好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Craig Fuller Eric Kaz

一旦激減したアクセス数を回復させることは容易なことではなく、FAB4の力をお借りしても思うように行きません。そこで、今回は開き直って自分の好きなアーティストを遠慮なく取り上げさせてもらうことにしました。

さて、本日はカントリー・ロック・バンドのピュア・プレイリー・リーグで活躍したクレイグ・フラーとシンガー・ソング・ライターのエリック・カズがデュオを組み、1978年に発表したアルバム、「CRAIG FULLER ERIC KAZ」をご紹介します。

クレイグ・フラー/エリック・カズ(紙ジャケット仕様)クレイグ・フラー/エリック・カズ(紙ジャケット仕様)
(2007/09/19)
クレイグ・フラー/エリック・カズクレイグ・フラー

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1. Feel That Way Again
2. Cry Like A Rainstorm
3. You Take A Heart
4. Let The Fire Burn All Night
5. 'Til You Come Back
6. Annabella
7. The Ways Of A Woman
8. Fool For You
9. Restless Sea
10. Annabella (Reprise)

クレイグ・フラーはピュア・プレイリー・リーグのオリジナル・メンバーで、バンドのレパートリーの殆どを手掛けていました。ところが、1972年にセカンド・アルバム、『Bustin' Out』をリリースした後にバンドを離れます。一説には徴兵を拒否したために代替活動を命ぜられて音楽活動の中断を余儀なくされたという話を耳にしましたが、定かではありません。
一方のエリック・カズはリンダ・ロンシュタットやボニー・レイットが歌った「Love Has No Pride」(リビー・タイタスとの共作)の作者として知られ、自身もアトランティックから2枚のアルバムをリリースしてしていました。また、もともとはニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジで活動していたキー・ボード奏者で、幾つかのバンドに加わったり、ハッピー&アーティー・トラウムと行動を共にしていたこともあります。
こんな経歴の二人の出会いはルー・リードマネージャーが仕掛人となってスティーヴ・カッツ(元ブルース・プロジェクト、元BS&T)、ダグ・ユール(元ヴェルヴェッド・アンダーグラウンド)らと共に行ったセッションの場だと言われています。豊富な経歴と独特の個性を持った4人は意気投合してアメリカン・フライヤーというバンドを結成し、ビートルズを手掛けたジョージ・マーティンをプロデューサーに迎えたアルバム『American Flyer』を1976年に発表して話題を集めました。しかし、大きな期待が寄せられたもののセールス的には芳しい成績を上げることが出来ず、翌1977年に『Spirit Of A Woman』を発表した後にバンドは消滅の道をたどります。

なお、アメリカン・フライヤーに関しては拙ブログとリンクを結んでいただいているPurple_Hazeさんのブログ「Blues Power」を参照していただければ幸いです。

そうした不運にもめげず、クレイグ・フラーとエリック・カズはデュオを組んで再びアルバムの制作に取り掛かりました。それが今回取り上げた『CRAIG FULLER ERIC KAZ』です。

それではアルバムの中から何曲か紹介します。まず、リンダ・ロンシュタットが1989年発表のアルバム、『Cry Like A Rainstorm, Howl Like The Wind』でカヴァーしていた「Cry Like A Rainstorm」。エリック・カズが書いた曲ですが、クレイグ・フラーがリード・ヴォーカルを取っていました。透明感に溢れた伸びのある優しい歌声が魅力的です。


エリック・カズ本人によるヴァージョンは1972年に発表された自身のアルバム『IF YOU'RE LONELY』の中に収録されています。少々か細い歌声ですが、バックの女性コーラスも手伝ってゴスペル的なフィーリングが表されていました。


こちらは前述のリンダ・ロンシュタットによるカヴァー・ヴァージョン。彼女の歌声にはしっとりとした大人の女性の艶っぽさが漂っているようです。ゴスペル風のコーラスが効果的に使われてスケールの大きな曲に仕上がっていました。


CRY LIKE A RAINSTORM
人生は容易いものではない 愛は永遠のものではない
人はただ苦難に耐え せわしなく動き続ける
私はハイウェイを降り 街の中に入って行った
私は気まぐれ 自由に旅して回る人
機嫌の良い時もあれば沈み込むときもある

どこに走れば良いのか
私がどのような罪を犯したというのか教えてくれないか
あなたが嵐のように泣き叫ぶ時
風のようにうめく時に
誰と一緒に出発し
どのように始めればいいのか教えてくれないか
あなたが嵐のように泣き叫ぶ時
風のようにうめく時に

思考は思い出の中に消え行く
思い出は私を解き放つ
すべての星が輝いても
私にはその光が見えないだろう

酷い寒さだし雨も降り続けている
街は土砂降りの中
私は気まぐれ 自由に旅して回る人
機嫌の良い時もあれば沈み込むときもある


人生の厳しさや恋愛の儚さといった現実の問題に突き当たり、悩みながらも答えを見つけ出せずにいる若者の心情が描かれています。こうした苦悩は誰もが青年期に経験する普遍的な事柄であるからこそ心に伝わって来るのでしょう。

続いて、クレイグ・フラーとエリック・カズの共作で、「Let The Fire Burn All Night」。リーランド・スクラー(ベース)、ラス・カンケル(ドラムス、パーカッション)、クレイグ・ダーギ(ピアノ)といったセクションの面々にダン・ダグモアー、スティーヴ・ルカサー(TOTO)といった腕達者のギタリストが絡み、J.D.サウザーがバック・ヴォーカルで参加しています。当時のウエスト・コースト・サウンドを表現するかの如く、ルーズな雰囲気が心地よく響きました。
なお、このアルバムに収録された「Feel That Way Again」、「'Til You Come Back」にはリア・カンケル、「Fool For You」にはマイケル・マクドナルド、「Restless Sea」にはレオ・セイヤーらがバック・ボーカルで参加しています。



もう1曲お聴きください。エリック・カズのヴォーカルによる「The Ways Of A Woman」。自身の弾くピアノで始まり、流麗で躍動感のあるストリングス、控えめなダン・ダグモアーによるスティール・ギターが効果的に使われていました。歌詞の中で「近頃じゃ女が自由になるのが流行だが、でも俺はこんなにずっと恋人のことで心を痛めているのさ」と歌われる部分が切なく、また、1970年代から80年代の社会背景を映し出しているように思えます。



1988年、クレイグ・フラーはローウェル・ジョージの後任としてリトル・フィートに加入しましたが、93年に脱退し、近年は古巣のピュア・プレイリー・リーグに復帰して活躍中。かたやエリック・カズは2002年にサード・アルバム『1000 years of sorrow』を発表し、現在もマイ・ペースでソロ活動を続けています。

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The Beatles - Martha My Dear

ビートルズの連続記事を止めたとたんにアクセス数が激減してしまいました。起死回生のために今回はビートルズの楽曲を取り上げます。
アクセス数が多かろうと少なかろうと金品をいただけるわけでもなく、ましてや命を持って行かれることなどありません。ただ、多くの人々にブログを見ていただけることは励みになるものです。
さて、本日のお題は「Martha My Dear」。『The BEATLES』(通称ホワイト・アルバム)に収録されていた楽曲です。

ザ・ビートルズザ・ビートルズ
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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Disc:1
1. Back in the U.S.S.R.
2. Dear Prudence
3. Glass Onion
4. Ob-La-Di, Ob-La-Da
5. Wild Honey Pie
6. Continuing Story of Bungalow Bill
7. While My Guitar Gentley Weeps
8. Happiness Is a Warm Gun
9. Martha My Dear
10. I'm So Tired
11. Blackbird
12. Piggies
13. Rocky Raccoon
14. Don't Pass Me By
15. Why Don't We Do It in the Road?
16. I Will
17. Julia
Disc:2
1. Birthday
2. Yer Blues
3. Mother Nature's Son
4. Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey
5. Sexy Sadie
6. Helter Skelter
7. Long, Long, Long
8. Revolution I
9. Honey Pie
10. Savoy Truffle
11. Cry Baby Cry
12. Revolution 9
13. Good Night



