好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jackson Browne - Jamaica Say You Will

今回はジャクソン・ブラウンの「Jamaica Say You Will」を取り上げることにしました。1972年にリリースされた彼のファースト・アルバム『Jackson Browne (Saturate Before Using)』のオープニングを飾る彼一流のリズムと節回しが印象的な美しくも哀しいラヴ・ソングです。


Jackson BrowneJackson Browne
(1994/09/14)
Jackson Browne

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1. Jamaica Say You Will
2. A Child In These Hills
3. Song For Adam
4. Doctor My Eyes
5. From Silver Lake
6. Something Fine
7. Under The Falling Sky
8. Looking Into You
9. Rock Me On The Water
10. My Opening Farewell



JAMAICA SAY YOU WILL
ジャマイカは可愛い娘
おしゃべりな子供たちに見つからないよう
影ができるぐらいに草の生い茂る野原で寝転がりながら
俺は彼女とよく戯れた
彼女の姉さんが日暮れの鐘を鳴らすまで

ジャマイカ、言ってくれよ
空虚な時間を埋める方法を俺と一緒に見つけてくれると
言ってくれよ
明日もここに来てくれると

彼女は荒海を行く船長の娘だった
木立から水面をじっと見つめていたものだ
前に父親が帰った時、彼は彼女を膝に乗せて抱きかかえて言った
今度は家族みんなが喜ぶところまで船を出してみようと

ジャマイカ、言ってくれよ
この虚しき航海を活力あるものにする方法を一緒に見つけてくれると
そしてこの船が海を見つけるまでここに留まってくれ

ジャマイカは可愛い娘、俺は彼女を愛していた
二人だけの世界で俺を癒し、慈しんでくれた
だけどいつの間にか、彼らはジャマイカを港に連れて行った
俺にはどうすることもできなかったんだ

ジャマイカ、言ってくれよ
この航海を実りあるものにする方法を一緒に見つけてくれると
そして海がすっかり枯れてしまうまで船旅を続けよう

愛するジャマイカが突然に連れ去られ、どうすることもできない運命を悟る主人公の姿が描かれています。彼を癒し慰めてくれる存在だったジャマイカ。同時に、父の船の船員やジャマイカの家族たちが生きていく上でも不可欠な女性だったのでしょう。
最後のヴァースでは「海が枯れるまで旅を続けようと」と歌われています。父がジャマイカにかけた言葉のように思えますが、これはむしろジャマイカと一緒に人生を過ごしたかったという主人公の願望が反映されていると受け取ったほうがいいのかもしれません。また、この海が枯れるという表現は命が尽きるまでと解釈することもできるでしょう。

この曲には幾つかの秀逸なカヴァー・ヴァージョンがあります。下記はクラレンス・ホワイトがリード・ヴォーカルを担当したザ・バーズのヴァージョン。彼はジャクソンのヴァージョンにもギターで参加していました。アルバム『Birdmaniax』(1971年発表)に収録。


他にもニッティ・グリッティ・ダート・バンド(1971年発表の『All The Good Times』収録)、トム・ラッシュ(1972年の『Merrimack County』、ジョー・コッカー(1975年の『Jamaica Say You Will』)、ザ・バーズのリーダーであるロジャー・マッギン(1973年発表の『Roger McGuinn』の2004年リマスター盤ボーナス・トラック)などに取り上げられています。

それではジャクソン・ブラウンのピアノの弾き語りによる映像にて今回はお開きにしましょう。

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EAGLES - Please Come Home For Christmas

今回の記事もクリスマス・ソングです。季節柄とはいえ安易な選曲で誠に申し訳ございません。
さて、ご登場いただくアーティストはイーグルスの皆さん。取り上げる曲は1978年12月にシングル盤としてリリースされた、「Please Come For Christmas」です。

イーグルスは1976年のアルバム『Hotel California』で大成功を収めました。当然ながら次回作はより充実した内容のものを求められることになり、ファンからも大きな期待が寄せられます。彼らはそんなプレッシャーの中、1978年12月にシングル「Please Come Home For Christmas」をリリース。リラックスしてニュー・アルバムの制作に臨もうとの気持ちが込められているかのような雰囲気が漂っていました。また、『Hotel California』と次回作の『Long Run』(1979年発表)の間を繋ぐ、イーグルスからファンへのクリスマス・プレゼントと捉えることもできるでしょう。
この「Please Come Home For Christmas」はその後に発表されたイーグルスのどのアルバムにも収録されませんでしたが、ようやく2007年に発表された、『Long Road Of Eden』(2007年)のデラックス・エディションに収められることになりました。

