好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Stephen Bishop - CARELESS

春がそこまでやって来ているのを実感させるような暖かい日が続いています。そこで今回はそんな季節にぴったりのアーティストを取り上げることにしました。ご登場を願う方はビッシュことスティーヴン・ビショップ。お題は彼が1976年に発表したデヴュー・アルバム、『CARELESS』です。

ケアレスケアレス
(1995/10/04)
スティーブン・ビショップ

商品詳細を見る

1. On and On
2. Never Letting Go
3. Careless
4. Sinking in an Ocean of Tears
5. Madge
6. Every Minute
7. Little Italy
8. One More Night
9. (Guitar Interlude)
10. Save It for a Rainy Day
11. Rock and Roll Slave
12. Same Old Tears on a New Background

1951年11月14日、カリフォルニア州サンディエゴで生まれたスティーヴン・ビショップは9歳にして楽器を手にし、12歳の頃にはバンドを組んでいたといいます。
やがて、音楽で生計を立てるべくロサンゼルスへ向かい、ソング・ライターやバック・ミュージシャンとして活動し始めました。しかし、音楽業界はそれほど甘いものではありません。暫くの間は苦汁を飲まされたようです。
そうした下積み生活の中で、ビショップには様々な人との出会いがありました。その中の一人にキャス・エリオットの実妹で、当時は高名なドラマーであるラス・カンケルの妻として知られたリア・カンケルがいます。今もシンガーとしてもソング・ライターとしても活躍している人ですが、この頃は同じような境遇が手伝ったのか、二人は親交を深めていきました。
その後、スティーヴン・ビショップはリア・カンケルとの共作「Under The Jamaican Moon」をニック・デカロのアルバム『Italian Graffiti』(1974)に提供。さらにリアの仲立ちにより、彼女自身もバック・ヴォーカルで参加したアート・ガーファンクルのアルバム『Breakaway』(1975)にビショップが書いた「Same Old Tears On A New Background」が取り上げられるなど着実に実績を積んでいきます。こうしてようやく運が巡って来たのか、abcレコードからのオファーを受け、シンガー・ソング・ライターとしてのデヴューに漕ぎ着けました。

ニック・デカロの「Under The Jamaican Moon」です。


アート・ガーファンクルの「The Same Old Tears On A New Background」です。


それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーは表題曲「On and On」。


ON AND ON
ジャマイカの田舎のほうでは
綺麗な娘がたくさんいて
おまえさんから金を盗み
おまえさんの心も痛めつけるだろう
孤独なスー
彼女はオールド・サムと恋仲さ
彼女は火焔地獄のような苦しみから
彼を連れ出し面倒をみている

続けているのさ
彼女はずっとそうしようと努力しているんだ
泣きたいような気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

可哀相なオールド・ジミー
月明かりの下に座っている
自分の女が他の男とキスしているのを見たのだ
それで彼ははしごを持ち出して
空から星を盗むような出来もしないことを思うのさ
フランク・シナトラのレコードをかけて泣き始めるんだよね

続けているのさ
彼はずっとそうしようと努力しているんだ
泣きたいような気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

出逢ったその日が別れの日
気分が悪くなっちまうぜ
でも分かっているのなら
はっきりさせてほしい
しっかりとつかまえておいて
彼女におやすみなんて言わせちゃ駄目だよ

太陽の光を肩に受けて
俺のつま先は砂の中にあるような気分
愛しの彼女が俺をおいて
他の男のところにいっちゃった
ああ だけど気にしないさ
俺はただ夢を見るだろうし
肌は日に焼けたままにしよう(気落ちせずにいよう)
心を放り上げて
どこに落ちるかを確かめるとしよう

続けているのさ
彼はずっとそうしようと努力しているんだ
死にそうな気分のときでも笑みを忘れず
ずっと ずっと そうしているんだ

うららかな雰囲気の曲調とは裏腹に、違和感を覚えるような重苦しい内容の歌詞です。鳴かず飛ばずの下積みの時代には挫折も経験したことでしょう。様々な苦渋を味わったことが投影されているかのようにも思えます。しかし、最後のVerseを鑑みると「人生は努力してもなるようにしかならないもの。気にせず生き抜こう」といった楽観的な思いが窺われ、決して希望を失っていません。
ビッシュは小粋な言い回しや比喩表現が巧みな人です。"My woman's left me for the some other man / Aw, but I don't care / I'll just dream and stay tan” というくだりはmanとtanが韻を踏み、直訳すると「愛しの彼女が俺をおいて他の男のところにいっちゃった/ああ、だけど気にしないさ/俺はただ夢を見るだろうし、肌は日に焼けたままにしよう」になるのですが、「落ち込まずのんびりと日焼けでもして構えていよう」との気持ちが表されているように思え、"Toss up my heart to see where it lands"という部分を直訳すると「心を放り上げて、どこに落ちるかを確かめるとしよう」となり、表か裏か、吉と出るか凶と出るかと運を天に任せているようにも受け取れました。

ライヴ映像もお楽しみください。


こちらは近年のパフォーマンス。2005年にリリースされたDVDからの映像と思われます。


これはいつ頃のものかよく分かりません。貼付けが出来ないので下記のURLをクリックしてご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=y6NVZRepPFs

哀愁を帯びたギターのイントロで始まり、効果的なストリングスが涙を誘うような「Never Letting Go」。愛する人への思いが滲み出た内容の歌です。


アート・ガーファンクルがバック・ヴォーカルで参加した「Careless」。不用意な言動で恋人の心を傷つけてしまったことを後悔する歌です。


大恐慌の時代に絡めた人生の興亡を背景にして昔の恋人のことを思い出す「Madge」。1985年のライヴ映像をご覧ください。


通りで催されるパレードで浮かれる人々。気に入った女性を手放すなと母親にアドバイスされる青年。そんなのどかな光景が描写され、自国の中にある異国情緒を味わうような「Little Italy」。


恋人にすがる思いを打ち明ける曲のようですが、大人のドラマと言った風情が醸し出された「One More Night」。切々と歌われるところが心に滲みます。"There's a man at the train stop / with tears in his eyes / It reminds me of so long ago / when I was able to cry / Now I'm strong / Slip away and laugh along / with anyone who needs someone blue(停車場に一人の男がいた/その目を泣き濡らしながら/俺は遥か昔を思い出した/泣くことの出来た頃を/今では俺は強くなって/笑い飛ばしながら通り過ぎる/人には悲しみがつきまとうものだ)" というくだりが印象的。