この曲も例の如くレノン=マッカートニー共作ですが、ポール・マッカートニー主導で作られました。もちろんポールがリード・ヴォーカルを取り、彼以外のメンバーはレコーディングに参加していません。クラシックのオーケストラを相手に、ポールがひとりでピアノ、ベース、ギター、ドラムスなど数多くの楽器を担当していました。
ちなみに、Marthaとはポールが飼っていたイングランド・シープ・ドッグの名前から取ったと言われております。しかし、近頃ではその説を否定する意見が出てきて真相は闇の中に入り込んでしまいました。ポール本人に訊くことが出来ても、きっとはぐらかされるだけでしょうね。

MARTHA MY DEAR
愛しいマーサ 世間話で終始した私の日々だけれど
どうか憶えておいてほしい 愛しきマーサ
忘れないでほしい 可愛いマーサ
頭を上げてごらん おばかさんだね
君がしたことを見てごらんよ
何かに夢中になっているだけじゃなく
少しは自分のまわりのことに目を向けてごらんよ

自分のまわりをよく見るんだ
君にもよく分かるだろう
君と私がお互いのためにここにいることが おばかさん

手を広げて(手を前に差し出して) 自分のしたことを見るんだ
何かに夢中になっているだけじゃなく
少しは自分のまわりのことに目を向けてごらんよ

愛しいマーサ 君はいつも私のインスピレーションを与えてくれる
どうか私を優しくしておくれ 愛しきマーサ
私を忘れないで 可愛いマーサ


ポール・マッカートニーといえば美しいメロディを紡ぎ出すが故に作曲面のほうばかりがクローズ・アップされがちですが、彼の書く歌詞は複雑で、二重の意味を持つものも少なくありません。この「Martha My Dear」もそんなことに直面する1曲です。
When you find yourself in the thick of itというくだりを「何かに夢中になっているだけじゃなく」と無理矢理訳したのですが、この「in the thick of it」は動物のある欲望的な行動をさす意味がありました。また、Hold your hand outは「手を広げて」とも「手を前に差し出して」とも訳せるようです。こうしたことを鑑みると、愛犬の名前説もまんざらデマやガセネタではないのかもしれません。もしもポールに歌詞の意図を尋ねる機会が出来たとしても、これまた愛犬の名前説同様軽くあしらわれてはぐらかされるだけに終わるでしょう。
シンプルな歌詞ですが複数の意味があるようなので、つたない想像力を駆使するだけではなかなかおぼつきません。詳しい方々のご教示をお願いしたいところです。

最後に「Martha My Dear」を題材にしたアニメでお楽しみ下さい。


THE CYRKLE - NEON

申し訳ございませんが、今回の記事もザ・サークルを取り上げさせていただきます。
本日ご紹介するのは1967年1月23日にリリースされたセカンド・アルバム『NEON』。前作に引き続きジョン・サイモンがプロデュースをしていました。 

ネオン(紙ジャケット仕様)ネオン(紙ジャケット仕様)
(2006/04/19)
ザ・サークル

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1. Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way
2. The Visit (She Was Here)
3. Weight Of Your Words
4. I Wish I Could Be Here
5. It Doesn't Matter Anymore
6. Two Rooms
7. Our Love Affair's In Question
8. I'm Happy Just To Dance With You
9. Problem Child
10. Please Don't Ever Leave Me
11. I'm Not Sure What I Wanna Do

Bonus Tracks
12. Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way (alt. version)
13. You Can't Go Home Again
14. Terry's Theme
15. We Said Goodbye (And Went Our Separate Ways Or So We Thought)
16. Turn Of The Century
17. Friends
18. Where Are You Going
19. Red Chair Fade Away
20. Please Don't Ever Leave Me
21. Money To Burn
22. I Wish You Could Be Here
23. The Visit (She Was Here)
24. We Had A Good Thing Goin'
25. Two Rooms
26. Penny Arcade
27. Words
28. Reading Her Paper
29. Camaro

デヴュー曲「Red Ruber Ball」が全米第2位のヒットを記録し、ビートルズのアメリカ公演のオープニング・アクトに抜擢されるなど順調な活動を開始したサークル。その余勢を駆って1967年1月には早くも2枚目のアルバム『NEON』をリリースするもののセールス的には芳しい結果を残せませんでした。そのうえ8月には彼らの所属するNEMSエンタープライズの代表であるブライアン・エプスタインが急死して、大きな後ろ盾を失います。彼らにとってこのことはビートルズが受けた衝撃以上に深刻な事態を及ぼし、バンドの存続を左右するような大事になって行きました。
エプスタインの死を乗り越えようと、セカンド・アルバム『NEON』の発表後もサークルは多くの楽曲を制作し、その中からシングルを何枚かリリースするもののヒットには至りません。次第にメンバーの間でバンド活動に関する考え方の違いが露になり、翌68年1月にはトム・ドウズとマイケル・ルーズキャンプがバンドを去ります。サークルとしての活動期間はたったの2年間。まるで一夜限りのような華やかな「NEON」の灯りは消え、こうしてサークルは解散に追い込まれたのでした。

それではアルバムの中から何曲か紹介して行きます。
オープニング・ナンバーはシタールの音色が印象的な「Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way」。ビートルズやローリング・ストーンズを例に出すまでもなく、1960年代後半のロック・ミュージックではシタールが効果的に使われています。


ポール・サイモンとブルース・ウッドリー(シーカーズ)の共作「 I Wish I Could Be Here」。フィンガー・ピッキングがポール・サイモンを思わせます。


I WISH YOU COULD BE HERE
真新しい降ったばかりの雪を
窓から眺めていると
通りでその煌めきが目に入る
暖炉でぱちぱちと弾ける音が
耳にほころぶよう
部屋は暖かく眠りを誘う
君がここにいてくれたならば

街は日曜日
することはあまりない
何枚かのレコードを聴いていたけれど
思いは君のほうに向いている
新聞を読もうとしても
言葉がはっきりとつかめない
何かが欠けていると分かっているから
君がここにいてくれたならば
君がここにいてくれたならば

君の足音がしないかと
ドアの鍵をまわす音がしないかと耳をそばだてる
俺は君と付き合いたい
君は前にも俺の告白を聞いているよね
今年は長い冬になるだろう
虚しい日々をどうして過ごせばいいんだ
君がここにいてくれたならば
君がここにいてくれたならば
君がここにいてくれたならば


バート・バカラック作品のカヴァー、「It Doesn't Mater Anymore」。 サークルにとって打ってつけのようなナンバーに思えます。ジョン・サイモンの弾くピアノも効果的でした。


満を持して登場したかのようなビートルズのカヴァー「I'm happy just To Dance With You」。ビートルズのヴァージョンは間奏にスカのリズムを導入していましたが、こちらはシタールをフューチャーして少々サイケデリックな雰囲気を演出しています。


ビートルズのオリジナル・ヴァージョンです。


拙ブログではお馴染みのチップ・テイラーが書いた「I'm Not Sure What I Wanna Do」。オリジナルはチップとアル・ゴーゴニ組んだデュオ、ジャスト・アスの『I Can't Grow Peaches On A Cherry Tree』(1966年発表)に収録。フォーキーでカントリー風のアレンジが心地よい曲です。ちょっと楽しいイメージ・ヴィデオでお楽しみ下さい。


ビー・ジーズのカヴァー「Turn Of The Century」(1967年発表の『Bee Gees' 1st』に収録)。プロデューサーはジョン・サイモンからチャーリー・カレロに交替していました。サークルにはよく似合った選曲ですが、たんなるヴォーカル・グループのような平凡な仕上がり具合に思えます。


ちなみに、こちらがビー・ジーズのオリジナル・ヴァージョン。


ニール・セダカから提供されたという、「We Had A Good Thing Goin'」。アルバム『NEON』のアウト・テイクのようですが、少々ビートルズを連想させる曲調やアレンジが興味深く、テープ・スピードを上げたエンディングのコーラスが楽しい曲です。


ラヴィン・スプーンフルの「Summer In The City」を思わす展開の軽快な曲、「Penny Arcade」。オルガンのイントロが心地よく響きます。プロデュースはチャーリー・カレロ。シングルとして発表され、全米第59位まで上昇しました。


ザ・バーズを意識したかのようなフォーク・ロック・サウンドに仕上げられた「The Words」。先ほどの「Penny Arcade」のB面としてリリースされました。


シボレーの「カマロ」のCM曲、「Camaro」。ブラス・セクションを使ったちょっと哀愁が漂う曲です。楽しく軽快な曲調のシークレット・トラックが最後に付いていました。