LONG ROAD OF EDEN(LIMITED DELUXE EDITION)LONG ROAD OF EDEN(LIMITED DELUXE EDITION)
(2007/11/26)
Eagles

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Disc 1
1. No More Walks In The Wood
2. How Long
3. Busy Being Fabulous
4. What Do I Do With My Heart
5. Guilty Of The Crime
6. I Don't Want To Hear Any More
7. Waiting In The Weeds
8. No More Cloudy Days
9. Fast Company
10. Do Something
11. You Are Not Alone

Disk 2
1. Long Road Out Of Eden
2. I Dreamed There Was No War
3. Somebody
4. Frail Grasp On The Big Picture
5. Last Good Time In Town
6. I Love To Watch A Woman Dance
7. Business As Usual
8. Center Of The Universe
9. It's Your World Now
10. Hole In The World
11. Please Come Home For Christmas



PLEASE COME HOME FOR CHRISTMAS
とても悲しい知らせをもたらす鐘が鳴り響く
ブルーな気分で過ごすクリスマス
俺のあの娘は行っちまった
クリスマスの挨拶を交わしてくれる友だちさえもいない

聖歌隊が歌う「サイレント・ナイト」
キャンドルライトの傍で照らされて聴くクリスマス・キャロル
お願いだから
どうかクリスマスには帰って来てくれよ
クリスマスが無理なら
せめて新年の夜までにはな

友だちや親戚が祝いの挨拶を送ってくる
頭上に輝く星の数を思わすありふれた出来事
さて、今はクリスマス
そう、他でもないクリスマスなのさ
一年の中で
愛する人とともに過ごしたいひと時さ

だから言ってくれ
もうどこにも行かないと
クリスマスと新年は
家にいてくれないか
そうなれば悲しみから解放され
嘆きも苦しみもなくなり
再びハッピー・クリスマスを迎えられるのさ

哀愁を帯びたドン・ヘンリーのヴォーカル。失恋した男性の切なさがひしひしと伝わってきます。未練がましくも、男は去って行った女が再び戻って来てくれることを心の片隅で信じているのかもしれません。人は傷ついて成長して行くと言われますが、いつまでたっても同じことを繰り返す場合も多々あることでしょう。ひとりの人間が進歩していくことはなかなか難しいものです。

この曲のオリジナルは1960年にリリースされたチャールズ・ブラウンのヴァージョンです。ドン・ヘンリーの歌唱に比べて少し軽く、失恋の痛手をいつまでも引きずらない潔さが表されているように思えました。なお、イーグルスのヴァージョンとは歌詞が一部異なり、彼らが"Bell will be ringing the sad sad news "(鐘の音が悲しい知らせを鳴り響かせてくれるだろう)と歌ったのに対して、作者であるチャールズ・ブラウンは"Bell will be ringing the glad glad news." (ベルの響きが嬉しい知らせを鳴り響かせてくれるだろう)と歌われています。イーグルスは歌ので出しからブルージーな雰囲気を醸し出そうと試みたのでしょう。作者ヴァージョンは「街は賑わっているのに俺の心は落ち込んだままさ」という対比を表現したかったのかもしれません。


この曲には多くのアーティストのカヴァー・ヴァージョンがあります。今回はジョニー・ウインターが1992年にリリースしたアルバム『Hey, Where's Your Brother?』の中で取り上げたものを宜しければお聴きください。弟のエドガー・ウインターがデュエットの相手を務めています。


今回はイーグルスによるライヴ・ヴァージョンでお開きにします。2000年に発表されたアルバム『SELECTED WORKS 1972-1999』に収録されていました。



ヒストリーBOX 1972-1999ヒストリーBOX 1972-1999
(2000/11/29)
イーグルス

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いつも拙ブログにコメントをいただいているkuwaさんから2枚組のグレイテスト・ヒッツにも「Please Come Home For Christmas」が収録されているとの指摘がありました。kuwaさん、どうもありがとうございます。

ベスト・コレクション (ワーナー・スーパー・ベスト40)ベスト・コレクション (ワーナー・スーパー・ベスト40)
(2010/04/07)
イーグルス

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Karla Bonoff - The First Noel

