好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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The Nitty Gritty Dirt Band - Will The Circle Be Unbroken

Deezerのプレイヤーが不調のためにアルバム紹介というかたちが困難となったので何を取り上げようかと思っていたところ、このブログともリンクしていただいているPurple_Hazeさんのブログ「Blues Power」でロギンズ&メッシーナを扱われていたのを目にして、「House At Pooh Corner(邦題:プー横町の家)」が頭の中に鳴り響いて止まらなくなりました。よし、ロギメナの映像ならYouTubeに豊富にありそうなので、「決まり」と思いましたが、すぐさま同じアーティストをかぶせるのは人生の先輩に対してあまりにも失礼ではないのかと考え直し、「プー横町の家」のカヴァーで有名なニッティー・グリッティー・ダート・バンドで何か探そうというところで落ち着いたのです。
そんなわけで、今回はNBDBが1972年に発表した「Will The Circle Be Unbroken(邦題:永遠の絆)」の中からタイトル曲を取り上げます。NGDBは1970年にリリースした『Uncle Charley And His Dog Teddy(邦題:アンクル・チャリーと愛犬テディ)』が出世作となりカントリー・ロックというジャンルが確立して好評を得ている現状を鑑み、カントリーやブルーグラスに興味を持ってくれたファンに本物の味を味わってもらいたい、スーパー・ヒーローたちを知ってほしいと思うようになり大御所たちへ共演のオファーを出したのです。しかし、出演交渉は難航し、真っ先に呼びかけたカントリー/ブルーグラスの重鎮ビルモンローには、「髪の長いヒッピーのようなロッカーと一緒に演る気などない」と断られてあえなく撃沈。その後はメンバー全員平身低頭、ショート・カットにしてお歴々のところへセッションを依頼するために奔走したとの逸話が残っています。
アルバムの実質的な最後を飾る曲として収録されたこの「永遠の絆」はメイベル・カーター、ジミー・マーティン、ロイ・エイカフの御大3人がリード・ヴォーカルを取っています。コーラスに参加していた総勢は31人。いずれ劣らぬ強者が集まっていたとのことです。
このセッションに臨んだNGDBのメンバーはジョン・マッキューエン、ジェフ・ハンナ、ジム・イボットソン、レス・トンプソンの4人。先輩や長老たちに気を配りながら胸を借りた様子がひしひしと窺えるアルバムでした。
なお、「永遠の絆」はメイベル・カーターが所属していたカーター・ファミリーがオリジナルの楽曲。後述しますが、ジョニー・キャッシュの妻、ジューン・カーター・キャッシュは彼女の娘にあたります。

まず、NGDBと大御所たちとのライヴ映像。いつごろのものでしょうか。NGDBのメンバーもけっして若くありません。この時は既に脱退していたと思われるバンジョー担当のジョン・マッキューエンは白髪になっています。


次は1990年発表の『Will The Circle Be Unbroken Vol. 2』のレコーディング・セッションから。ジョニー・キャッシュ、ロイ・エイカフ、リッキー・スキャッグス、リヴォン・ヘルム(The Band)with エミルー・ハリス、ジム・イボットソン(NGDB)の順でリード・ヴォーカルが取られます。他のNGDBのメンバーはジェフ・ハンナ(ギター)、ボブ・カーペンター(ピアノ)、ジミー・ファッデン(ドラムス)といった具合に楽器演奏とバック・コーラスに徹していました。また、バック・コーラス陣にはジョニー・キャッシュ夫人のジューン・カーター・キャッシュ、ヴィンス・ギル、アール・スクラッグス・レヴューなどカントリー/ブルーグラス界の大御所に混じり、ロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン、トレーシー・ネルソン、ジョン・ハイアット、ウェンディ・ウォルドマン、ブルース・ホンズビー、ジョン・デンバーなど豪華な面々が駆けつけていました。


中学生ぐらいの時はとくに興味を引く存在ではなかったのですが、年を重ねるごとにジョニー・キャッシュに魅了されて行きました。1990年代の中頃にNHKで放送された「ドクター・クイン 大西部の女医物語」でのガンマン役も格好良かったですね。これはいつ頃の映像でしょうか。ジョニー・キャッシュ夫妻の元気な姿が見られます。また、娘さんであるカーレン・カーター(元夫はニック・ロウ)も出演。何枚もアルバムをリリースしているシンガーです。以前通っていたレコード屋さんで、「音もルックスも君の好みだから買いなよ」と薦められたものの未だに1枚も購入に至っておりません。


ブリティッシュ・トラディショナル・フォークのペンタングル。アメリカ勢と違ってしっとりとした印象です。1971年発表の『Reflection』に収録。


ステイプル・シンガーズの音源です。とてもソウルフルでカントリーとはかなり雰囲気が違いますね。1960年発表の『Will The Circle Be Unbroken』に収録。メンバーのメイヴィス・ステイプルズは現在もソロで活動中。2007年にリリースしたライ・クーダーのプロデュースによる『Never Turn Back』が話題になりました。


最後はジョーン・バエズ。マペット・ショー出演時の映像で、「セサミ・ストリート」でお馴染みのカエルのカーミット君と共演しています。


他にもネヴィル・ブラザーズが1889年発表の『Yellow Moon』で取り上げていますが、さすがにYouTubeに映像がありませんでした。これもアーロン・ネヴィルらの歌声によって実に味わい深く仕上がっています。

Will The Circle Be Unbroken
俺は窓の側に立っていた
ある寒く曇った日のこと
霊柩車がやって来て
俺のおふくろを連れて行こうとした

家族の絆はより確かなものになるのだろう
まもなく 主よ まもなく
もっと良い家が空の彼方で待っているのだろう
神に召されることによって

俺は葬儀屋に頼んだ
葬儀屋さんよ、どうかゆっくりと車を走らせてくれ
収容されたおふくろのために
ああ、おふくろが逝ってしまうのを辛くて見ていられない

俺はおふくろの背後にぴったりと寄り添い
落ち着きを失わず凛々しくあろうとした
でも 悲しみを隠すことが出来なかった
その時 おふくろは墓の中に横たわった

家に帰ると寂しさが漂う
おふくろを失った おふくろは召されたのだ
兄弟姉妹は泣き叫び
家の中はなんと悲しく寂しいものなのか


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マーヤさんのブログ「始まりはいつもジョン・デンバー」で、NGDBとジョン・デンバーが共演している "And So It Goes" が取り上げられていました。『Will The Circle Be Unbroken Vol. 2』に収録されている曲です。