ポップ・シーンでの生き残りをかけたのか、サークルはCM曲のみならずB級お色気映画『The Minx』の音楽を手掛けています。楽曲自体はトム・ダウズらが在籍していた1967年の後半にレコーディングされたものが中心ですが、サントラ・アルバムとして1970年にサークル名義で発表されました。



映画の一場面と思われる映像がありました。女性の産業スパイ集団「The Minxs」が主人公の映画ですが、サークルもクラブで演奏する本人たちの役で出演しています。貼付けが出来ないので下記のアドレスをクリックしてください。

http://www.youtube.com/watch?v=SE0WyI5bO8U

The MinxThe Minx
(2003/03/25)
The Cyrkle

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THE CYRKLE - RED RUBBER BALL

話題に便乗するかの如く9回に渡ってビートルズの記事を続けさせてもらいました。その効果によるものなのか、このつたないブログへのアクセス数が少しばかり増加。
今回はビートルズと少なからず関係のあるアーティストを取り上げます。ご登場を願うのがThe Cyrkleの皆さん。ビートルズのマネージャーであるブライアン・エプスタインのマネージメントを受けたアメリカのアーティストでした。

レッド・ラバー・ボール(紙ジャケット仕様)レッド・ラバー・ボール(紙ジャケット仕様)
(2005/05/18)
ザ・サークル

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1. Red Rubber Ball
2. Why Can't You Give Me What I Want
3. Baby, You're Free
4. Big, Little Woman
5. Cloudy
6. Cry
7. Turn-Down Day
8. There's A Fire In The Fireplace
9. Bony Moronie
10. How Can I Leave Her
11. Money To Burn

本日ご紹介するのはザ・サークルが1966年6月30日に発表したデヴュー・アルバムです。メンバーはドナルド(ダン)・ダンネマン(vo, g)、トーマス(トム)・ウェブスター・ドウズ(vo, g, b)、マーティン(マーティー)・レスリー・フライド(ds, per )の3人。1963年頃、ニューヨーク出身のダンとトムがニュー・ジャージー州出身のマーティーにペンシルヴェニア州にあるラファイエット大学で出会い、ロンデルズ(Rhondells)というバンドを結成してクラブやライヴ・ハウスを中心に活動を始めます。当初はアコースティック主体のバンドだったようですが、1964年にビートルズがアメリカに進出して大旋風を巻き起こしたことに影響を受けて、次第にビート・グループへと変貌を遂げて行きました。
1965年頃、ビートルズのマネージャーであるブライアン・エプスタインの経営するNEMSエンタープライズ(ビートルズのマネージメント実務を行う会社)のアメリカ支社で働いていたナット・ワイスが、ニューヨークのクラブで演奏するロンデルズの姿を目にします。ワイスはロンデルズをいたく気に入ってエプスタインに報告し、有力新人としてスカウトしてはどうかと提案。エプスタインも興味を示し彼らのマネージメントをすること承諾しました。
NEMSとの正式な契約を交わした頃、トムがサイモン&ガーファンクルのツアー・メンバーとして採用されて彼らと親交を深め、未発表曲「Red Rubber Ball」をプレゼントされます。この曲はポール・サイモンとブルース・ウッドリー(シーカーズ)との共作で、S&Gとしてコンサートで歌うことがあるもののスタジオ録音の予定がなかった曲です。
ポール・サイモンから「Red Rubber Ball」が提供されたことの効果があったのか、ロンデルズはS&Gの所属するCBSとの契約が成立。バンド名をザ・サークルと改めました。この名称は一説にはジョン・レノンが名付け親とされておりますが、デヴュー・アルバムのジャケットに掲載されたサークル自身によるライナーノーツの冒頭にはブライアン・エプスタインから「サークルと名乗るよう」にと指示されたことが記されていました。
1966年4月4日にリリースされたザ・サークルのデヴュー曲「Red Rubber Ball」は全米第2位の大ヒットを記録します。(ちなみにこの時の1位はビートルズの「Paperback Writer」)。間髪入れずにジョン・サイモンのプロデュースによるファースト・アルバムが6月にリリース。8月にはビートルズ最後のアメリカ・ツアーに帯同しました。ヒット曲を放ったとはいえ、ファンのお目当てはビートルズであり、少々苦々しい扱いを受けたかもしれません。ともあれ、ビートルズという「歴史と文化」を身近で感じ取ることが出来ただけでも彼らにとっては貴重な体験だったと思われます。
なお、ビートルズのオープニング・アクトを務めるにあたりギタリストのアール・ピッケンスを補強しましたが、ほどなく脱退。替わってオハイオ州出身のマイケル・ルーズキャンプ(キー・ボード)が加わり、以後サークルは4人組で活動しました。



RED RUBBER BALL
君にさよならを告げられるなんて
俺は思いもしなかった
君から学んだこのことは教訓
その教えがとても身に沁みたよ
今では分かっているよ
海を彩るスター・フィッシュが君だけじゃないってことを
君の名前を二度と耳にすることがなくても
俺の考えは変わらない

俺はもう大丈夫
最悪のときは過ぎたのさ
夜明けの太陽は赤い風船のように輝いている

俺が秘密を打ち明けても
君は本気で耳を傾けくれたことがなかった
俺はたんなるお飾り
君のプライドを保つための存在
いつも動き回り 決して人を思いやることがない
それが君の生き方
君が俺にくれたのは僅かの時間だけ

それも過ぎ去った話
思い出せることは何もない
俺は自分なりの生き方を見つけたので
君をもう必要としない
ジェットコースターのように激しく揺れた二人の関係は
そろそろ潮時だ
俺は涙とともに切符を買った
二人のために俺が費やすのはそれがすべて


軽快で弾みような明るい調子とは裏腹に、振り回された女に対しての決別と皮肉が歌詞に込められています。このようにさらりと流したほうが却って未練がましくならなくて良いのかもしれません。

サイモン&ガーファンクルのライヴ・ヴァージョンが『Old Friends』(1997年リリース)に収録されています。言うまでもありませんが、こちらのほうがフォーク・ロック路線に仕上げられていました。


2枚目のシングルとしてリリースされた「Turn Down Day」。全米16位まで上昇しました。少々サイケデリックな展開がこの時代を感じさせます。元々はジャズの楽曲らしいのですが、よく分かりません。
細野晴臣氏と高橋幸宏氏のユニットであるSKETCH SHOWも2002年に発表したアルバム『AUDIO SPONGE』で取り上げていたそうです。



少々音が悪いライヴ映像なので、下記のURLをクリックしてスタジオ録音のほうも聴いていただければ幸いです。

http://www.youtube.com/watch?v=PEhCr0yoKxc

ポール・サイモンから提供されたS&Gのカヴァー「Cloudy」です。


こちらはS&Gのオリジナル・ヴァージョン。1966年発表の『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme 』に収録されていました。


ドンとトムが書いたオリジナル・ナンバー、「How Can I Leave Her」。シングル「Red Rubber Ball」のB面に収録されていました。


テレビの歌番組に出演した際の映像のようです。ポール・アンカから紹介を受けていました。


Red Rubber Ball (A Collection)Red Rubber Ball (A Collection)
(2008/04/01)
The Cyrkle

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オールド・フレンズオールド・フレンズ
(2004/02/25)
サイモン&ガーファンクル

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The Beatles - One After 909

長らくビートルズの記事ばかりを書いてきましたが、9回連続となった今回を持ってひとまずお開きとしたいと思います。
そこで本日のお題は9にちなんで、「One After 909」。1970年5月8日にリリースされたアルバム『LET IT BE』に収録されていた1曲です。

レット・イット・ビーレット・イット・ビー
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. Two of Us
2. Dig a Pony
3. Across the Universe
4. I Me Mine
5. Dig It
6. Let It Be
7. Maggie Mae
8. I've Got a Feeling
9. One After 909
10. Long and Winding Road
11. For You Blue
12. Get Back
13. Let It Be Mini-Documentary [Multimedia]



