好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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George Harrison - I'd Have You Anytime

ジョージ・ハリスンの生涯を巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化したドキュメンタリー作品、『GEORGE HARRISON/LIVING IN THE MATERIAL WORLD』が11月19日より劇場公開されています。ビートルズのメンバーとして活動したジョージ・ハリスンの姿はもとより、一人の人間としての彼の足跡を追った誠に興味深い作品。12月23日にはDVDとブルーレイが発売されるとのことです。

ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド Blu-rayジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド Blu-ray
(2011/12/23)
ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトン 他

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そこで今回はジョージ・ハリスンを取り上げることにしました。お題は「I'd Have You Anytime」。1970年11月27日にリリースされたアルバム、『All Things Must Pass』のオープニングを飾る曲です。

All Things Must Pass (30th Ann) (Dig)All Things Must Pass (30th Ann) (Dig)
(2001/10/08)
George Harrison

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Disc:1
1. I'd Have You Anytime
2. My Sweet Lord
3. Wah-Wah
4. Isn't It A Pity
5. What Is Life
6. If Not for You
7. Behind That Locked Door
8. Let It Down
9. Run Of The Mill
10. I Live For You (Bonus Track)
11. Beware Of Darkness (Bonus Track)
12. Let It Down (Bonus Track)
13. What Is Life (Bonus Track)
14. My Sweet Lord (2000) (Bonus Track)
Disc:2
1. Beware of Darkness
2. Apple Scruffs
3. Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)
4. Awaiting On You All
5. All Things Must Pass
6. I Dig Love
7. Art Of Dying
8. Isn't It A Pity (Version Two)
9. Hear Me Lord
10. It's Johnny's Birthday
11. Plug Me In
12. I Remember Jeep
13. Thanks For The Pepperoni
14. Out Of The Blue



I'D HAVE YOU ANYTIME
俺を入り込ませてくれよ、ずっとここにいたんだ
おまえの心の中に入れさせてくれ
おまえのことを知らせてくれ
おまえに俺のことを分からせてやりたいのだ
おまえのところへ俺を押し流してくれ

俺のものはすべておまえのもの
おまえの目に映るすべてはおれのもの
俺の腕の中でおまえを抱きしめられて嬉しい
いつだっておまえを支えてやりたいのだ

俺に告白させてくれ 戯れさせてくれ
俺の想いを受け止めてくれ
おまえのことを知らせてくれ
おまえに俺のことを分からせてやりたいのだ
俺をだんだんと好きになってくれればいい
俺を入り込ませてくれよ、ずっとここにいたんだ
おまえの心の中に入れさせてくれ

この曲はジョージ・ハリスンとボブ・ディランとの共作で、1968年10月、ジョージがニューヨーク郊外にあるウッドストックにあるディランの自宅を訪れた際に作られたとされています。ビートルズ時代の「Something」を何となく彷彿させるような曲調ですが、よりなまめかしく神秘的な雰囲気が窺えました。
リード・ギターはエリック・クラプトン。イントロの音色が甘美で悩ましく、官能的な世界へ誘うかのようなムードを漂わせています。
ビートルズがライヴを行わず、レコーディングのみに集結するバンドと化していた1968年から69年にかけて、ジョージはビリー・プレストンを始めとするアップル・レコード所属のアーティストのバックアップに尽力し、また、多彩なミュージシャンとの交流を積極的に重ねていました。ボブ・ディランを通じてザ・バンドのメンバーと親交を深めたのもこの時期のことです。
ザ・バンドの土臭く人間味のあるルーツ・ミュージックに触れたことによるものか、ジョージはアメリカ南部の音楽に興味を抱き始め、1969年12月、エリック・クラプトンやデイヴ・メイスンらとともにアメリカの夫婦デュオ、デラニー&ボニーのイギリス・ツアーのバックバンドに加わりステージにカムバック。レオン・ラッセル(Key)、ボビー・ウィットロック(Key)、カール・レイドル(b)、ジム・ゴードン(ds)、ジム・ケルトナー(ds)、ボビー・キーズ(t.sax)、ジム・プライス(tp)らスワンプ・サウンドの中核をなす腕達者なミュージシャンらと共演、あるいは親交を結ぶ機会を得ました。そして、この時に培われた人脈の協力によって、『All Things Must Pass』が制作されたのです。
なお、プロデュースはフィル・スペクターが担当。こんな強者が揃えばアーシーなサウンドに向かうことは免れないところですが、ジョージ本来の個性はもとより「音の壁」と称されるスペクター独特の厚みのある音作りが巧みに融合し、まろやかで親しみのある仕上がりになっていました。