Purple_Hazeさんカーラ・ボノフの「Home」を記事にされていましたが、拙ブログでは彼女が歌ったクリスマス・ソングを取り上げることにしました。安易な選曲となり誠に申し訳ございません。

カーラ・ボノフを始め多くのアーティストが参加したクリスマス・アルバム『The Stars Come Out For Christmas』。このアルバムはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴにある「チルドレン・ホスピタル」に重病で入院している子供たちのためのチャリティー盤です。もともと2枚組で発売されたようですが、その中から15曲を選んで1991年に1枚のCDで再発されました。現在は廃盤のため、amazon での取り扱いがありません。よって画像を掲載することが出来ないので参考までに収録曲を記しておきます。

01. When The Stars Come Out For Christmas (Commodores)
02. Christmas Needs Love To Be Christmas (Juice Newton)
03. Rudolph, The-red-Nosed Reindeer (Don Mclean)
04. Away In A Manager (Kim Carnes)
05. Mary's Boy Child (Little River Band)
06. The Christmas Song (Stephen Bisop)
07. The First Noel(Karla Bonoff)
08. Everybody's Home Tonight (Karla Bonoff)
09. A Baby Just Like You (The McCaters)
10. Santa Claus Is Coming To Town (Kenny Rankin)
11.The Greatest Gift Of All (Nicolette Larson)
12. Have Yourself A Merry Little Christmas (Kenny Loggins)
13. Greensleeves (Jose Feliciano)
14. Silent Night (Country Choir)
15. I'll Be Home Christmas (Beat Boys)

カーラ・ボノフは賛美歌103番として知られる「The First Noel(まきびと羊を)」と書き下ろしの「Everybody's Home Tonight」の2曲を提供。前者はアコースティック・ギターとベースが中心のシンプルな編成で厳かな雰囲気が漂い、後者はたおやかでしっとりとしたカーラの歌声が心に滲みるようなロマンティックなバラードに仕上がっています。



THE FIRST NOEL
天使が歌いし最初のノエルが
野原にまどろむとても貧しき羊飼いへ歌われた
彼らが羊の番をしていた野原は
凍える冬の夜の真夜中
ノエル(聖夜)、ノエル、ノエル、ノエル
イスラエルの王が降誕された

羊飼いたちは空を見上げてある星を目にした
東方の遥か彼方の明星を
そして大地に偉大な光が注がれ
昼も夜も輝き続けた
ノエル、ノエル、ノエル、ノエル
イスラエルの王が降誕された



EVERYBODY'S HOME TONIGHT
特別な夜
満天の星が輝き
夢の中にあの人がやって来る
無邪気な子供の心をもたらしに

季節が一巡し
クリスマスの度にはっきり思う
恐れてはならない
家族が皆帰って来ているのだから
きっとすべてがうまく行くはず

全知の神の物語が
私の頭の中をよぎる
神はガリラヤの子供たちに
人生の真理を説いた

季節が一巡し
クリスマスの度にはっきり思う
受難があり肉体が滅ぶとも
神の心の愛は今もなお生き続けている

ガリラヤ(Galilee)とはイスラエル北部にあるイエス・キリストの活動の中心地だったところです。

Joni Mitchell - RIVER

失礼ながらまたもやPurple_Hazeさんの記事に被せます。取り上げるはジョニ・ミッチェルの「RIVER」。1971年に彼女が発表したアルバム『Blue』に収録されていた一曲です。

BlueBlue
(1994/10/26)
Joni Mitchell

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1. All I Want
2. My Old Man
3. Little Green
4. Carey
5. Blue
6. California
7. This Flight Tonight
8. River
9. A Case Of You
10. The Last Time I Saw Richard



BLUE
クリスマスがやって来る
人々はツリー用の樅の木を切り
トナカイの飾りの準備をし
そして喜びと平和の歌を歌っている
ああ私に氷の張った川があれば
その上を滑って行けるのに
だけどここには雪が降らない
まわりは緑のまま
お金を貯めよう
そうすればこんな苛立たしい状況とおさらば出来るんだわ
ああ私に氷の張った川があれば
その上を滑って行けるのに
ああ私に長い川があればいいのに
そしたら自分の足に飛ぶことを教え込むだろう
ああ私に川があれば
その上を滑って行けるのに
だけど私は大切なあの人に悲しい想いををさせてしまったみたい

