好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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The Lovin' Spoonful - HUMS OF THE LOVIN' SPOONFUL

暦の上では暑さが鎮まり、朝夕の冷気と涼風が感じ取れる処暑となりましたが、依然として猛暑の勢いは収まりません。すべてを投げ出してしまいたいところですが、怠りの心を持つと癖になるので気を引き締めて今回も記事を書くことにしました。暑苦しい文章ですが、最後までお付き合いのほど何卒宜しくお願い申し上げます。

Hums of the Lovin SpoonfulHums of the Lovin Spoonful
(2003/02/18)
Lovin' Spoonful

商品詳細を見る

1. Lovin' You
2. Bes' Friends
3. Voodoo In My Basement
4. Darlin' Companion
5. Henry Thomas
6. Full Measure
7. Rain On The Roof
8. Coconut Grove
9. Nashville Cats
10. 4 Eyes
11. Summer In The City
12. Darlin' Companion (John Sebastian Solo Demo)
13. Rain On The Roof (Instrumental Version)
14. 4 Eyes (Alternate Vocal/Extended Version)
15. Full Measure (Instrumental Version)
16. Voodoo In My Basement (Instrumental)
17. Darlin' Companion (Alternate Vocal/Alternate Mix)

今回の記事でご登場を願う方々はラヴィン・スプーンフルの皆さん。彼らが1966年に発表した『HUMS OF THE LOVIN' SPOONFUL』を取り上げます。

前作『Daydream』の成功で勢いに乗るラヴィン・スプーンフル。ウディ・アレン監督・主演の映画『What's Up Tiger, Lily?』(1966年公開)のサントラ担当に抜擢された後、早くも3作目のオリジナル・アルバム『Hums Of The Lovin' Spoonful』を発表することになります。
ラヴィン・スプーンフルはもともとブリティッシュ・インベイジョンの動きに迎合することなく、独自のアメリカン・ミュージックを作り出すことを目指したバンドでした。このサード・アルバムではフォーク、ブルース、カントリー、ジャグ・バンド・ミュージックなどの要素が増幅強調され、よりアメリカン・ルーツ・ミュージックの色合いが濃くなり、彼らならではの音楽性やグルーブ感を醸し出しています。収録曲はメンバーらとの共作を含めすべてジョン・セバスチャンのオリジナル作品で構成され、彼の書く詞にますます磨きがかかり、皮肉、風刺、心理描写などが巧みに表現されていました。

それではいつものようにYouTubeの音源・映像を使ってアルバムの収録曲を紹介します。まず、ジョン・セバスチャン作の「Bes' Friends(ベスト・フレンド)」。本作のジャケット写真を撮影した写真家のヘンリー・ディルツ(元MFQ)がクラリネットで参加。1920年代風のサウンド作りが試みられています。タイトルとは裏腹に「恋人同士が親友になれるなんて話は聴いたことがない」と人間関係に関する皮肉が込められていました。


1940年代から70年代に活躍したブルース・シンガー、ハウリン・ウルフへの共感を示したといわれるジョン・セバスチャン作のブルース・ナンバー「Voodoo In My Basement」。Voodooとはヴードゥー教のことで、カリブ海の島国ハイチやアメリカ南部で信仰されている民間信仰です。歌詞には猟奇的とまではいかないまでも少々怪しげな世界が描かれ、マリンバ、スティール・ギター、果てはゴミ箱までをも打楽器として使用し、不気味な雰囲気を漂わせていました。
http://www.youtube.com/watch?v=OSG1HN5huxo

打って変わって軽快なカントリー・ソング「Darlin' Companion」。ジョン・セバスチャンの作品です。


ジョニー・キャッシュ&ジューン・カーター・キャッシュ夫妻によるカヴァー。『At San Quentin』(1969)に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=X7aXTvJunAs&feature=related

ジョン・セバスチャン作の「Henry Thomas」。タイトルは1920年代に活躍したブルース・シンガー、ヘンリー・トーマスに因んでいますが、歌の内容はジョンの愛犬のことが歌われていました。ラヴィン・スプーンフルのデビュー・アルバム『Do You Believe In Magic』に収録されていた「Fishin' Blues」はヘンリー・トーマスが得意としていた曲で、彼へのオマージュから楽曲のタイトルにしたのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=h_0oo29YPxo

ジョン・セバスチャンとスティーヴ・ブーンの共作、「Full Measure」。ドラムスのジョー・バトラーがリード・ヴォーカルを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=Nace1xqUFDw

ジョン・セバスチャン作の「Rain On The Roof」。スティール・ギター、アイリッシュ・ハープがフィチャーされていますが、トラッドというより童謡的な味わいがあります。


TVショー出演時の映像のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=cVdSLB1DsSE

ジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキー共作の「Coconut Grove」。冬になるとニューヨークからフロリダ州のココナッツ・グローヴに移り住むシンガー・ソング・ライターのフレッド・ニールに影響されて作ったものらしく、まるで「楽園」のような様子が歌詞の中に描かれていました。