ジョージとボブ・ディランとの強い絆を示す一曲で今回はお開きです。アルバム収録曲からディラン作の「If Not For You」。1971年8月1日に催されたバングラデシュのコンサートのリハーサル映像でお楽しみください。



ちなみにボブ・ディランの伝記映画『No Direction Home』(2005年放映)、ザ・バンドの解散コンサートの模様を記録した『The Last Waltz』(1978年公開)を監督したのも『GEORGE HARRISON/LIVING IN THE MATERIAL WORLD』と同じくマーティン・スコセッシです。

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The Beatles - Here, There And Everywhere

前回、前々回の記事で扱ったエミルー・ハリスが、1975年発表のアルバム『Elite Hotel』の中で取り上げていたビートルズの「Here, There And Everywhere」を今回のお題とします。

リボルバーリボルバー
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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なんと2011年12月14日に廉価盤で再発売。

リボルバーリボルバー
(2011/12/14)
ザ・ビートルズ

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1. Taxman (2009 - Remaster)
2. Eleanor Rigby (2009 - Remaster)
3. I'm Only Sleeping (2009 - Remaster)
4. Love You To (2009 - Remaster)
5. Here, There And Everywhere (2009 - Remaster)
6. Yellow Submarine (2009 - Remaster)
7. She Said She Said (2009 - Remaster)
8. Good Day Sunshine (2009 - Remaster)
9. And Your Bird Can Sing (2009 - Remaster)
10. For No One (2009 - Remaster)
11. Doctor Robert (2009 - Remaster)
12. I Want To Tell You (2009 - Remaster)
13. Got To Get You Into My Life (2009 - Remaster)
14. Tomorrow Never Knows (2009 - Remaster)
15. Revolver Documentary



HERE, THERE AND EVERYWHERE
より良き人生を送るには愛する人が必要
ここで、一日を大切に過ごしながら
彼女のしなやかな手の動きで俺の人生が変わっていく
そこに何かがあることを誰も否定できない

俺の手の指が彼女の髪に絡み付きながら撫ぜていく
二人ともなんて素晴らしいだと思う
誰かが話しかけても彼女はそこに人がいることさえ気づかない

俺はいつだって彼女にいてほしいし、彼女が傍らにいてくれれば
何も気にしないのさ
彼女を愛することとはどこにいても彼女を求めること
愛はお互いに分かち合うことも知っている
愛は不滅だということも信じている
彼女の瞳を見つめながら
自分がいつもそこに映っているのだと望みながら

どこにいようと俺と一緒さ
ここに、そこに、そしてどこにでも

ビートルズが1966年8月5日にリリースしたアルバム『Revolver』に収められていた「Here, There and Everywhere」。ポール・マッカートニー主導で作られた曲で、ポールのリード・ヴォーカルにジョン・レノンとジョージ・ハリスンのコーラスが美しくサポートするラブ・バラードです。おそらくポール・マッカートニーが、ジェーン・アッシャーと交際していた頃の様子を歌ったものでしょう。一説にはマリアンヌ・フェイスフルをイメージしたとも。ともあれ、幸せそうな二人をやっかみたくなるような光景と心の状況が描かれていました。