ONE AFTER 909
俺のあの娘が言った 909の次の列車に乗るわって
すかさず俺は言った ハニー、席を詰めてくれよ
俺もその汽車に乗るんだぜ

もうちょっと席を詰めてくれ 譲ってくれ
いいだろベイビー
氷のように冷たくするのはよしてくれ
俺も909の次のやつに乗るんだから

行かないでくれと跪いて心から頼んだよ
どうせおまえは俺をからかっているんだろう 
とことんまで馬鹿にするつもりだろう

荷物をまとめて駅まで走った
駅員が言うには 
お客さん、駅を間違えたみたいですね
荷物を抱えて慌てて家まで戻った
確かめてみたら列車の番号を間違えていたのさ

俺たちは909の次の列車に乗るんだ
すかさず俺は言った ハニー、席を詰めてくれよ
俺もその汽車に乗るんだぜ
もうちょっと席を詰めてくれ 譲ってくれ
いいだろベイビー
氷のように冷たくするのはよしてくれ
俺たちは909の次のやつに乗るんだから


この曲はレノン=マッカートニー共作ですが、ジョン・レノンは17歳か18歳の頃に自分ひとりで書いたと主張し、ポール・マッカートニーは自伝『Many Years From Now』(著者はバリー・マイルズ)の中で10代の頃に二人で作ったと述べています。
歌詞の内容は逃げて行く恋人だった女を追っかけて行く設定のようです。振られているのに未練がましく「俺の彼女」と言い張り、「俺を馬鹿にしているんだろう」と自虐的な要素も込められていました。こうした男の弱さをテーマにしたジョン・レノンの創作スタイルは以前に扱った「I Call Your Name」、「I'll Be Back」、「Yes It Is」などにも共通した傾向が窺えます。ただ、この「One After 909」においても失恋した男の辛辣な叫びが表されているものの、「時間を間違えていた」といったくだりは少々ユーモラスに受け取れました。
「One After 909」の意味は「列車番号」とも「9時9分発の次の列車」とも取れるのですが、この点に詳しい方からご教示いただけると幸いです。

映画『LET IT BE』の映像でもお楽しみ下さい。アップルの社屋の屋上で行われたライヴ・パフォーマンスです。4人が一丸となって演奏する姿を目の当たりにすると、人間関係が破綻していたとはとても思えません。演奏が終わった後にジョンが「ダニー・ボーイ」の一節を機嫌良く歌うことからも、このパフォーマンスが和やかに進行されていたことが窺えます。


『Anyhology 1』に収録されていたヴァージョン。1963年3月5日に録音されたものの満足な形で完成させることが出来なかったという理由でボツになったようです。お蔵入りさせるには実に惜しい出来映えだと思えました。


アンソロジー(1)アンソロジー(1)
(1995/11/22)
ザ・ビートルズジョン・レノン

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The Beatles - I Call Your Name

ビートルズのリマスターCDを巡るお祭り騒ぎも沈静化し始めているようですが、それはそれとして今回の記事もFAB4の楽曲を取り上げます。
さて、本日選んだお題は「I Call Your Name」。オリジナル・アルバムには収録されず、4曲入りEPの中の1曲として1964年6月19日にリリースされました。ちなみに、他の3曲は「Long Tall Sally」、「Slow Down」、「Matchbox」。現在「I Call Your Name」はアルバム未収録の楽曲を中心に構成された『PAST MASTERS』に収録されています。

パスト・マスターズ vol.1&2パスト・マスターズ vol.1&2
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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Disc:1
1. Love Me Do [Mono Version]
2. From Me to You
3. Thank You Girl
4. She Loves You [Mono Version]
5. I'll Get You [Mono Version]
6. I Want to Hold Your Hand
7. This Boy
8. Komm, Gib Mir Deine Hand
9. Sie Liebt Dich
10. Long Tall Sally
11. I Call Your Name
12. Slow Down
13. Matchbox
14. I Feel Fine
15. She's a Woman
16. Bad Boy
17. Yes It Is
18. I'm Down

Disc:2
1. Day Tripper
2. We Can Work It Out
3. Paperback Writer
4. Rain
5. Lady Madonna
6. Inner Light
7. Hey Jude
8. Revolution
9. Get Back
10. Don't Let Me Down
11. Ballad of John and Yoko
12. Old Brown Shoe
13. Across the Universe
14. Let It Be
15. You Know My Name (Look Up the Number) [Mono Version]



I CALL YOUR NAME
名前を呼んでいるのに君はいない
俺が悪かったせいなのか
君が去った日から俺は夜も眠れない
涙も涸れ果て泣くことさえできず
とても生きて行けないよ

こんなことにはとても耐えられない
こんなことに我慢できるヤツなんていやしない
もうやっていけないぜ
俺はそんなに強い男じゃない

眠れぬ夜にもすっかり慣れてしまい
涙も涸れ果て泣くことさえできず
君の名前を虚しく呼ぶだけ


例の如く名義はレノン=マッカートニーですが、ジョン・レノン主導で作られた曲でした。聞くところによると、ジョンはこの曲を15~16歳の頃に書き、1963年に加筆修正して仕上げたとのことです。リード・ヴォーカルはもちろんジョン。コーラスを付けず、ジョンのダブル・トラックで録音されていました。間奏部分がスウィングしたテンポに変化していますが、彼ら曰くスカのリズムを取り入れたものだそうです。
シンプルな歌詞ですが、ジョン・レノンの切ない叫びが胸を打ちます。ジョンにはこうした失恋の歌のほうが似合うのかもしれません。前回扱った「I'm Happy Just To Dance With You」をジョージ・ハリスンに譲った理由が分かるような気がしました。

この曲はビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスが1963年7月23日にリリースして全英第1位のヒットを記録したシングル、「Bad To Me」のB面に収録されていました。ビートルズのヴァージョンは彼らよりも遅れて発表されたためセルフ・カヴァーという扱いがされているようです。なお、「Bad To Me」もレノン=マッカートニーの作品で、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスのために提供された曲でした。ビートルズのヴァージョンはブートレグではお馴染みですが、正式な録音はリリースされておりません。



リンゴ・スターもかつての盟友のためにいわばセルフ・カヴァーしていました。これは1990年5月5日に行われたジョン・レノンのトリビュート・コンサートにフィルム出演した際の映像です。バックにはジェフ・リン、トム・ペティ、おそらくジョー・ウォルシュなどの錚々たるメンバーが参加していました。


キャス・エリオットもママス&パパス時代に「I Call Your Name」を歌っていました。これは以前にも紹介したことがあるのですが、モンタレー・ポップ・フェスティヴァルのライヴ映像です。ちなみにママス&パパスのヴァージョンは1966年リリースのアルバム、『If You Can Believe Your Eyes And Ears』に収録されていました。


The Beatles - I'm Happy Just To Dance With You

リマスターCDの発売に便乗してビートルズの記事ばかりを毎回書いておりますが、今回も反省することなくFAB4の皆様にご登場を願います。
さて、お題のほうを申し上げますと、「I'm Happy Just To Dance With You」。1964年7月10日にリリースされた『A Hard Day's Night』に収録されていた楽曲で、ビートルズ主演の同名映画の中でも演奏されていました。

ハード・デイズ・ナイトハード・デイズ・ナイト
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. A Hard Day's Night
2. I Should Have Known Better
3. If I Fell
4. I'm Happy Just to Dance With You
5. And I Love Her
6. Tell Me Why
7. Can't Buy Me Love
8. Any Time at All
9. I'll Cry Instead
10. Things We Said Today
11. When I Get Home
12. You Can't Do That
13. I'll Be Back

例によって作者はレノン=マッカートニーの共作になっておりますが、ジョン・レノン主導で作られた曲です。リード・ヴォーカルはジョージ・ハリスンが担当。ちょっと自信なさげに歌う感じが却って新鮮で味わい深い印象を醸し出していました。