エリック・クラプトンのギターがほどよく唸る「Save It for a Rainy Day」。印象的なバック・コーラスはチャカ・カーンです。ブラス・セクションも効果的。
クラプトンはスティーヴン・ビショップのソング・ライターの魅力に惹かれて参加を買って出て、男心に男が惚れたのかどうかよく分かりませんが、その後もビッシュのレコーディングに付き合っています。


2007年に発表された『Saudade』収録のアコースティック・ヴァージョン。こちらのギター・ソロもエリック・クラプトンが弾いていました。


近年のライヴ映像です。


洒落たサウンドに甘い歌声。都会的なユーモアとほろ苦いペーソス。スティーヴン・ビショップが紡ぎ出す音楽はAORブームに後押しされて確固たる地位を築きました。順調にアルバムを発表する傍ら次第に映画音楽を手掛けるようになり、ジョン・ベルーシ主演、ジョン・ランディス監督作品『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラス主演『The China Syndrome』(1979年公開)、ダスティン・ホフマン主演『Tootsie』(1982年公開)、ミハイル・バリシ二コフ主演『White Nights』(1986年公開)などのサウンド・トラック盤に楽曲を提供。彼自身も俳優としてジョン・ランディス監督作品『The Kentucky Fried Movie』(1977年公開)、『National Lampoon's Animal House』(1978年公開)、『The Blues Brothers』(1980年公開)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『Twilight Zone』(1983年公開)などの映画にも出演しています。

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Claudine Longet - CLAUDINE

今回は1967年に発表されたクロディーヌ・ロンジェのデヴュー・アルバム『Claudine』を取り上げます。

クロディーヌクロディーヌ
(2002/02/06)
クロディーヌ・ロンジェ

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1. A Man And A Woman
2. Here, There And Everywhere
3. Meditation
4. Tu As Beau Sourire
5. A Felicidade
6. Wanderlove
7. Hello, Hello
8. Sunrise, Sunset
9. Until It's Time For You To Go
10. My Guy

クロディーヌ・ロンジェの略歴についてはお手数ですが、サード・アルバム『LOVE IS BLUE』の記事を参照してください。順序が逆になってしまったようで誠に申し訳ございません。

当時の夫であるアンディ・ウィリアムスとハーブ・アルパート(トランペット奏者でティファナ・ブラスのリーダー。A&Mレコードの設立者のひとりでもある)の勧めもあってA&Mからデヴューすることになったクロディーヌ・ロンジェ。A&Mの名プロデューサーだったトニー・リプーマと看板アレンジャーのニック・デカロという才人に支えられ、クロディーヌのウィスパリング・ヴォイスと称される魅惑的な歌唱が大人のリスナーの支持を得て行きます。ボサノヴァとフレンチ・ポップとアメリカン・ポップスが融合したようなお洒落なサウンドの詰まったファースト・アルバム『CLAUDINE』(1967年発表)は全米11位を記録しました。

1964年に発表されたスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの共演作『Getz/Gilberto』の中で、ジョアンの当時の妻であるアストラッド・ジルベルトが英語で歌った「The Girl from Ipanema」がアメリカで大ヒットを収めました。この頃のアメリカはボサノヴァのブームがわき起こっており、キャノンボール・アダレイの『Cannonball's Bossa Nova』(1962)やポール・ウィンターの『Jazz Meets The Bossa Nova』(1962)など他のジャズのミュージシャンもボサノヴァに特化したアルバムをリリースしていますし、1965年にはセルジオ・メンデスもアメリカに活動の場を移しています。
トニー・リプーマにしてもニック・デカロにしても、フレンチ・ポップやボサノヴァは本来専門外かと思われます。音楽の魔術師と言っても良い彼らはたんにブームに便乗したわけではなく、クロディーヌ・ロンジェのフランス語訛りの英語で囁くような歌声がボサノヴァの雰囲気とよく合うと感じたのでしょう。
でも、決してボサノヴァやフレンチ・ポップに偏らず、クロディーヌ・ロンジェのファースト・アルバムの選曲はヴァラエティに富み、様々なジャンルの楽曲が収録されていました。

それではアルバムから何曲か紹介します。まず、アントニオ・カルロス・ジョビン作のボサノヴァ・ナンバー「Meditation」。アルバムのリリースに先立ってシングル盤として1966年秋にシングル発売された曲で、クロディーヌ・ロンジェが出演したドラマ『Run For Your Life』の主題歌として使われていました。クロディーヌの囁くような歌声がボサノヴァの淡い曲調によく似合っています。


前半はフランス語で歌われておりますので、英語の部分だけの訳詞を掲載しておきます。

MEDITATION (Meditacao)
あなたをとても愛している
私はそれで十分
あなたを待ち続けるわ
空から太陽が落ちてなくなるまで
他に何ができるっていうの
あなたを待ち続ける以外に

あなたが私のもとに戻って来たときの
素敵な生活を思いながら
私は待ち続けるわ
甘い生活を思いながら
あなたが私のもとに戻って来たときの
あなたが戻って来たときの

アストラッド・ジルベルトのヴァージョンは『The Astrud Gilberto Album』 (1965年発表) に収録。アントニオ・カルロス・ジョビンもギターで参加していました。アストラッドの声も甘くアンニュイで透明感がありますが、クロディーヌよりも声質が太く、違った表現力が窺えます。


シタールの音色とストリングスが効果的に使われた「Wanderlove」。1968年に発表した「Classical Gas」というインストゥルメンタル・ナンバーが全米2位を記録し、作曲家、ギタリスト、作家、写真家と多方面で活躍するメイソン・ウィリアムズの作品です。