この曲はザ・ビーチ・ボーイズの「God Only Knows」(1966年7月11日発売の『Pet sounds』収録)に影響されて創作されたという話を聴いたことがあります。確かに、相手が自分にとってかけがえのない存在と認識し、その相手が去ってしまえば世界は無意味なものとの内容を歌う歌詞には共通するものが垣間見えました。ビートルズが『Pet Souds』に触発されて『SGT. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を作ったというのは有名な逸話であるし、この時期の双方が刺激し合いながらロック・ミュージック、およびポップ・ミュージックを進化させていったと言えるでしょう。

ポール・マッカートニー自身もお気に入りの一曲だそうで、ソロになっても彼は必ずのようにステージで歌っています。これは1991年の映像。なお、ジョン・レノンも「ビートルズの曲の中で、僕が一番気に入っている曲のひとつだよ」(『The Beatles Anthology』P.209)と1980年に述懐していました。



エミルー・ハリスのカヴァー・ヴァージョン。しっとりとしたエンジェル・ヴォイスが涙を誘うようです。


妊婦姿でステージに立つエミルー・ハリス。1979年の映像です。



拙ブログでは邦楽を扱うことは滅多にありませんが、藤村美樹さんが在籍したキャンディーズは別格です。1977年4月21日にリリースされたアルバム『キャンディーズ11/2~やさしい悪魔~』に収録。なお同日には4曲入りEP(暑中お見舞い申し上げます/やさしい悪魔/Here, There And Everywhere/Take Me Home Country Roads)も発売されていました。
なお、この映像の後半部分ではシセル(シセル・シルシェブー)のヴァージョンが登場します。映像を制作された方による聴き比べの意図を示したものでしょう。シセルはノルウェーの国民的歌手であり、リレハンメル冬季オリンピック(1994年)の閉会式と開会式にてテーマ曲「Fire In My Heart」やオリンビック讃歌(Olympic Anthem)を歌ったことで世界中にその名が知られました。彼女の歌う「Here, There And Everywhere」は1992年リリースのアルバム、『Gift Of Love』に収録されています。



Emmylou Harris - Boulder To Birmingham

エミルー・ハリスの「The Road」を扱った前回の記事の中で、1975年にリリースされたアルバム『PIECES OF THE SKY』収録の「Boulder To Birmingham」について言及しましたので、今回はこの曲を取り上げることにします。

Pieces of the SkyPieces of the Sky
(2004/02/23)
Emmylou Harris

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1. Bluebird Wine
2. Too Far Gone
3. If I Could Only Win Your Love
4. Boulder To Birmingham
5. Before Believing
6. Bottle Let Me Down
7. Sleepless Nights
8. Coat Of Many Colors
9. For No One
10. Queen Of The Silver Dollar
11. Hank And Lefty
12. California Cotton Fields

ジョン・デンバーでお馴染みのヒット曲、「Country Road」の作者のひとりであるビル・ダノフとエミルー・ハリスの共作曲、「Boulder To Birmingham」。前回の記事でも触れましたが、全幅の信頼を寄せていたグラム・パーソンズが急死したことで絶望の縁に立たされたエミルー・ハリスは両親の住むワシントンD.C.に帰り、虚無感に苛まれながら心の傷を癒していました。しかし、彼女は歌うことを捨てることが出来ず、やがて地元のクラブでライヴ活動を再開。グラムが残してくれた音楽の遺産を引き継ぎ表現することが今の自分に出来る彼への鎮魂であると悟ったのかもしれません。そして、彼女は迷いながらも自分の進む道を模索していたのでしょう。
そんな時、アン・マレーの育ての親として名を馳せたプロデューサーのブライアン・エイハーンがエミルー・ハリスの評判を聞きつけて彼女のもとを訪れます。噂に違わぬパフォーマンスを行うエミルーを見初めたエイハーン。彼自らがプロデューサーを買って出て、リプリーズ・レコードとの契約に至り、メジャー・レーベルからの再デビューとなるソロ・アルバムがリリースされる運びとなりました。それが今回紹介する「Boulder To Birmingham」が収められた『Pieces Of The Sky』です。