I'M HAPPY JUST TO DANCE WITH YOU
このダンスが終わる前に
君に恋をしてしまいそうだ
君と踊る時がこんなに楽しいからさ

キスしたいとも手を握りたいとも思わない
おかしいなんて言わずに分かってほしいんだ
他に何もしなくていい
君と踊っていれば幸せなんだから

寄り添いたいとも抱きしめたいとも思わない
ただ君と踊り明かしたいだけ
他に何もしたくない
君と踊っていれば幸せなんだから

君と踊りたい 望みはそれだけさ
このダンスが終わる前に
君に恋をしてしまいそうだ
君と踊る時がこんなに楽しいからさ

もし誰かが君のパートナーになりたがっても
知らない振りを装うとしよう
他に何もしたくない
君と踊っていれば幸せなんだから

君と踊りたい 望みはそれだけさ
このダンスが終わる前に
君に恋をしてしまいそうだ
君と踊る時がこんなに楽しいからさ

もし誰かが君のパートナーになりたがっても
知らない振りを装うとしよう
他に何もしたくない
君に恋をしてしまったと分かったんだ

君と踊っているのが幸せだからさ


ジョンが歌わなかったのは高音が出なかったことや歌詞の内容が自分のイメージに合わなかったことが理由とされています。しかし、アルバム『A Hard Day's Night』の中で、1曲もリード・ヴォーカルを取ることがなかったジョージに対するジョンの配慮だったのかもしれません。ジョンは最年少であるジョージにリーダーとして何かと目を掛けてきたと言われております。実際のジョンとジョージの年齢差は3歳ですが、ヤーン・ウェナーによるジョンへのインタビュー『Lennon Remembers』(1972年発行)の中でジョンは、「私とジョージは10歳も離れているので・・・」と述べていることから察するとかなり世話のやける存在だったのでしょう。
ビートルズ解散後にジョージが自伝『I ・Me・ Mine』(1979年8月出版。日本ではジョージの死後、2002年にようやく発売)の中で、「私はジョン・レノンには何の影響も受けなかった」との趣旨の発言をしたことがあります。その言葉に対してジョンは雑誌のインタビューの中で、「さんざん面倒を見てやったのに何ていう言い方だ」といった調子で怒りをあらわにしていました。ジョージは強がって言ったのでしょうが、ジョンが腹を立てるのも無理はないと思います。

レノン・リメンバーズレノン・リメンバーズ
(2001/07/01)
ジョン レノン; ヤーン ウェナー; ヨーコ オノ

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ジョージ・ハリスン自伝―I・ME・MINEジョージ・ハリスン自伝―I・ME・MINE
(2002/12)
ジョージ ハリスン

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映画『A Hard Day's Night』での演奏シーンです。


「Snow Bird」、「A Love Song」、「Danny's Song」(ケニー・ロギンズ作)、「You Needed Me(苦い別れ)」などのヒット曲で知られるアン・マレーが、1980年発表の『Somebody's Waiting』で「I'm Happy Just To Dance With You」を取り上げています。甘いバラードにアレンジされて大人の雰囲気が漂っていました。でも、ビートルズの軽快で躍動的なイメージに慣れてしまっているので、彼女のヴァージョンには少々拍子抜けしてしまいそうです。


The Beatles - Two Of Us

アクセス数の伸びを維持するために、申し訳ございませんが今回の記事もビートルズです。
さて、取り上げるお題は「Two Of Us」、1970年5月8日にリリーズされた『Let It Be』に収録されていた1曲です。この曲も例の如くレノン・マッカートニー名義ですが、ポール・マッカートニー主導で作られました。

レット・イット・ビーレット・イット・ビー
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. Two of Us
2. Dig a Pony
3. Across the Universe
4. I Me Mine
5. Dig It
6. Let It Be
7. Maggie Mae
8. I've Got a Feeling
9. One After 909
10. Long and Winding Road
11. For You Blue
12. Get Back



TWO OF US
俺たち二人 当てもなく車を走らせ
他人が苦労して稼いだ金を使う
君と俺 日曜のドライヴ
どこにも着かずに家に帰るところ
家路を辿るところさ
家に戻る途中なんだ
二人で帰るところなんだ

俺たち二人 絵はがきを送り
部屋の壁に手紙を書いたりしている
君と俺 マッチを燃やし
ラッチ(掛け金、かんぬき)を外す
家に帰るところさ
家路を辿るところさ
家に戻る途中なんだ
二人で帰るところなんだ

君と俺には思い出がある
目の前に続く遥かな道よりも
もっともっと長い思い出が

俺たち二人 レインコートを着て
ぽつんと太陽に下に立っている
君と僕 紙切れを追いかけても
どこにも行くあてがなく
家に帰るところさ
家路を辿るところさ
家に戻る途中なんだ
二人で帰るところなんだ

俺たち家に帰るんだよ
本当だぜ
グッド・バイ


行くあてのない男女の心理が描かれたこの曲は、まもなくポールの妻となるリンダ・イーストマンのために書かれたと言われております。しかし、映画『Let It Be』の中で一本のマイクにポールとジョンが顔を近づけ合って歌う軽快で少々ワイルドな別ヴァージョンを観ていると、ポールのジョンに対する思いと二人の軌跡が描かれているような気がしました。
もともと映画『Let It Be』のもとになった企画、「Get Back Session」を発案したのはポール。映像を通して彼がビートルズに向けた様々な思いがひしひしと伝わってきます。バンド活動に意欲を失い崩壊しかけた4人の関係を修復して纏めようとするポールのその姿は痛々しいものでした。それ故、アルバム『Let It Be』のプロデュースにあたったフィル・スペクターが、女性コーラスやオーケストラを加えてポールが意図していた本来のコンセプトと違った形で完成させたことに不満を持ったことも頷けます。

映画『Let It Be』からの演奏場面です。


前述の別ヴァージョン。気合いを込めて和気あいあいと歌う二人の姿からはとても不仲な状態であったと想像できません。


映画『I Am Sam』(2001年公開)に使われたエイミー・マン&マイケル・ペンによるカヴァー・ヴァージョン。男女によるデュエットはまた違う味わいが楽しめますね。


The Beatles - For No One

アクセス数を伸ばす千載一遇のチャンスのため、申し訳ございませんが今回もビートルズの記事を続けさせていただきます。
さて、本日のお題は「For No One」。1966年8月5日にリリースされたアルバム『Revolver』に収録されていた1曲です。例の如くレノン=マッカートニー共作の名義ですが、ポール・マッカートニー主導で作られました。ジョン・レノンは「ポールが書いた曲の中で一番好きな曲の一つ」と語っています。

リボルバーリボルバー
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. Taxman
2. Eleanor Rigby
3. I'm Only Sleeping
4. Love You To
5. Here, There and Everywhere
6. Yellow Submarine
7. She Said She Said
8. Good Day Sunshine
9. And Your Bird Can Sing
10. For No One
11. Doctor Robert
12. I Want to Tell You
13. Got to Get You into My Life
14. Tomorrow Never Knows



FOR NO ONE
夜が明ける 心が痛む
彼女の優しい言葉が今も耳元で鳴り響く
もはや彼女は君を必要としていないのに

彼女は目を覚まし、化粧をする
ゆっくりと時を過ごし急ぐ必要はない
彼女はもう君を必要していないのだから

彼女の瞳に君は何も見いだせない
誰のためともなく流した涙の裏側には愛情のかけらさえもない
いつまでも続くと思われた愛だったのに

彼女を求めている 彼女を必要としている
それでも君は彼女を信じない
もう愛していないと言われているのに
彼女がまだ君を求めていると思っている

彼女の瞳に君は何も見いだせない
誰のためともなく流した涙の裏側には愛のかけらさえもない
いつまでも続くと思われた愛だったのに

君は家に残る 彼女は出て行く
「昔ある男を知っていたけれどもう別れた 
今の私はあの人を必要としない」と彼女は言う

夜が明ける 心が痛む
彼女が言った様々なことで
君の頭がいっぱいになるときもあるだろう
いつになろうと君は彼女を忘れない

彼女の瞳は無表情
誰のためともなく流した涙の裏側には愛のかけらさえもない
いつまでも続くと思われた愛だったのに


他人の失恋を淡々と歌う形が取られ、客観視しながらもアドバイスを送っているような雰囲気が窺えます。こういった経験をされた人は少なくないと思いますが、この曲を聴いていると僅かながらも励まされるのではないでしょうか。
ギターを必要としなかったためか、この曲のレコーディングにはジョン・レノンとジョージ・ハリスンが不参加。ポール・マッカートニーがリード・ヴォーカル、ピアノ、クラビコード、リンゴ・スターがドラムス、マラカス、タンバリンを担当し、フレンチ・ホルン奏者のアラン・シヴィルを迎えて3人で録音されました。
フレンチ・ホルンの音色が印象的です。失恋した立場の人間に取っては少しきつい内容の歌詞ですが、フレンチ・ホルンの乾いた響きが厳しい言葉と恋に破れた苦痛を和らげる効果を演出しているかのようです。

ジョンが「ポールの書いた中で好きな1曲」であると前述しましたが、ポール自身もお気に入りの曲らしくしばしばステージでも演奏しています。映像はU.S.ツアーからのもの。