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Carly Simon - Anticipation

1stを取り上げると2ndも紹介したくなりました。引き続き今回もカーリー・サイモンについて語りたいと思います。
1971年に発表した「That's The Way I've Always Heard It Should Be(幸福のノクターン)」のヒットの勢いに乗って2ndアルバム『Anticipation』が同年11月に発表されました。鉄は熱いうちに打ての如くのリリースですが、決してやっつけ仕事ではなく充実した内容です。
アルバムからシングル・カットされたタイトル曲「Anticipation」は全米13位、「Legend In Your Own Time(邦題:悲しい伝説)」は第50位のヒット。アルバムも第30位まで昇りカーリーはその年のグラミー賞の最優秀新人賞を獲得しました。
「Anticipation」は予感通りに実現した恋の瞬間を歌った曲。「Legend In Your Own Time」は若くしてロック・スターになった男の栄光と孤独を歌っていました。ボサノバっぽいアレンジが印象的です。
なお、このアルバムのプロデューサーはポール・サミュエル・スミス。元ヤードバーズのベーシストで、一時期カーリーと噂のあったキャット・スティーヴンスのアルバムもプロデュースしています。そして、このアルバムもカーリーの弟ピーター・サイモンがジャケット写真を手掛けていました。
今回はまず、「Legend In Your Own Time」とたぶんカーリー自身の弾き語りであろうピアノをバックに歌われる「Julie Through The Glass(邦題:ガラスのジュリー)」の2曲を聴いていただけたら幸いです。後者は生まれたばかりの娘への「これからの人生を無事過ごせますように」との祈りが込められた曲です。もっともこの時点ではカーリーは結婚も出産もしておりません。願望を歌にしたものなのでしょうか。ちなみにカーリーの娘さんのお名前はサリーさんです。
Deezerのプレーヤーが不調のようです。代わりにimeemを用意しましたが30秒の制限があるので悪しからずご了承ください。DeezerもImeemも消滅しました。


Legend In Your Own Time
まだほんの子供だった頃からあなたのことは知っていたわ
あなたのお母さんはいつも自慢していたっけ
この子は大きくなったら指導者になるわってね

ところがあなたはラジオに夢中になって
いつのまにかバンドのシンガーになっていた
あなたのお母さんはがっかりして
理想から離れていったと言うだろう

でもあなたは今をときめく伝説の人
フットライトを浴びるヒーロー
自作の詞に曲を付けて歌う
でもたったひとりで家に帰れば
伝説の英雄はたんなる孤独な少年

あなたは少年のままの心を持ち続けてるのに
あまりに多くのものを犠牲にしたわ
あなたに愛を捧げた女性たちは
誰ひとりとしてあなたに愛されたことがない

だから あなたはラジオに夢中になって
いつのまにかバンドのシンガーになっていた
いくぶん悲しい気持ちでこう思うの
自分の想い描いた理想とずいぶんかけ離れているって


でもあなたは今をときめく伝説の人
フットライトを浴びるヒーロー
自作の詞に曲を付けて歌う
でもたったひとりで家に帰れば
伝説の英雄はたんなる孤独な少年


タイトル曲の「Anticipation」を1972年のライヴ映像でお楽しみください。


こちらは1995年の映像。


1987年の映像。


これはいつ頃の映像でしょうか。


この曲はケチャップのCMに使われたそうです。


こちらは1970年代に使われたヴァージョンのようです。


Anticipation
将来のことなんて誰にも分からない
でも私たちはそんなことについて考えずにいられない
こうしてあなたといることが現実なのかしら
それとももっといい日が来るのを求めているのかしら

予感 何かの予感が
私を気後れさせているの
私を待たせ続けているの

あなたと一緒にいると気が休まるわ
あなたの腕に抱かれているときが安心なの
でも 昨夜遅くひとりでお別れの言葉を復唱したの
今夜はとっても素晴らしい夜になると思いながらも

明日になったら私たちはお別れかもしれない
予言者じゃないもの 自然の法則なんて予測できないわ
だから今 あなたの瞳を覗いてみたいのよ
ここに留まることにするわ この幸せな日々の中にいたいから

AnticipationAnticipation
(1990/10/25)
Carly Simon

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Carly Simon - That's The Way I've Always Heard It Should Be

前回はジェームズ・テイラーを取り上げたので、今回は元妻のカーリー・サイモンについて書いてみたいと思います。
カーリー・サイモンの名を日本で知らしめたのは1972年発表の「You're So Vain 」ですが、本国アメリカではデヴュー当初より脚光を浴び、1971年発表のシングル「That's The Way I've Always Heard It Should Be(邦題:幸福のノクターン)」は全米トップ10入りを果たすヒットとなりました。
アメリカ有数の出版社サイモン&ジェスターズの社長の三女として1945年6月25日にニューヨークで生まれたカーリーは恵まれた環境で育ちました。仕事の合間にベートーベンやショパンをピアノで奏でる父、ジョージ・ガーシュインやコール・ポーターを愛聴する母、オペラ歌手の長女といった音楽的にも申し分のない家庭環境です。
でも、その彼女が夢中になった音楽はクラッシックではなくピート・シーガーらが歌うフォーク・ソングでした。大学時代には次女のルーシーとサイモン・シスターズというフォーク・デュオを組んでグリニッチ・ヴィレッジを中心に活動。ピート・シーガーとの共演も果たしています。また、1964年にはマイナー・レーベルよりシングル「Winkin' Blinkin' And Nod」も発売。全米73位まで上昇するヒットとなりました。
話題にはなったものの姉ルーシーの結婚でこのデュオは解散。カーリーはボブ・ディランのマネージャーであり、ザ・バンドやジャニス・ジョプリンを手掛けたアルバート・グロスマンに目を掛けられソロ・レコーディングを行うものの発売には至らず、CMソングを書くかたわら1969年頃には後にジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドをサポートするエレファンツ・メモリーのリード・ヴォーカルとして在籍していたこともありました。また、シナリオ・ライターをしたり、端役ながらも女優として映画に出演したこともあるそうです。
幼少の頃より何不自由なく暮らしていたカーリーにとっては初めての挫折かもしれません。しかし、不遇の時期は人間性を養うことでその後の歌作りにおいての貴重な経験となったことでしょう。
そうした下積み生活の中、1970年に映画評論家で脚本家のジェイコブ・ブラックマンのバック・アップとデヴィッド・ブロムバーグらの協力のもとデモ・テープを制作。それがエレクトラ・レコードの社長ジャック・ホルツマンの耳にとまり同社との契約へと発展しました。そうして本日紹介するソロ・デヴューアルバムが1971年4月に発売されています。
カーリー・サイモンの歌は奔放なロマンスやフェミニズムを扱ったものが多いのですが、原点と言えるこの1stでもその傾向が既に表されており、女性特有の感性で現実をしっかり見つめる誠実さが感じ取れました。サウンド面ではシンガー・ソング・ライターのアルバムらしく、カーリーが奏でるピアノやアコースティック・ギターの弾き語りを基調に歌を際立たせた作りで、サポートするように繊細なストリングスがバックに施されています。
なお、このアルバムのジャケット写真を撮影したのは弟のピーター・サイモン。カーリーのアルバムのジャケットの多くやジェームズ・テイラーの『Walking Man』なども手掛けた有名な写真家です。
今回はアルバムからジェイコブ・ブラックマンとの共作「That's The Way I've Been Always Heard It Should Be」、カントリー風アレンジが入った「One More Time」、軽快な「Rolling Down The Hills」の3曲を聴いていただけたら幸いです。なお、Deezerのプレイヤーは1-2-1-3という順番で演奏されるので、ご面倒ですが3曲目を聴かれるときは一旦ブラウザを更新して曲名をクリックしてください。を聴いていただければ幸いです。