ラヴィン・スプーンフルの弟分として知られるソップウィズ・キャメルのヒット曲「Hello, Hello」。


ソップウィズ・キャメルのオリジナル・ヴァージョンです。


最後にもう1曲、バフィー・セント・メリー作の「Until It's Time For You To Go」。クロディーヌのフランス訛り英語による台詞が印象的です。バフィ・セント・メリーのオリジナル・ヴァージョンは『Many a Mile』(1965年発表) に収録。多数のアーティストによって取り上げられている曲で、クローディーヌ・ロンジェ『Claudine』 (1967) 、イーヴィ・サンズ『Any Way That You Want Me』(1968)、バーブラ・ストライザンド『What About Today? 』(1969) 、ニール・ダイヤモンドTouching You, Touching Me (1969)、ロバータ・フラック『Chapter Two』 (1970) 、フランソワーズ・アルディ『If You Listen』(1972)、アンディ・ウィリアムス『Love Theme from The Godfather』 (1972) 、 エルヴィス・プレスリー『Elvis Now』 (1972)、ウィリー・ネルソン『City of New Orleans 』(1984) などこの曲が収録されたアルバムは枚挙に暇がありません。


フランソワーズ・アルディのヴァージョンです。


他にもフランス映画『Un homme et une femme(男と女)』(1966年公開)のテーマ曲、『A Man And A Woman』、ザ・ビートルズのナンバー「Here, There And Everywhere」、アントニオ・カルロス・ジョビンによるボサノヴァ 作品でフランス・ブラジル・イタリア合作映画『Orfeu Negro黒いオルフェ』のテーマ曲『A Felicidade』、古いシャンソン「Tu As Beau Sourite」、ミュージカル「Fiddler on the Roof(屋根の上のヴァイオリン弾き)」(1964年初演)でお馴染みの「Sunrise, Sunset」、スモーキー・ロビンソン作でメアリー・ウェルズが歌ったモータウン・サウンド「My Guy」(1964)など興味深い作品が並んでいました。

今回の記事のボーナス・トラックとしてもう2曲紹介します。
橋本淳先生作詞、筒美京平先生作曲による「Love In The Picture」。クロディーヌ・ロンジェのために書かれた曲で、1971年にリリースされた日本編集のベスト盤に収録されていました。私は邦楽に疎いのでよく分かりませんが、日本ではいしだあゆみさんが「絵本の中で」というタイトルで歌っていたそうです。


有名な「五木の子守唄」も録音していました。


MASAさんが、ブログの記事の中でご自分のコレクションであるクロディーヌ・ロンジェのLPを公開されておられました。ご覧くだされば幸いです。

ザ・ビートルズのナンバー、「Here, There And Everywhere」を追加しました。まるで鼻歌を歌っているようなさりげなさに好感を持てます。

Crosby, Stills & Nash - DAYLIGHT AGAIN

今回はクロスビー、スティルス&ナッシュのアルバムの中でもあまり言及されることのないアルバム『DAYLIGHT AGAIN』を取り上げます。アルバムは1982年にリリースされ全米8位を記録。シングル・カットされた「Wasted On The Way」も9位まで上昇したにもかかわらず過小評価されている嫌いがあります。

デイライト・アゲインデイライト・アゲイン
(2008/01/23)
クロスビー、スティルス&ナッシュ

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1. Turn Your Back On Love
2. Wasted on the Way
3. Southern Cross
4. Into the Darkness
5. Delta
6. Since I Met You
7. Too Much Love To Hide
8. Song For Susan
9. You Are Alive
10. Might As Well Have A Good Time
11. Daylight Again
12. Raise A Voice (Bonus Tracks)
13. Feel Your Love (Bonus Tracks)
14. Tomorrow is Another Day (Bonus Tracks)
15. Might As Well Have A Good Time (Bonus Tracks)

1977年のリユニオン・アルバム『CSN』(全米2位)を発表した後のクロスビー、スティルス&ナッシュはそれぞれの道を歩んでいました。スティーヴン・スティルスは78年に『Thoroughfare Gap』、グラハム・ナッシュは80年に『Earth & sky』をリリースする一方で、ディヴィッド・クロスビーはドラッグ中毒に苛まれて活動がままならずの状況。この間三人が一堂に会したのは79年の『No Nukes Concert』のステージのみです。

1980年、アトランティック・レコードとの契約が残っていたスティルスとナッシュはなかなか本調子に戻らないクロスビーに業を煮やし、『スティルス&ナッシュ』としてアルバムをレコーディングし始めます。しかし、アトランティック側は三人名義でないと市場にアピールする力に欠けるという趣旨でクロスビーの参加を要請。会社の意向には抵抗できず、彼らは数曲を除いてクロスビー抜きで録音し、アート・ガーファンクルやティモシー・シュミットらがハーモニー・ワークの穴を埋めていました。
サウンド的には従来の持ち味を踏襲した作りになっていますが、ギターにエフェクト処理が施されたり、コーラスがダブル・トラックで録音されていたりと当時の新しいレコーディング技術が発揮された面も窺えます。音楽評論家の亀渕昭信先生(ニッポン放送元代表取締役社長)は『ミュージック・マガジン』1982年8月号において、「彼らのノスタルジックな感覚が今の音楽状況の中では新鮮に感じられる」との趣旨を述べられていました。ファンのイメージの中にあるCS&Nのサウンドを前面に出しつつも、隠し味が巧みに仕込まれていたことが成功の要因だったのかもしれません。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。オープニング・ナンバーはスティルス、ナッシュ、そしてこのアルバムでもスティルスの片腕としてギターを弾いているマイケル・スタージスの共作、「Turn Your Back On Love」です。アルバム発表後のライヴ映像ですので、虚ろな眼差しながらもクロスビーに復調の気配が窺えました。


続いて、どことなく「Teach Your Children」を連想させるようなグラハム・ナッシュ作の「Wasted on the Way」。"So much time to make up / Everywhere you turn / Time we have wasted on the way"(どこを向いても埋め合わせるための時間が多くある/我々がずっと無駄にしてきた時間が)と歌われる歌詞はまるで再結成までの経緯と道程を語っているかのようです。また、リスナーにとっても人生経験の中で何かと思いあたることがあるような言葉であり、それ故に共感を呼んでヒットに繋がったのかもしれません。1982年のライヴ映像でお楽しみください。


