好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Jimmy Webb - Words And Music

 前回はジェニファー・ウォーンズの記事の中で、ジミー・ウェッブの「P.F. Sloan」について言及しました。そこで今回は「P.F. Sloan」が収録されたジミー・ウェッブのアルバム、『Words & Music』を取り上げさせていただきます。

Words & MusicWords & Music
(2006/04/04)
Jimmy Webb

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1. Sleepin' In The Daytime
2. P.F. Sloan
3. Love Song
4. Careless Weed
5. Psalm One-Five-O
6. Music For An Unmade Movie: I. Songseller
7. Music For An Unmade Movie: II. Dorothy Chandler Blues
8. Music For An Unmade Movie: III. Jerusalem
9. Three Songs: Let It Be Me/Never My Love/I Wanna Be Free)
10. Once Before I Die

 ジミー・ウェッブは1946年8月15日にオクラホマ州のエルクシティで誕生。父がバプティスト教会の牧師だったことからチャーチ・クワイアーの一員として歌い始め、ピアノやオルガンもマスターして行きました。
 1960年代前半、ウェッブ一家はロサンゼルス郊外のサン・バーナディノに引っ越し、ジミーはサン・バーナディノ・ヴァレイ・カレッジに入学して音楽を専攻します。しかし、母が急逝したショックと授業に興味をなくしたことが重なりカレッジをドロップ・アウト。モータウン傘下の音楽出版社 Jobete Music に就職し、採譜や雑用といった下働きをする毎日を送ることに。やがて才能を認められ、ソング・ライターとしての契約に至り、ザ・スプリームスの「My Christmas Time」を始め40曲ほどの楽曲を書く機会が与えられました。しかし、ヒット曲を生み出すまでには行かなかったのです。
 1966年、ジミーはジョニー・リヴァースと出会います。リヴァースはジミーが書いた「By The Time I Get To Phoenix」をいたく気に入り、自らのアルバム『Changes』に収録。さらに彼は自身が主宰するソウル・シティ・レコード所属のフィフス・ディメンションのための楽曲をジミーに依頼。ジミーは「Up Up Away」を提供します。この曲は全米7位を記録。才能が開花したジミーへのオファーは続き、リチャード・ハリスに「MacArthur Park」(アルバム『A Tramp Shining』収録)を提供し、この曲は1968年度のグラミー賞ベスト・アレンジメントに輝きました。また、グレン・キャンベルは「By The Time I Get To Phoenix」(1967年リリースの同名アルバムに収録)を取り上げてヒットさせ、同年のグラミー賞ベスト・アルバムを授賞。ジミーの名声は高まって行くのです。
 そんな中、巷ではシンガー・ソング・ライターに脚光が当たり始め、ジミーにもそのチャンスが巡ってきます。1968年、ジミーはファースト・アルバム『Jim Webb Sings Jim Webb』をエピックからリリース。デモ・テープに本人の許可なくオーバー・ダビングを施した急仕上げような構成が災いしたのか、ジミー本来の魅力を引き出すことが出来ませんでした。
 1970年、ジミーはリプリーズに移籍。心機一転、セカンド・アルバムとなる『Words And Music』を発表します。時代を反映するかのようなサイケデリックな雰囲気なアレンジあり、透明感溢れる歌声のバラードあり。ジミー・ウェッブ持ち前の個性が表現された作品に仕上がったと言えるでしょう。
 
 アルバムのオープニングを飾るのはギター・リフが印象的な「Sleepin' In The Daytime」。



SLEEPIN' IN THE DAYTIME
俺はまっ昼間に寝ているんだ
スモッグで灰色に染められた空なんて見るに耐えられないからさ
俺は真っ昼間に寝ている男さ
仕事に染まった奴等があくせくしてしてるのなんて見てらんねえ
でもな、夜の帳が下りりゃ
クールで、秘密めいていて、スウィートなもんだぜ
クリップル・ストリートのダンスの騒音なんて気になんない
昼間は寝てるに限るってなもんだ

俺は真っ昼間に寝てるんだ
木々が灰色に変わって行く様を見るのが辛くてな
俺はお天道様が出ている間は寝てるんだ
木々はまるで祈るかのように枯れた枝を空に向けている
月がほくそ笑みながら空へ昇り、
太陽が不満げに沈んで行く
痛みが、この街で痛みや悲しみを見ることがなくなるまで
昼間は寝てるに限るってなもんだ
そうすりゃどうにか生きて行けそうだ
昼間は寝てるに限るってなもんよ

俺はまっ昼間に寝てるんだ
川が茶色く濁って以来
俺はまっ昼間に寝てるんだ
油と薬品でカモメが窒息させられている
そして俺は死にかけたカモメたちを見たことがあるんだ
俺は真っ昼間に寝るとするよ
そうすりゃ何とか生きて行けるさ
昼間は寝てるに限るってなもんよ

 イントロのピアノの音色が美しくも切なく響く、「Careless Weed」。自然に生えて逞しく生きる雑草を、下積み時代の自分と重ね合わせるかのような描写が興味深いものです。



