好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Bonnie Raitt - SOULS ALIKE

 前回はジャクソン・ブラウンとボニー・レイットによる「Kisses Sweeter Than Wine」を取り上げました。このままお別れするのは名残惜しく、しばらく男性アーティストが続いていたこともあってジャクソン・ブラウンさんには悪いけれど今回はボニー・レイットさん単独で再登場してもらうことに致します。
 さて、待望の新作が4月にリリースされますが、お題として選んだのはそのひとつ前のアルバム「Souls Alike」。ボニー・レイットが2005年に発表した自信と貫禄がみなぎる一枚でした。

Souls AlikeSouls Alike
(2005/08/19)
Bonnie Raitt

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1. I Will Not Be Broken
2. God Was In the Water
3. Love On One Condition
4. So Close
5. Trinkets
6. Crooked Crown
7. Unnecessarily Mercenary
8. I Don't Want Anything to Change
9. Deep Water
10. Two Lights In the Nighttime
11. The Bed I Made

 こちらが4月に発売予定のニュー・アルバムです。ボニー・レイット自身のレーベル Redwing Records からのリリースで、ボブ・ディランやラウドン・ウェインライト3世の楽曲が収録されている模様。

SlipstreamSlipstream
(2012/04/10)
Bonnie Raitt

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 1971年のデビュー以来、女性の持つ穏やかさが表現されたスライド・ギターの演奏やブルージーながらも飾り気のないしなやかな歌声でリスナーを魅了してきたボニー・レイット。日本では未だに少々影の薄い存在ですが、本国アメリカでは何度もグラミー賞の各賞に輝き、実力派として君臨するシンガー・ソング・ライター/ギタリストです。
 スタジオ録音のオリジナル・アルバムとしては通算15作目となる『Souls Alike』はボニー・レイットが初めて単独でプロデュースした作品ですが、自作の曲は1曲も収録されていません。2002年のアルバム『Silver Lining』発表後はドン・ヘンリーと端役で特別出演した『The Country Bears』(2002年公開)、マーティン・スコセッシ制作・総指揮の『The Blues』(2003年公開)などの映画のサントラ盤に参加。レコーディングが行われていた2004年には大統領選挙に際してジャクソン・ブラウンとともに変革のための投票を促す「Vote For Change Tour」のステージに立ち、多忙を極める日々を送っていました。そのせいでオリジナル曲を書く暇がなかった訳ではないでしょう。しかし、こんなことは決して初めてのことではなく、1973年の『Takin' My Time』や1977年の『Sweet Forgiveness』なども自作の曲が収められていませんでした。もともとボニーは同時代のシンガー・ソング・ライターたちの作品をいち早く取り上げて世の中に紹介するという一面を持っていた人。本作も彼女独自の解釈により、収録された曲が見事な色彩を放っています。 
 バックを受け持つバンドの演奏力も充実。ボニー・レイットはスライド・ギターとヴォーカルに専念し、艶と円熟味が増したパフォーマンスを展開している様子が窺えました。 
 なお、「Vote For Change Tour」とは民主党選出の大統領候補のジョン・ケリーを支援するキャンペーンで、ボニー・レイット、ジャクソン・ブラウン、ブルース・スプリングスティーンなどの有名なミュージシャンたちが、ジョージ・ブッシュ大統領率いる共和党政権に対して「No」をアピールした行動です。ボニー・レイットはジャクソン・ブラウンとともに2004年9月27日(ワシントン州シアトル)を皮切りに、29日(アリゾナ州フェニックス)、10月2日(オハイオ州シンシナティ)など数多くのステージに立ちました。

 オープニング・ナンバーに相応しい軽快で、女性の力強さやしたたかさが描かれた「I Will Not Be Broken」。エリック・クラプトンでお馴染みの「Change The World」を書いたトミー・シムズ、ゴードン・ケネディ、ウェイン・カークパトリックの3人による共作曲です。ボニー・レイットの雰囲気にぴったりの曲で、彼女を想定して創作されたかのような印象を受けました。



I WILL NOT BE BROKEN
あれは過去のこと、今は状況が違う
何とか立ち直ったのよ
分かってた 別れが避けられなかったことを
前にもそう言ったでしょう

めちゃめちゃにしてくれてもいい
私を縛り付けても
心までは束縛できない
引きずり回して
限界まで追いつめればよい
たとえ屈服しそうになっても
自分の居場所が分かっている
私はくじけない
私はくじけない
絶対に

私ではない誰かがいる
自分のために闘うわ
 
 バック・バンドでキーボードを担当するジョン・クリアリー作のファンキーなナンバー、「Unnecessarily Mercenary」。ボニー・レイットの豪快ですすり泣くようなスライド・ギターが心の芯にまで響き渡ります。バックで守り立てるようなピアノの演奏が実に効果的。