映画『Give my regards to BROAD STREET』のために再録音したときのヴァージョンのようです。


スタジオでのパフォーマンス映像もありました。いつ頃の録音かはよく分かりませんが、映画『Give my regards to BROAD STREET 』で再演したのと同時期のものでしょうか。


拙ブログではお馴染みのエミルー・ハリスも「For No One」をカヴァーしています。彼女が1975年に発表した『Pieces Of The Sky』に収録されていました。この映像は1995年頃のものと思われます。
エミルーはまた、同年リリースの『Elite Hotel』でもレノン=マッカートニー作の「Here, There, And Everywhere」を取り上げていました。


甲乙付け難いので宜しければこちらもご覧下さい。円熟味が増した2007年の映像です。


The Beatles - All I've Got To Do

ビートルズ特需のおかげで、この稚拙なブログのアクセス数も少なからず伸びました。よって、今回の記事もFAB4の楽曲紹介を続けさせていただきます。
さて、取り上げるお題は「All I've Got To Do」。1963年11月22日にリリースされたアルバム『with the beatles』に収録されていた1曲です。例の如くレノン・マッカートニー共作名義ですが、ジョン・レノン主導で作られました。リード・ヴォーカルはジョン・レノン。ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンがバック・ヴォーカルで盛り上げ、うまくサポートしています。

ウィズ・ザ・ビートルズウィズ・ザ・ビートルズ
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. It Won't Be Long
2. All I've Got to Do
3. All My Loving
4. Don't Bother Me
5. Little Child
6. Till There Was You
7. Please Mr. Postman
8. Roll over Beethoven
9. Hold Me Tight
10. You've Really Got a Hold on Me
11. I Wanna Be Your Man
12. Devil in Her Heart
13. Not a Second Time
14. Money (That's What I Want)

ジョン・レノンは1stアルバム『PLEASE PLEASE ME』でカヴァーしたアーサー・アレクサンダーの「Anna (Go To Him)」を意識して創作し、スモーキー・ロビンソン風に仕上げたと言っていました。ちなみにこの『with the beatles』ではスモーキー・ロビンソン&ミラクルズの「You've Really Got a Hold on Me」を取り上げています。



ALL I'VE GOT TO DO
おまえに会いたくなったら
俺はただ電話するだけでいいんだ
そうすればおまえは飛んできてくれるだろう
そう それだけでいいんだ

おまえにキスをしたくなったら
俺はただおまえの耳元に囁くだけでいい
おまえが待ちわびている言葉をね
そうすれば 俺はおまえにキスできるんだ

おまえにしたって同じこと
俺が必要なときは
呼んでくれれば
いつでも駆けつけるぜ
おまえは電話するだけでいい
電話一本でいいのさ

おまえに会いたくなったら
俺はただ電話するだけでいいんだ
そうすればおまえは飛んできてくれるだろう
そう それだけでいいんだ

おまえにしたって同じこと
俺が必要なときは
呼んでくれれば
いつでも駆けつけるぜ
おまえは電話するだけでいい
電話一本でいいのさ

創作にあたってのヒントを与えた格好の「Anna (Go To Him)」が半ば自虐的な要素が滲み出ているのに対して、この「All I've Got To Do」の歌詞には自信にあふれた姿が窺えます。また、電話一本で呼びつけ合ったりする行為を1stアルバム収録の「P.S. I Love You」と比べってみると興味深いでしょう。ポール主導で書かれたあの曲は、事情があって離ればなれになっている彼女へ手紙で愛を伝えるといった形式が取られていました。
この『with the beatles』ではR&Bの楽曲を何曲もカヴァーしていました。ビートルズはたんに黒人テイストを取り入れるのではなく、きっちりと消化して独特のサウンドを醸し出しています。そのあたりが彼らの強みと言えるのかもしれません。

The Beatles - I'll Be Back

いよいよ本日、待ちに待った瞬間が訪れようとしています。この先しばらく、メディアもインター・ネットもビートルズの話題で持ち切りになることでしょう。この特需を利用させていただき、今回の記事もFAB4の皆様のご登場です。
さて、お題の方はと言えば、「I'll Be Back」。1964年7月10日にリリースされたアルバム『A HARD DAY'S NIGHT』に収録されていました。

ハード・デイズ・ナイトハード・デイズ・ナイト
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. Hard Day's Night
2. I Should Have Known Better
3. If I Fell
4. I'm Happy Just to Dance With You
5. And I Love Her
6. Tell Me Why
7. Can't Buy Me Love
8. Any Time at All
9. I'll Cry Instead
10. Things We Said Today
11. When I Get Home
12. You Can't Do That
13. I'll Be Back

例によってこの曲もレノン=マッカートニー共作名義で、主にジョン・レノン主導で作られましたが、ポール・マッカートニーもかなりの部分で手伝っているようです。リード・ヴォーカルはジョン、バック・ヴォーカルはポールが担当していました。


I'LL BE BACK
俺の心を傷つけるんなら出て行くぜ
でもきっとまた戻ってきてしまうんだろうな
前にも一度さよならを告げたっていうのに
のこのこ戻ってきた俺のことだからな

心から愛しているよ
欲しいのはおまえだけ
おまえなしじゃいられない

何度も俺を悲しませるより
もっとほかにすることがあるだろう
今度こそただの脅しじゃないってことを
分からしてやるぜ

俺が離れて行けば
おまえにも俺が必要だってことに
気づいてくれると思った
でもそんなことは大きな間違いだったのさ

何度も俺を悲しませるより
もっとほかにすることがあるだろう
今度こそただの脅しじゃないってことを
分からしてやるぜ

出て行きたいのはやまやまだが
おまえと別れるのは嫌だ
なぁ おまえと別れたいってわけじゃないんだ

俺の心を傷つけるんなら出て行くぜ
でもきっとまた戻ってきてしまうんだろうな


歌詞には付き合っていた女性の言動にあきれ果てて別れを切り出すも、未練たっぷりの男の情けなさが描かれていました。しかし、恋愛関係のもつれがテーマかと思えるこの歌、実はジョンが長らく行方不明だった父親アルフレッドと1964年に再会したときのことを下地に書いたそうです。親子再会の美談では当時のビートルズの楽曲のイメージと少々相容れないと思ったのでしょう。ジョンは恋人にあてた気持ちに置き換えたのだと思われます。

アルバム『Anthology』に収録された別テイク。ポールもかなり手伝ったと前述しましたが、チーム一丸となり苦労して何度も手直しされた様子が伝わってきます。ジョンは4分の3拍子でワルツ風にアレンジして歌おうとしたけれど失敗し、4分の4拍子に切り替えて現行のヴァージョンに近い形となりました。


アンソロジー(1)アンソロジー(1)
(1995/11/22)
ザ・ビートルズジョン・レノン

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the Beatles - I'll Follow The Sun

Xデーまであと2日、しつこくビートルズの記事を続けさせていただきます。
さて、今回のお題は「I'll Follow The Sun」。1964年12月4日にリリースされたアルバム『BEATLES FOR SALE』に収録されている曲です。例の如く名義はレノン=マッカートニーの共作ですが、ポール・マッカートニー主導で作られました。リード・ヴォーカルはポール、ジョン・レノンがハーモニーを付けています。
ポールはデヴュー前である16歳の頃にこの曲の原型を作っていたようです。現在の曲調から想像しにくいのですが、ビートルズ初期のレパートリーとして1959年から1961年頃までのステージではエヴァリー・ブラザーズを彷彿させるかのスタイルで演奏されていました。その当時の録音はブートレグで出回っていますが、『Anthology』のDVDにもほんの僅かの断片が収録されています。聴いてみると全くメロディが違うので同名異曲のような印象を受けました。その後、正式にレコーディングするにあたってジョン・レノンらのメンバーとともにアレンジを加えながら整えていったものと思われます。

ビートルズ・フォー・セールビートルズ・フォー・セール
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. No Reply
2. I'm a Loser
3. Baby's in Black
4. Rock & Roll Music
5. I'll Follow the Sun
6. Mr. Moonlight
7. Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey! [Medley]
8. Eight Days a Week
9. Words of Love
10. Honey Don't
11. Every Little Thing
12. I Don't Want to Spoil the Party
13. What You're Doing
14. Everybody's Trying to Be My Baby