That's The Way I've Been Always Heard It Should Be
父は夜中に灯りも付けずに座っている
煙草が暗闇の中であざやかな光を放つ
居間は静まりかえり
私は気づかれずに通る
母が雑誌を読んでいるベッド・ルームをつま先立ちで通り過ぎる
「いい夢をごらん」と母の言葉が聞こえるよう
でも私は夢を見る術を忘れた

あなたは私たちふたりが家庭を持ち一緒に暮らす日が来たと言う
そう それは当然のこと
そう聞かされてきたけど
あなたは私と結婚したいのね 私たち結婚するんだわ

学生時代の友達はもうみんな結婚しているわ
彼女たちは家と芝生を持ち
静かな午後を過ごし
涙に暮れる夜と怒りの朝を迎える
子供たちは親を嫌い反抗する
彼女たちは現在の自分たち自身を嫌っている
酒をあおり 大声で笑い
傷口をふさぎ 傷跡を隠す

あなたは私たちふたりが家庭を持ち一緒に暮らす日が来たと言う
そう それは当然のこと
そう聞かされてきたけど
あなたは私と結婚したいのね 私たち結婚するんだわ

あなたは二人の愛はずっと変わらないというけれど
ベイビー、君がすべてだなんて
カップルは寄り添ったり傷つけ合ったり
愛の残骸の中に溺れて行く
二人は雲を越えて羽ばたく二羽の鳥のように舞い上がるのだとあなたは言う
でも まもなくあなたは私を鳥かごの中に閉じ込めるはずよ
私は私らしくするためにどうすればよいのかわからないままになるのよ

そう いいわ 私たちは一緒になって家庭を持つ時が来たのだわ
そう それは当然のこと
そう聞かされてきたけど
あなたは私と結婚したいのね 私たち結婚するんだわ


このあいだまでYouTubeにこの曲の映像があったのですが、削除されてしまったようで紹介できません。代わりと言っては何ですが、Haven't Got Time / Anticipation / That's The Way I've Always Heard It Should Be のグランド・セントラル・ステーションでのライヴ・パフォーマンス(1994年)があったのでそちらをお届けします。少々長いので恐縮ですが、宜しければお楽しみください。


Carly SimonCarly Simon
(1990/09/26)
Carly Simon

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James Taylor - Rainy Day Man

ジェームズ・テイラーの名が広く知れ渡ったのは1970年にワーナー・ブラザーズから発売された『Sweet Baby James』や翌71年発表の『Mud Slide Slim And The Blue Horizon』からかと思います。この2枚のアルバムの成功により、ジェームズは70年代のシンガー・ソング・ライター・ブームの旗手として注目されました。今回はその彼がビートルズのアップル・レコードに残した1stアルバムを取り上げます。
1948年3月12日生まれのジェームズ・テイラーはマサチューセッツ州ボストンの出身。本格的な音楽活動は1966年頃にダニー・クーチと組んだフライング・マシーンから開始されたようです。バンドはニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジのクラブを中心に演奏し、この時期にキャロル・キングやジョン・セバスティアンらとの交流も始まりました。
ところが、もともと繊細な性格のジェームズが麻薬中毒による精神衰弱に陥ったことが原因でバンドは崩壊。その後、復帰を図ろうとジェームズはソロでデモ・テープを制作します。そして、ダニー・クーチと顔見知りであったアップルのチーフ・プロデューサーであるピーター・アッシャー(元ピーター&ゴードン)の目にとまり、ポール・マッカートニーも気に入ったことでめでたくアップルとの契約とあいなりました。ポールはアルバムからの第1弾シングルとなった「Carolina In My Mind」にベースで参加しています。
1968年に発表されたこのデヴュー・アルバムは出世作となった『Sweet Baby James』や『Mud Slide Slim & The Blue Horizon』、そして現在の彼と何ら変わることのない優しく穏やかな歌声が披露されていました。文字通り彼の原点と言える作品です。
アップルと契約して順調なスタートを切るかと思われたものの、ビートルズ解散を巡る「お家騒動」や経営危機の中で十分なプロモートがされなかったことからセールスが芳しくなく、2ndアルバムが途中まで録音されていたにもかかわらず当時のアップルのビジネス・マネージャーだったアラン・クレインによりジェームズはピーター・アッシャーともどもリストラされてしまいました。また、ピーター・アッシャーの妹である女優のジェーン・アッシャーとポールの婚約解消というトラブルがあり、以来アッシャーとポールの関係がぎくしゃくして確執を生んだことが解雇の一因との説やジェームズがアルバム発売直後に精神不安定に陥り治療施設に入院したことも評価を下げたと言われています。
しかし、心機一転ピーター・アッシャーとともにアメリカに帰国したジェームズはロス・アンジェルスを本拠地に選び再始動を図ります。運悪く交通事故に見舞われましたが「人間万事塞翁が馬」の如くワーナー・ブラザーズと契約を結び2ndアルバム『Sweet Baby James』を発表してようやく成功の道を歩むことになりました。
後にジェームズの『Walking Man』(1974年発表)にポール・マッカートニー夫妻がバック・コーラスで参加しておりますが、これはジェームズを守ることが出来なかったポールの罪滅ぼしと言えそうでとても興味深いことです。
今回はまずアルバムから「Brighten Your Night With My Day」と「Night Owl」の2曲を聴いてただけたら幸いです。どちらもフライング・マシーン時代の楽曲の再収録で、レコーディング・スケジュールに多くの時間を割けなかったたための措置かと思われます。なお、「Night Owl」は妻だったカーリー・サイモンが『No Secrets』(1972年発表)の中でカヴァーしていました。