こちらは1990年のライヴ映像。クロスビーもどうにか正気を取り戻している模様です。


こちらもシングル・カットされて全米18位と健闘したスティルス、リチャード・カーティス、マイケル・カーティス共作の「Southern Cross」。スティルスお得意のラテン・フレーバーが加えられたサザン・ロック風の雰囲気が漂う曲です。ハーモニーを付けているのはティム・シュミット。
この曲はスティルスがヴェロニク・サンソンとの離婚後に出た船旅で悟った話をもとにしているらしく、彼曰く「人は万物の力を借りて心の傷を癒していく」そうです。"You will survive being bested / Somebody fine / Will come along Make me forget about loving you/ In the Southern Cross"(君は出し抜かれながらもうまく生き延びるだろう/素敵な誰かがふと現れて君を愛していたことなど忘れさせてくれる/南十字星のもとで)という皮肉な歌詞で締めくくられていました。


1982年のライヴ映像です。


1985年の「Live Aid」出演時の映像です。


デヴィッド・クロスビー作の「Delta」。この映像からはほぼ完全復帰のような姿が映し出されているのですが・・・・・・。でも、視点の定まらないような目つきはやっぱりちょっと危なっかしい気もします。
ボックス・セット『CSN』のライナーには「ジャクソン・ブラウンが私をウォーレン・ジヴォンの家に連れて行って「Delta」を作らせた。私がドラッグを吸いたいと懇願しても彼は聞き入れず、曲が完成するまで私をピアノの前から離そうとしなかった。ジャクソン・ブラウンには感謝する」といった趣旨の言葉が書かれていました。


この「Might As Well Have A Good Time」はクロスビーのソロ・アルバムのためにクレイグ・ダーギ、ジュディ・ヘンスキ夫妻が書き下ろした曲です。再三申し上げているようにクロスビーはドラッグで心身ともに不調に陥り、1981年にレコーディングが完了していたもののソロ・アルバムの発売はキャンセルされました。ようやくCS&Nの再結成アルバムで陽の目を見ることになったこのヴァージョンはその時のものではなく、改めて録音されたものと思われます。ピアノはクレイグ・ダーギ、オルガンはマイク・フィニガンが弾いていました。体調の悪化を押して切々と歌うクロスビーの歌声に胸が打たれます。


最後はスティルス作の「Daylight Again」。スティルスの話ではもともと「Find Cost Of Freedom」の序章として書かれたが、「再び夜明けが訪れ/ベッドまで私を追いかけて来る」という部分しか思い浮かぶままに忘却の彼方になっていた曲だそうです。
このライヴ映像ではステージに立つ彼らの背後に南北戦争と思しき戦場の情景が描かれています。マナサス時代にステージで演奏していた時、突然南北戦争の戦場で折り重なる死体の姿が目に浮かび、歌詞が自然に溢れ出たとスティルスは前述のボックス・セットのライナーで述懐していました。そして、「我々は戦争に負けたのだ。人種差別はまだ残っている」と付け加えています。
なお、アルバムではアート・ガーファンクルがハーモニーを付けていました。


DAYLIGHT AGAIN
再び夜明けが訪れ
ベッドまで私を追いかけて来る
百年前に私の父なる人々が
どのようにして血を流したのかを考えている

青い色の骨で覆われた谷間が
見えるような気がする
勇敢な兵士たちが年を取ることが出来ぬまま
人々の消息を尋ねている

ハルマゲドンの方角から
過去が呼びかけているのが聞こえる
誰もが話をしていて
耳を傾けている者などいないのに
我々が決定を下すなど出来ようか

我々は地中に埋められた
自由の代償を見つけ出すのだろうか
母なる大地が人々を飲み込むだろう
身体を横たえるんだ

アンコールはニール・ヤングさんにも友情出演していただき、もう一度この曲を演奏してもらいましょう。


ALZO - Alzo

今回はkofnさんのブログの記事に被せるようで誠に恐縮ですが、アルゾが1971年に発表したアルバム『Alzo』を取り上げます。

アルゾアルゾ
(2003/12/17)
アルゾ

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1. Country
2. Don't Ask Me Why
3. Without You Girl
4. Looks Like Rain
5. Some People
6. Just Can't Get Along
7. That's Alright (I Don't Mind It)
8. Sometimes
9. You Know Me, I Know You
10. Sweet And Salty Stuff
11. You're Gone
12. Lookin' For You

アルゾことアルゾ・フロンテ(本名アルフレッド・アフランティ)はニューヨーク出身。写真家の父、バレー・ダンサーでピアノ教師、ソングライターでもあった母の元に生まれました。クリィティヴな環境に育ったせいか、少年期にはチャック・ベリーのロックン・ロールやドゥーワップに関心を示していたとのことです。
思春期になると、彼はマイルス・ディヴィスやキャノンボール・アダレイといったジャズに興味を惹かれるようになります。また、この頃には打楽器を弾き始めるとともに、父親の手ほどきでギター演奏を覚えていました。
1960年代初期から半ばにかけてアルゾは友人とデュオを組み、ドゥーワップ・ソングを主なレパートリーとしてグリニッジ・ヴィレッジのクラブに出演するようになります。そこでリッチー・ヘヴンスやホセ・フェリシアーノらと出逢い、親交を深めて行きました。
その後、アルゾはデュオを解消し、新たにインサニティーズというグループを結成します。そのメンバーの一人だったのが後にデュオを組むユーディーンでした。彼らはクラブを中心に活動し、やがてジェフ・バリーの目に留まることになります。ジェフ・バリーはエリー・グリニッチとのコンビでロネッツの「Be My Baby」を始めとするヒット曲を書いたことで知られるソングライター兼プロデューサーでした。彼は当時、Steedというレーベルを立ち上げたばかりで新人アーティストを探していたのです。
1967年にデヴュー・シングル「And I don't want Your Love」を発表するもののグループは短命に終わりました。第2弾シングル「Sitting In The Park」では既にアルゾ&ユーディン名義になっています。
デュオなった二人は活動を継続。1968年にはマーキューリー・レコードと契約し、4枚のシングルとアルバム『C'mon And Join Us!』をリリースしました。しかし、売り上げは芳しくなくデュオは解消に追い込まれました。
アルゾはソロとなり、放送用機材や録音用テープのメーカーとして有名なアンペックス社の音楽部門であるアンペックス・レコードと契約。ボブ・ドロウをプロデューサーに迎えてアルバムを制作します。ボブ・ドロウはジャズ・ピアニスト/ヴォーカリストであり、アレンジャー兼プロデューサーとしても知られる人。ソフト・ロックのグループ、スパンキー&アワ・ギャングのアルバム『Like to Get to Know You』(1968年発表)のプロデュースで実績を残していました。蛇足ながらこのアルバムにはレナード・コーエンの「Suzanne」やマーゴ・ガーヤンの「Sunday Morning」が収録されています。