彼は懸命に私を救おうとしてくれた
私を安らぎを与えてくれた
荒々しく愛してくれた彼
私を身も心もとろけるほどに
ああ私に氷の張った川があれば
その上を滑って行けるのに
私は扱いにくい女
我がままで泣いてばかり
私は自分からサヨナラを告げ
今まで会った中で最高の彼を失った

ああ私に氷の張った川があれば
その上を滑って行けるのに
ああ私に長い川があればいいのに
そしたら自分の足に飛ぶことを教え込むだろう
私は彼にサヨナラを言わせてしまった

クリスマスがやって来る
人々はツリー用の樅の木を切り
トナカイの飾りの準備をし
そして喜びと平和の歌を歌っている
ああ私に氷の張った川があれば
その上を滑って行けるのに

この歌にはクリスマスを迎える直前に恋人を失ってしまった女性の空しく諦観の込められた気持ちが描写されています。少々きわどい表現もあり、聖夜のイメージにそぐわないような血の通ったなまめかしさが窺えました。結婚、離婚、不倫を経験し、恋に溺れて傷つきながら大人の女性へと成長して行ったジョニ・ミッチェル。この歌でも赤裸々な心情の告白が綴られているようです。

恋多き女ジョニ・ミッチェル。浮き名を流した相手はジャクソン・ブラウン、レナード・コーエン、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ジェイムズ・テイラー、ジャコ・パストリアス・・・・・・と数知れず。この時期は誰と恋に落ちていたのでしょうか。なお、表題曲「Blue」はデヴィッド・ブルーを、「The Last Time I Saw Richard」は最初の夫であるチャック・ミッチェルのことを歌ったとされています。

すっかりクリスマス・ソングの定番となってしまった「River」。枚挙に暇がないほどのアーティストによって取れ上げられています。最近ではジェイムズ・テイラーのヴァージョン(2006年発表の『A Christmas Album』に収録)が最もポピュラーではないでしょうか。


カナダ出身のシンガー・ソング・ライターであり、リリス・フェアの提唱者としても知られるサラ・マクラクランのヴァージョンもなかなか評判が良いようです。2006年発表の『Winter Song』に収録
http://www.youtube.com/watch?v=JEfJyirgkPI

当代きってのエンターテイナーであり、ソング・ライターでもあるバリー・マニロウが円熟した味を漂わせていました。2002年リリースの『A Christmas Gift of Love』に収録されていましたが、今回はライブ映像でお楽しみいただければ幸いです。


現代のジャズ界を代表するシンガー、ダイアン・リーヴスのヴァージョン。1999年発表の『Bridges』に収録されています。


ビリー・ホリディの再来と騒がれたマデリン・ペルーが、2006年の『Half the Perfect World』の中でK.D.ラングを迎えてしっとりとしながらも滋味溢れたデュエットを披露しています。


この歌はジャズ・シンガーの中で人気が高いようで、ホリー・コールも1997年発表の『Dark Dear Heart』で取り上げていました。

比較的新しいところでもうひとつ。ハービー・ハンコック&コリーヌ・ベイリー・レイが2007年リリースの『River - Joni Letters』の中で取り上げています。ジャズの巨人とイギリスのシンガー・ソング・ライターの組み合わせが絶妙の雰囲気を醸し出していました。


他にもハートがジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェペリン)をプロデューサーに起用したアルバム『The Road Home』(1995)で、リンダ・ロンシュタットが『A Merry Little Christmas』(2000)でそれぞれカヴァー・ヴァージョンを発表しています。ことにリンダのバージョンはジョニ・ミッチェルのオリジナルに忠実ながらも弦楽四重奏を配し、哀切の想いを情感を込めてしなやかに歌い上げていました。

今回も他人の褌で相撲を取るような格好になり誠に申し訳ございませんでした。触発された、感化されたと巧みな言い訳を並べても仏の顔も三度まで。今後とんでもないしっぺ返しが来るように思われます。どうかお手柔らかに。

John Lennon - GOD

今年はジョン・レノン生誕70年にあたります。ジョン・レノン関係のCDが相次いで発売されたり、小野洋子さんがみのもんたさん司会の朝の情報番組に生出演されるなど巷では例年に増して露出が多いように感じられました。


SIGNATURE BOXSIGNATURE BOX
(2010/10/04)
JOHN LENNON

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DOUBLE FANTASY 'STRIPPED DOWN'DOUBLE FANTASY 'STRIPPED DOWN'
(2010/10/04)
JOHN LENNON