CARELESS WEED
風が吹き、農夫は種をまく
やがて種は芽を出し、また新しい種を実らせる
ヘイ、気取らない雑草よ
道路の脇に生え、俺に歌いかける
道路と川が導くところで根を下ろすために
欲を出さずにしっかり生きる
気取らない雑草よ

橋の下で育ち、垣根の並びで生きて行け
農夫が除草しようと鋤を入れる畑でも
神様がおまえを守る
悲しませるようなことはさせないだろう
ホーダウンの踊りとともに
気取らない雑草よ
川底の向こうから俺を呼ぶ
道路と川が導くところで根を下ろすために
愛や必要とされるものもなく生きる
気取らない雑草よ

俺はくわに寄りかかってじっと見つめている
どこにも行きゃしないよ、ここにいるのさ、雌馬とともに
その雌馬は子馬を産み、回転草がくるくる回り
最後まで転がり
風が行き先を読めるように跡を残す
OK 気楽な雑草よ
丘の向こうに伸び、俺に呼びかける
道路と川が導くところで根を下ろすために
欲を出さずにしっかり生きる
気取らない雑草よ

 前回のジェニファー・ウォーンズの記事でも紹介した、「P.F. Sloan」。不遇の人生を送ったP.F.スローンの復活を願うジミーの気持ちが溢れています。



 ライヴ映像です。


 妹であるスーザン・ウェッブとのデュエットによる3曲の組み合わせ。拙ブログで何度も紹介している「Let It Be Me」、1967年にアソシエイションのヴァージョンが全米2位まで上昇した「Never My Love」(アドリシ兄弟作)、そしてザ・モンキーズでお馴染みの「I Wanna Be Free」(トミー・ボイス&ボビー・ハート作)などが見事に溶け合い、輝きを増して響きます。



 ジミー本人が語るところによると、エピックからのファースト・アルバムは認められないということなので、実質この『Words And Music』がシンガー・ソング・ライターとしてのデビュー・アルバムと言えるのかもしれません。
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Jimmy Webb - JUST ACROSS THE RIVER

朝夕が涼しくなりつつも昼間は真夏の勢いがまだまだ衰えない京都。来年以降に冷夏になることもあり得るので、行く夏を惜しむといった風情を味わうことにしたいと思います。

Just Across the RiverJust Across the River
(2010/06/29)
Jimmy Webb

商品詳細を見る

1. Oklahoma Nights (featuring Vince Gill)
2. Wichita Lineman (featuring Billy Joel)
3. If You See Me Getting Smaller (featuring Willie Nelson)
4. Galveston (featuring Lucinda Williams)
5. P.F. Sloan (featuring Jackson Browne)
6. By The Time I Get To Phoenix (featuring Glen Campbell)
7. Cowboy Hall Of Fame
8. Where Words End (featuring Michael McDonald)
9. Highwayman (featuring Mark Knopfler)
10. I Was Too Busy Loving You (featuring J.D. Souther)
11. It Won't Bring Her Back
12. Do What You Gotta Do
13. All I Know (featuring Linda Ronstadt)

拙ブログではお馴染みのジャクソン・ブラウンが、ジミー・ウェッブの「P.F.Sloan」を歌う音源がYouTubeにアップされていました。1990年頃のライヴを録音したもののようです。
http://www.youtube.com/watch?v=QssJS_8YqS8

そこで今回はジミー・ウェッブが2010年に発表したアルバム『JUST ACROSS THE RIVER』を取り上げることにしました。これは彼が1996年にリリースした『TEN EASY PIECES』に続く二作目のセルフ・カヴァー・アルバム。ジャクソン・ブラウンを始めとする錚々たる面々が、ジミー・ウェッブの作品の魅力を引き立てるために駆けつけています。

ジミー・ウェッブとジャクソン・ブラウンはアサイラム・レコードの創始者デヴィッド・ゲフィンを介して知り合ったといいます。それはジャクソン・ブラウンがデビューする少し前のこと。しかし、二人はその後交流することなく、長い年月が過ぎ去って行きました。ジャクソン・ブラウンはウェッブとの出逢いを大切にしたかったのか、彼が作った「P.F.Sloan」をしばしばステージで披露しています。
ジミー・ウェッブはジャクソン・ブラウンのそうした姿勢にたいそう胸を打たれたことでしょう。このアルバムにおいて二人の旧交を暖めるかのような共演が実現の運びとなりました。


P.F. SLOAN
ずっとP.F.スローンを探している
彼の行方を知る者はいない
ときめきを送ってくれた歌を聴いた者もひとりとしていない

いま君はため息をついたかもしれない
嘆いたかもしれない
痩せこけるほどに汗水たらして働く日々
でも君は微笑みながら
ローリングストーン誌を読んでいた
彼が歌い続けていた間のことだ
さあ、彼が歌うのを聴いてごらん