閑話休題。アルゾのソロ・デヴュー作『Looking For You』は1971年に発表されました。彼の優しく透き通った歌声と自らが弾く12弦アコースティック・ギターの音色がフィーチャーされ、洗練されたジャズのフィーリング、ラテン及びブラジリアン・テイスト、ソウルフルな香りが漂う仕上がり具合になっています。
しかし、アルバムの発売直後にアンペックスがレコード部門を閉鎖。その後のサポートが得られず、アルゾは生活のために音楽界から身を引く覚悟をします。ところが捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったもので、ベル・レコードがアルゾ獲得に名乗りを上げて契約成立。アルバム『Looking For You』は『Alzo』と改題して再発売され、ボブ・ドロウのプロデュースでセカンド・アルバムのレコーディングも完了しました。
捲土重来を期し、チャンスをつかみかけたアルゾでしたが、またも彼に不運が襲いかかります。ベル・レコードがアリスタに吸収され、契約も白紙となりました。アルゾはめげずに活動を続け、1975年にA&Mからシングル「Sunday Kind Of Love」をリリースするも不発。引退を余儀なくされました。プロのミュージシャンの宿命であり当然の流れとはいえ、音楽ビジネスの非常や理不尽さに釈然としないものを覚え、彼の紆余曲折の人生にやりきれないものを感じます。

それではアルバムから2曲紹介します。まず、ギターのイントロが流麗な「Don't Ask Me Why」。情感のこもったファルセットが心地よく、瑞々しさをたたえています。


アルゾ本人によって幾重にも重ねられた繊細なコーラスが印象的な「Looks Like Rain」。季節を前に押し上げるような暖かさを運ぶ春先の雨の日に似合う曲です。


LOOKS LIKE RAIN
一人きりでいると時々
こんな気分になってしまう
何かがしっかりと膨らんでいく

何かが起こる
ついてない日のように思える
何かが起こるんだ

雨になりそうだ
雨になりそうだ
雨になりそうだ
雨になりそうだ

時々家路をたどるうちに
俺は不思議に思うことがある
どうして一人で歩いているんだろう

何かが始まる
ついてない日のように思える
何かが始まる

雨よ 俺をがっかりさせないでくれ
俺は恋人と一緒にいたいんだ
雨が降っても楽しめるから
避難する必要なんてないさ
でも きっと寄り添いながら気がつくだろう
この天気を楽しもうってことを

歴史や人生に "If" は禁物かもしれませんが、所属レコード会社のトラブルに巻き込まれなかったらと思うと残念でなりません。また、彼が紡ぎ出した音楽は内省的な手触りを持つシンガー・ソング・ライターが台頭し始めた1970年代初頭にはそぐわなかったのでしょうか。アコースティック・ギター一本でも洗練されたジャズ、躍動するラテン、ファンキーに弾けるR&Bなどの幅広い要素が嗅ぎ取れるジェームズ・テイラーが大きな支持を得たように、アルゾにも成功する機会はあったと思われます。
その後のアルゾはロング・アイランドで家具店を経営しながら再びチャンスが訪れるのを待っていました。しかし、女神が彼に微笑みことなく、2004年2月1日に心臓発作のため帰らぬ人となっています。

Carly Simon - Have You Seen Me Lately?

今回もPurple_Hazeさんのブログの記事に被せるようで申し訳ないのですが、カーリー・サイモンに登場していただくことにしました。取り上げるアルバムは1990年9月25日にリリースされた『Have You Seen Me Lately?』です。

Have You Seen Me Lately?Have You Seen Me Lately?
(1992/08/10)
Carly Simon

商品詳細を見る

1. Better Not Tell Her
2. Didn't I
3. Have You Seen Me Lately?
4. Life Is Eternal
5. Waiting at the Gate
6. Happy Birthday
7. Holding Me Tonight
8. It's Not Like Them
9. Don't Wrap It Up
10. Fisherman's Song
11. We Just Got Here

カーリー・サイモンというと1970年代に活躍したイメージが強いようですが、現在に至まで秀逸な作品を送り出し、現在もコンスタンスな活動を続けています。1979年の『Spy』を最後にエレクトラを離れ、エピックから三枚のアルバムをリリース。1987年にはアリスタ移籍第一弾として発表した『Coming Round Again』が全米25位までの上昇だったにもかかわらずじわじわと売れ続けて翌88年にはプラチナ・ディスクに認定され、1989年にはメラニー・グリフィス、ハリソン・フォード主演の映画『Working Girl』(1988年公開)の主題歌「Let The River Run」を歌ってアカデミー歌曲賞を獲得するなどの活躍をみせました。
カーリー・サイモンの歌には私小説的な内容よりも奔放なロマンスやフェミニズムを扱ったものが多く、女性特有の感性で現実をしっかり見つめる誠実さが感じ取れます。今回取り上げた『Have You Seen Me Lately?』にもその傾向が窺われ、ちょっと突き放したようなクールな視点で対象が描写されていました。ややハスキーながらも明るく清楚な印象が受け取れる独特の歌声も存在感を示しています。

それではアルバムから何曲か紹介します。まず「Better Not Tell Her」。


こちらはプロモーション映像のようです。


BETTER NOT TELL HER
私があなたの恋人だったって言わないほうがいいわ
私のことで嫉妬させないほうがいいもの
私たちの間には何もなかったと納得させたほうがいい
あなたの日記に書いてあるイニシャルは私じゃない
でももし口を滑らして私の名前を言ってしまったら
私のことを知らないなんてとぼけちゃだめよ
白夜のことは放っておくのね
あなたの窓辺に映った月も
あなたの囁きで私たちの関係があらわになることも
その後に交わした約束も

