と違って、この歌は第三者の立場から男性を叱咤激励する内容です。作者は全米1位を獲得した「Afternoon Delights」で知られるスターランド・ヴォーカル・バンドのメンバー、ジョナサン・キャロル。リンダのために彼が書き下ろした曲らしく、スターランド・ヴォーカル・バンドのレコーディングは見当たりません。

1982年のライヴ映像です。


 次は打って変わり、出世して自分のもとを去って行った恋人への思慕と未練が表された「I Knew You When」です。少々恨み節の風情が漂い、胸が締め付けられるような切なさを覚えました。


I KNEW YOU WHEN
そうね
私、知ってるわ
あなたがひとりぼっちだった時を
あなたが恋人のいない孤独な男の子だったのを
私は知ってるのよ

私、知ってるわ
あなたが哀しみに陥りひとりぼっちだった時を
あなたには独占出来る人が誰もいなかったのね

私、知ってるわ
あなたの心が私のものだった時を
でもそれは遥か悲しき昔のこと
今ではあなたの愛も良い思い出に過ぎない

そうね
私、知ってるわ
あなたがひとりぼっちだった時を
あなたが恋人のいない孤独な男の子だったのを
私は知ってるのよ

私、知ってるわ
私たち二人に楽しいことがいっぱいあった頃のことを
でも誰か他の人がやって来て、もっと楽しいことをあなたに差し出したの
今じゃ私がひとりぼっち

私、知ってるの
自分がびくびく怯えた小さな少女だったってことを
あなたが成功する前は
かけがえのないあなたの恋人だったのに

 今度は打って変わり、出世して自分のもとを去って行った恋人への思慕と未練が表された歌です。少々恨み節の風情が漂い、胸が締め付けられるような切なさを覚えました。

こちらはライヴ映像。


 この曲の作者であるジョー・サウスのヴァージョン。1969年リリースのアルバム『Games People Play』に収録されていました。男の哀感が伝わってくるような趣があります。
 ジョージア州アトランタ出身の彼はソング・ライターとしてキャリアをスタートさせ、ボブ・ディランのアルバム『Blonde On Blonde』(1966)やアレサ・フランクリンの「Chain Of Fools」にギタリストとして参加した後、1960年代末から1970年代に掛けてスワンプ色の濃い作品を生み出すシンガー・ソング・ライターとして活動。また、ディープ・パープルの「Hush」(1968)やリン・アンダーソンの「Rose Garden」(1970)の作者としても知られています。


 ビリー・ジョー・ロイヤルのヴァージョンは全米14位のヒットを記録しています。1965年の 『Down in the Boondocks』に収録。ちなみに、前述の「Hush」はこの人のほうがディープ・パープルより先にレコーディングしており、1967年にリリースされて全米52位まで上昇しました。


 ダニー・オズモンド(オズモンズ)のヴァージョンは1971年の『To You With Love, Donny』に収録。こちらはいかにも学生時代の甘酸っぱい思い出が込み上げて来るような作りに仕上がっています。


 1978年の『Living In The U.S.A』に収録されていた「When I Grow Too Old To Dream」はその後のリンダの進路を予兆させるものがありました。1981年には持ち前の歌唱力と表現力を活かして大人の歌手への脱皮を図るべく、ギルバート&サリヴァンのオペレッタ『The Pirates of Penzance/ペンザンスの海賊たち』に出演し、ブロードウェイのステージに立つ経験もしています。
 機は熟し、『Mad Love』に続く新作はコマーシャルなものではなく、ジェリー・ウェクスラーをプロデューサーに起用してのスタンダード集を制作する運びとなりました。しかし、レコーディングを無事完了させたもののカーリー・サイモンが同種の内容である『Torch』を1981年夏に発表し、その出来の良さにリンダは相当のショックを受けたとのこと。ジェイムズ・テイラーと別れ、哀しみと苦しみの心情を吐露するようなカーリーのパフォーマンスに打ちのめされたのか、あるいは「あの女、人がせっかく苦労して作ったのになんちゅうことしてくれんねん」と嫉妬心に駆られたのかよく分かりませんが、完成されたアルバムをお蔵入りさせてしまう事態にまで発展しました。そんなリンダが心機一転、ネルソン・リドル・オーケストラを迎えて本格スタンダードに挑んだのが1983年の『What's New』です。