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そこで今回は久々にジョン・レノンの楽曲について簡単に思うところを述べてみたいと思います。取り上げる曲は「GOD」。1970年に発表されたアルバム『John Lennon/Plastic Ono Band』に収録されていた一曲です。

PLASTIC ONO BANDPLASTIC ONO BAND
(2010/10/04)
JOHN LENNON

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1. Mother
2. Hold On
3. I Found Out
4. Working Class Hero
5. Isolation
6. Remember
7. Love
8. Well Well Well
9. Look At Me
10. God
11. My Mummy's Dead



GOD
神は心の痛みを計るだけの観念
もう一度言おう
神は苦悩の度合いを計る観念に過ぎない
俺は魔法なんて信じない
アイ・チン(易経)なんて信じない
聖書なんて信じない
タロット・カードも信じない
ヒトラーなんて信じない
イエスなんて信じない
ケネディなんて信じない
仏陀(ブッダ、釈迦)も信じない
マントラ(仏に対する讃歌)なんて信じない
ギーター(ヒンドゥー教の聖典)なんて信じない
ヨガも信じない
王たちなんて信じない
エルヴイスなんて信じない
ディランも信じない
ビートルズだって信じない
俺は自分だけを信じる
洋子と俺だけ
それだけが現実

夢は終わった
何を言えばいいのか?
昨日まで
俺はずっと夢織人だった
だけど今、俺は生まれ変わったんだ
俺はずっとウォルラスだったけれど
俺は今、ジョンになったのさ
さぁ、親愛なる友よ
生き続けて行こう
夢は終わったのだから

ウォルラスとはジョン・レノン主導で作られたビートルズの楽曲「I Am The Walrus」に因む。

様々な事物や人々さえも信じないと叫ぶジョン・レノン。この歌は自分が影響を受けたもの、成功をもたらしたもの、憧れていた人々と訣別する決意表明がなされています。栄光も挫折も含めて自分自身の過去や生き方を否定し、誰にも何ものにも頼らずに新しい夢や目標に向かって生きていこうとするジョンの強い意志が示されているのでしょう。しかし、訣別した対象とは一見距離を置いているように思えるものの真摯に向き合う様子が窺われ、愛情と感謝に溢れているように見受けられました。

歌詞の中にアドルフ・ヒトラーの名があることに驚いた人もおられるでしょう。ジョン・レノンがイエス・キリスト、マハトマ・ガンディーらとともにヒトラーをアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年発表)のジャケットを飾る人々の中に入れるように要請した逸話は有名です。イギリスにはヒトラーをわざと賛美するジョーク、言わばほめ殺しをして楽しむといった趣味があるらしく、ジョンもブラック・ユーモアとしてヒトラーを登場させようと思ったのかもしれません。一方的で理不尽な侵略行為は別として、戦争には相対する両陣営どちらにも是非があるものです。とはいえジョン・レノンがヒトラーにシンパシーを抱き、本心から敬愛していたとは信じ難いのですが、自分の存在を高めるためにさんざん攻撃対象としてヒトラーを利用したことへの皮肉まじりの感謝かとも受け取れました。

Sgt Pepper's Lonely Hearts Club BandSgt Pepper's Lonely Hearts Club Band
(2009/09/09)
Beatles

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自分の人生と大きく関わったものや人々から卒業して謝辞を送ったジョン・レノンですが、エリザベス女王の名前はこの歌にありませんでした。女王に関してはもともと敬意も思慕も持ち合わせていなかったのでしょうか。ジョンは過去にイギリスのアイルランド政策に抗議の意を示し、「Cold Turkey」のヒット不足で外貨獲得に失敗したとの理由を付けてMBE勲章を返還したいきさつがあります。もし、「エリザベスなんて信じない」と発したならば、さすがに放送禁止、発売禁止処分を受けていたかもしれませんね。

Fool's Gold - Mr. Lucky

今回もまた拙ブログとリンクしていただいているPurple_Hazeさんの記事に被せるようで、申し訳ございません。今回はフールズ・ゴールドの皆様に登場してもらいます。Purple_Hazeさんはファースト・アルバムを扱われておりましたが、私は1977年にリリースされたセカンド・アルバム『Mr. Lucky』を取り上げることにしました。 

ミスター・ラッキーミスター・ラッキー
(2001/03/23)
フールズ・ゴールド

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1. Sweet Country Air
2. I Can Hear the Whistle
3. Wouldn't I Love to Love You?
4. Runnin' and Hidin'
5. Fly Away
6. Gypsy Brew
7. Mr. Lucky
8. Where Did Our Love Go Wrong
9. Captain