このアルバムの曲は後に再録されたりステージでも歌われていることもあるのか、YouTubeに映像が豊富に用意さています。まずはシングル盤となった「Carolina In My Mind」(リメイクされて1976年発表の『Greatest Hits』に収録)です。ディクシー・チックスとの共演でお楽しみください。


ジョージ・ハリスンの名曲はこの歌からインスパイアされて作られたという逸話が残る「Something In The Way She Moves」です。これもリメイクされて『Greatest Hits』に収録されていました。


最後は「Rainy Day Man」。ボブ・ディランの「Rainy Day Woman」を想起させるタイトルですね。あの曲はドラッグと関係した歌と言われていますが、ジェームズのこの曲はどうなんでしょうか。これは1979年発表の『Flag』で再録音されています。今回は1970年のライヴ映像をご覧ください。


Rainy Day Man
幸せそうな嘘をついてどうなると言うんだ
君は最初から泣きたかっただろう
落ち込んでしまったようだね
友達が少しも助けてくれないってわけだ
心細くなったのなら
この雨降りの男の顔を見てごらん

虚勢を張っても仕方がない
君の心の穴は大きすぎて埋まらない
またしくじってしまったようだね
だから雨降りの男に会うために戻っておいで

雨降りの男は太陽が嫌い
虹を追うこともしないし 幸せも求めない
灰色の空の日が続けば彼に会えるよ
虚しい気分のときは彼に会えば良い

崇高な思想など持ち合わせていない
幸せな歌を歌っても真実は隠せない
君は自分の居場所を知っているんだから
雨降りの男を訪ねることだね

シンプルな楽しみでは気が紛れない
店から買った高価な品物でも憂さ晴らしは出来ない
痛みを和らげる印を見つけなよ
もう一度雨乞いをしてごらん

また落ち込んでしまったようだね
友達が少しも助けてくれないってわけだ
心細くなったのなら
この雨降りの男の顔を見てごらん
頼むからこっちを向いてくれよ


James TaylorJames Taylor
(2005/04/26)
James Taylor

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linda Ronstadt , Emmylou Harris - Western Wall|The Tucson Sessions

前回、前々回とドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスの3人によるユニットによるアルバム『Trio』、『Trio2』を取り上げましたが、リンダとエミルーによる共演盤も紹介しておくことにしましょう。
本作『Western Wall | The Tucson Sessions(邦題:ウエスタン・ウォール)』は1999年にリリースされました。前回の『Trio2』から半年も経っていません。
エミルーがリンダのアルバムにバック.ヴォーカルとして参加したのは1974年の『Heart Like A Wheel』が初めてだったと思います。以降リンダとエミルーは意気投合したのか、互いのアルバムに参加し合う仲となりました。
今回は残念ながらドリー・パートンが参加しておりませんが、ニール・ヤングが「For A Dancer」と「Across The Border」の2曲にハーモニカとコーラスで参加していることが注目されます。

今回はアルバムからジャクソン・ブラウンの「For A Dancer」(1974年発表の『Late For The Sky』収録)、レナード・コーエンの「Sister Of Mercy」(1967年発表の『Songs Of Leonard Cohen』収録)、ブルース・スプリングスティーンの「Across The Border(1995年発表の『The Ghost Of Tom Joads』収録)」を聴いていただけたら幸いです。







ACROSS THE BORDER
今夜荷物を鞄に一杯詰めて
明日は線路を歩き始めるとしよう
沿って行けば国境に導いてくれる
明日も愛しい人と一緒
とび色の空の下で眠ろう
国境のどこかで

愛しい人を残して出発するの
苦痛と悲しみがいつまでも残るわ
ブレイヴォーの濁った水を飲み
空は灰色に広がって行き
私たちは向こう側で出逢う
国境を越えたところで

私のためにあなたは家を建てる
草が生い茂る丘の上
国境のどこかで
苦痛と記憶
苦痛と記憶が留まったまま
国境を越えたところで

甘い花の香りが空気を満たす
黄金色と緑色の平原
冷たく澄んだ川へと続く
はてしなく広がる空の下
あなたの腕の中
あなたの瞳から悲しみをキスで取り除くわ
国境を越えたところで

今夜二人で歌を歌いましょう
そしてコラゾンの夢を見るの
明日になれば心も強くなれる
聖人のご加護を受けて
あなたの腕へ無事に辿り着けますように
国境を越えたところで

心に希望なくして私たちは生きられようか
いつの日か神に祝福された聖水を飲めるように
つるから果実を取って食べられるように
愛と幸運を手に入れられるのよ
国境のどこかで


画像と音声が少々悪いのですが、YouTubeにリンダとエミルーの映像がありました。曲目はエミルーが1980年に発表した『Roses In The Snow』に収録されていた「Gold Watch And Chain 」です。
貼り付けが出来ないようなので、下記のアドレスをクリックしてください。
http://www.youtube.com/watch?v=BM77YxmfG08

Western Wall: The Tucson SessionsWestern Wall: The Tucson Sessions
(1999/08/19)
Linda Ronstadt & Emmylou Harris

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それでは「For Dancer」のライヴ映像で今回はお開きとします。


Dolly Parton , Linda Ronstadt , Emmylou Harris - Trio2

前回に引き続き今回もドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスによるユニットのアルバムを取り上げます。
シンプルに『Trio2』と名付けられたアルバムは、前作から12年の歳月を経て1999年に発表されました。ワーナー・ブラザーズからリリースされた「Trio」ではエミルーに配慮したのかカントリーやブルー・グラス志向が強かったのですが、今回は発売元がアサイラムであることからリンダを中心にしたややポップス色の強いアルバムに仕上がっています。
1995年に発表されたリンダの『Feels Like Home』と収録曲が数曲重複しており、それらは新たに録音し直したというよりも既発のものをベースにドリーとエミルーのハーモニーやコーラスを加え、バックの演奏のほうも幾つかの楽器を付け足しリミックスしたという印象を受けました。ちなみに、この『Trio2』収録の「Lover's Return」、「Feels Like Home」は既に『Feels Like Home』に収められたヴァージョンにエミルーがバック・コーラスとして参加しております。
なぜ3人は12年ぶりにリユニオンしたのでしょうか。まさか同窓会気分で集まったわけでもないだろうし、ヴェテランの健在ぶりを誇示しようとしたとも思えません。でも、3人の美しいハーモニー・ワークは前作と変わりがありません。

Lover's Return
やっとあなたは私の元に戻ってきた
私への想いはまだ消えてないというのね
こんなにうんざりするほどの長い歳月努力したようね
私を忘れるためにもがいていたのね