 切なくもさりげない歌声が胸に滲みる「I Don't Want Anything to Change」はノラ・ジョーンズとの共演映像でお楽しみください。この曲はマイア・シャープ、リズ・ローズ、ステファニー・チャプマンらによる共作曲。作者のひとりであるマイア・シャープはボニー・レイット自身がお気に入りのシンガー・ソング・ライターと公言する人物で、ディキシー・チックスに提供されてアルバムの表題曲ともなった「Home」のヒットで知られています。ちなみに、「Home」の本人のヴァージョンは2005年の『Fine Upstanding Citizen』に収録。



 リー・クレイトンとパット・マクラフリン共作の「Two Lights In the Nighttime」はベン・ハーパーをフィーチャーした映像をご覧ください。パット・マクラフリンはナッシュヴィル周辺で活動するシンガー・ソング・ライターですが、バーニー・レドンがアルバム『Tiny Town』(1998)をプロデュースしたことで話題を呼んだタイニー・タウンにもギタリストとして在籍していた人。この曲のオリジナル・ヴァージョンは2002年発表の彼のソロ・アルバム「Uncle Pat」に収録されていました。



 このアルバムにはジャクソン・ブラウンの曲もエリック・ジャスティン・カズの曲も収められていません。代わってマイア・シャープやジョン・クリアリーといったボニー・レイットよりも若いアーティストの作品が何曲も並び、これまでと違った面も垣間見えました。人生の酸いも甘いも噛み分けた年代となったボニー・レイット。キャリアにこだわらずに音楽と向き合い、ささやかであるもさらなる飛躍を続けようとする姿勢には恐れ入るばかりです。

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Bonnie Raitt - LUCK OF THE DRAW

デラニー&ボニーと縁のあるアーティストを取り上げていると、もうひとりのボニーさんのことが気に掛かりました。その人の名はボニー・レイット。今回は彼女が1991年にリリースしたアルバム『LUCK OF THE DRAW』をお題とします。

Luck of the DrawLuck of the Draw
(1991/08/15)
Bonnie Raitt

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1. Something To Talk About
2. Good Man Good Woman
3. I Can't Make You Love Me
4. Tangled And Dark
5. Come To Me
6. No Business
7. One Part Be My Lover
8. Not The Only One
9. Papa Come Quick (Jody And Chico)
10. Slow Ride
11. Luck Of The Draw
12. All At Once

1986年に発表したアルバム『Nine Lives』の売り上げがも芳しくなく、ワーナー・ブラザーズとの契約を打ち切られたボニー・レイット。しかし、捨てる髪あれば拾う神あり。1989年、キャピタルに移籍してリリースした『Nick Of Time』が全米チャートの第1位に輝き、1990年のグラミー賞においては "Album Of The Year"(最優秀アルバム)、"Best Pop Performance, Female"、"Best Rock Vocal Performance, Female "など3部門の栄冠を獲得しました。さらに、ミシシッピ州出身のブルース・シンガー兼ギタリストのジョン・リー・フッカーとデュエットした「I'm In The Mood」が収録された『The Healer』も "Best Traditional Blues Album" を授賞。見事4冠達成と相成ったのです。数々の評価の高い作品を送り出すも、これまで商業的な結果に恵まれなかったボニー・レイット。遅咲きの花と言っては誠に失礼ですが、彼女の魅力を引き出し、スターとしての地位を確立するほどの成功に導いたプロデューサーのドン・ウォズの功績は多大だったのでしょう。

ドン・ウォズ
本名ドナルド・フェイグソン。従弟のデヴィッド・ウォズ(本名デヴィッド・ウェイス)らとウォズ・ノット・ウォズというプロジェクトをデトロイトで結成し、1981年にデビュー。ロック、ソウル、ジャズ、カントリー、ヒップ・ホップファンクなどの要素が融合したダンサブルでファンキーなサウンドが注目を集めた。
その後、ドン・ウォズはプロデューサーに転身。1990年にデヴィッド・ウォズとともにボブ・ディランの『Under The Red Sky』、1994年にはローリング・ストーンズの『Voodoo Lounge』などを手掛けた。

栄誉の余韻が覚めやらぬ1991年、ボニー・レイットは再びドン・ウォズをプロデューサーに迎えてリリースしたアルバムが今回紹介する『Luck Of Draw』です。直訳すると「くじ運」と題されたこのアルバム。俳優マイケル・オキーフとの結婚直後に発表されたこともあってか、くつろぎに満ちた雰囲気が醸し出されていました。自信と余裕も窺えます。
前作の延長線上にありながらもR&B色を強め、ブルージーな趣が漂う曲が目立つのが特徴。ここにはジャクソン・ブラウンの作品もエリック・カズの楽曲もありませんが、粒よりのナンバーが選曲され、ボニー・レイットの個性があまねく発揮されています。彼女の歌唱もスライド・ギターの技量も円熟味を増したものの、シンプルに構成された仕上がり感は初期の瑞々しささえ感じ取れました。
このアルバムは全米2位まで上昇。1992年のグラミー賞でも "Best Rock Vocal Performance, Solo"、Best Pop Vocal Performance, Female"、Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocal" の3部門を授賞しました。