Jackson Browne - Linda Paloma

 相変わらずウエスト・コーストのアーティストを取り上げていますが、今回はジャクソン・ブラウンが、1976年にリリースしたアルバム『The Pretender』に収録されていた 「Linda Paloma」をお題とします。

PretenderPretender
(2004/05/31)
Jackson Browne

商品詳細を見る

1. The Fuse
2. Your Bright Baby Blues
3. Linda Paloma
4. Here Come Those Tears Again
5. The Only Child
6. Daddy's Tune
7. Sleep's Dark and Silent Gate
8. The Pretender

 聖書から "Wall of Jericho" (ジェリコの城壁)を引用して地球を導火線になぞらえた重々しい「The Fuze」に始まる『The Pretender』。爽やかなウエスト・コーストのロックのイメージとかなりかけ離れた印象を受けるアルバムかもしれません。以前にも増してジャクソン・ブラウンの歌詞は内省的であり、人生の意味を問いかけた内容の作品が目立っていました。レコーディングの途中に最初の妻であるフィリスが自らの命を絶ち、全体的にその影響が色濃く覆っていたとも言えるでしょう。
 ブルース・スプリングスティーンを成功に導いたと言っても決して過言ではないジョン・ランドゥをプロデューサーに迎えたことによりサウンド面は強化が図られ充実。セクションからラス・カンケル、リーランド・スクラー、クレイグ・ダーギ、リトル・フィートからローウェル・ジョージ、ビル・ペイン、オーリアンズからジョン・ホール、さらにはヴァン・ダイク・パークス、チャック・レイニー、アルバート・リー、後にリトル・フィートに加入するフレッド・タケット、TOTOを結成するジェフ・ポーカロなど強者のミュージシャンが大挙駆けつけ、タイトで厚みのある演奏を繰り広げています。

 そんな中、メキシコ系と思われるミュージシャンを起用したマリアッチ風の「Linda Paloma」は少々異なった響きが窺われる曲。メキシカン・ギターが効果的な趣のある珠玉の小品といった風情です。


LINDA PALOMA
音楽が始まった瞬間
ギター弾きが歌い出すのを君は耳にした
その愛の歌から出て来る様々な光景を夢見ながら
君は心の中で思い描いた世界の美しさに満たされていたんだね
俺は果てしなく広がる空
君は羽ばたくメキシコの鳩

君の耳元で響く音楽は
日ごとに少しずつ弱まっている
君が本当に望んだ愛のかたちは
そんなものではないのだろうけれど
君は目の前のあった愛が失われたと感じ
涙に濡れた瞳を通して見つめながら自分自身に気が付く
もし涙が、意志によって示された人生の暗闇から
心を解放出来たならば

夜中に吹く風が
眠っている君の顔を優しくなでるように
実際に君が望まない世界の光景とともに
愛が君の瞳を満たすだろう
あのひと時が過ぎ去った後を夢見ながら
君の恋人の瞳にあった光は
夜が明けて朝の陽射しの中へ消えてしまう

でも、朝は絶え間なく羽ばたく君の翼に
力を運んでくれるし
また別の恋人が
太陽の明るい光環に向かって歌を歌う
こんなことすべてが俺には分かっているのさ
リンダ・パロマ
飛んでお行きよ
リンダ・パロマ

 大学時代、ジャクソン・ブラウンを「人生の師匠」と崇めるほどのファンである女性が同級生の中にいました。彼女とは幾度もジャクソン・ブラウン談義に花を咲かせていたのですが、ある時このような会話があったのです。

「わたし、『プリテンダー』というアルバムは好きやけど、「リンダ・パロマ」は嫌いや」
「何でや? 綺麗な曲やで」
「あんた分かってんのか。メキシコの鳩なんて言うてるけど、リンダ・ロンシュタットのことやで。わたし、あの人嫌いやねん」
「リンダはええと思うけどな」
「男の子はみんなそう言うなぁ、ほんまにしゃあないわ」
 
 リンダ・ロンシュタットはギタリストだったメキシコ系の父親とオペラ歌手志望だったドイツ系の母親の血を引く人。この「Linda Paloma」が世に出た際、ジャクソン・ブラウンとリンダの関係を鑑み、彼女のことを歌っているのだと解釈されたものです。