いいえ あなたの手を取ることは出来ないわ
神様が二人が若かった頃に戻してくださらないもの
あの頃あなたは愛を軽んじていた
そう それは純然たる真実なのよ

側に来て、あなたの顔を見せてちょうだい
あなたの黒髪は雪で真っ白ね
そうよ あの頃と変わらない愛らしい顔
何年も前に私がとても愛した顔

さようなら まだあなたを愛しているけど
友達として、心から祈っているわ
神様が辛い年月を導いてくださるように
澄んだ空の下で


今回はまず、カーター・ファミリーのナンバー「Lover's Return」、ドリー・パートンの作の「Do I Ever Cross Your Mind」、ニール・ヤングの名曲「After The Gold Rush」の3曲を紹介します。



ドリー・パートンの「Do I Ever Cross Your Mind」はTRIOの映像がなかったので、代わりにドリーとチェット・アトキンスの共演映像をご覧くだされば幸いです。


http://www.youtube.com/watch?v=yXfmYCp84fw

YouTubeには3人のユニットの映像が多数残されています。まずはリンダのアルバムからの曲「High Sierra」。


アルバムの締めくくりの曲「When We're Gone , Long Long」


今回もドリーのTVショーの映像も観てみましょう。


トリオ2トリオ2
(1999/03/25)
ドリー・パートンリンダ・ロンシュタット

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Dolly Parton , Linda Ronstadt , Emmylou Harris - Trio

ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスの3人によるユニットが実現したのは1986年のことです。3人はじっくりと時間をかけてレコーディング作業を行い、翌1987年にシンプルに『トリオ』と名付けられたアルバムがリリースされました。
バックを受け持つミュージシャンはアルバート・リー(ギター)、ケニー・エドワーズ(ベース)、リトル・フィートのビル・ペイン(キー・ボード)、ラス・カンケル(ドラムス)、マーク・オコナー(フィドル)、ディヴィッド・リンドレー(ハワイアン・ギター、オート・ハープ、マンドリン、ダルシマー)といった豪華な顔ぶれ。ライ・クーダーも1曲(「To Know him is To Love Her」)のみ参加していました。
もちろん3人は今回初めて顔合わせをしたのではなく、1976年にドリーのTVショーにリンダとエミルーがゲスト出演したのをきっかけとして、いつかは3人でアルバムを作りたいとの構想を抱いていたとのことです。その後、エミルーの『Blue Kentucy Girl』(1979年発表)の中で、3人は「Even Cowgirl Get The Blues」を歌っていますし、同年発表のエミルーのクリスマス・アルバム『Lights Of The Stable(邦題:ひとすじの光)』では同名曲をニール・ヤングを加えた4人で歌っていました。また、1981年にリリースされたエミルーの『Evangeline』収録の「Mister Sandman」(ザ・コーデッツ、1954年のミリオン・ヒットのカヴァー)でも3人の共演が聴けます。
こうして歌姫3人による『トリオ』が実現の運びとなりましたが、ドリーがRCA、リンダがアサイラム、エミルーがワーナー・ブラザーズと所属レコード会社が別々のため調整に苦労したことと思われます。前述の「Mister Sandman」をシングル・カットしようとした時にもリンダとドリーのレコード会社からストップがかかり、慌ててエミルーが2人のパートを録音しなおして発売したという話もありました。
このアルバムでは3人に共通したカントリーを基盤にマウンテン・フォーク、ブルー・グラスなどの要素を取り入れた音作りがなされています。歌ではリンダやドリーのほうが目立ちますが、音楽的な趣旨や志向ではエミルーの路線に近いような印象を受けました。
今回は収録曲の中から古いゴスペル・ソングの「Father Along」の訳を掲載します。

Farther Along
誘惑や努力 時々分からなくなってくる
なぜ一日中こんなふうなのか
まわりにいる他の人たちが
過ちを犯したにもかかわらず、苦しめられずにいる

死が訪れ愛する人を連れて行ったとき
我が家は寂しさと侘しさに包まれる
そんなときふと思うことがある
どうして他の人たちはうまく行くのか
何年も何年もいたずらに生きているのか

もっと時間がたてば全てが分かるだろう
もっと時間がたてば何故だか理解ができるだろう
元気を出しなさい、ブラザー、太陽の光の中で口ずさみながら生きて行こう
やがて少しずつ理解できるだろう

死するまで誠実であれ
我が敬愛なる主はそう仰せられる
あともう少しの労働と辛抱
人生の苦難はそのとき何もなかったように思え
美しい門を通り過ぎるように消えて行く


今回はアルバムからリンダのヴォーカルによる「Hobo's Meditation」、エミルーを中心とした歌唱によるアパラチアン・ミュージックの伝承歌「My Dear Companion」、ドリーが歌う古いフォーク・ソング「Rosewood Casket」、そして3人がそれぞれリードを取る「Father Along」の4曲を聴いていただければ幸いです。



さらにもう1曲は映像で。シングル・カットされたフィル・スペクターでお馴染みの「To Know Him Is To Love Him (邦題:つのる想い)」です。


これがドリーのTVショーで共演したときの映像のようです。少々緊張したような表情が窺えるリンダがとてもキュートですね。


TrioTrio
(1987/07/07)
Dolly PartonEmmylou Harris

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Gram Parsons - Wild Horses

以前グラム・パーソンズの「Sleepless Nights」を取り上げましたが、今回は「Wild Horses」について述べてみたと思います。ザ・バーズが1968年にイギリス・ツアーを行った際にローリング・ストーンズとの親交を深め、とくにグラムとキース・リチャーズが親しくなり意気投合。グラムとの交流が「Honky Tonk Women」を作る上でのヒントになったと言われています。ちなみに、「Wild Horses」はミック・ジャガーとキース・リチャードがグラムに贈った曲です。
この「Wild Horses」はフライング・ブリトゥ・ブラザーズの2ndアルバム『Burrito Deluxe』に収録されていました。クリス・エスリッジ(ベース)とジョン・コーネル(ドラムス)が脱退したため1stでは主にギターを弾いていたクリス・ヒルマンがベース担当に戻り、穴を埋めるべく後にイーグルスに加入するバーニー・レドンと元ザ・バーズのマイケル・クラークが加わりました。ギタリストであるレドンの影響があるのか、このアルバムは従来のカントリー・ロック路線からややロック色が濃いものに仕上がっています。
飲酒やドラッグの影響があるのでしょうか。グラムのヴォーカルは豊かな感情表現がなされているものの、少々不安定さが窺えます。また、この「Wild Horses」では人生は虚しいものと言わんばかりの諦観が込められたような淡々としたものが漂っていました。失恋した相手に向かって「あの世で一緒に暮らそう」と歌いかけているところが何ともはかなく感じます。なお、グラムのエモーショナルなヴォーカルにピアノで花を添えているのはレオン・ラッセルです。
フライング・ブリトゥはこの2ndアルバム発表後に早くも新作のレコーディングに取り掛かります。しかし、グラムの飲酒癖はバンド運営に支障を来すほどのものとなったため、彼はレコーディング途中に解雇されてしまいました。そのセッションで録音された「Sleepless Nights」を始めとする楽曲が以前取り上げた『Sleepless Nights』など様々な編集盤に分散されて収録されています。