I'LL FOLLOW THE SUN
ある日
君は俺がいなくなったことに気づくだろう
明日は雨になるかもしれない
だから俺は太陽を追って行くんだ

いつの日か
君は俺の存在の大きさが分かるだろう
明日は雨になるかもしれない
だから俺は太陽を追って行くんだ

そろそろ潮時だ
愛しい人よ 俺は行く
親友を失うことになるけれど
いつか君にも分かるだろう

ある日
君は俺がいないことに気づくだろう
明日は雨になるかもしれない
だから俺は太陽を追って行くんだ

明日は雨になるかもしれない
だから俺は太陽を追って行くんだ

そろそろ潮時だ
愛しい人よ 俺は行く
親友を失うことになるけれど
いつか君にも分かるだろう

ある日
君は俺がいないことに気づくだろう
明日は雨になるかもしれない
だから俺は太陽を追って行くんだ


アコースティック主体のシンプルなサウンドで、軽快ながらも甘いバラード風に仕上げられていました。歌詞は愛する人への別れのメッセージといったところでしょうか。少々穿った見方をすると、「And though I lose a friend(親友を失うことになるけれど)」との歌詞から察するところこの二人はまだ恋人同士ではなく、「流れ者には女はいらねえ」とばかりに相手にされなかった男の負け惜しみにも聞こえます。でも、そんなどろどろした事情とは関係なく、曲の持つ爽やかな印象は何ら変わることがありません。

2004年のヨーロッパ・ツアーでこの曲を40年ぶりに取り上げて以来、ポールはその後もステージでよく歌っています。映像は2005年のU.S.ツアーから。


こちらは2004年のロシア公演の映像。


The Beatles - She's Leaving Home

ビートルズのリマスター盤発売まであと4日、もうすぐBOXに入ったFAB4のお姿を拝むことができると思うと居ても立ってもいられません。そこで、またかと思われますが今回の記事はビートルズ。お題は1967年に発表された『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の中の1曲、「She's Leaving Home」です。

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
2. With a Little Help from My Friends
3. Lucy in the Sky With Diamonds
4. Getting Better
5. Fixing a Hole
6. She's Leaving Home
7. Being for the Benefit of Mr. Kite!
8. Within You Without You
9. When I'm Sixty-Four
10. Lovely Rita
11. Good Morning Good Morning
12. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
13. A Day in the Life

主にポール・マッカートニーが歌詞とメロディを作った「She's Leaving Home」。新聞に掲載された家出少女の記事をもとにこの曲は創作されたと言われています。コーラス部分はジョン・レノンも手伝い、彼は叔母のミミがよく口にしていた言葉を使いました。
イントロとエンディングに使われたハープの音色とオーケストラによるストリングスが印象的な曲です。アレンジはジョージ・マーティンではなくマイク・リーンダが担当していました。ジョージ・マーティンはシラ・ブラックの録音に手間取っていたため間に合わず、じれたポールがマイク・リーンダに依頼したそうです。なお、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターは演奏に参加していません。


SHE'S LEAVING HOME
水曜の朝5時 夜が明けるとともに
寝室のドアを静かに閉めて
理解してもらえることを祈った書き置きを残し
彼女はハンカチを握りしめ
階段を下りて台所へ
裏口の鍵をそっと開けて
表に足を踏み出し彼女は自由の身

彼女は(我々の人生のほとんどを捧げてきたのに)
出て行く(我々の人生を犠牲にしてまで可愛がったのに)
家を(お金で買えるものは何でも与えたのに)
彼女は家を出て行く(さようなら)
ずっと長い間 孤独を味わった家を

父親がいびきをかいている傍らで妻はガウンに袖を通す
そこに置かれた手紙を拾い上げると
階段の上に一人立ちつくし
彼女は泣き崩れて夫のもとへ
「あなた あの子が行ってしまったのよ
何故こんな思慮のないことを私たちにするんでしょう
どうしてこんなひどい仕打ちをするのかしら」

彼女は(我々は自分たちのことなど考えなかった)
出て行く(あの子のことばかり考えてきた)
家を(我々は一所懸命に働いていただけ)
彼女は家を出て行く(さようなら)
ずっと長い間孤独を味わっていた家を

金曜の朝9時 彼女はもう遥か彼方
彼女との約束の場所で待つ
自動車販売会社の男と会うために

彼女は(我々は間違ったことをしたのか)
得ている(我々は過ちに気づかなかったのか)
楽しみを(楽しみはお金で買えないもののひとつ)
それはずっと長い間許されなかった心の内側の望み
彼女は家を出て行く(さようなら)


歌の中の世界であるのでこうした「大人の世界への第一歩」のようなことも美しい話と捉えられがちですが、現実はどうなんでしょうか。両親を裏切った生き方をして幸せが続くとは限りません。決してポールも彼女の行動に賛同しながら歌詞を書いたのではないでしょう。個人的にはこの女性がその後どのような人生を送ったのか興味が尽きないところです。
でも、なんだかんだ言ってもこの歌が素敵なビートルズ・ナンバーであることには変わりがありません。設定を少し置き換えて、かつての恋人のことなど思いながら聴いているとさらに切なくなります。但し、実際ここまでスリリングな経験はございませんが・・・。

最後のVerseの
Waiting to keep the appointment she made
Meeting a man from the motor trade
は車を手に入れるために自動車販売店のセールスマンと事前に約束していたのか、自動車販売店に勤める恋人と駆け落ちをするために約束の場所に向かったのかよく分かりませんでした。ところが最近、拙ブログとリンクを結んでいただいているJUN LEMONさんのブログ「BEATLES ビートルズ '69 ☆Abbey Road 40周年☆」の記事にこの歌のモデルになった女性の情報が書かれているのが目にとまりました。記事によると、その女性であるメラニー・コウは「自動車販売会社の男と駆け落ちする話だったから自分のことと気がつかなかった。よく自分の家と状況が似ていると思っていた」との趣旨を述べ、「家出することで、結局自由にはなれなかった。もっといい方法があったと思う」と語ったそうです。また、彼女は18歳で結婚し、その後離婚。現在は再婚してアメリカに住んでいるとのことでした。これで積年の悩みが一気に解決しましたので、この場を借りてJUN LEMONさんに感謝の言葉を申し上げる次第です。

2002年の The U.S. Tour から。ポールが「She's Leaving Home」をステージで歌ったのはこのツアーが初めてだそうです。


こちらは2003年に行われたロシアの「赤の広場」においてのライヴ映像です。


Dave Mason & Cass Elliot

頭の中はビートルズのことで一杯ですが、気分を切り替えて今回はデイヴ・メイソンがママ・キャスことキャス・エリオット(元ママス&パパス)と組んで1971年に発表した『DAVE MASON & CASS ELLIOT』を取り上げます。
以前にも述べた通り、キャス・エリオットが1968年にジョン・サイモンを迎えて制作したファースト・ソロ・アルバムが不発に終わり、1969年に発表した2nd『BUBBLE GAM, LEMONADE & SOMETHING FOR MAMA』では所属のダンヒル・レコードの要請によってコマーシャルな路線への転換を余儀なくされました。ママス&パパスと違って大人の歌を歌いたいと思っていた彼女はこのことに不満と葛藤を覚えます。そして、本来自分が進みたいと思っていた方向に進む意志を強く持ち、ダンヒルを離れるきっかけへと発展しました。
そんなある時、友人であるグラム・パーソンズ(バーズ、フライング・ブリトゥ・ブラザーズで活躍)の紹介で、当時アメリカで活動していた元トラフィックのデイヴ・メイソンと知り合います。キャス・エリオットはメイソンの曲に天啓を受けたのでしょうか、彼女の熱烈なるオファーにより晴れて「Dave Mason & Cass Elliot」というデュオが実現しました。

二人のバックを受け持つ参加メンバーはポール・ハリス(キー・ボード)、ラス・カンケル(ドラムス、パーカッション)、ブライアン・ギャロファロ(ベース)といった面々。プロデュースはデイヴ・メイソン自身が担当していました。

デイヴ・メイソン&キャス・エリオットデイヴ・メイソン&キャス・エリオット
(2008/07/25)
デイヴ・メイソン&キャス・エリオット

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1. Walk to the Point
2. On and On
3. To Be Free
4. Here We Go Again
5. Pleasing You
6. Sit and Wonder
7. Something to Make You Happy
8. Too Much Truth, Too Much Love
9. Next to You
10. Glittering Facade

