好きな音楽のことについて語りたいと思います。

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Laura Nyro - Christmas In My Soul

 今年も至る所でクリスマス・ソングが溢れる時期です。気の早いスーパー・マーケットでは、ハロウィンの翌日から「ジングルベル」だの「赤鼻のトナカイ」だの「もろびとこぞりて」だのといったBGMが流れていました。景気が上向く様子もない中、商魂逞しく少しでも売り上げを伸ばすために勤しむといったところでしょうか。
 というわけで今回の拙ブログもクリスマスの雰囲気を味わえる歌をお題とします。ご登場いただくアーティストはローラ・ニーロ。彼女が1970年にリリースしたアルバム、『Christmas And The Beads Of Sweat』から「Christmas In My Soul」を取り上げることにしました。

Christmas & Beads of SweatChristmas & Beads of Sweat
(1990/07/03)
Laura Nyro

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1. Brown Earth
2. When I Was A Freeport And You Were The Main Drag
3. Blackpatch
4. Been On A Train
5. Up On The Roof
6. Upstairs By A Chinese Lamp
7. Map To The Treasure
8. Beads Of Sweat
9. Christmas In My Soul



CHRISTMAS IN MY SOUL
若き勇者たちよ
幼子たちよ
私の愛の本を読みましょう
兄弟姉妹を敬いなさい
愛の本の下に
容易いことではないけれど
人はより良き日を望んでいるものよ
若き勇者たちよ
幼子たちよ

私は祖国を愛している
目の前で
戦争や苦痛の中で
人々が死んで行こうと
無礼な世の中を渡り歩く
政治の罪
罪の政治
クリスマスの日に
無情の世の中が私の心を暗くする

葉に飾り付けられた赤や銀の装飾
木々の間を静かに雪が舞う
地獄の戦争の光景に聖母マリアがすすり泣く
人々はキャンドルを吹き消し
クリスマス・キャロルに没頭する
クリスマスの日に世界中に鳴り響く
行き先知れずの愛

ブラック・パンサーの党員たちは
監獄で拘束されている
シカゴ・セブンと
正義の基準
マンハッタンにいる
ホームレスのインディアン
神の子はすべて裁かれ
神の愛はクリスマスなのに
時節に合わない

さぁ、戦う時が来た
聖書の戒律が鮮やかに焼き付く
人々よ、汝のアメリカのために
勝利を得なければならない
威厳をもって
クリスマスの日に
崇高な世界を示すために

私の魂の中にあるクリスマス
若き勇者たちよ
幼子たちよ
この世界に喜びを

ブラック・パンサー
 1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動、黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織。黒人の地位向上を掲げた。公民権運動の指導者マルコムXの暗殺により活動が活発化し、マーティン・ルサー・キング牧師の暗殺以後に活動のピークを迎える。マルコムXの攻撃性を受け継いだブラック・パンサーはキング牧師の非暴力主義に否定的だったが、彼個人に尊敬の念を抱いていた。
シカゴ・セブン
 1968年のシカゴ民主党大会で暴動を企てたとされるアビー・ホフマン、ジェリー・ルービン、トム・ヘイドンら7人の被告の呼称。1972年に全員無罪の判決が出されている。

 ブラック・パンサーやシカゴ・セブンといった実在の組織や団体を例にあげ、反戦と平和を訴えた「Christmas In My Soul」。出口の見えぬベトナム戦争で国内情勢が混沌としていた当時のアメリカの世相をストレートに描いた表現が胸を打ちます。彼女がこの歌の中で憂えたことは現代のアメリカ社会の苦悩とも通じ、言い換えれば殆ど好転していないと解釈してもよいでしょう。ライ・クーダーの「Mutt Romney Blues」の記事でも述べましたが、大統領選挙を通じてリベラル対保守といったわかりやすい図式だけでなく、富裕層と貧しい人、あるいは中間層との格差、世代間ギャップがあらためて浮き彫りになったような印象を受け、様々な面で二極対立が深化しているのが現在のアメリカ。明るい展望がなかなか開けそうにありません。
 