幼い頃 生きて行くのは容易かった
おまえが欲しがるものは何でも買ってやった
無作法な女よ 俺のことは分かっているだろう
この手からおまえを失いたくないのだよ

野生の馬は俺を引きずれなかった
野生の馬は俺を引きずることが出来なかった

お前が鈍い苦悩に苛まれるのを見てきた
今度は同じ苦悩を俺にも味わわせようというのか
見渡せる出口もなく 舞台裏の行列もない
俺に苦々しい思いをさせるのか
おまえを不親切に扱うのかのどちらかだった

俺はお前に罪と嘘を夢見ていた
俺には自由はあるがもう時間がない
信頼は裏切られ、涙が溢れ出す
命が尽きた後に、あの世で一緒に暮らそう
野生の馬も俺を引きずって行くことは出来なかった
野生の馬に、いつの日か俺たちも乗ろう


それではアルバムから、ザ・バーズが後に『Farther Along』(1971年発表)で取り上げたトラッド曲「Farther Along」と「Wild Horses」の2曲をお聴きいただければ幸いです。



やはりローリング・ストーンズの皆様にも登場していただかなければなりません。



CDは現在入手困難なようです。ジャケットはもちろん同じです。
Burrito Deluxe [12 inch Analog]Burrito Deluxe [12 inch Analog]
(2008/11/18)
The Flying Burrito Brothers

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フライング・ブリトゥの楽曲の殆どが収録されております。
Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972Hot Burritos! The Flying Burrito Bros. Anthology 1969-1972
(2000/04/18)
The Flying Burrito Brothers

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Linda Ronstadt - Cry Me A River

しつこいようですが、今回もスタンダード集を取り上げます。
リンダ・ロンシュタットは何枚もスタンダード・アルバムをリリースしているのですが、2004年に発表された『Hummin' to Myself』はあまり注目されないまま市場から姿を消そうとしております。2000年の『A Mary Little Christmas』を最後にアサイラムを離れ、ジャズの老舗レーベル「ヴァーブ」に移籍して出されたこのアルバム、リンダのジャズとこれまで以上に真剣に向かい合おうという気持ちが滲み出ているようでした。

CRY ME A RIVER
今になってあなたは孤独だと言うのね
一晩中泣き続けただなんて
そうよ 私のことを思って川のように泣けばいいわ
私のことを思って川が出来るぐらい泣けばいいのよ
私だってあなたを思って川のように涙を流したんだから

今になって自分が悪かっただなんて言うのね
とても不誠実だったと
そうよ 私のことを思って川のように泣けばいいわ
私のことを思って川が出来るぐらい泣けばいいのよ
私だってあなたのことを思って川のように涙を流したんだから

あなたのせいで私は気も狂わんばかりだった
あなたは一粒の涙も流さなかった
憶えているかしら
私はあなたが言った言葉を全て憶えているわ
愛なんて卑しいことと言ったわね
私とのことは終わったと言ったわね

今さら私を愛しているというのね
それなら証明してちょうだい
さあ、私のことを思って川のように泣けばいいわ
私のことを思って川が出来るぐらい泣けばいいのよ
私だってあなたのことを思って川のように涙を流したんだから


考えてみれば、「いい気味だわお泣きなさい」と言いながらも「私を愛していることを証明してちょうだい」なんて怖い歌ですね。リンダのような女性を前にしてこんな言葉を告げられたらどうしよう。まぁ、そんな状況に陥ることはないからいいかな。

今回はアルバムからアーサー・ハミルトン作の「Cry For A River」、サミー・フェインが書いたタイトル曲「Hummin' myself」、ゴードン・ジェンキンス作の「Blue Prelude」の3曲を聴いていただけたら幸いです。


Discover Linda Ronstadt!


やはりジュリー・ロンドンのオリジナルも紹介しておかないといけません。


ジョー・コッカーも歌っています。アルバム『Mad Dogs & Englishmen』より。


ハミン・トゥ・マイセルフハミン・トゥ・マイセルフ
(2004/11/10)
リンダ・ロンシュタット

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Love is a many splendored thing

前回リンゴ・スターの『Sentimental Journey』を紹介しましたが、その中に収録されていた映画『慕情』のテーマ曲を今回は改めて取り上げてみたいと思います。
映画『慕情』は1955年に公開されたアメリカ映画です。ベルギー人と中国人の血を引くハン・スーインの自伝を下に映画化されました。第28回アカデミー賞を受賞しています。

簡単なあらすじ
舞台は1949年の香港。ジェニファー・ジョーンズ扮するハン・スーインは香港在住の勤務医。戦死した夫を想う失意の日々の中で、献身的に医療へ従事することで生き甲斐を見いだしていました。そんな時、ウィリアム・ホールデン扮するアメリカ人の新聞記者マーク・エリオットと知り合い恋に落ちますが、彼にはシンガポールに別居中の妻がいたのです。二人の関係はたちまち噂になり、エリオットは妻と離婚のための話し合いをするものの不調。まもなくエリオットは北朝鮮へ従軍記者として派遣され帰らぬ人となります。
なお、映画の中でスーインはイギリス人と中国人のハーフと設定されていました。

「慕情」の作詞はポール・フランシス・ウェブスター、作曲はサミー・フェイン。オリジナルは男性ボーカル・グループのフォー・エイセスで、この曲でアカデミー賞の主題歌賞を獲得しました。ナット・キング・コール、フランク・シナトラ、レターメン、アンディ・ウィリアムスなど多くの人々に歌われているスタンダード・ナンバーです。キース・ジャレットも演奏していました。

それでは、YouTubeの映像よりアンディ・ウィリアムスの歌にのせて、『慕情』の感動的な場面をお楽しみ下さい。


恋とは実に華麗なもの
それは春先にだけ咲く4月の薔薇
恋とは生きる理由を与える
自然の法則
男を王に導く黄金の王冠

高く風の吹く丘の上で
朝もやに包まれて
二人の恋人たちが口づけを交わした
世界はじっと佇み時が止まったよう
君の指先は私の穏やかな心に触れ
歌い方を教えてくれた
そう、恋とは実に華麗なもの