ダン・フォーゲルバーグのバック・バンドだったフールズ・ゴールドがアリスタからデビュー・アルバムをリリースしたのは1976年のことです。メンバーはトム・ケリー(ヴォーカル、ベース、ギター)、デニー・ヘンソン(ヴォーカル、ギター)、ダグ・リヴィングストン(ギター、ペダル・スティール・ギター)、ロン・グリネール(ドラムス、パーカッション)の四人。もともとトムとデニーはイリノイ州出身で、1970年頃からバンドを組んで行動を共にしてきました。彼らはダン・フォーゲルバーグのマネージャーであるアーヴィン・エイゾフに見初められ、ザ・ギルドというバンド名を名乗って1972年にアサイラムからデビュー。しかし、敏腕マネージャーの健闘空しくバンドは話題にもならないまま解散の憂き目を観ます。その後、エイゾフの計らいでトムとデニーはダン・フォーゲルバーグのバック・バンドのメンバーに就き、そこに彼らと親交があったダグとロンが加わってフールズ・ゴールドが結成されました。

イーグルスやリンダ・ロンシュタットらがヒット・チャートを賑わしていた1976年。ウエスト・コースト・サウンドやカントリー・ロックが商業的に大きなトレンドとなっている現実を直視したのか、各社から新たなグループが相次いでデビューします。その動きに最も力を入れていたアリスタは元イーグルスのバーニー・レドンの実弟であるトム・レドンやバドーフ&ロドニーで活躍したジョン・バドーフらが中心となって結成されたシルヴァー、イーグルスに「Peaceful Easy Feeling」を提供したジャック・テンプチン率いるファンキー・キングス、そしてこのフールズ・ゴールドを送り出しました。
アリスタはCBSを解任されてベル・レコードに移籍したクライヴ・デイヴィスが社名を変更したレコード会社。就任後はバリー・マニロウという稼ぎ頭に支えられていましたが、リベンジを誓ったデイヴィスはロック・ミュージック部門にことさら力を入れて行くことになります。パティ・スミスを世に出し、グレイトフル・デッド、ルー・リード、エリック・アンダーセンらヴェテラン勢も引っ張り込むなどして徐々に成功の道を歩んで行きました。そうした苦労が実を結び1980年代にはエア・サプライ、ホイットニー・ヒューストンらを輩出。メジャー・レーベルと認められるに至ったことは言うまでもありません。

閑話休題。同郷のよしみかバックを受け持ってもらったお礼か楽曲を提供したダン・フォーゲルバーグが何かと協力を惜しまず、アーヴィン・エイゾフのマネージメントの管理下に加わったイーグルスからドン・フェルダーとジョー・ウォルシュがレコーディングに参加するなどフールズ・ゴールドは恵まれたスタートを飾りました。

Fool's GoldFool's Gold
(2005/04/05)
Fool's Gold

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順調な船出を始めたフールズ・ゴールドでしたが、セカンド・アルバムはCBSからのリリースとなり、メンバーもトムとデニーの二人組になっていました。プロデューサーに迎えたキース・オルスンが、後にTOTOで活躍するジェフ・ポーカロ(ドラムス)、デヴィッド・ペイチ(キーボード)、後にシカゴに加わるビル・チャンプリン(オルガン)、リンダ・ロンシュタットやジェイムズ・テイラーなどのバックでお馴染みのワディ・ワクテル(ギター)、ジャズ/フュージョン界を代表するサックス奏者のトム・スコット、言わずと知れたアンドリュー・ゴールド(ギター)、デヴィッド・フォスター(キーボード)などの名だたるミュージシャンをバックに起用。加えてダン・フォーゲルバーグまでもが馳せ参じるという豪華な面々が集っていたのです。
当然ながら予算を大幅にオーヴァーし、アリスタ側は経費の支払いを拒否。レコーディングされたマスター・テープは宙に浮いた状態へ。どこか引き取ってくれるレコード会社はないかとフールズ・ゴールドらが奔走した結果、CBSが名乗りを上げて権利を買い取り、目出たく発売に漕ぎ着けることになりました。
フリートウッド・マックを手掛けて名を上げたキース・オルスン。引き続いての成功を夢見て熱が入り過ぎたのか、とんだ失態を演じてしまったようです。策士策に溺れるといったところでしょうか。
ドタバタ劇でCBSに拾われたフールズ・ゴールドですが、いっぽうデュオになったいきさつにはこうした強者たちの集結により、アルバムの参加メンバーとして記載されているもののダグ・リヴィングストンとドン・グリーネルの居場所がなくなり正式メンバーから外された格好となったのが実情とのこと。決して人間関係の悪化ではなく、その証拠にライヴは元の四人で活動していました。