 話は変わりますが、若き勇者たち("Come Young Braves")という歌詞は『Big Wednesday』(1978年公開)で名を馳せたジョン・ミリアス監督による1984年制作のアメリカ映画『Red Town (邦題:若き勇者たち)』を思い起こさせます。この映画の内容はコロラド州の小さな町にソ連、キューバ、ニカラグアの共産圏連合軍が侵攻し、地元の若者たちと一戦を交えるといったものでした。公開当時、「タカ派による反共映画」、「国威発揚映画」などと酷評されましたが、同時に反戦のメッセージも込められているとの意見や少年少女のたんなるサバイバル・ゲームとの厳しい論評もあって評価が分かれていたのを憶えています。個人的には高校生を中心とした若者が共産軍にゲリラ戦を挑むものの奮闘虚しく次々と倒されて行く様に、会津戦争で会津藩が組織した「白虎隊」を連想させました。なお、この映画には『Ghost』(1990)で人気を不動のものにしたパトリック・スウェイジ、『Platoon』(1986)や『Wall Street』(1987)などでスターの座をつかんだチャーリー・シーン、『Back To The Future』(1985)や『Some Kind Of Wonderful』(1987)で人気を博すリー・トンプソンらが出演し、YA(ヤングアダルト)スターと称された彼ら彼女らのフレッシュな演技が興味深いところでもあります。
 1989年に東西冷戦が終結。1991年にはソ連が崩壊したことは言うまでもありません。蛇足ながらこの映画、2009年に仮想敵国をソ連・キューバらの連合軍から中国に変えてのリメイク版が制作されましたが、中国がハリウッド映画の重要マーケットであることや米中間の経済関係などを考慮して撮影済みフィルムを手直し。北朝鮮の侵攻に急遽変更し、2012年11月の公開に漕ぎ着けました。実際の北朝鮮がアメリカを侵略できる軍事力や兵力を装備しているのかとの疑問が呈されましたが、先日の弾道ミサイル発射が成功し、その脅威が現実のものとなりつつあるといっても過言ではないでしょう。
 
 話が少々脱線しました。我が国日本も総選挙後にどういった国づくりがなされていくのか、希望と不安が交錯しています。デフレ解消を含めた景気対策、消費税増税、東日本の復興、原発およびエネルギー問題などといった内政はもとより日米同盟の再構築、隣国との対峙、拉致問題の解決といった外交やTPPなど難題が山積。どの党が政権与党となり、誰が総理大臣になっても困難な道のりを強いられることでしょう。クリスマスとお正月で一息ついた後は相変わらずの試練の一年が待ち受けているのかもしれません。事態が好転することを望むばかりです。

 さて、今回のローラ・ニーロのクリスマス・ソングは重苦しかったしれません。気分転換としてローラが歌う「Let It Be Me/Christmas Song」をお聴きいただければ幸いです。1990年リリースのオムニバス・アルバム、『Acoustic Christmas』に収録されていました。


Acoustic ChristmasAcoustic Christmas
(1990/11/06)
Acoustic Christmas

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Laura Nyro - Eli And The Thirteenth Confession

今回は1968年に発表されたローラ・ニーロの『Eli And The Thirteenth Confession』について言及したい。このアルバムも遼さんの「DAYS OF MUSIC & MOVIES」MASAさんの「rolling beat blog」DEB DYLANさんの「DEB DYLAN の 風に吹かれて」purple_Hazeさんの「Blues Power」といった先達が私のような者の知識や技量では足下にも及ばぬ記事を書かれており、今さら取り上げるに及ばないのかもしれない。しかし、勝手ながら敢えてこの場で私見を述べさせていただくことにする。

イーライと13番目の懺悔イーライと13番目の懺悔
(2002/08/21)
ローラ・ニーロ

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1. Luckie
2. Lu
3. Sweet Blindness
4. Poverty Train
5. Lonely Women
6. Eli's Comin'
7. Timer
8. Stoned Soul Picnic
9. Emmie
10. Woman's Blues
11. Once It Was Alright Now (Farmer Joe)
12. December's Boudoir
13. The Confession
14. Lu (Demo) (Bonus Track)
15. Stoned Soul Picnic (Demo) (Bonus Track)
16. Emmie (Demo) (Bonus Track)

ヴァーヴ・レコードから放り出されたもののマネージャーとなったデヴィッド・ゲフィンの働きが功を奏し、念願のCBSとの契約が結ばれ自由な創作の場を与えられたローラ・ニーロ。プロデューサーにフォー・シーズンズのアレンジャーとして名高いチャーリー・カレロを迎え、1968年1月から2月にかけてセカンド・アルバムとなる『Eli And The Thirteenth Confession』のレコーディングが行われた。ちなみにチャーリー・カレロは山下達郎氏のアルバム『CIRCUS TOWN』(1976年発表)のプロデューサーとしても知られる。
チャーリー・カレロの起用はローラが紡ぎ出そうとするサウンドや変幻自在のヴォーカルを具現化するには適任だった。ローラ・ニーロ自身もたんなる自作自演歌手ではなく、共同制作者として深く関与している。歌のみならず殆どの曲で自らピアノを弾き、バック・ヴォーカルも彼女本人によるものだ。
そうした二人の妥協を許さぬ心意気がダイナミックな音作りへと発展して行く。チャーリー・カレロによって結集されたチャック・レイニー(ベース)、ヒュー・マクラッケン(ギター)、バディ・サルツマン(ドラムス)、ポール・グリフィン(ピアノ)といった腕利きのスタジオ・ミュージシャンを配しての重厚なサウンド。加えてジョー・ファレル(サックス、フルート)、ズート・シムズ(サックス)などジャズ界の名手が参加。ローラの織りなす楽曲にさらなる斬新な息吹を吹き込み、輝きと説得力が増した。
アルバムには女性であることの喜びと絶望、都市生活の光と影、恋愛と失恋、憧れ、怨恨、孤独、飲酒、ドラッグ、死といった人生における様々な体験や機微といったものが13篇の物語の中に綴られている。好奇心が人一倍に旺盛で、死をも恐れぬほど気丈な反面、純粋で傷つきやすく一途な人だったローラ・ニーロ。彼女のひたむきに自分の音楽に向き合う誠実さ、ほとばしる情熱、溢れ出るエネルギーといったものが昇華され結実した作品と言えよう。