No No No No
この歌を歌わないでくれ
歌ってはいけない
No No No No
歌わないでくれ
この歌は今からP.F.スローンのものだから

旧友が銃で命を絶った
遺体は剥製にするために詰め物をされて乾かされ
皮膚はなめされた
彼は十字架に張り付けにされ
ガラス製の目玉をきらきらさせて
扉の外を見つめている

ロンドン橋がついに完成した
橋は別の町に移されたのだ
古い橋が崩れ落ちるのを見ようと
多くの人々がまわりに集まっている
だけど橋が崩れてなるものか

No No No No
この歌を歌わないでくれ
歌ってはいけない
No No No No
歌わないでくれ
この歌は今からP.F.スローンのものだから

ニクソンがやって来て暫くここに留まった
彼は犯した罪を洗い清めることが出来なかった
今日ニュースで聞いたんだ
そのことが耳にこびりついている
私がP.F.スローンに最後に会ったとき
彼は夏の陽射しに焼け、冬の風に凍えていた
彼はたったひとりで苦難を乗り越えた
でも彼は歌い続け、歌うことをやめなかった

No No No No
この歌を歌わないでくれ
歌ってはいけない
No No No No
歌わないでくれ
この歌は今からP.F.スローンのものだから

ロンドン橋は大昔から何度も崩壊したり架け替えられてきた橋です。歌詞の中に出て来るくだりは1831年に完工した橋が1968年にアメリカの企業家に売却され、アリゾナ州のハヴァス湖に復元されたことをもとにしているのだと思われます。古い橋をP.F.スローンの姿と重ね合わせているのでしょう。また、「夏の陽射しに焼け、冬の風に凍えていた」という表現はおそらく、「音楽界の辛酸を舐め、苦難に耐えた」という風な意味に受け取れます。

P.f. Sloan(P.F.スローン)とは1960年代にサーフィン/ホットロッド、フォーク・ロックのソング・ライターとして活躍した人。ジャン&ディーンの「Summer Means Fun(青春の渚)」、全米1位となったバリー・マクガイアの「Eve Of Destruction(明日なき世界)」、ジョニー・リヴァースの「Secret Agent Man(秘密諜報員)」などが代表曲です。自らもファンタスティック・バギーズやグラス・ルーツなどでも活動し、ソロとして1966年に発表した「From A Distance(孤独の世界)」が1969年に日本でヒットしました。


1970年代になるとP.F.スローンはヒットに恵まれず、彼の名は次第に忘れ去られて行きます。ジミー・ウェッブはスローンの復活を願ってこの曲を書きましたが、スローンがシーンに本格復帰を果たすまでにはかなりの時間を要し、1994年になってようやく彼は新作を発表することが出来ました。


続いて、マーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)参加の「Highwayman」。アイリッシュ・トラッドの雰囲気を彷彿させるアレンジに仕上げられていました。追いはぎ、船乗り、ダムの建設作業員など名もなき人々をテーマにした歌ですが、自らの人生の興隆や軌跡を重ね合わせているようです。この歌はグレン・キャンベルが『Highwayman』(1979)でレコーディングし、1985年にはウェイロン・ジェニングス、ウィリー・ネルソン、ジョニー・キャッシュ、クリス・クリストファーソンら四人による共演アルバム『Highwayman』でも取り上げられていました。
なお、ジミー・ウェッブのヴァージョンは『EL MIRAGE』(1977)、『TEN EASY PIECES』(1996)、息子たちと共演したアルバム『COTTONWOOD FARM』(2009)などに収録。


グレン・キャンベルのヴァージョンはライヴ映像でご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=ukjYAuq6nGs

御大たちによるヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=dQ03ngpdU80

リンダ・ロンシュタットとの共演が堪能出来る「All I Know 」。リンダはこれまでにもジミー・ウェッブの楽曲を自分のアルバムで何曲もレコーディングしています。今回はアート・ガーファンクルのソロ・デビュー・アルバム『Angel Clare』(1973)からシングル・カットされて全米9位のヒットを記録した「All I Know」を選曲。息が合ったデュエットを存分に聴かせてくれています。


こちらはジミー・ウェッブが『TEN EASY PIECES』でセルフ・カヴァーしたヴァージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=hQC6TMazIxk

アート・ガーファンクルのヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=33aoxUeAw0E

この他にもヴィンス・ギル、ウィリー・ネルソン、ルシンダ・ウィリアムスらカントリー系のアーティストとの共演やビリー・ジョエル、グレン・キャンベル、マイケル・マクドナルド、J.D.サウザーがフィーチャーされた興味深い楽曲が並んでいます。ことにルシンダ・ウィリアムスのエモーショナルなヴォーカルに胸を打たれました。彼女はシンガー・ソング・ライターでもあり、メアリー・チェイピン・カーペンターが歌って1993年にヒットした「Passionate Kisses」の作者として知られています。また、ルシンダは2006年にリリースされたP.F.スローンのアルバム『Sailover』収録の「The Sins Of The Family (Fall On The Daughter) 」ではスローンとデュエット。円熟味が漂う二人のパフォーマンスが心に滲み渡りました。

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