1992年のライヴ映像です。


こちらは2006年の「Cambridge Folk Festival」出演時の映像のようです。

BOULDER TO BIRMINGHAM
ラヴ・ソングなんて聴きたくないわ
この飛行機に乗ってただ飛んで行きたいの
そして足下に広がる世界に人生があるのに
でもあなたが私に教えてくれることといったら
大草原と空ばかり

傷心と欲望に満ちた
悲しい身の上話なんて聞きたくないわ
この前こんな気分になったのは
私が荒野にいた頃
そして峡谷は炎に包まれ
その夜、私は山の上に立ち
燃え盛る光景を見つめていた
燃え盛る光景を見つめていた
燃え盛る光景を見つめていた

エイブラハムの懐(死後に天国の平和を享受する場所)にて
私はこの魂を揺らすだろう
神から授かった恩寵(神の愛やめぐみ)の中で
私は自分の人生を抱くだろう
ボルダーからバーミンガムへと
私ははるばる歩いて行くだろう
もしあなたの顔を見ることができると
思えたならば

この時あなたは私を打ちのめした
いちばん辛いことは自分が今後も生きていくと分かっていること
私は95号線を行き交うトラックの唸りを
聞くためにやって来た
そしてそれが海であると自分に思い込ませて
我が身を洗い流そうとする
我が身を清めようとするのよ
ねぇ、私の言ってることが分かってるかしら


「Boulder To Birmingham」と前回扱った「The Road」には共通するキー・ワードが幾つかあります。例えば、「私は荒野を彷徨い迷子になっていた」という歌詞がありましたが、ここでも「傷心と欲望に満ちた/悲しい身の上話なんて聞きたくないわ/この前こんな気分になったのは私が荒野にいた頃」と「荒野」を傷心と混乱の日々に見立ており、「そして峡谷は炎に包まれ/その夜、私は山の上に立ち/燃え盛る光景を見つめていた」という歌詞の中の「山」という言葉は「The Road」の中でも「私は山から下りてくる/あなたの靴の中で歩き回る」という一説でも歌われ、進路を見出せないで思案している自分の立場を比喩したものでしょう。そして、「燃え盛る光景を見つめていた」という箇所は遺言に従ってジョシュア・トゥリーで荼毘に付されたグラム・パーソンズを連想させます。
また、グラムへの想いは「ボルダーからバーミンガムへと私ははるばる歩いて行くだろう/もしあなたの顔を見ることができると思えたならば」というところにも描かれ、現世で二度と会うことの出来ない彼への思慕が表されていました。

エミルー・ハリスの親友であるドリー・パートンが取り上げています。彼女が1976年に発表したアルバム、『All I Can Do』に収録。


ザ・ホリーズも彼らの1977年のアルバム『A Crazy Steal』の中でカヴァーしていました。


もうひとつ、宜しければお聴きください。エミルー・ハリスが2006年にリリースしたライヴ盤、『Real Live Roadrunning 』ではマーク・ノップラーが駆けつけていました。


アルバムの中からもう一曲、「Sleepless Nights」を宜しければお聴きください。この曲はブードロー&フェリス・ブライアント夫妻の作品で、もともとはグラム・パーソンズが敬愛するエヴァリー・ブラザーズのレパートリー(1960年発表の『It's Everly Time!』に収録)でした。グラム・パーソンズとエミルー・ハリスがデュエットしたヴァージョンはグラムのアルバム『Grievous Angel』のためにレコーディングされたものですが、アウト・テイクとなり1976年にリリースされた編集盤『Sleepless Nights』で陽の目を見ました。ソロ活動再開にあたってグラムとの思い出を偲ぶように、エミルー・ハリスは再びこの曲をひとりで歌っています。