 1990年にテレビの音楽番組に出演した際の映像のようです。


 リンダ・ロンシュタットは早くからジャクソン・ブラウンの楽曲を取り上げ、親交を深めて行きました。恋多き女とも魔性の女ともあだ名されるリンダ。ブラウンはブラウンでもカリフォルニア州知事だったジェリー・ブラウンとは親密な関係であったことがよく知られておりますが、ジャクソン・ブラウンとどれほどの仲だったのかよく分かりません。その昔、ジャクソン・ブラウン・フリークの異名を持つ職場の先輩に噂の真相を確かめたことがあるのですが、「J.D.サウザーはもとよりアンドリュー・ゴールドやミック・ジャガーやジョージ・ルーカスも真実味があるけど、ジャクソン・ブラウンはあんまり相手にされてへんかったんとちゃうか。イーグルスの『Witchy Woman』もリンダをモデルにしたと言われてるけど、マドンナ的な存在で終わったようやで」とのこと。この件について見識のある方のご教示があれば幸いです。

Olivia Newton - John / Don't Cry For Me Argentina

 今回も引き続き、オリビア・ニュートン・ジョンのアルバム『Making A Good Thing Better』を取り上げます。

きらめく光のように+2きらめく光のように+2
(2011/03/02)
オリビア・ニュートン・ジョン

商品詳細を見る

1. Making A Good Thing Better
2. Slow Dancing
3. Ring Of Fire
4. Coolin' Down
5. Don't Cry For Me Argentina
6. Sad Songs
7. You Won't See Me Cry
8. So Easy To Begin
9. I Think I'll Say Goodbye
10. Don't Ask A Friend
11. If Love Is Real
[Bonus Track]
12. Never The Less/As Times Go By(Live In Japan 1976)
13. Rest Your Love On Me

 オリビアがオーケストラをバックに堂々と歌い上げる「Don't Cry For Me Argentina」。彼女の歌唱力がいかんなく発揮され、誠実に歌う様子は胸を打つものがあります。


 カーペンターズの『PASSAGE』の記事でも述べましたが、「Don't Cry for Me Argentina」はアルゼンチンの大統領夫人エヴァ・ペロンを題材として描いたミュージカル、『Evita』の中で歌われた1曲です。『ジーザス・クライスト・スーパースター』(1971年初演)を手掛けたティム・ライス(作詞)、アンドリュー・ロイド・ウェバー(作曲)によって、最初はアルバムとしてリリースされましたが、ジュリー・コーヴィトンの歌う「Don't Cry for Me Argentina」が全米チャート1位を記録するヒットとなったため1978年にロンドンで舞台化。翌1979年にはブロードウェイでも公演が始まっています。映画化されたのは1996年で、マドンナが主役のエヴィータ(エヴァ・ぺロン)を演じました。
 
 アルゼンチンは第二次世界大戦後の荒廃と飢餓に苦しむ日本に支援の手を差し伸べてくれた国のひとつです。大統領夫人であるエバ・ペロンは財団を通じて食料や衣服などを提供してくれました。このことは貧しい境遇で育ったエバ・ペロン自身が、一時期日本人移住者の経営するカフェで働いていた時に「セニョリータ」として礼儀正しく親切に扱ってもらった経験も背景にあるのかもしれませんが、日本とアルゼンチンの友好の歴史は長く、両国の間に強い絆が結ばれていたことの証しでしょう。日露戦争(1904-1905)開戦前年、アルゼンチンは日本からの2艦の最新鋭装甲巡洋艦の売却のオファーを快諾。この結果、日本は海軍力の増強を実現させ、ロシアとの海戦の戦局を有利に展開させたのです。また、第2次世界大戦ではアメリカからの参戦を促す圧力に抵抗し、終戦間近の1945年3月26日まで日本への宣戦布告を行いませんでした。終戦後のサンフランシスコ講和条約(1951)においては「敗戦国に厳しい条約」との趣旨の同情を示して反対の意を表しながらも、その年の12月に日本の国際社会への復帰を支持する立場を鑑み議会で批准しています。
 1898年に修好通商条約が締結されて以来、日本との友好関係が続くアルゼンチン。しかし、近年は両国の貿易は輸出入ともに停滞気味であるとのこと。我がまま放題な隣国と地政学的に日本は今後も交流していかなければならないようですが、南半球南部に位置する親日国アルゼンチンとの縁が絶えぬことを望む次第です。

