好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Ry Cooder - Mutt Romney Blues

 アメリカ大統領選挙は民主党現職のバラク・オバマ大統領が、共和党のミット・ロムニー候補(元マサチューセッツ州知事)を振り切り、再選を果たしました。景気と雇用が選挙の最大の争点となる中、経済再生には富裕層増税や福祉充実など「公平な社会」を訴えたオバマ氏が信任された結果となったようです。
 そこで、今回はライ・クーダーがロムニー氏を揶揄した「Mutt Romney Blues」をお題にしました。ライが2012年に発表したアルバム、『ELECTION SPECIAL』のオープニングを飾る曲です。

Election SpecialElection Special
(2012/08/27)
Ry Cooder

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1.Mutt Romney Blues
2.Brother Is Gone
3.The Wall Street Part Of Town
4.Guantanamo
5.Cold Cold Feeling
6.Going to Tampa
7.Kool-Aid
8.The 90 And The 9
9.Take Your Hands Off It


 
MUTT ROMNEY BLUES
ボスのミット・ロムニーはドライヴに出かけ
ハイウェイの傍らに車を止めると
屋根の上に俺を縛り付けた
ボスよ、俺はウー、ウー、ウーと喚き立てた
何かおかしくないかい、間違っているとしか思えないぜ
昼間はカンカン照りだし、夜は寒くてブルブル
この先どこに行くかなんて俺には分からねえ
哀れな飼い犬は怒りを抑えてついて行くだけさ

ボスは走って行くしかなかった、案の定
哀れな飼い犬の俺も乗って行くしかねえ
前でも後ろでもなく
綿袋のように屋根に積まれたまんま
不満をこらえよ、力を込めて
哀れな飼い犬は怒りを抑えてついて行くだけさ

狡猾なマサチューセッツのボスは俺を蔑ろにする
でもこの話を言いふらしたりしませんぜ
あなたの心の中には大きな計画や政策がおありなんでしょう
人々はこの飼い犬に行った酷いことなんて
信じようとしませんよ
俺は密告なんてしませんぜ
この屋根から降ろしてください
お願いしますよ、ボス、ウー、ウー、ウー

こんな旅の仕方は間違ってる、そうさ絶対に間違ってるさ
哀れな飼い犬は間違った旅の仕方をしてたんだ
前でも後ろでもなく
綿袋のように屋根に積まれたまんま
不満をこらえよ、力を込めて
哀れな飼い犬は怒りを抑えてついて行くだけさ

 この歌は1983年にロムニー家が休暇を過ごすため、マサチューセッツ州の自宅からカナダのオンタリオまで車で移動した際、ミット・ロムニー氏は愛犬シェイマスを車内でなく、ステーション・ワゴンに括り付けたケージの中に入れていたという逸話をもとに創作されたとのこと。ミット・ロムニーのミットをもじり、犬をマットと名付けていました。低所得者を相手にしないとの趣旨の発言をして物議を醸したロムニー氏ですが、彼に対して庶民の心情を理解できるのかといった疑問を呈したライ・クーダーによるロムニーへの人格攻撃の内容とも受け取れます。

 自国の選挙ではないのでニュースや報道・情報番組で扱われたものしか目にしていないのですが、雇用と景気が争点になったとはいえ、オバマー、ロムニー両候補とも政策論争よりも相手を攻撃しながら、「私は頑張ります」を連呼していたような雰囲気が感じ取れました。人の不幸は蜜の味なんて言葉がありますが、四六時中悪口ばかり垂れ流されていては嫌悪感のほうが強くなって行くでしょう。
 そんな世相を反映してか、買い物に行く途中でラジオからひっきりなしに流れて来た両候補の選挙用CMを耳にしたアビゲイルという女の子が、「ブロンコ・バマ(バラク・オバマ)とミット・ロムニーばかりでもう嫌!」と半泣きになる映像が話題になりました。