CBSにすれば大枚をはたいて獲得したフールズ・ゴールドでしたが、音楽界のトレンドがディスコ・サウンドが主流となる予兆の中、社内事情も手伝ってプロモート不足に陥り商業的な結果を残せませんでした。やがて、ウエスト・コースト・ロックの終焉を迎えるとともにバンドは解散。デニー・ヘンソンは1980年代にサンダー、1992年にはThe Remingtonsのメンバーとして音楽活動を続けて行きます。トム・ケリーはバック・アップ・シンガーとして活躍した後、ビリー・ステインバーグとi-TENというデュオを組み、キース・オルスンとスティーヴ・ルカサーのプロデュースの下で1983年にアルバム『Taking A Cold Look』を発表。このコンビはリンダ・ロンシュタットに「How Do I Make You」(1980年の『Mad Love』収録)を提供し、マドンナの「Like A Virgin」(1984)、シンディ・ローパーの「True Colors」(1986)、ハートの「Alone」(1987)、ホイットニー・ヒューストンの「So Emotional」(1988)、バングルスの「Eternal Flame」(1989)などのヒット曲を手掛けました。

Taking a Cold LookTaking a Cold Look
(2008/12/22)
I-Ten

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それではアルバムの中から何曲か紹介しましょう。前作からの路線を引き継ぐメロディアスで爽やかな「Wouldn't I Love to Love You?」。トム・ケリーの作品です。「心に引っ掛かることがあって君につながる道へと歩いて来たんだ」と、ビートルズの「The Long And Winding Road」を何となく連想させるような雰囲気で始まり、「夢を君と分かちあいたい」と愛する人への想いがひしひしと伝えられる歌でした。


トム・ケリーとデニー・ヘンソン共作の「Fly Away」。「心の翼を広げれば試練にも耐えられ、いつか夢が叶う」といった趣旨の励ましが込められた歌です。


ファンキーな表題曲、「Mr. Lucky」。ボズ・スキャグスにも通じるようなサウンドはバックの面々のなせる業でしょうか。すっかり落ち込んでしまった男が、ミスター・ラッキーに幸運を分けてくれとすがる様子が少々ユーモラスに描かれていました。これもトムとデニーの共作です。


トム・ケリー作の美しいバラード、「Where Did Our Love Go Wrong」。「どこで間違ったのだろうか」と失った恋人への想いが語られていました。


トムとケリーのハーモニーが絶妙な「Captain」。 二人の共作曲です。


CAPTAIN
メイン州の南海岸で一息ついた俺
冒険の旅をしようとヒッチハイクしていたのさ
二度とお目にかかれない宝を探して
二度と現れない虹を求めて

このカビ臭い古い桟橋で男が一人
釣った獲物を料理し、ビールを飲んでいた
俺はプライドを捨て
恐る恐るその男に近寄った
キャプテン、私は腹がへって寒いのです

キャプテン あなたの助言に耳を傾けます
既に持っている宝を大切にします
俺は目に見えぬ真珠を手にしていたのだ
キャプテン、あなたの忠告に従います

男は俺に目もくれず振り返った
そして、髭だらけの顔で微笑むのが見えた 
くすぶる炎を通して
俺に囁く声が聞こえた
落ち着きなよ、お若いの、
まだ話は終わっちゃいないよ

男は魚やチップスやビールで俺の腹を満たしてくれた
そして自分の半生を賭けた海との闘いの顛末を話してくれた
目に見えぬ真珠を獲ろうと海に潜っている間
深海が彼の眼から光を奪ったのだと

キャプテン あなたの忠告に従います
既に持っている宝を大切にします
俺は目に見えぬ真珠を手にしていたのだ

フールズ・ゴールドでは不運に見舞われたトム・ケリーは、解散後に大成功を収めました。ソング・ライターに転じてマドンナに提供した「Crazy For You」が大ヒットしたフィフス・アヴェニュー・バンドのジョン・リンドと姿が少なからず重なります。才能のある人は地道に努力すれば開花するものですね。
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