DON'T CRY FOR ME A ARGENTINA
自分の気持ちを説明しようとすることを容易くないのです
あなたは不思議だと思うことでしょうけれど
あんほどいろいろなことをやってきても
まだ皆さんの愛を必要としているのです
信じてくださらないでしょうけれど
目の前にいるのはかつて皆さんが知っていたあの少女です
今では着飾って立派な身なりをしているけれど
頭の中は皆さんと同じく不安で混乱しているのです

私はこうせざるを得なかったのです
変わらなければならなかったのです。
窓の外を眺め
日の当たらな場所にいるような
みすぼらしい姿で一生を過ごすわけにはいかなかったのです
だから私は自由を選び、あちこち走り回って新しいことを何でも試してみたのです
だけど感銘を与えられたことは何ひとつありませんでした
思いもよらぬことでした

アルゼンチンの人々よ、私のために泣かないでください
本当に私は決して皆さんを置き去りにしなかった
荒れ果てた日々や狂喜じみた暮らしの中でも
私は約束を守り通しました
だから離れて行かないでください

富や名声など
自分から招き入れたものではありません
世間では私が望んだことのように見ていたでしょうけれど
富や名声は幻影であり、答えがいつもここにあると
約束された解決策ではないのです
私は皆さんを愛している
皆さんも私を愛してくれますように

アルゼンチンの人々よ 私のために泣かないで下さい
アルゼンチンの人々よ 私のために泣かないで下さい

多くを語り過ぎたでしょうか
もう皆さんにお話し出来ることは何もありません
でも私をよくご覧になれば
私の言葉がすべて真実であることがきっと分かるでしょう

 こちらは1980年にアメリカの音楽番組「Midnight Special」に出演した際のライブ映像。清楚な歌声ですが、心を捕らえて離さない十分な迫力があります。


 こちらも1980年のライヴ映像。場所はオリビアの第2の故郷であるオーストラリアのようです。


 アルバムのエンディングを飾る美しいバラードはランディ・エデルマン作の「If Love Is Real』。愛が本物ならば恋人との別離はなかったという切ない気持ちが伝わってきました。
 ランディ・エデルマンはシンガー・ソング・ライターというよりも今では映画音家として有名であり、手掛けた映画のサウンドトラックはジョン・F・ケネディ暗殺事件を扱った『Executive Action/ダラスの熱い日』(1973年公開)、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『Twins』(1988)、サンドラ・ブロック主演『While You Were Sleeping』(1995)、アン・フレッチャー監督作品『27 Dresses』(2006)など枚挙に暇がありません。蛇足ながら夫人はシンガー・ソング・ライターのジャッキー・デシャノンです。


 ランディ・エデルマンのオリジナル・ヴァージョンは1977年発表のアルバム『If Love Is Real』に収録。


 ボーナス・トラックとして収録されたアンディ・ギブ(ビージーズ)とのデュエット曲、「Rest Your Love On Me」。1979年1月に開催された国際児童年のチャリティ・コンサートで披露された曲で、1980年リリースのアンディ・ギブのソロ・アルバム『After Dark』に収められていました。


 共演ライヴ映像も残っているようです。


 アルバム発売の翌78年、オリビアは映画『Grease』でジョン・トラボルタと共演。その後も『Xanadu』(1980)、トラボルタと再び顔合わせをした『Two of a Kind』(1983)などに主演し、女優としての才能も開花させました。女優としての活動はアーティストとしての幅を広げることに功を奏し、清純派から大人の女性への転機となったことでしょう。本業のほうでもディスコ・サウンドを取り入れた「Physical」が81年に全米1位の大ヒット。栄光の時期が続きます。
 今回紹介したアルバム『Making A Good Things Better』は従来のカントリー・ポップ路線、ウエスト・コースト・サウンド、歌唱力を活かした繊細でエレガントなポップスが巧みに癒合されていました。セールス的には全米34位と芳しい成績を収めることが出来ませんでしたが、挑発的な路線に転向する前のオリビアのフェミニンな優しさが溢れ出た好印象の1枚と言えるでしょう。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。