歌詞の中に小高い丘とありますが、二人が人目を忍んで逢瀬を重ねるなど多くの感動的な場面の舞台となったのが病院の裏手にある美しい丘です。朝鮮に旅立つエリオットとの別れを惜しんだのも、マークの悲報を知ったスーインが一人佇むラストシーンもこの美しい丘が舞台でした。

慕情 [DVD]慕情 [DVD]
(2006/11/24)
ウィリアム・ホールデンジェニファー・ジョーンズ

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Ringo Starr - Sentimental Journey

前回ニルソンの「夜のシュミルソン」を取り上げた時に、リンゴ・スターのほうが3年も前にスタンダード集を発表していることを述べました。今回はそのリンゴ・スターのスタンダード集『Sentimental Journey 』を紹介します。
このアルバムはビートルズが解散する直前である1970年3月27日にイギリスでリリースされました。収録曲の殆どが1940年にリンゴが生まれる前のものばかりであることから、幼少期に母親(両親は早くに離婚)が聴いていたものが自然とリンゴ自身の耳に刻まれていたのかもしれません。僚友ポール・マッカートニーもミュージシャンだった父親に影響されたのか、彼の音楽の中にスタンダード・ナンバーを思い起こさせる作風が感じ取れました。やはり西洋人と日本人では環境が違いますね。
今回はドリス・デイが歌って1945年にミリオン・セラーとなった「センチメンタル・ジャーニー」、ホギー・カーマイケルが1927年に作曲し、1929年にミッチェル・パリッシュが詞をつけた「スターダスト」、ウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズが主演した1955年の映画『慕情』のテーマ曲である「慕情」の3曲を聴いていただけたら幸いです。


Discover Ringo Starr!


画像と音質はかなり悪いのですが、YouTubeに「センチメンタル・ジャーニー」のプロモーション用の映像がありました。


オリジナルはこの人、ドリス・デイ。ザ・バーズのプロデューサーとして知られるテリー・メルチャーの母親でもあります。


センチメンタルな旅でもしようか
疲れた心を癒すために
センチメンタルな旅でもしようか
古びた過去を清算するために

荷物は持ったし 予約もしたし
有り金すべてはたいた
子供のように胸をときめかせて
あの「発車」という言葉を待ち望んでるんだ

7時 それが俺の発つ時間
天にも昇る気持ちで待ちながら
我が家へと続く線路を1マイルずつ数えている

こんなに切ない気持ちになるとはまったく思わなかった
どうして俺は旅に出ようとしたのだ
感傷旅行に出てみると
帰りたくなったよ我が家へ


センチメンタル・ジャーニー(紙ジャケット仕様)センチメンタル・ジャーニー(紙ジャケット仕様)
(2008/06/18)
リンゴ・スター

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Harry Nilsson - As Time Goes By

ハリー・ニルソンは「うわさの男」や「ウィズアウト・ユー」でお馴染みのシンガー・ソング・ライターです。1941年にニュー・ヨークに生まれ、銀行に勤務しながら音楽活動を始めました。やがて彼の才能はフィル・スペクターの目に止まり、ロネッツやモダン・フォーク・クァルテット(MFQ)への楽曲提供を足がかりとしてモンキーズに「カドリー・トイ」、ヤード・バーズに「テン・リトル・インディアン」が取り上げられました。ちなみに、MFQに提供した曲は山下達郎さんのヴァージョンで有名になった、「This could be the night」です。
ソング・ライターとして脚光を浴び始めたニルソン。マイナー・レーベルからアルバムをリリースした後、ついにRCAというメジャー・レーベルとの契約にこぎつけました。その後もスリー・ドッグ・ナイトやアル・クーパーが「One」、BS&Tが「ウィズアウト・ハー」など彼の楽曲は多くのアーティストに取り上げられ、才気あふれるソング・ライターとしての地位を確立して行ったのです。
シンガー・ソング・ライターとしてデヴューしたニルソンですが、ヴォーカリストとしても甘く切なく哀愁を帯びた歌声が魅力であり、他人の楽曲も数多くカヴァーしていました。1969年、ダスティン・ホフマン、ジョン・ヴォイト主演の映画『真夜中のカーボーイ』の主題歌に「うわさの男」(フレッド・ニール作)が使われて注目され、その年のグラミー賞最優秀歌手賞を受賞。1972年には「ウィズアウト・ユー」(バッド・フィンガーのピート・ハムとトム・エヴァンスの共作)で全米第1位に輝き、再びグラミー賞を獲得しました。
また、ザ・ビートルズとの親交が深く、ことにジョン・レノンはニルソンの才能を高く評価し1974年に『Pussy Cats』という共演アルバムを発表しています。
その後はアルコールとドラッグに溺れたことから喉を痛めて1980年代を棒に振り、1994年にはカムバックを果たそうと新作のレコーディングを行っていたものの、就寝中に糖尿病が原因とされる心不全を起こしてこの世を去りました。
今回取り上げた『A little touch of SCHMILSSON in the night (邦題:夜のシュミルソン)』は1973年にリリースされたアルバムです。ロック・アーティストがジャズやスタンダードの楽曲を歌うことは今では珍しいことではなくなりましたが、当時は驚きを持って迎えられました。でも、ユーモラスでノスタルジーに溢れたニルソンの作リ出す楽曲を思うと当然想定できる試みでした。
ロック・アーティストによるスタンダードへのアプローチとしては先駆けと言えそうですが、スタンダードの楽曲集としてはこのアルバムに先んじてリンゴ・スターが1970年に『Sentimental Journey』を発表しています。
このアルバムが発売された時、かの『ミュージック・マガジン』では中村とうよう編集長(当時)による、「収録されたスタンダード・ナンバーに関してはフランク・シナトラやペリー・コモといった先人のほうがニルソンよりも相応しい歌い方をしている。今さらニルソンがあのようなアルバムを出した意味が分からない」といった趣旨の理由からレビュー欄で扱われなかったという逸話がありました。ジャズやスタンダードに精通された中村とうようさんにすれば、ニルソンのこのアルバムはロック・アーティストがお遊び程度で制作した陳腐な企画ものにしか思えなかったのかもしれません。

今回はこのアルバムから、「オールウェイズ」、「ラグタイムの子守唄」、「虹の彼方に」の3曲をお聴きください。

Discover Harry Nilsson!