オープニングを飾る「Luckie」。軽快でグルーヴィーなシャッフルに胸が躍るナンバーだ。都会を闊歩するような感覚を覚えるものの歌詞にはドラッグの匂いが嗅ぎ取れる。


ポップなR&Bが心に沁みる「Lu」。途中でリズムが変わるのはローラ・ニーロならではのもの。


心弾むようなポップなナンバー「Sweet Blindness」。


1960年代後半に活躍したコーラス・グループ、5th Dimentionのカヴァー・ヴァージョン。1968年にシングルでリリースされ、全米13位を記録した。


少々不気味な雰囲気で始まるジャジーな「Poverty Train」。ジョー・ファレルのフルートが効果的。歌詞の中に出て来る悪魔やコカインといった言葉が不気味な印象を放っている。


1967年に開催されたモンタレー・ポップ・フェスティヴァル出演時のライヴ映像。「Wedding Bell Blues」のエンディングから「Poverty Train」へと続いて歌われる。


ズート・シムズの哀愁を帯びたサックスの音色が都会の女の孤独を物語るかのような「Lonely Women」。「寂しい女のために誰ひとりとして家路を急がない」、「死なせて」と具体的な言葉が記され非痛な叫びが歌われる。


「Eli's Comin'」。ブラス・セクションが畳み掛けるように迫る。ここでのピアノはローラではなく、ポール・グリフィンが担当していた。


1970年代に数多くのヒット曲を放って人気を誇ったバンド、スリー・ドッグ・ナイトのカヴァー・ヴァージョン(1969年シングルにてリリース)はライブ映像でご覧いただきたい。全米10位まで上昇した。


ローラのヴォーカルの魅力が十二分に表されたような「Timer」。語りかけるような、力強くシャウトするような歌声とオーヴァーダビングされたローラ自身によるコーラスが変化に富んでいる。


魂がぶっ飛ぶようなピクニックとでも訳すのだろうか。この「Stoned Soul Picnic」はドラッグやアルコールでハイになった状態のことであろう。


5th Dimentionのカヴァーは1968年にシングルにてリリース。全米3位の大ヒットとなった。


ジャジーでお洒落なサウンドで知られるスウィング・アウト・シスターのカヴァー・ヴァージョンは1997年リリースの『Shapes and Patters』に収録。


一転してチャーミングな楽曲「Emmie」。多感な少女時代に決別し、大人の女性へと成長して行く瞬間が表されている。母と子の愛と受け取れる表現、あるいはフェミニズムと窺える面もあるが、女性讃歌的な要素はローラ・ニーロ自身がその後も綴り続けたテーマのひとつだ。
アルバムの裏ジャケットに大人の女性が少女の額にキスをするモノクロのシルエット写真が使われているが、この曲を象徴する印象的な1枚に思えた。


EMMIE
ウー ラララ
エミリーと未来の恋人は
ベリーの木に心の印を彫った
だけどそれは愛の別れを告げる言葉
女へと成長する時
私に触れて
ああ 私を目覚めさせて
エミリー
あなたは私のために大地を飾り立ててくれる

エミリー
あなたは無垢の雪
自然の海
あなたはカメオ
私は断言出来る
あなたは機織りの恋人として
生まれて来たのだと
織機を悦ばすために生まれて来たのよ
私を動かして
揺らして
エミリー
あなたは私のために大地を飾り立ててくれる

エミリー
あなたのママがあなたをずっと呼んでいたわ
おお
誰がママの心を虜にしたの
誰がこの庭で抱擁したの
愛しきエミー
ウー ラララ
あなたは私の友だちだった
私はあなたを愛している
エミリー

ライヴ・ヴァージョンは1989年に発表された『LIVE AT THE BOTTOM LINE』から。歌声に深みが出ている。


タイトルからも察せられるように、失恋して自暴自棄になった女を描いた「 Woman's Blues」。物悲しい雰囲気から一転して激しい曲調へと変化して行く様は怨念めいたものさえも感じてしまう。


ファンキーな「 Once It Was Alright Now (Farmer Joe)」。リード・ヴォーカルとしてBS&Tからローラ・ニーロが誘われた理由がよく分かるようなポップなブラス・ロックに仕上げられている。ここでもポール・グリフィンがピアノを弾いていた。


情念が揺らめくような美しいバラード曲、「December's Boudoir」。


アルバムを締めくくるフォーキーでソウルフルな「The Confession」。奔放な愛の表現が目立ち、"Love my lovething"という言葉が意味深である。


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