あなたがスペインのダンスが好きな理由を
彼女に言わないほうがいいわ
マドリッドの夏は熱いなんて
わざわざ口に出しちゃだめよ
そのままにしておいて
ロウソクの炎から漂う煙のように
風の中で聴いた歌の痕跡のように
白夜のことは放っておくのね
あなたの窓辺に映った月も
あなたの囁きで私たちの関係があらわになることも
その後に交わした約束も

涙も笑いもそっとしておきましょう
彼女は知らなくていい
あなたが去った時に私が泣いたことも
今でもあなたのことを思っているってことも

白夜のことは放っておくのね
あなたの窓辺に映った月も
あなたの囁きで私たちの関係があらわになることも
その後に交わした約束も
涙も笑いもそっとしておきましょう
彼女は知らなくていい
命をかけてあなたをあいしたことも
今でもあなたを愛しているってことも

続いて、「生命は永遠/愛は不滅/死は一時の地平線」と歌われる「Life Is Eternal」。


1991年のライヴ映像


最後に「Holding Me Tonight」。抑制して割と淡々と歌っていますが、奔放で情熱的な内容のラヴ・ソングです。


1990年にTVショーへ出演した時の映像のようです。


この他にもシンプルでキュートなバラード、「Didn't It?」、ジュディ・コリンズと実姉のルーシー・サイモンが参加した「Fisherman's Song」、ブルース・サミュエルズのウッド・ベースが効果的に使われたフォーキーな味わいのある「We Just Get Here」など佳作揃いでした。

Linda Ronstadt - WINTER LIGHT

春を思わす雨が降り注ぎましたが、まだまだ寒い日が続くようなので心暖まる1枚を取り上げることにしました。今回ご登場を願う方はリンダ・ロンシュタット。彼女が1993年に発表したアルバム『WINTER LIGHT』について少しばかり述べることにします。

Winter LightWinter Light
(1993/11/23)
Linda Ronstadt

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1. Heartbeats Accelerating
2. Do What You Gotta Do
3. Anyone Who Had a Heart
4. Don't Talk (Put Your Head on My Shoulder)
5. Oh No, Not My Baby
6. It's Too Soon to Know
7. I Just Don't Know What to Do With Myself
8. River for Him
9. Adonde Voy
10. You Can't Treat the Wrong Man Right
11. Winter Light

全米7位を記録した1989年の『Cry Like A Rainstorm, Howl Like The Wind 』以来、『Mas Canciones』、『Frenesi 』とスペイン語で歌ったメキシコ歌集を立て続けにリリースしていましたが、これは久々のポップ・アルバム。ジミー・ウェブ、アンナ・マッガリグルといったお馴染みのアーティストの楽曲に加えて、お得意のオールディーズ作品、ビーチ・ボーイズやバート・バカラックのナンバーなどが花を添えていました。
かつてのように情熱に任せるだけでなく、ある時は情感豊かに、ある時は抑制を利かせてしっとりと歌い込むリンダの変幻自在なヴォーカル・パフォーマンス。そんな彼女の歌声をシンセサイザーの効果的な響きが支えています。
これまでリンダが発表してきたアルバムと比べると、少々地味な印象は拭えません。しかし、曲によって様々な表情を窺わせる表現力の豊かさ、決して古さを感じさせない新鮮さが、寒空の中に煌めく一筋の光のように受け取れました。
プロデュースはリンダ自身とジョージ・メッセンバーグ。気心の知れたラス・カンケル(ドラムス)とリー・スクラー(ベース)が殆どの曲に参加していました。キー・ボードを担当しているロビー・ブキャナンはピーボ・ブライソン&レジーナ・ベルが歌って全米1位を記録したディズニーのアニメーション映画『Araddin'』(1992年公開)のテーマ曲「A Whole New World」のアレンジで知られる人。このアルバムでも存在感を示しています。

それではアルバムの中から何曲か紹介しましょう。オープニング・ナンバーはケイト&アンナ・マッガリグル姉妹のアンナが書いた「Heartbeats Accelerating」。ヴァレリー・カーターとのツイン・ヴォーカルの対比がアンナ・マッガリグル独特のメロディー・ラインを際立たせています。


HEARTBEATS ACCELERATING
愛よ 愛よ いったいどこにいるの?
私を探して外にいるの?
愛よ 愛よ いったいどこにいるの?
私は待っているのよ
動悸が激しくなっていく

すべてが静まったら来てくれるの?
川からか 丘からか
愛よ 愛よ いったいどこにいるの?
私は待っているのよ
動悸が激しくなっていく

土曜の夜に来てくれる?
たぶんその頃がちょうどいい時間
愛よ 愛よ いったいどこにいるの?
私は待っているのよ
動悸が激しくなっていく

私の部屋に忍び込んだら
あなたはこの世のどんな姿を身にまとうの?
愛よ 愛よ いったいどこにいるの?
私は待っているのよ
動悸が激しくなっていく

ケイト&アンナ・マッガリグルのヴァージョンです。1990年リリースのアルバム『HEARTBEATS ACCELERATING』に収録されていました。あくまでもイメージ映像ですので、踊っている人はケイトさんでもアンナさんでもありません。


大変失礼しました。ご本人たちが演奏する映像をご覧ください。


続いて、「Do What You Gotta Do」。画質、音声ともに良くないうえに、途中で切れてしまい恐縮です。2004年のライヴ映像で、歌う姿に貫禄、もとい風格が出ていました。この曲はジミー・ウェブのペンによるもので、これまでにも数多くのアーティストが取り上げています。


個性的な歌声で知られるジャズ・シンガー、ニーナ・シモンのヴァージョン。ジャンルに捕われることなく幅広い音楽性を持ち、黒人公民権運動にも参加するなど精力的な活動をした人です。1967年発表の『Nuff Said! 』に収録。


1960年代に活躍したR&Bコーラス・グループ、フォー・トップスのヴァージョン。1969年発表の『The Four Tops Now』に収録。


この他、ジョニー・リヴァース(1967年発表の『Rewind』に収録)、B.J.トーマス(1970年発表のRaindrops Keep Fallin' On My Head』に収録)、ロバータ・フラック(1970年発表の『Chapter Two』に収録)、グレン・キャンベル(1985年発表の『It's Just A Matter Of Time』に収録)などが取り上げていました。