さらにもう1曲。1942年に製作されたハンフリー・ボガード、イングリッド・バーグマン主演の映画『Casablanca(邦題:カサブランカ)』に使用されて有名になった曲のカヴァーです。


憶えていておいてほしいことがある
口づけは口づけ
ため息はため息
時は移り行くとも 人の心は同じ

恋人同士が言い寄る時
なおも愛を囁き合う
これは信じてもいいこと
このさき何が起ころうとも
時が移り行くとも

月の光とラヴソングは決して時代遅れにならない
情熱で満たされた心
嫉妬と憎しみ
女は男が必要
男も伴侶を求める
このことは誰にも否定できない

昔から変わらぬ物語
愛と栄光を求めて闘い
愛するためには死ぬことも辞さない
いつの世もそんな恋人たちは歓迎される
時が移り行くとも変わらない


この人たちも歌っていました。ロッド・スチュワートとクリッシー・ハインド(プリテンダーズ)とのデュエットです。


夜のシュミルソン(紙ジャケット仕様)夜のシュミルソン(紙ジャケット仕様)
(2007/09/26)
ニルソン

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For Our Children

今回は前回の記事(「Golden Slumbers 」)の中で紹介した『For Our Children 』を取り上げます。
このアルバムはエイズ・ウイルスに冒された子供たちを救済するために企画されたベネフィット・アルバムです。この企画に賛同してスーパー・スターたちがこぞって参加。これまでに発表された曲の提供が多いものの、新録音で臨んだ人も少なくありません。

1. Give A little Love / Ziggy Marley and The Melody Makers
2. This Old Man / Bob Dylan
3. Cushie Butterfield / Sting
4. Mary Had a Little Lamb / Paul McCartney
5. The Ballad of davy Crockett / Stephen Bishop
6. Itsy Bitsy Spider / Little Richard
7. Chicken Lips and Lizard Hips / Bruce Springsteen
8. Country Feelin's / Brian Wilson
9. Blueberry Pie / Bette Midler
10. The pacifier (Instrumental) / Elton John
11. Getting to know You / James Taylor
12. Autumn to May / Ann and Nancy Wilson
13. Child of Mine / Calore King
14. Tell Me Why / Pat Benatar
15. A Medley of Rhymes / Debbie Gibson
16. Blanket for a Sail / Harry Nilsson
17. Good Night, My Love (Pleasant Dreams) / Paula Abdul
18. Gartan Mother's Lullaby / Meryl Streep
19. Golden Slumbers / Jackson Browne and Jennifer Warnes
20. A Child Is Born / Barbra Streisand

素晴らしい楽曲ばかりなのでとても選曲できません。収録曲全てをお聴かせしたいところですが、今回はたぶんこのアルバムでしか聴けないであろう楽曲を中心に私の好みでまとめてみました。


for our children 2

ボブ・ディランは映像がありました。「This Old Man」はイギリスやアメリカに伝わるマザー・グース(ナーサリー・ライム)の中の1曲です。



このじいさん ひとつたたく
ドラムをとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん ふたつたたく
靴をとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん みっつたたく
膝をとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん よっつたたく
ドアをとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん いつつたたく
ミツバチの巣箱をとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん むっつたたく
スティッキをとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん ななつたたく
天国に向かってとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん やっつたたく
俺の皿をとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん ここのつたたく
背骨をとんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く

このじいさん とうたたく
時々とんとんと
とんとん ピシャリ
犬に骨をやりなよ
じいさん転がりながらふらふら家に帰って行く


オリジナルは既に廃盤になっておりますので、少々楽曲が入れ替わった編集盤を参考までに掲げておきます。
Every Child Deserves a Lifetime: Songs from the for Our Children SeriesEvery Child Deserves a Lifetime: Songs from the for Our Children Series
(2007/10/09)
Various Artists

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The Beatles - Golden Slumbers

久しぶりに風邪を引いてしまいました。もともと丈夫なほうではないものの以前ならすぐに回復したものですが、今ではぐっすり寝ただけではなかなか再起できなくなりました。
今回取り上げるのはThe Beatlesの「Golden Slumbers」です。直訳すると「黄金のうたた寝」となりますが、それでは抽象的で意味がよく分かりません。goldenには貴重な、素晴らしいといった意味があるので、この場合はたぶん「心地よい」とか「素敵な」と訳すのが適切でしょう。
この曲はイギリスでシェークスピアと同時代に詩人・劇作家として活動したトーマス・デッカー(1572 - 1632)の作品「Golden Slumbers」をもとにポール・マッカートニーが独自の歌詞を付け足して作られました。
なお、デッカーの作品で最もよく知られているものは『しゃれ者入門書』(The Guls Hornebooke, 1609)で、当時のロンドンの流行や風俗がアイロニカルに描写されていました。
今回は「Golden Slumbers ~ Carry That Weight ~ The End」とメドレーで紹介させていただきます。

かつて道があった
故郷へと続く道が
かつて道があった
我が家へと続く道が

おやすみ 愛しの人よ、泣かないで
私が子守唄を歌ってあげよう
心地よい眠りが君の瞳を満たす
穏やかな微笑みが君の目覚めを迎えてくれる
おやすみ 愛しの人よ、泣かないで
私が子守唄を歌ってあげるから

かつて道があった
故郷へと続く道が
かつて道があった
我が家へと続く道が

おやすみ 愛しの人よ、泣かないで
私が子守唄を歌ってあげよう

君はその重荷を背負って行くのだ
これからの長い人生ずっと
君はその重荷に耐えて行くのだ
これからの長い人生ずっと

君に枕をあげる気はない
ただ招待状を送るだけだ
そして お祝いの席のさなかに
俺は泣き崩れちまうのさ

君は今夜も俺の夢に現れてくれるのか

結局、君がその手で奪う愛は
君がその手で与える愛と同じなのだ
愛とは自分自身で作り出さなきゃね

これらの曲が収録された『Abbey Road』は録音されたのが『Let It Be』より後であるため実質的なThe Beatlesのラスト・アルバムと捉えておられる方が多いと聞きます。西洋人The Beatlesの最後のメッセージも愛だったようです。

それでは上記のメドレーに加えて、ジャクソン・ブラウンとジェニファー・ウォーンズによるカヴァー・ヴァージョンをお届けします。このカヴァーはエイズ・ウィルスに冒された子供たちを救済するために企画されたベネフィット・アルバム『For Our Children』(1991年発売)に収録されていました。こちらも素敵なアルバムなのでまた日を改めて取り上げたいと思います。

1997年の映像とのことです。


こちらの映像も宜しければどうぞ。1989年から1990年頃のツアーのものらしく、同時期に来日公演も行われました。




ライヴ映像です。


アビイ・ロードアビイ・ロード
(1998/03/11)
ザ・ビートルズ

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