 オバマ大統領は再選のスピーチで、「アメリカの皆さん、これまでの成果をもとに私たちはさらに前進し、新しい仕事や新しいチャンスのため、中間層がより安心できる毎日のため、さらに戦い続けることができると、私はそう信じています。建国の約束を守ることができると。一生懸命働く気持ちがあるならば、何者だろうと構わない。どこから来たのでも、外見がどうだろう、どこを愛していようと構わない。黒人だろうが白人だろうが、ヒスパニックだろうがアジア系だろうがアメリカ先住民だろうが構わない。若くても年寄りでも金持ちでも貧乏でも、五体満足でも障害があっても、ゲイでもストレートでも。やる気さえあれば、ここアメリカではなんとかなる」(gooニュースより引用)と語りました。
 また、アメリカ大統領選挙と同時に38州で6日、各種の住民投票が実施され、コロラド、ワシントン両州では嗜好用の乾燥大麻(マリワナ)合法化案が過半数の賛成を得て成立の見通し。さらに、オバマ大統領が支持を明言した同性婚の解禁案もメイン、メリーランド両州で投票が行われ、ともに成立が確実な状況。既に合法化されたマサチューセッツ、コネチカット、アイオワ、バーモント、ニューハンプシャー、ニューヨークの6州と首都ワシントンD.C.に次ぎ、今後もリベラル色の濃い東部や中西部では同性婚を認める傾向が高いとされています。しかし、保守的な南部では否決どころか住民投票に発展する可能性も薄いでしょう。

 今回の選挙はオバマ大統領が激戦と言われた州を次々と制して圧勝したとの報道がなされていますが、得票数では拮抗しており、アメリカ国民の思いを分断した結果と受け取って良いでしょう。大統領選挙のために両陣営とも巨額の資金を使ってネガティヴ・キャンペーンに励んだ間、アメリカは内政も外交も停滞ぎみの状況でした。
 オバマ大統領は「一生懸命働く気持ちがあるならば、何者だろうと構わない」と主張していますが、今回の選挙でリベラル対保守といったわかりやすい図式だけでなく、富裕層と貧しい人、あるいは中間層との格差、比較的若い層がオバマ支持で比較的中高年以上がロムニー支持といった世代間ギャップがあらためて浮き彫りになったような印象を受けます。様々な面で二極対立が深化する中、「Change」から「Move Forward」へキー・ワードを変えたオバマ大統領ですが、辛い道のりを前進しながら国家をリードして行くことがかなり困難なことになるのは間違いないでしょう。

 勝利の美酒に酔う間もなく、オバマ大統領には「財政の崖」(2000年代に始まり2012年末に失効する所得税などに対する大型減税と2011年にアメリカの債務上限が問題になったことによる2013年1月からの強制的な予算削減)や対中政策といった問題が待ち構えています。アメリカ経済の動向は他国への影響が強いのは言うまでもありませんが、中国の軍拡や南シナ海および尖閣諸島を「核心的利益」海洋進出は周辺のアジア諸国にとっての脅威であり、ことに日本との安全保障にも関係する事案。米中間の経済の結びつきは強く、中国はアメリカ国債の最大の保有国。外交・安保の重点をアジア・太平洋に集中する戦略に舵を切ったとされるオバマ大統領はどこまで中国に責任ある行動を迫り、どれだけ暴走を抑止することが出来るかが大きな課題でしょう。他にもイランの核問題、アフガニスタン撤退、シリア内戦、中東和平など問題が山積しています。また、議会も上院は民主党が多数を確保していていますが、下院は共和党が多数を占めていることで「ねじれ」が生じ、決められない政治が続くという見方があるとのこと。2期目のオバマ政権にとってはなんとも悩ましい状況が続くようです。

 さて、支持する政党が民主党であれ共和党であれ、ロック・ミュージシャンたちは祖国の分断についてどのように思っているのでしょうか。アメリカを取り巻く多くの問題に関してどのような見解や認識を持っているのでしょうか。言論・表現の自由が保障された民主主義国家では対立する相手を批判する権利も認められるもの。しかし、その場を盛り上げる中傷合戦や応援しているものへの支持を表すためのパフォーマンスで終わるとすれば味気なく、覚悟が感じ取れません。ライ・クーダーが音楽の力で現実の問題を指摘することに敬意を表しますが、その先にどれだけ視点が向けられているのかは少々疑問に思います。

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