キャロル・キング作の「 Oh No, Not My Baby」。リンダの魅力が存分に発揮されたような仕上がりです。


ロンドン出身のブルー・アイド・ソウル・シンガー、ダスティ・スプリングフィールドのヴァージョン。1965年発表の『Ev'rythings Coming Up Dusty』に収録されていました。


グラミー賞とアカデミー賞を獲得したことで有名なアメリカの歌手兼女優、シェールのヴァージョンは1992年リリースの『Greatest Hits: 1965-1992』に収録。


最後にキャロル・キングのセルフ・カヴァー・ヴァージョンをお聴きください。1980年リリースの『Pearls』に収録されていました。


もともとは1947年に書かれたスタンダード・ナンバー、「It's Too Soon to Know」。ノスタルジックな雰囲気が心に染み入ります。


「Love Letters In The Sand(砂に書いたラブレター)」や「April Love(四月の恋)」などのヒットで知られるパット・ブーンのヴァージョンは1958年にリリースされ、全米11位、全英7位を記録しています。


盟友エミルー・ハリス作の「River for Him」。彼女のオリジナル・ヴァージョンは1988年の『Bluebird』に収録。


リンダ・ロンシュタット、エリック・カズ、Z. Preisnerの共作曲「Winter Light」。リンダのファルセット・ヴォイスが心地よく響きます。ヴァレリー・カーターがバック・ヴォーカルで参加。心が洗われるような歌声に、アンデルセン作の童話『雪の女王』を連想させる幻想と気品が感じ取れました。


イギリスのソプラノ歌手でありミュージカル女優でもあるサラ・ブライトマンのカヴァー・ヴァージョン。2001年発表のアルバム『CLASSICS』に収録。


前述のように、他にもビーチ・ボーイズの「Don't Talk」(1966年発表の『PET SOUNDS』に収録)、バート・バカラックの「Anyone Who Had A Heart」、「I Just Don't Know What To Do With Myself」、スペイン語で歌われるティッシュ・イノホーサ作の「Adonde Voy」(1989年発表の『Homeland』に収録)などが収められており、秀逸な選曲がなされたアルバムでした。

Jackson Browne - The Late Show

この冬の京都は雪の舞う日があったものの積もることがありませんでした。今さら雪だるまを作ったり雪合戦に興じる年齢でもなく、積雪はご免被りたいというのが本音です。ところが、今朝起きてみるとうっすらと雪化粧。すぐに溶けて流れる淡雪ならば交通機関に支障を来すこともなく、風情が感じられるといったところでしょうか。

さて、今回は拙ブログとリンクを結んでいただいているPurple_Hazeさんの記事に触発されてジャクソン・ブラウンに登場していただきました。取り上げる曲は「The Late Show」。1974年に発表された『Late For The Sky』に収録されていた曲です。

レイト・フォー・ザ・スカイレイト・フォー・ザ・スカイ
(2005/09/21)
ジャクソン・ブラウン

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1. Late for the Sky
2. Fountain of Sorrow
3. Farther On
4. The Late Show
5. Road and the Sky
6. For a Dancer
7. Walking Slow
8. Before the Deluge

マグリットの絵画を連想させる写真に黒い縁取りがされたジャケット。光と影が交錯する様子は「死と再生」がテーマとされるこのアルバムを象徴するものでした。さらに至福の状態を表す「空」と人生の苦悩の隠喩である「道」がイメージとしてアルバム全体に繰り返し登場し、これらはその後もジャクソン・ブラウンの作品を形作る重要な要素となっています。



THE LATE SHOW
皆が俺の幸運を祈ってくれる
本気かどうかは分からないけれど
たぶん「調子はどうだい?」ってぐらいのつもりなのだろう
そのほうが気を使わなくてすむからね
でもそんな時、君がどこかで真の友人に出逢えたなら
他人は突然いとも簡単に利用しようとする

ものごとをはっきりと受けとめることは難しい
完璧な愛を夢見ることなく
現実を期待して待っている
高潔な意志を持ち続けていても
知らない誰かに心を奪われるだろう
(たぶんね)
君と同じような寂しい人と会うかもしれない
(時々見えない)
彼は君に理解してもらおうと思っているかもしれない
(言葉がゆっくりと語られそう)
君自身が空しさを乗り越えられた時に
なぜ話し合おうとするのか
分からないと思ってしまうことだってある
俺はずっと以前にそんな気持ちを味わってきたぜ
(ずっと以前に)
もうそんな悪循環はたくさんだ
終わりが垣間見えるよ
なれ合うような付き合いもあるよと声が聞こえる
友だちを見つけられるまでは

人が笑う声と騒音の中で君を見つけた
君は兵隊や若い男たちと話していた
彼らが疲れた笑顔の君に向き合う間
俺ははっきり分かったんだ
今まで君のような瞳を持つ人を
求めていたってことを
(君のような瞳を持つ人を求めて)
そして今、君に何て言っていいのか分からず
座り込んでいる
(君にも分かったかもしれない)
言葉をかけて君を怖がらせてしまうのが嫌なんだ
(まやかしがふと出て来る)
誰も自分の気持ちを語ろうとしない
夢や笑い声で飾り立てることなしに
さもなければ俺には耐えられない

ほら 君は誰も住んでいない家の窓辺に立っている
俺はその向かい側の車の中にいる
(早い話が)
シヴォレーの古い型だ
(取りあえず)
暖かく風の強い日

君は悲しみを袋に詰める
明日はゴミ収集人がやって来る日
歩道の縁にそれを置き
俺たちは旅立とう

この歌は四つの場面で構成されていました。一幕目であまたにある口先だけの心ない関係よりも、ひとつの真の友情がどれだけ尊いかが語られ、二幕目はそんな友情に心を開く一方で、完璧な理想を追い求めることがどれだけ障害になっているかを悟ります。三幕目は賑やかな社交の場で理想の人を見つけながらも見つめるしかない状況が表され、第四幕で空しさが漂う家を出て、悲しい思い出を袋に詰めて街角のゴミ置き場に捨て去り、二人が新たな決意を持って旅立つという情景で幕が閉じられました。ドアの閉まる音とシヴォレーのエンジン音が印象的です。なお、三幕目の理想の女性はジャクソン・ブラウンの最初の妻フィリスだと思われ、二人の出会いのエピソードが描かれているようです。