1960年代に活躍したイギリスの女性シンガー、サンディ・ショウが『Reviewing the situation』(1969)で取り上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=7q-ybg3NSJs

ジョン・セバスチャンがサン・レコードのヒット曲やナッシュヴィルのギタリストに敬意を表して作った「Nashville Cats」。
http://www.youtube.com/watch?v=P4p7prURvIk

ジョン・セバスチャン作のハードなブルース・ナンバー「4 Eyes」。ザル・ヤノフスキーが弾くスライド・ギターが印象的。ジョンが少年時代に眼鏡を掛けた体験をもとにしたもので、自虐的な嘆きが歌われていました。
http://www.youtube.com/watch?v=vCeQ5W_9_1c

シングル・カットされて全米1位を獲得した「Summer In The City」。ジョン・セバスチャン、マーク・セバスチャン(ジョンの実弟)、スティーヴ・ブーンの共作です。


SUMMER IN THE CITY
ホットな街 都会の夏
首の後ろが汚れて砂っぽくなっている
ぐったりしちまうぜ がっかりだね
都会には日陰などありゃしない
辺りを見回せば 人々は半分死んだも同然
歩道を歩けば、マッチの先より熱い

でも夜になりゃそこは別世界
外に出て女をナンパするのさ
さあ 一晩中踊ろうぜ
暑くたって平気なもんさ

ベイビー、残念だよな
昼間も夜のようになりゃいいんだがな
夏、都会の夏
夏、都会の夏

クールな街 都会の夕方
粋に装い、綺麗に着飾り
クールなオス猫が可愛い子猫を求めて
街の隅々を探しまくる
バス停のように息を切らして
階段を駆け上り、屋上でおまえに会うのさ

でも夜になりゃそこは別世界
外に出て女をナンパするのさ
さあ 一晩中踊ろうぜ
暑くたって平気なもんさ

上記の対訳で意味不明の箇所があります。インターネットで検索した歌詞では"Till I'm wheezing like a bus stop"と記されているのですが、直訳すると「バス停のように息を切らすまで」としか訳せません。この "like" の意味は何でしょうか。エンジンが掛かったままバス停に止まっているバスなのかなとも考えてみたのですが、それでは訳し過ぎになる恐れもあります。この件について詳しい方のご教示があれば幸いです。

TVショー出演時の映像のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=zWXcjYNZais

ジョー・コッカーによる熱唱カヴァーは1994年リリースの『Have A Little Face』に収録。
http://www.youtube.com/watch?v=s6UJPq2VfAI

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The Lovin' Spoonful - Daydream

今回もリンダ・ロンシュタットの記事を続けたかったのですが、それではあまりにも芸がないような気がしたので何の脈絡もなくラヴィン・スプーンフルが1966年に発表したセカンド・アルバム『Daydream』を取り上げます。連日のうだるような暑さで意識がもうろう。頭の中はほぼ白昼夢に陥った状態といえるでしょう。

DaydreamDaydream
(2008/03/01)
Lovin Spoonful

商品詳細を見る

1. Daydream
2. There She Is
3. It's Not Time Now
4. Warm Baby
5. Day Blues
6. Let the Boy Rock and Roll
7. Jug Band Music
8. Didn't Want to Have to Do It
9. You Didn't Have to Be So Nice
10. Bald Headed Lena
11. Butchie's Tune
12. Big Noise from Speonk

1965年にリリースされたデビュー作『Do You Believe In Magic』が全米32位まで上昇し、シングル・カットされた表題曲が9位となるヒットを記録して早々と成功をつかみ取ったラヴィン・スプーンフル。その余勢を駆って彼らはセカンド・アルバム『Daydream』のレコーディングを始めます。前作はトラッドや他のアーティストのカヴァー曲が多かったのですが、質の高い独自性を求められる時代の傾向に呼応するかのようにオリジナル作品中心の構成へと様変わりして行きました。
楽曲に多様な音楽の要素が含まれたスプーンフル独特の音楽。歌詞には人間関係の機微、心理描写、風刺などが溢れ、たんなる惚れたはれたのラヴ・ソングに終始せぬところが他者と一線を画した彼らの魅力の一端です。すべてジョン・セバスチャン単独、あるいはメンバーとの共作であり、彼がいかに優れたソング・ライターであったかを如実に物語っていました。

ジョン・セバスチャン作の「Daydream」。今でもよくCMなどに使用されているので、聴いた憶えのある方も多々おられることでしょう。


DAYDREAM
真っ昼間から夢を見るにはもってこいの日
ああ 昼間から夢を見るには打ってつけの日さ
俺は我を忘れて白昼夢に浸り
楽しい夢を幾つも見ている

たとえ好機に恵まれなくとも
外へ散歩に出かけるような日もあるってもんだ
俺は風に吹かれ お陽さまにあたりながら散歩する
そして誰かが刈ったばかりの芝生に顔から倒れ込むのだ

ずっと素敵な夢を見ている
今朝目覚めてからずっとさ
その主役は俺と夢のように素敵なあの娘
こんな気持ちのさせたのはあの娘の仕業

たとえ好機がすり抜けて行き
代償を払うはめになると人は言うけどまったくかまわない
道を踏み外した報いは明日にでも受けるさ
寝ぼけたウシガエルのようなこの顔に
パイをぶつけられるのだ