今回は1979年にレコーディンされたリッキー・スキャッグスとのライヴ・ヴァージョンをお聴きください。

http://www.youtube.com/watch?v=50a0RIEtgt8

SLEEPLESS NIGHTS
眠れない夜の間ずっと君を思って泣いていた
誰が君にキスをしているんだろう
ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心をまっぷたつに引き裂くよ

昼間はくじけないでいられるが
心の中では溢れ出そうな涙を押し隠している
ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心を再び引き裂く

どうして行ってしまったんだ
どうして行ってしまったんだ
俺が君を必要としているのを
わかってるんだろう
ねぇ、わかってるんだろう

ああ、こんな眠れない夜が続き
俺の心をまっぷたつに引き裂くよ

Emmylou Harris - The Road

サイケデリックなロックが続いたので、清楚な女性の歌声で癒されることにしました。ご登場いただくのはエミルー・ハリス。彼女が2011年にリリースしたアルバム『Hard Bargain』のオープニングを飾る「The Road」が今回のお題です。

ハード・バーゲンハード・バーゲン
(2011/09/21)
エミルー・ハリス

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1. The Road
2. Home Sweet Home
3. My Name Is Emmett Till
4. Goodnight Old World
5. New Orleans
6. Big Black Dog
7. Lonely Girl
8. Hard Bargain
9. Six White Cadillacs
10. The Ship on His Arm
11. Darlin’ Kate
12. Nobody
13. Cross Yourself
14. To Ohio (Bonus Track)

「The Road」はザ・バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズなどで活躍したグラム・パーソンズへの想いをエミルー・ハリスが綴った歌。鳴かず飛ばずだった彼女がグラムのソロ・アルバムのデュエットの相手として声を掛けられたいきさつを拙ブログで何度か書き記してきましたが、ここでも少し触れておきます。
大学で演劇を学ぶうちにボブ・ディランやピート・シーガーらのフォーク・ソングへの興味も膨らんで行ったエミルー・ハリス。シンガーとして身を立てたいという欲求が募り、彼女は大学をドロップアウトしてニューヨークへ向かいました。グリニッチ・ヴィレッジのコーヒー・ハウスで歌う日々。やがてソング・ライターの男と恋に落ち、レコード会社からもスカウトを受けてアルバム『Gliding Bird』をレコーディングするなど順風満帆に事が運んで行ったのです。1969年、エミルーは妊娠し、結婚。翌1970年、アルバムがリリースされるも、彼女は出産後に夫と破局を迎え、授かった娘とともに両親の住むワシントンD.C. へと帰りました。
途中で挫折した格好になった歌手活動。エミルー・ハリスは子育てをしながらD.C. のクラブで歌うようになります。1971年、エミルーのパフォーマンスはフライング・ブリトー・ブラザーズのクリス・ヒルマンの目に留まり、彼の仲介によってグラム・パーソンズとの出会いへと発展しました。グラムは当時、フライング・ブリトーを離れてソロに転身し、アルバムでデュエットする女性シンガーを探していたのです。レコーディングやツアーで行動をともにするうちにエミルーはグラムからマール・ハガードやルーヴィン・ブラザースの魅力を教えられ、カントリー・ミュージックの何であるかを叩き込まれました。同時に二人の関係も親密になったことは想像に難くありません。
1973年、エミルー・ハリスが参加したグラム・パーソンズのアルバム『GP』リリース。セカンド・アルバム『Grievous Angel』のレコーディングにもエミルーは起用されました。しかし、エミルーという存在によってグレッチェンという妻との関係が険悪となったこと、グラムとともにカントリー・ロックを盛り上げた友人であるクラレンス・ホワイト(グラムの後釜としてバーズに正式加入)の死などでグラム・パーソンズの心は病んで行ったのです。
この年の9月19日、グラム・パーソンズはカリフォルニア州ジョシュア・トゥリーのモーテルでドラッグのOverdose(過剰摂取)により急死。フライング・ブリトーを解雇されたのもアルコールやドラッグに溺れて体調を崩し、仕事に穴をあけ続けたことが原因だったのですが、自己の内側に渦巻く挫折感や寂寥感を克服出来ずに破滅への道に進んだことは誠に残念な結果となりました。
グラム・パーソンズの遺体は何者かによって運ばれ、ジョシュア・トゥリーの砂漠で火葬されました。後日、グラムの遺言に従ったマネージャーの行動だったことが判明。その地にはいまなお熱狂的なファンによる巡礼が行われているといいます。



