好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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明日は遠く

ボブ・ディランの「明日は遠く(Tomorrow Is A Long Time)」は『グレーテスト第2集』の中にライヴ・ヴァージョンが収録されているだけで、正式なスタジオ録音は発表されておりません。ボブ・ディランの作品の中では地味な曲の部類に入ると思うのですが、エルヴィス・プレスリー(オムニバス・アルバム『ソングス・オブ・ボブ・ディラン』ほか収録)、ジュディ・コリンズ(『Fifth album』収録)、イアン&シルヴィア(『風は激しく』収録)、ロッド・スチュワート(『Every Picture Tells A Story』収録)など著名なアーティストに取り上げられています。日本でも元大学教授でシンガー・ソング・ライターでもある三浦久先生が日本語に訳して歌われておりました。ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、レナード・コーエン、J.D.サウザーなどのアルバムの対訳でお馴染みの方です。彼のカヴァー・ヴァージョンは『ポジティブリー寺町通り』(廃盤)というアルバムに収録されておりました。
この歌「明日は遠く」は元恋人のスーズ・レトロのことを歌ったものであるとされています。スーズ・レトロとはディランのアルバム『フリー・ホイーリン』のジャケットで、ディランと腕を組んで歩いている女性。最近彼女の回想録が出版されて話題になりました。
歌の内容はメロディ・ラインの美しいラブ・バラードです。恋人のことを想う気持ちがひしひしと伝わってきますが、冷静になって聴いていると恥ずかしさも込み上げてきます。

もし、きょうがはてしないハイウェイでなく
もし、今夜がまがりくねった山道でなく
もし、あしたがそのように遠くでなかったら
さびしいということはなんの意味もないだろう
そう、わたしの恋人が待っていてくれさえしたなら
そう、彼女の心臓がやさしく打つ音がきこえさえしたなら
もし彼女がそばにねていてくれたなら
わたしはもういちどベッドでねよう
片桐ユズル訳

また、三浦久先生は下記のように訳されて歌われていました。

もし今日が果てのない道ではなく
もし今夜が曲がった小径でもなく
そして明日がこんなに遠くなかったら
悲しみはどこにもないだろう
もしあの人が待っていてくれたら
もしあの人が近くにいてくれたら
そしてあの人が微笑んでくれたら
明日もまた生きられるだろう

この歌の歌詞は比較的シンプルですが、ボブ・ディランの歌詞は社会へのメッセージを投げかけるものであれ、他愛ないラブ・ソングであれ難解なことに違いがありません。英語が堪能であっても訳される方はとても苦労されていることでしょう。ひょっとしたら、ネイティヴでも理解しづらいのではないかと思います。
片桐先生の訳はあくまで詩人片桐ユズルの世界であり、三浦先生の訳は元大学教授三浦久の世界です。本来なら自分で訳して、アーティストのメッセージを直接受け取ることが出来れば良いのですが、いつまでたっても語学力をつけられないのが現状です。

Bob Dylan - Tomorrow Is A Long Time


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Longer

別に夏に聴いてもいいのですが、寒い時期になるとダン・フォーゲルバーグの歌声が耳元でささやきます。雪のコロラドを連想するからでしょうか。彼が鬼籍に入って1年が経つんですね。
まだ若かった頃、職場にダン・フォーゲルバーグの熱心なファンがいました。彼はジャクソン・ブラウンやイーグルスなどのシンガー・ソング・ライターやアメリカン・ロックが好きな人でしたが、とりわけダンにご執心だったようです。
ちょうど今頃の冬の時期、仕事が終わった後の寒空の下、「ダンの歌があれば心身が暖まるんや。『ロンガー』、『イノセント・エイジ』、『懐かしき恋人の歌』どれも素敵な歌やで」と言いながらウォークマンを耳に掛けて彼は街の雑踏へと消えて行きました。

冬には僕が火をもたらそう
春には君が恵みの雨を
秋や夏には二人で飛ぶように時を過ごそう
愛の翼に乗って
                                  『Longer』より

その後、彼は公立高校の理科教員の職を得て、間もなく私もその職場を去りました。それからしばらくは彼にコンサートのチケットを取ってもらうなど何かと交流が続きましたが、今では音信不通。十数年以上も会っていません。
彼は今でもダンの音楽を聴き続けているのでしょうか、ダンの訃報にどのように接していたのでしょうか。雪のロッキー山脈ではなく、冬空の比叡の山並みを眺めながらそんなことがふと頭の中をよぎりました。

Dan Forgelberg - Longer


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(2008/04/23)
ダン・フォーゲルバーグ

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あれから28年

この時期が来るとジョン・レノンのことが頭の中をよぎります。28年前の1980年の12月8日(日本時間では9日)、ジョンは天に召されました。『ダブル・ファンタジー』の裏ジャケットの達観し、穏やかな、まるで仏像を思わすような表情から一抹の不安を感じていたのですが、あの日その予感は現実のものとなったのです。
ジョンの命を奪った人は自分がジョンに取って代わりたいからジョンが邪魔だったのでしょうか、後のインタビューでは「自分の代理自殺者としてジョンを選んだ」との趣旨を語っていました。何とも自己中心的な人です。
あれから28年という長い年月が過ぎ去ろうとしているのに、自分は何をして来たのだろうかとふと考えることが度々ありました。ジョンが教えてくれたことに感化されながらも、疑問を持ったことも少なくありません。
ジャクソン・ブラウンは最新作『Time The Conqueror』に収録された「Off Of Wonderland」の中で、「僕たちは愛を信じていたんじゃなかったの? 愛がすべてを切り開いて行くんだと信じていたんじゃなかったの? お互いが信じ合えれば、僕たちは何もかも十分に手に入れられたはず。僕たちがあんなに真剣にジョンを信じたように」と歌っています。でも、「Wonderland」という理想郷も「愛」という言葉も今となっては虚しさが感じられて仕方がないのです。かつては真の愛とやらを信じていたんですけれどねぇ。
ジョン・レノンは既に1973年発表のアルバムで、「Love & Peace」のメッセージは実情に合わなくなったとして「マインド・ゲームズ、マインド・ゲリラ」と言い換えて、「心のゲリラとなって愛と平和をもたらそう」としていました。
しかし、世界の現状を鑑みると極論ではありますが、日本は唯一の被爆国でありながらも核を所有することも選択肢のひとつと考えなければならないのではとふと思うことがあります。テロリストにはジョンのメッセージは通用しません。いや、テロリストでなくともジョンのメッセージなど鼻で笑う人々のほうが多いのが世界の現実です。人間にプライドとアイデンティティがある限り、相容れない矛盾や疑問が生じるでしょう。他者との違いを認め合うことは大事なことですが、決して安易に妥協したり、迎合したり、追従することは禁物だと思います。

僕とともに年を重ねよう
最良の時はこれからだ
その時がくれば
僕らはひとつになれる
僕らの愛に祝福あれ
僕らの愛に祝福あれ

ジョンが召された後に発表された『Milk & Honey』に収録されていた「Grow Old With Me」の一節。一緒に年を取るという言葉が心に深く突き刺さります。人間関係のみならず、家屋や身の回りの物に対しても同じことが言え、古くなるほどに味わいが出てくるように思います。そして、この歌のメッセージも愛でした。

結局こんな風にとりとめのないことを呑気に思い巡らせているうちが花でなんでしょうかねぇ。

John Lennon-Grow Old With Me


カントリ・シンガーのメアリー・チェイピン・カーペンターがカヴァーしていました。私のお気に入りでもあります。
Mary Chapin Carpenter - Grow Old With Me

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