もし気分が良ければ
夜になっても白日夢を見ていられるさ
明日の朝食の際には耳をそばだてるかもしれない
あるいは千年に渡って白日夢を見続けるかもしれない

真っ昼間から夢を見るにはもってこいの日
ああ 特別にあつらえたような一日さ
俺は我を忘れて白昼夢に浸り
楽しい夢を幾つも見ている

なお、"Prick up your ears" は「耳をそばだてる。聞き耳を立てる」という意味ですが、スラングではかなりきわどい表現となります。申し訳ございませんが、興味のある方はご自分で調べていただければ幸いです。

TV番組に出演した際の映像のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=pDDB0cRZ7NU

もともとはストレートな8ビートに仕上げようと試みていたようですが、思ったようにいかず断念。見かねたプロデューサーのエリック・ジェイコブセンが、レコーディングした様々なテイクを繋ぎ合わせて完成させたという裏話があります。

ジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキーの共作「It's Not Time Now」。メンバー自らが「ジョニー・キャッシュ・チューン」と呼ぶカントリー・タッチの楽曲です。何となくマイク・ネスミスを彷彿させるような気がしました。


ジョン・セバスチャン作の「Warm Baby」。セバスチャンが弾くオートハープの音色とファルセットのコーラスが印象的な曲です。「夏に出会った女たちはキスをして逃げて行ってしまうが、冬に知り合った女たちは愛に満ちた腕で暖めてくれる」と優しい女性を求める内容が歌われていました。
http://www.youtube.com/watch?v=J1E4fgRvHMg

ジョン・セバスチャンとジョー・バトラー共作の「Let the Boy Rock and Roll」。歌詞の中で、「でもパパ、あの子をリトル・ボーイなんて呼んじゃ駄目よ。彼はジョニー・B・グッドになれるかもしれないんだから」とチャック・ベリーをリスペクトする気持ちが表されていて興味深く感じました。
http://www.youtube.com/watch?v=ClxlLhlGs-E

ジャグ・バンド出身であるジョン・セバスチャン作の「Jug Band Music」。「熱気でぶっ倒れそうになった。医者がやって来て俺の最期を看取ろうとした。しかし、医者が言うには『ジャグ・バンド・ミュージックを与えなさい。そうすれば回復するように思える』とのこと」との趣旨の寓話めいた詞が楽しい曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=i8Gu-rBKXPc

ジョン・セバスチャン作の「Didn't Want to Have to Do It」。恋の駆け引きに長けた女性との関係が描かれた内容の歌で、辛い気持ちが醸し出されたような物悲しさが漂っていました。少々バッファロー・スプリングフィールドを連想させるようなサウンドです。
1967年頃、リード・ギター担当のザル・ヤノフスキーがしばしばライヴで穴をあけることがあり、その際スティーヴン・スティルスが代役を務めたことが知られております。そのことはたんなる急場しのぎや友情によるものではなく、ジョン・セバスチャンは二人のギタリストの間に共通するものを感じていたのかもしれません。


キャス・エリオットによるカヴァー・ヴァージョン。2006年リリースの『Here's A Song (You Might Have Missed): Great Record Finds』なるコンピレーション・アルバムに収録されているようですが、詳細はよく分かりません。
http://www.youtube.com/watch?v=4RA3ZowJIMc

セカンド・アルバムに先駆けてリリースされ、全米10位のヒットを記録した「You Didn't Have to Be So Nice」。ジョン・セバスチャンとスティーヴ・ブーン共作の明るい曲で、「そんなに優しくしてくれなくてもよかったのに/どちらにしたって君を好きになってたはずだから」と自信ありげな様子が歌われています。でも案外、男のやせ我慢かもしれません。


TV番組出演時の映像です。


ジョン・セバスチャン自身がギターを手にして演奏法を解説する珍しい映像。
http://www.youtube.com/watch?v=VMrYchFRaCo

時間が宜しければ、ここからは3曲続けてお聴きください。最初にこのアルバム唯一のカヴァー曲「Bald Headed Lena」。ビートルズがカヴァーした「Mr. Moonlight」のファースト・リリースで知られるDr. Feelgood & The Interns」のアルバムに収録されていた曲です。次は、ジョン・セバスチャンとスティーヴ・ブーン共作の「Butchie's Tune」。最後はメンバー全員の作であるインストゥルメンタル「Big Noise from Speonk」でアルバムの幕が閉じられます。
http://www.youtube.com/watch?v=Is242N_5VtU

このアルバムは全米10位まで上昇し、ラヴィン・スプーンフルの人気を決定づけるものとなりました。彼らの持つ泥臭いルーツ・ミュージックを都会的で洒落たサウンドに仕立てる魔法のようなセンスやグルーブ感が、当時のリスナーの耳と心をとらえていたのです。しかし、いまとなってはそんな出来事もアメリカ音楽界における一日限りの夢のようなものだったのかもしれません。

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