Shirley Eikhard作の「Something To Talk About」。シングル・カットされて全米5位のヒットを記録し、この曲でグラミー賞のBest Pop Vocal Performance, Femaleを授賞。ボニー・レイットのスライド・ギターが堪能できます。


SOMETHING TO TALK ABOUT IT
みんなが噂している 町の噂
囁き合うのを耳にした
あなたは信じようとしない
みんなは私たちが内緒の恋人だって
知らないふりをしても
そう言い続けるの
私たち、ちょっとばかり笑い声が大きすぎた
私たち、ちょっとばかり近くに寄り過ぎた
私たち、ちょっとばかり見つめ合うのが長過ぎた
たぶん私たちには気がつかないことばかりね

みんなに話題を提供しましょう
みんなに話題を提供しましょう
みんなに話題を提供しましょう
恋をするのはどうかしら?

馬鹿げたことね まったく気がつかなかった
あなたはびくびくしていた
私に恋をするのかしら?
私をそわそわさせる噂のおかげで
今は恋に落ちるのを確信した
毎日、あなたのことを考えてるの
毎晩、あなたのことを夢に見ているの
あなたが同じように感じていることを願って
さあ、気がついたのだから表に出しましょう

みんなに話題を提供しましょう
みんなに話題を提供しましょう
みんなに話題を提供しましょう
恋をするのはどうかしら?
ねぇ、どうかしら?

みんなに話題を提供しましょう
解き明かすためのちょっとした謎
みんなに話題を提供しましょう
恋をするのはどうかしら?
ねぇ、どうかしら?

ライヴ映像です。


ウーマック&ウーマックのナンバー、「Good Man Good Woman」。デルバート・マクリントン(デルバート&グレン)とのデュエットの相手に起用したこの曲は、前述の "Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocal" を授賞しています。ウーマック&ウーマックのヴァージョンは "Good Man Monologue" のタイトルで1988年の『Conscience』に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=EezlVFwr7ss

Mike Reid と Allen Shamblinの共作、「I Can't Make You Love Me」。愛の破局をさりげなく歌うボニー・レイットのヴォーカルが切なく、心に滲み渡りました。全米18位に終わったものの、こちらのほうが人気が高いようです。ピアノ演奏とアレンジはブルース・ホンズビーが担当。


少し短く編集されているようですが、プロモーション映像も宜しければご覧ください。


ライヴ映像です。


ボニー・レイット自身の手による「Tangled And Dark」。初期の彼女、あるいはリトル・フィートあたりを思わすファンキーで少々泥臭いな曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=OVqz0Bu-Ggk

こちらもボニー・レイットのオリジナル、「Come To Me」。
http://www.youtube.com/watch?v=qxHooYQSYs8

ジョン・ハイアット作の「No Business」。ここでもボニー・レイットのスライド・ギターが聴けます。ジョン・ハイアット自身もバック・ヴォーカルで参加。
http://www.youtube.com/watch?v=2d_5Upn2YQE

ボニー・レイット&マイケル・オキーフ夫妻の共作による「One Part Be My Lover」。「彼女の目を見つめた時、彼には真実だけが見える」、「彼女にとって彼は夢に見た男かもしれない/彼女が心の内側に隠していたものを見つけてくれる男」といった言葉が甘いバラードで語られます。


アイルランドのシンガー・ソング・ライター、ポール・ブレディ作の「Not The Only One」。リチャード・トンプソン、マーク・ゴールデンバーグらがギターで参加。ポール・ブレディ本人のヴァージョンは1983年に『True For You』、1986年のライヴ・アルバム『Full Moon』に収録されていました。


少し短く編集されたプロモーション映像も宜しければご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=Gw8wJQi05Ws

Richard Hirsch, Chip Taylor, Billy Vera作の「Papa Come Quick (Jody And Chico)」はアリソン・クラウスとの共演映像をご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=qecodpVYAJo

Bonnie Hayes, Larry McNally, Andre Pessis作の「Slow Ride」。
http://www.youtube.com/watch?v=xzhnh9eAJ2Y
ポール・ブレディ作の表題曲「Luck Of The Draw」は残念ながらYouTubeに映像・音源がないので割愛させていただきます。

アルバムを締めくくるボニー・レイット作の「All At Once」。夫との別離、娘との確執を通して人の弱さや世の無情が描かれていました。「私たち女のほうが強いと人々は言う/いつでもなんとかして切り抜けてしまうのだと/今はそんな風にはかじられない/それが真実であるとさえ思えない/私には誰もが実際に見るよりも多くの人が傷を持っているように見えるの/なぜ天使たちは一部の人たちを見捨てるのか/私には不思議なこと」という最後のヴァースが胸に突き刺さります。


この『Luck Of The Draw』に続き、1994年に発表された『Longing in Their Hearts』も全米1位を獲得。ボニー・レイットはアメリカを代表するシンガー・ソング・ライター、パフォーマーのひとりと呼ぶに相応しい存在となりました。しかし、日本ではこれらのアルバムは廃盤状態。寂しい限りです。
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