オープニング・ナンバーの「Walk to the Point」。シングル・カットされましたが、ヒットには至りませんでした。
ブログへの貼り付けが出来ないので下記のURLをクリックしてください。
http://www.youtube.com/watch?v=TX86nKwHKUk

ネッド・ドヒニー作の「On And On」。デイヴ・メイソンの個性溢れるギター・ソロが全開です。新進気鋭のアーティストとして話題を集めかけていた彼をメンバーに加える話も合ったようですが、実現することなく終わりました。ネッド・ドヒニーがこの曲を収録した自身のファースト・アルバムを発表するのは1973年になってからのことです。


ON AND ON
歴史は語り継がれる
終わりも始まりもないように
戦いは遥か彼方で行われているが
勝つ見込みは殆どないように思われる
この雨の中に一人取り残され
もう一度太陽が輝くかどうかは俺次第
俺が立っているところからそれは気味悪く見える

別の戦いの廃墟は
森の向こうにまで広がる
暗闇の空に響く声は
調子が外れた歌
韻を踏むことはない(そんな道理に筋道はない)
俺は自分でやり遂げるしかない
この雨の中に一人取り残され
もう一度太陽が輝くかどうかは俺次第
俺の立ち位置にとってまったく問題はない

馬と騎手は突風に襲われる前に
一体となって移動する
運命に引っ張られて
躓かぬように気をつけろ
次第に消滅することが分かっている
半ば忘れかけたいくつかの夢


当時の時代背景を考慮するとヴェトナム戦争のことがテーマとなっているようです。Such reason has no rhyme の ところは「調子が外れた歌」(They sing a song that sounds all wrong)を受けて「韻を踏むこともない」と訳しましたが、ヴェトナム戦争を念頭に入れて考えてみると「そんな道理に筋道はない」といった具合に訳すことも出来るでしょう。適切な訳をご教示願えれば幸いです。

キャス・エリオットとブライアン・ギャロファロの共作「Here We Go Again」。優しく包む込むようなママ・キャスの歌声にパーカッションとストリングスを効果的に配した心地よい作品です。



デイヴ・メイソンとM.Juster作の軽快な『Pleasing You』。


デイヴ・メイソンとキャス・エリオットの唯一の共作曲、「Something To Make You Happy」。デュエット・アルバムなのに共作がこれ1曲とは寂しい限りです。ママ・キャスがリード・ヴォーカルをとった曲はこの曲と先ほどの「Here We Go Again」の2曲しかありません。メイソンがママ・キャスをバック・コーラスとして利用しようとしていたとまでは言いませんが、ユニットが短命に終わった事情が垣間見えた気がしました。


アルバムのクロージング・ナンバーはデイヴ・メイソン作の「Glittering Facade」。アコースティック・ギターのソロ、オルガンの音色、メイソンとママ・キャスのコーラス・ワークが印象的なリラックスした雰囲気の曲です。


このデュオはアルバム完成後に何度かライヴも行いましたが、長続きすることなく解散しました。デイヴ・メイソンはトラフィックを出たり入ったりしたことから気まぐれな人というイメージがつきまとっていたようです。彼の音楽志向もサイケデリックなサウンドから一転してザ・バンドを連想させるような土臭いスワンプへと変遷を遂げていた時期でもありました。ママ・キャスとのユニットも彼女の熱意にほだされた故のものなのか、ウエスト・コースト・サウンドへの一時の興味や好奇心からの行動なのかよく分かりません。

キャス・エリオットもママス&パパス時代にビートルズ・ナンバーを歌っていました。モンタレー・ポップ・フェスティヴァルのライヴから「I Call Your Name」をお聴きください。1966年リリースの『If You Can Believe Your Eyes And Ears』に収録されていました。


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(2002/11/12)
Various Artists

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Linda Ronstadt - Dedicated To The One I Love

今回も続けてビートルズと行きたいところですが、はやる気持ちを抑えて一休み。前回の記事で「Good Night」を取り上げた際、リンダ・ロンシュタットもこの曲をカヴァーしていたことに触れました。そこで今回は「Good Night」が収録された彼女のアルバムを紹介します。

Dedicated to the One I LoveDedicated to the One I Love
(2008/08/26)
Linda Ronstadt

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1. Dedicated to the One I Love
2. Be My Baby
3. In My Room
4. Devoted to You
5. Baby I Love You
6. Devoted to You [Instrumental]
7. Angel Baby
8. We Will Rock You
9. Winter Light
10. Brahms' Lullaby(ブラームスの子守唄)
11. Good Night

リンダ・ロンシュタットの『Dedicated To The One I Love』(愛の贈りもの)は1996年にリリースされたララバイ・アルバムです。子守唄をコンセプトにした選曲がされていました。
リンダといえば元気溌剌とした印象を皆様お持ちのことと思いますが、このアルバムでは優雅なストリングスやハープの調べをバックに耳元で囁くような声で歌っています。アルバムについてリンダはこんな風に語っていました。

「このアルバムは子供たちを穏やかな眠りに誘うような作品なの。だから、子供たちを決して目覚めさせないように、耳元で囁くように歌ってみたの」

アルバムのオープニングはタイトル曲、「Dedicated To The One I Love」。バック・ヴォーカルにヴァレリー・カーターが参加していました。
オリジナルはシュレルズが1961年に全米3位まで上昇させたヒット・ナンバー。ママス&パパスのヴァージョン(アルバム『Deliver』に収録)も67年に全米2位を記録しました。


シュレルズのオリジナルは下記のアドレスをクリックして聴いてください。
http://www.youtube.com/watch?v=zP5qC60Ig2Q

DEDICATED TO THE ONE I LOVE
遠く離れている間 マイベイビー
辛いのは分かるわ マイベイビー
私も辛いのよ マイベイビー
夜明け前が一番暗い時間よ

毎晩眠りにつく前に マイベイビー
私に祈りを唱えてね マイベイビー
空にある星に言ってごらん
これは愛する人に捧げると

人生は思い通りにならないけれど
あなたに愛されているだけで幸せ
私のためにしてほしいことがあるの
誰だって必要とすることよ

毎晩眠りにつく前に マイベイビー
私に祈りを唱えてね マイベイビー
空にある星に言ってごらん
これは愛する人に捧げると


ロネッツが歌って1963年に全米第2位の大ヒットとなったことで知られる「Be My Baby」。囁くように歌うリンダのヴァージョンはフィル・スペクター・サウンドと大きく印象が異なります。
リンダのこのアルバムにはもう1曲ロネッツのナンバー、「Baby I Love You」(1964年全米24位)が収められていました。


ロネッツのオリジナル・ヴァージョンもお聴きいただければ幸いです。
http://www.youtube.com/watch?v=8ONH3hIjO3c

ビーチ・ボーイズが1963年に発表した『Surfer Girl』に収録されていた「In My Room」。原曲も夏の風にまどろむような雰囲気でしたが、リンダのヴァージョンを聴いていると心地よくなって、ついうとうとしてしまいそうです。


ビーチ・ボーイズ によるオリジナル・ヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=Usuu-xu75dI

続いては「Devoted To You」。ヴァレリー・カーターとのデュエットです。エヴァリー・ブラザーズのヴァージョンが1958年に全米10位を記録し、カーリー・サイモンも1978年発表の『Boys In The Trees』の中でジェームズ・テイラーとのデュエットにて収録していました。また、ビーチ・ボーイズも1965年にリリースした『Beach Boy's Party』の中でカヴァーしています。


カーリー・サイモンとJTのヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=K_lK41kC15g

ロージー&オリジナルズが1961年にヒットさせた「Angel Baby」。リンダのキュートな歌声に我を忘れてしまいそうです。ハープ、フルート、そしてオーボエの音色が心の奥まで響き渡りました。


オリジナルはこちらをお聴きください。
http://www.youtube.com/watch?v=6LjxfNxbZM4

ちょっと意外な選曲の「We Will Rock You」。オリジナルはクイーンが1977年に発表した『News Of The World』に収録されているとのことです。


皆様よくご存知のことかと思いますが、クイーンのヴァージョンも掲げておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=6VDRzlgtL6A

リンダが1993年に発表した『Winter Light』からの同名ナンバーの再収録。リンダとエリック・カズらとの共作です。ヴァレリー・カーターがバック・ボーカルで参加していました。


冒頭で述べた「Good Night」で、アルバムは締めくくられます。


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