アコースティック・ギターの弾き語りによるライヴ音源。宜しければお聴きください。
http://www.youtube.com/watch?v=sFhVOiuAOp0

THE ROAD
私は今でも思い出せる
あなたが演奏した曲をすべて
私たちが若かった遥か昔
そして二人は一晩中ずっとロックを演奏していた
その時私に未来がどのようになるかなんて予測出来たでしょうか
私たちのはらわたは燃え盛る火に包まれ
魂はこの上ない渇望を感じ
あなたはそこで歳を取るのをやめてしまった

私はあなたのことを愛していたのかもしれない
あなたの舌先から滑らかに飛び出す言葉
運の良いお陽さまの下で
私たちは旅をしているように思えた

分かってるの、私はあなたを救うことが出来なかったってことを
誰のせいでもないわ
でも、かつて一緒に歩んだ道を
二度と同じ方向へ行くことはない

ねぇ、飛んで行ってしまえばいいいわ
今日に巡り回って来ることなんてないの
ねぇ、私の祈りの歌とともに
そして私が飛んで行くだろう歌の翼の上に

荒野を彷徨い
私はしばらく迷子になってしまった
すべてのものに季節があり
全ての祝福に代価がある
それで私はあなたが残してくれたものを受け取り
自分なりに使えるようにした
あのスリー・コードと人生の真実とともに
答えを探そうとしていた。

私は山から下りてくる
私はあなたの靴の中で歩き回る
人々にギャンブラーだと思われても仕方なかった
もう失うものがないのだから

この細道に私を立たせたのはあなた
どうして拒絶することができただろうか
そして私はここで自分の人生を送った
ブルースを歌うことに時間を費やしてきたのだ

私は耐え抜いた
あなたは過去になんか悩まされないけど
出会いと別れを繰り返し
永遠に続くものなど何一つない
でも私はあなたのことをまだ思っている
あなたはどこを彷徨っているのかしら
どこかから私を見ているのかしら
星と星の間のあそこから
でも天国の下のこちらには
この心の中の歪んだハイウェイを越えて
私の進む道を導いてくれるための
見取り図なんてなかったのよ
ただ、すべてが旅の終着点に帰するのならば
この道の途中で
貴方に出会えたことを嬉しく思う
私の愛しき旧友よ

エミルー・ハリスはグラム・パーソンズとの共演によりソロとしての再デビューにも漕ぎ着け、1975年にリリースされたボブ・ディランのアルバム『Desire』にバック・ヴォーカルとして参加したことでさらにキャリアをブラッシュアップさせ、着実に成功への道を歩んで行きました。以後、カントリー関連の部門でグラミー賞を12回も授賞。アメリカを代表するカントリー・ロック、カントリー・ミュージックの女性アーティストの名声を欲しいままにしています。



1975年のアルバム『Pieces Of The Sky』に収録された「Boulder To Birmingham」において、グラム・パーソンズへの思慕を綴っていたエミルー・ハリス。グラム・パーソンズが鬼籍に入って38年もの歳月が過ぎた2011年、なぜエミルーはグラムへのオマージュが込められた歌、「The Road」を発表したのでしょうか。当時、尊敬と信頼を寄せた人を失って絶望の縁に立たされ、エミルーは計り知れないほどの不安と心痛を味わったと思われます。この歌にはそんな時期の彼女の動揺と哀しみを乗り越えようとする意志が窺え、いまようやく冷静に自分の偽らざる気持ちを明らかにすることが出来たのかもしれません。
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