理想の相手を追い求め、出逢った相手と恋愛関係に陥ったものの次第にお互いの心が離れて行き、現実を見つめ傷ついた挙げ句の果てに別々の道を歩むという経験をした人は少なくないと思います。思いの大小に関わらず。ジャクソン・ブラウンのこのアルバムには誰もが通過しなければならないこうした大人になることの重みが描かれており、そのことが人々の共感を呼び支持を集める所以となっているのでしょう。

この曲はLPではA面のラストである4曲目にあたります。Purple_Hazeさんがアルバムに収録された八曲が組曲のように統一された印象を持つとおっしゃるように、本来ならば恋愛関係の終末という深い悲しみの込められたタイトル曲「Late For The Sky」から順番に聴きながら展開を味わっていくのが正しいのかもしれません。

2008年のライヴ音源です。ブログへの貼り付けが無効ですので、下記のURLをクリックしてお聴きくだされば幸いです。
http://www.youtube.com/watch?v=lwkS-8rxEWc

音声、画像ともに難があり恐縮ですが、2009年8月2日のライヴ映像です。


Leonard Corhen - Bird on The Wire

今回は1969年に発表されたレナード・コーエンのセカンド・アルバム『SONGS FROM THE ROOM』の冒頭を飾る「Bird On The Wire」を取り上げてみたい。
ナッシュヴィルで録音されたこのアルバムはボブ・ディラン、ジョニー・キャッシュ、サイモン&ガーファンクルの作品で知られるボブ・ジョンストンがプロデュースにあたった。どの曲も語りかけるようなレナード・コーエンの低音の声に控えめなギター及びキーボード、効果的なストリングスが簡素に響く。聴いていると催眠術にかかったような錯覚を覚えた。

現代の吟遊詩人、レナード・コーエン(紙ジャケット仕様)現代の吟遊詩人、レナード・コーエン(紙ジャケット仕様)
(2007/06/20)
レナード・コーエン

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1. Bird on the Wire
2. Story Of Issac
3. A Bunch Of Lonesome Heroes
4. The Partisan
5. Seems So Long Ago, Nancy
6. The Old Revolution
7. The Butcher
8. You Know Who I Am
9. Lady Midnight
10. Tonight Will Be Fine
11. Like A Bird (Bird On The Wire)
12. Nothing To One (You Know Who I Am)



BIRD ON THE WIRE
電線の上の一羽の鳥のように
真夜中の聖歌隊の酔っぱらいのように
私は私のやり方で自由になろうとしたのだ
釣り針に付けた餌の虫のように
時代遅れの本の中の騎士のように
あなたのためにすべてのリボンをとっておいたのだ
もし私が不親切であったとしても
過ぎたることはなかったことにしてほしい
もし私が不忠実であったとしても
それはあなたに対しての態度ではなかったことを分かってほしい

死産の赤ん坊のように
角を持った獣のように
私は近づいて来たすべてのものを引き裂いたのだ
しかし私はこの歌にかけて誓う
私が犯したすべての過ちにかけて
あなたに対してすべてを償うということを
私は木の杖に寄りかかる浮浪者に会った
彼は言った、「そんなに多く求めてはいけない」
そして薄暗い色のドアーにもたれかかる美しい女が叫んだ
「さあもっと多く求めたらどうなの」

電線の上の一羽の鳥のように
真夜中の聖歌隊の酔っぱらいのように
私は私のやり方で自由になろうとしたのだ

ある日、レナード・コーエンが窓の外を眺めていると電話会社が電話線の設置工事を行っていて、張り終わったばかりの電話線に一羽の鳥がとまっているのが目に入って、この歌を思いついたという。
この歌は片思いに苦しむ孤独な男の心情を歌ったとされる。難解で訳の分からぬ比喩や隠喩の言葉が並ぶ。何をしても振り向いてもらえない痛々しさや悲しさが滲み出ているようだ。過ぎたることは忘れてくれないかと水に流すことを望んでも、覆水盆に返らずといったところか。浮浪者と美人は抑制と誘惑という心に起きた葛藤の喩えであろう。
しかし、この歌は決して恋愛事情だけを歌ったものととらえきれない。例えば、たいていの人は何らかの組織に属している。会社や学校のみならず、ボランティア団体、趣味のサークルに至るまで。
その組織の中で尽力し、上層部に認めてもらおうと努力したものの願い叶わず冷たい仕打ちが待っていたと置き換えることも出来よう。心身が傷ついた果てに、組織や社会に縛られず自由になりたいとふと思うのも十分頷けることだ。
2009年にリリースされた『Live In London』にはオークランドの公演を観られた三浦久先生の解説が掲載されている。そこには遅れて会場にやって来たインド人の若いカップルが、この「Bird On The Wire」を聴きのがし残念そうにしていたことや二人が学生時代にこの歌を聴いてコーエンのファンになったという内容のエピソードが記されていた。様々な解釈が成り立つが、自分なりのやり方で自由な解釈を巡らすのが良いのかもしれない。

1972年のライヴ・パフォーマンス。


歌声に深みが増した2009年発表の『Live In London』からの映像。


LIVE IN LONDON [DVD]LIVE IN LONDON [DVD]
(2009/06/24)
レナード・コーエン

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ジュディ・コリンズのライヴ映像。彼女は1968年発表の『Who Knows Where the Time Goes』で取り上げていた。


ジョニー・キャッシュのライヴ映像。彼のカヴァー・ヴァージョンは1994年発表の『American Recordings』に収録されていた。


ネヴィル・ブラザーズのカヴァー・ヴァージョン。1990年発表のアルバム『Brother's Keeper』に収録されている。ゴールディー・ホーン、メル・ギブソン、デヴィッド・キャラダインらが出演した映画『Bird On The Wire』(1990年公開)のテーマ曲としても使われた。


この他にもジョー・コッカー、ティム・ハーディン、ジェニファー・ウォーンズ、リタ・クーリッジ、サンディ・デニー(フェアポート・コンヴェンション)、ウィリー・ネルソン、K.D.ラングなど多くのアーティストによる秀逸なカヴァー・ヴァージョンがある。いつものような詳細は列記しない。追いかけることにつかれてしまったから。

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